97 / 159
97.vsブルードラゴン
しおりを挟む
爆散したポルコ・レイアースの肉片が降り注ぎ、反転魔法の壁は血しぶきで真っ赤に染まる。
僕は嘔吐した。
「オロロロロロゥェッ」
グロすぎる。
人間が内側から弾け飛ぶ姿を間近で見せられてしまった。
ゴブアースが僕の背中をさすってくれるが、せり上がってくる胃の内容物は止まることは無い。
結局僕は胃の中身をすべて吐き出すまでゲロゲロし続けた。
死してなお僕にダメージを与え続けるとは、ポルコ・レイアースあっぱれな男。
しかしこうしてゲロゲロばかりしていられない。
ドラゴンと交戦中のみんなが心配だ。
戦況はどんな感じかな。
僕はドラゴンとガルーダが飛び交う戦場を眺める。
ドラゴンの下をウロチョロしていた軍人は全員ゴブ次郎によって無力化されている。
僕もあのくらい鮮やかに無力化できていたら、ポルコは自害できなかったかもしれない。
あの男は軍でもそこそこの地位がありそうだから、何か重要な情報を引き出すこともできたかもしれない。
だけどそもそもあんな強い男を自害させずに無力化できたかも分からないし、捕まえても情報なんて絶対吐かないような気もする。
たらればを言い出したらキリがないからこのへんで止めておくか。
他はどうなっているのか。
すでにドラゴンが3体ほど横たわっているが、ミゲル君と会長、リリー姉さんはまだ戦っているのであれはうちのゴブリンガルーダ騎兵たちがやったのだろう。
戦闘初投入にしてはなかなかやるじゃないか。
ゴブリンガルーダ騎兵たちは、4体のドラゴンを相手に魔法を駆使して終始優位に戦っている。
ブルードラゴンは水魔法と氷魔法が得意なようだけれど、氷冷耐性スキルは持っていない。
なのでデイジーとゴブアイスの氷魔法もブルードラゴンに効かないわけではないようだ。
そしてバラライカとゴブ之進の雷魔法は効果抜群。
ガルーダたちには風魔法もあるし、羽を使った攻撃スキルもある。
飛行スピードにいたっては完全にガルーダのほうが上だ。
怖いのはドラゴンブレスだが、当たらなければどうということも無い。
しかしガルーダやゴブリンたちはなるべく町に当たらないように気をつけて魔法や攻撃スキルを放っているが、ドラゴンたちはそうではない。
すでにドラゴンの魔法やブレスによって、町の建物には甚大な被害が出てしまっているようだ。
リグリット様たちの避難誘導によって市民の避難は完了しているようだが、町がこの状況では帝国軍の思惑はそこそこ成功といえるだろう。
せめてドラゴンの被害をこの町だけにとどめておかなくてはならない。
少しだけブルードラゴンを使役したいという気持ちもあるものの、市民感情を考えたらこのドラゴンを生かしておくわけにもいかない。
まあドラゴン召喚のスキルオーブはポルコの部下達は全員持っていたのだろうし、使われなったオーブがポルコの部下の懐でも探れば入っているかもしれない。
そちらに期待するとして、僕はミゲル君と会長を援護するとしようか。
ミゲル君と会長は、少々苦戦しているようだ。
なにせ相手はドラゴン。
弱点をピンポイントで狙わないと矢は通らないし、あの巨体を身体強化スキルで強化しているために物理攻撃を防ぐのもやっとだ。
魔法だってギリギリだ。
ミゲル君の使っている大盾は魔法に対する防御力が高いミスリルコーティングがされた一品だけれど、度重なるダメージに悲鳴をあげている。
会長は紙装甲なのでミゲル君が抜かれるとなす術もない。
やはりこの2人にとってドラゴンは少し格上の相手だったようだ。
しかし全く戦えていないわけではない。
ドラゴンの翼や関節、脇腹の鱗の隙間などには矢が突き刺さって血を流している。
今また、会長の放った光を纏った矢がドラゴンの右目に突き刺さる。
ブラストショットという会長の弓スキルだ。
「グルガァァァァァッ!!」
ドラゴンは怒り狂った。
脳までは届かなかったものの、右目は潰れて血の涙を流している。
痛みに暴れるドラゴン。
その口には高密度のエネルギーが集束していく。
ドラゴンの代名詞ともいえるスキル、ドラゴンブレスの前兆だ。
ミゲル君と会長は惜しいところまで戦ったが、残念ながらここまでだ。
ミゲル君のあの状態の大盾ではドラゴンブレスは防げない。
僕はふたりの前に出て反転魔法を展開する。
ドラゴンの口腔から、熱線が放たれる。
確かに生物の頂点に君臨するドラゴンの代名詞というだけあって、魔法攻撃などとは一線を画する熱量だ。
しかし反転できない攻撃ではない。
ドラゴンブレスは僕の反転魔法によって跳ね返された。
空高く伸びる熱線は、ブルードラゴンの首を消し炭にしてから雲をつき抜けて空に消えた。
首を失った巨体が落ちてくる。
ドラゴンの巨体に押しつぶされて、また建物が倒壊する。
「はぁはぁ、助かっただ」
「危なかった。アレで死なないとは……」
会長とミゲル君は息も絶え絶えの状態だ。
もう少し早く助けに入ればよかったかもしれない。
リリー姉さんのように邪魔するなという人もいるから僕もちょっと慎重なんだよ。
こんな状況でもなければ、ドラゴンと戦うのはいい経験になるからね。
残るドラゴンは5体。
そのうち4体と戦っていたゴブリンガルーダ騎兵たちは今ちょうど決着がついたようだ。
バラライカの光のような速さのフェザーブレイドによってドラゴンたちの首が落ちる。
ドラゴンに勝利した4匹の魔物たちは少し誇らしげな顔をしているような気がする。
僕も君達が誇らしいよ。
あとで美味しいものでも食べようね。
さあ、最後はリリー姉さんだけだけど……。
僕はこの世のものとは思えない轟音が鳴り響く一角をチラリと一瞥する。
「がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「グルァァァァァァァ!!!」
そこには、2匹の獣が互いを食らい合うような戦いが繰り広げられていた。
僕は嘔吐した。
「オロロロロロゥェッ」
グロすぎる。
人間が内側から弾け飛ぶ姿を間近で見せられてしまった。
ゴブアースが僕の背中をさすってくれるが、せり上がってくる胃の内容物は止まることは無い。
結局僕は胃の中身をすべて吐き出すまでゲロゲロし続けた。
死してなお僕にダメージを与え続けるとは、ポルコ・レイアースあっぱれな男。
しかしこうしてゲロゲロばかりしていられない。
ドラゴンと交戦中のみんなが心配だ。
戦況はどんな感じかな。
僕はドラゴンとガルーダが飛び交う戦場を眺める。
ドラゴンの下をウロチョロしていた軍人は全員ゴブ次郎によって無力化されている。
僕もあのくらい鮮やかに無力化できていたら、ポルコは自害できなかったかもしれない。
あの男は軍でもそこそこの地位がありそうだから、何か重要な情報を引き出すこともできたかもしれない。
だけどそもそもあんな強い男を自害させずに無力化できたかも分からないし、捕まえても情報なんて絶対吐かないような気もする。
たらればを言い出したらキリがないからこのへんで止めておくか。
他はどうなっているのか。
すでにドラゴンが3体ほど横たわっているが、ミゲル君と会長、リリー姉さんはまだ戦っているのであれはうちのゴブリンガルーダ騎兵たちがやったのだろう。
戦闘初投入にしてはなかなかやるじゃないか。
ゴブリンガルーダ騎兵たちは、4体のドラゴンを相手に魔法を駆使して終始優位に戦っている。
ブルードラゴンは水魔法と氷魔法が得意なようだけれど、氷冷耐性スキルは持っていない。
なのでデイジーとゴブアイスの氷魔法もブルードラゴンに効かないわけではないようだ。
そしてバラライカとゴブ之進の雷魔法は効果抜群。
ガルーダたちには風魔法もあるし、羽を使った攻撃スキルもある。
飛行スピードにいたっては完全にガルーダのほうが上だ。
怖いのはドラゴンブレスだが、当たらなければどうということも無い。
しかしガルーダやゴブリンたちはなるべく町に当たらないように気をつけて魔法や攻撃スキルを放っているが、ドラゴンたちはそうではない。
すでにドラゴンの魔法やブレスによって、町の建物には甚大な被害が出てしまっているようだ。
リグリット様たちの避難誘導によって市民の避難は完了しているようだが、町がこの状況では帝国軍の思惑はそこそこ成功といえるだろう。
せめてドラゴンの被害をこの町だけにとどめておかなくてはならない。
少しだけブルードラゴンを使役したいという気持ちもあるものの、市民感情を考えたらこのドラゴンを生かしておくわけにもいかない。
まあドラゴン召喚のスキルオーブはポルコの部下達は全員持っていたのだろうし、使われなったオーブがポルコの部下の懐でも探れば入っているかもしれない。
そちらに期待するとして、僕はミゲル君と会長を援護するとしようか。
ミゲル君と会長は、少々苦戦しているようだ。
なにせ相手はドラゴン。
弱点をピンポイントで狙わないと矢は通らないし、あの巨体を身体強化スキルで強化しているために物理攻撃を防ぐのもやっとだ。
魔法だってギリギリだ。
ミゲル君の使っている大盾は魔法に対する防御力が高いミスリルコーティングがされた一品だけれど、度重なるダメージに悲鳴をあげている。
会長は紙装甲なのでミゲル君が抜かれるとなす術もない。
やはりこの2人にとってドラゴンは少し格上の相手だったようだ。
しかし全く戦えていないわけではない。
ドラゴンの翼や関節、脇腹の鱗の隙間などには矢が突き刺さって血を流している。
今また、会長の放った光を纏った矢がドラゴンの右目に突き刺さる。
ブラストショットという会長の弓スキルだ。
「グルガァァァァァッ!!」
ドラゴンは怒り狂った。
脳までは届かなかったものの、右目は潰れて血の涙を流している。
痛みに暴れるドラゴン。
その口には高密度のエネルギーが集束していく。
ドラゴンの代名詞ともいえるスキル、ドラゴンブレスの前兆だ。
ミゲル君と会長は惜しいところまで戦ったが、残念ながらここまでだ。
ミゲル君のあの状態の大盾ではドラゴンブレスは防げない。
僕はふたりの前に出て反転魔法を展開する。
ドラゴンの口腔から、熱線が放たれる。
確かに生物の頂点に君臨するドラゴンの代名詞というだけあって、魔法攻撃などとは一線を画する熱量だ。
しかし反転できない攻撃ではない。
ドラゴンブレスは僕の反転魔法によって跳ね返された。
空高く伸びる熱線は、ブルードラゴンの首を消し炭にしてから雲をつき抜けて空に消えた。
首を失った巨体が落ちてくる。
ドラゴンの巨体に押しつぶされて、また建物が倒壊する。
「はぁはぁ、助かっただ」
「危なかった。アレで死なないとは……」
会長とミゲル君は息も絶え絶えの状態だ。
もう少し早く助けに入ればよかったかもしれない。
リリー姉さんのように邪魔するなという人もいるから僕もちょっと慎重なんだよ。
こんな状況でもなければ、ドラゴンと戦うのはいい経験になるからね。
残るドラゴンは5体。
そのうち4体と戦っていたゴブリンガルーダ騎兵たちは今ちょうど決着がついたようだ。
バラライカの光のような速さのフェザーブレイドによってドラゴンたちの首が落ちる。
ドラゴンに勝利した4匹の魔物たちは少し誇らしげな顔をしているような気がする。
僕も君達が誇らしいよ。
あとで美味しいものでも食べようね。
さあ、最後はリリー姉さんだけだけど……。
僕はこの世のものとは思えない轟音が鳴り響く一角をチラリと一瞥する。
「がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「グルァァァァァァァ!!!」
そこには、2匹の獣が互いを食らい合うような戦いが繰り広げられていた。
1
お気に入りに追加
4,013
あなたにおすすめの小説
とある辺境伯家の長男 ~剣と魔法の異世界に転生した努力したことがない男の奮闘記 「ちょっ、うちの家族が優秀すぎるんだが」~
海堂金太郎
ファンタジー
現代社会日本にとある男がいた。
その男は優秀ではあったものの向上心がなく、刺激を求めていた。
そんな時、人生最初にして最大の刺激が訪れる。
居眠り暴走トラックという名の刺激が……。
意識を取り戻した男は自分がとある辺境伯の長男アルテュールとして生を受けていることに気が付く。
俗に言う異世界転生である。
何不自由ない生活の中、アルテュールは思った。
「あれ?俺の家族優秀すぎじゃね……?」と……。
―――地球とは異なる世界の超大陸テラに存在する国の一つ、アルトアイゼン王国。
その最前線、ヴァンティエール辺境伯家に生まれたアルテュールは前世にしなかった努力をして異世界を逞しく生きてゆく――
戦闘狂の水晶使い、最強の更に先へ
真輪月
ファンタジー
お気に入り登録をよろしくお願いします!
感想待ってます!
まずは一読だけでも!!
───────
なんてことない普通の中学校に通っていた、普通のモブAオレこと、澄川蓮。……のだが……。
しかし、そんなオレの平凡もここまで。
ある日の授業中、神を名乗る存在に異世界転生させられてしまった。しかも、クラスメート全員(先生はいない)。受験勉強が水の泡だ。
そして、そこで手にしたのは、水晶魔法。そして、『不可知の書』という、便利なメモ帳も手に入れた。
使えるものは全て使う。
こうして、澄川蓮こと、ライン・ルルクスは強くなっていった。
そして、ラインは戦闘を楽しみだしてしまった。
そしていつの日か、彼は……。
カクヨムにも連載中
小説家になろうにも連載中
伯爵家の三男は冒険者を目指す!
おとうふ
ファンタジー
2024年8月、更新再開しました!
佐藤良太はとある高校に通う極普通の高校生である。いつものように彼女の伶奈と一緒に歩いて下校していたところ、信号無視のトラックが猛スピードで突っ込んで来るのが見えた。良太は咄嗟に彼女を突き飛ばしたが、彼は迫り来るトラックを前に為すすべも無く、あっけなくこの世を去った。
彼が最後に見たものは、驚愕した表情で自分を見る彼女と、完全にキメているとしか思えない、トラックの運転手の異常な目だった...
(...伶奈、ごめん...)
異世界に転生した良太は、とりあえず父の勧める通りに冒険者を目指すこととなる。学校での出会いや、地球では体験したことのない様々な出来事が彼を待っている。
初めて投稿する作品ですので、温かい目で見ていただければ幸いです。
誤字・脱字やおかしな表現や展開など、指摘があれば遠慮なくお願い致します。
1話1話はとても短くなっていますので、サクサク読めるかなと思います。
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
神の手違い転生。悪と理不尽と運命を無双します!
yoshikazu
ファンタジー
橘 涼太。高校1年生。突然の交通事故で命を落としてしまう。
しかしそれは神のミスによるものだった。
神は橘 涼太の魂を神界に呼び謝罪する。その時、神は橘 涼太を気に入ってしまう。
そして橘 涼太に提案をする。
『魔法と剣の世界に転生してみないか?』と。
橘 涼太は快く承諾して記憶を消されて転生先へと旅立ちミハエルとなる。
しかし神は転生先のステータスの平均設定を勘違いして気付いた時には100倍の設定になっていた。
さらにミハエルは〈光の加護〉を受けておりステータスが合わせて1000倍になりスキルも数と質がパワーアップしていたのだ。
これは神の手違いでミハエルがとてつもないステータスとスキルを提げて世の中の悪と理不尽と運命に立ち向かう物語である。
「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした
御浦祥太
ファンタジー
どこにでもいる高校生、朝比奈結人《あさひなゆいと》は修学旅行で京都を訪れた際に、突然清水寺から落下してしまう。不思議な空間にワープした結人は女神を名乗る女性に会い、自分がこれから異世界転生することを告げられる。
異世界と聞いて結人は、何かチートのような特別なスキルがもらえるのか女神に尋ねるが、返ってきたのは「残念でした~~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~~ん(笑)」という強烈な言葉だった。
女神の言葉に落胆しつつも異世界に転生させられる結人。
――しかし、彼は知らなかった。
転移先がまさかの禁断のレベルアップの実の群生地であり、その実を食べることで自身のレベルが世界最高となることを――
スキル【アイテムコピー】を駆使して金貨のお風呂に入りたい
兎屋亀吉
ファンタジー
異世界転生にあたって、神様から提示されたスキルは4つ。1.【剣術】2.【火魔法】3.【アイテムボックス】4.【アイテムコピー】。これらのスキルの中から、選ぶことのできるスキルは一つだけ。さて、僕は何を選ぶべきか。タイトルで答え出てた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる