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41.ロリ姉さん
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5分後。
ロリ姉さんの足元に無様に転がる牢名主。
「ここで人間的な生活を送りたかったらあたしの足を舐めな」
姉さん、それじゃご褒美です。
ロリ姉さんはご機嫌な様子で牢名主の頭をゴリゴリ踏みつける。
もうこの牢内にいる人間はロリ姉さんが怖くて近づくことままならない。
僕は恐る恐る遠巻きに見ているだけだ。
「あんたもあたしとヤリたい?」
姉さんは僕にもそう聞いてきたけど、僕は目を合わせないようにして無言で首を横に振った。
「フラれちゃった……」
ロリ姉さんは残念そうな顔をしながらそんなことをつぶやく。
これだからコミュニケイションはわからんのだ。
姉さんは何事も無かったかのように壁際に座り込む。
ことの次第を見ていた男達もやがて落ち着きを取り戻し、牢内に平和が戻った。
負けてしまった牢名主はこれから肩身が狭いかもしれないけれど、ここが今までの治世の試されるときだ。
がんばれ。
僕もロリ姉さんと少し離れた壁際に座る。
僕の隣に会長が座った。
よし、僕と話したいなら僕もやぶさかではないぞ。
被害者の会を結成しようじゃないか。
しかし当然ながら会長の口から出たのは今しがたのやり取りの話だった。
「俺は何もできなかった。あんたは凄いな、さっきの」
「え、ああ、うん……」
もうちょっと僕のタイミングで話させてくれ。
あと10分待て。
原稿書いてくるから。
「それにしてもあの女の子、強いな。俺はまるでダメだ。いつも口だけで……」
いやその口が凄いというか。
なに悔しそうな顔してんの。
僕のほうが悔しいよ。
あんなに会長と話したかったのに全然何話したらいいのかわからないから。
「でも、そんなだから、身に覚えのない罪を着せられて……」
そうだ、僕はその話がしたかった。
良く言い出してくれた。
「す、スタークだったっけ……」
「え?スタークのことを知ってるのか?」
「うん。僕も彼には恨みがあるから」
よしよし、話せている。
同年代の人とちゃんと話せている。
いままで生きてきてこんなにうれしいことは無かったかもしれない。
「そうか。あの人は確かに色んなところに恨みを買っていそうだ……」
そう言って会長は俯いて黙ってしまった。
おい黙るなよ。
君が頼りなんだよ。
僕から話題提供しろってことかい?
無理でしょ。
コミュニケーション検定10級の僕にはまだ早いって。
「そのスタークってやつ、どんな奴なの?」
気付けばロリ姉さんが隣に座っていた。
いつ移動したんだよ。
肩が触れててちょっと緊張する。
「スタークは商人だよ。一代で行商から始めた商会を支店数100を超える大商会にまで育て上げた傑物だ。だけど、自分が苦労して作り上げたものを最初から持っている人間を毛嫌いしている。だから俺はスタークに疎まれたんだと思う。俺の家は小さいけど商会を経営していたから」
「ふーん。器の小さい男ね。あたしの嫌いなタイプ」
ロリ姉さんはそう言って足を組みかえる。
ロリの癖にエロい仕草だ。
さすが19歳。
僕より3つも年上なだけある。
ロリなのに大人の色気が漂っている。
ロリなのに。
「それで、俺は金庫の金を盗んだとかいうありえない罪を着せられて犯罪奴隷だ。金庫なんて見習いに開けられるわけないだろ……」
会長はそう言うとまた塞ぎこんでしまった。
けっこうナイーブなタイプなのかな。
「それで、あんたもそのスタークに恨みがあるとか言ってたけど、どんな?」
ロリ姉さんはついに僕に話題を振ってきた。
姉さんはロリとはいえ年上だ。
年上の女性と話すのは緊張するな。
しかし今は話題がある。
話すことが分かっているというのは少しだけ安心する。
僕はたどたどしくも盗賊退治の顛末を説明した。
「なにそれ!?ひどい恩知らずね。レベル9のスキル持ちなんて騎士団が出動するレベルじゃないの。あんたがいなかったらその商人は死んでたかもしれないのに……」
「スタークはそういう人なんだ。金に貪欲で、時に人間性すらも捨て去る。その非情さでのし上がってきた男なんだよ。だから方々から恨みを買ってる。特に古くからある商会相手には嫌がらせみたいな商売もしてきたから」
憤る姉さんに、会長がスタークの非情さを語る。
なんだか話を聞いていると、いつか勝手に自滅しそうなタイプに見える。
僕が報復するまで生きてるかな。
なんだか心配になってきた。
「ふーんあんたたち2人は無実の罪で犯罪奴隷になったのね。あたしもまあ同じようなものなんだけどね」
「あんたもか?」
「そう。一応あたしにも非はあったと思うからこうして鉱山労働しているけどね。あたしは1年間で解放されることが奴隷商との間の契約で決まってる」
「へえ、どんなことがあったのか聞いてもいいか?」
さすがは会長。
聞きにくいことをずばずばと聞いてくれる。
あんたに一生付いていくよ。
「あたしはね、借金奴隷だったんだ」
ロリ姉さんは朗々と語り始める。
ロリなのに何故かエロい。
まるで急に過去を語りだす場末のスナックのママのようだ。
「あたしはある日冒険者と喧嘩して店をめちゃくちゃにしてその修繕費で借金奴隷になった。奴隷商との間に結ばれた契約内容は、なんでもあり。つまり戦闘でも家事でも夜の相手でも、望まれればなんでもするということ。ただし条件があったの。それはあたしよりも強いこと」
姉さんの過去はなかなか苛烈だ。
18歳以下の僕と会長(たぶん)には少し刺激が強い内容も含まれている。
「自分より力の強い男に屈服させられて処女を無理矢理奪われるのがあたしの昔からの夢だったの……」
姉さんの話はやっぱり少し刺激が強すぎるようだ。
ロリ姉さんの足元に無様に転がる牢名主。
「ここで人間的な生活を送りたかったらあたしの足を舐めな」
姉さん、それじゃご褒美です。
ロリ姉さんはご機嫌な様子で牢名主の頭をゴリゴリ踏みつける。
もうこの牢内にいる人間はロリ姉さんが怖くて近づくことままならない。
僕は恐る恐る遠巻きに見ているだけだ。
「あんたもあたしとヤリたい?」
姉さんは僕にもそう聞いてきたけど、僕は目を合わせないようにして無言で首を横に振った。
「フラれちゃった……」
ロリ姉さんは残念そうな顔をしながらそんなことをつぶやく。
これだからコミュニケイションはわからんのだ。
姉さんは何事も無かったかのように壁際に座り込む。
ことの次第を見ていた男達もやがて落ち着きを取り戻し、牢内に平和が戻った。
負けてしまった牢名主はこれから肩身が狭いかもしれないけれど、ここが今までの治世の試されるときだ。
がんばれ。
僕もロリ姉さんと少し離れた壁際に座る。
僕の隣に会長が座った。
よし、僕と話したいなら僕もやぶさかではないぞ。
被害者の会を結成しようじゃないか。
しかし当然ながら会長の口から出たのは今しがたのやり取りの話だった。
「俺は何もできなかった。あんたは凄いな、さっきの」
「え、ああ、うん……」
もうちょっと僕のタイミングで話させてくれ。
あと10分待て。
原稿書いてくるから。
「それにしてもあの女の子、強いな。俺はまるでダメだ。いつも口だけで……」
いやその口が凄いというか。
なに悔しそうな顔してんの。
僕のほうが悔しいよ。
あんなに会長と話したかったのに全然何話したらいいのかわからないから。
「でも、そんなだから、身に覚えのない罪を着せられて……」
そうだ、僕はその話がしたかった。
良く言い出してくれた。
「す、スタークだったっけ……」
「え?スタークのことを知ってるのか?」
「うん。僕も彼には恨みがあるから」
よしよし、話せている。
同年代の人とちゃんと話せている。
いままで生きてきてこんなにうれしいことは無かったかもしれない。
「そうか。あの人は確かに色んなところに恨みを買っていそうだ……」
そう言って会長は俯いて黙ってしまった。
おい黙るなよ。
君が頼りなんだよ。
僕から話題提供しろってことかい?
無理でしょ。
コミュニケーション検定10級の僕にはまだ早いって。
「そのスタークってやつ、どんな奴なの?」
気付けばロリ姉さんが隣に座っていた。
いつ移動したんだよ。
肩が触れててちょっと緊張する。
「スタークは商人だよ。一代で行商から始めた商会を支店数100を超える大商会にまで育て上げた傑物だ。だけど、自分が苦労して作り上げたものを最初から持っている人間を毛嫌いしている。だから俺はスタークに疎まれたんだと思う。俺の家は小さいけど商会を経営していたから」
「ふーん。器の小さい男ね。あたしの嫌いなタイプ」
ロリ姉さんはそう言って足を組みかえる。
ロリの癖にエロい仕草だ。
さすが19歳。
僕より3つも年上なだけある。
ロリなのに大人の色気が漂っている。
ロリなのに。
「それで、俺は金庫の金を盗んだとかいうありえない罪を着せられて犯罪奴隷だ。金庫なんて見習いに開けられるわけないだろ……」
会長はそう言うとまた塞ぎこんでしまった。
けっこうナイーブなタイプなのかな。
「それで、あんたもそのスタークに恨みがあるとか言ってたけど、どんな?」
ロリ姉さんはついに僕に話題を振ってきた。
姉さんはロリとはいえ年上だ。
年上の女性と話すのは緊張するな。
しかし今は話題がある。
話すことが分かっているというのは少しだけ安心する。
僕はたどたどしくも盗賊退治の顛末を説明した。
「なにそれ!?ひどい恩知らずね。レベル9のスキル持ちなんて騎士団が出動するレベルじゃないの。あんたがいなかったらその商人は死んでたかもしれないのに……」
「スタークはそういう人なんだ。金に貪欲で、時に人間性すらも捨て去る。その非情さでのし上がってきた男なんだよ。だから方々から恨みを買ってる。特に古くからある商会相手には嫌がらせみたいな商売もしてきたから」
憤る姉さんに、会長がスタークの非情さを語る。
なんだか話を聞いていると、いつか勝手に自滅しそうなタイプに見える。
僕が報復するまで生きてるかな。
なんだか心配になってきた。
「ふーんあんたたち2人は無実の罪で犯罪奴隷になったのね。あたしもまあ同じようなものなんだけどね」
「あんたもか?」
「そう。一応あたしにも非はあったと思うからこうして鉱山労働しているけどね。あたしは1年間で解放されることが奴隷商との間の契約で決まってる」
「へえ、どんなことがあったのか聞いてもいいか?」
さすがは会長。
聞きにくいことをずばずばと聞いてくれる。
あんたに一生付いていくよ。
「あたしはね、借金奴隷だったんだ」
ロリ姉さんは朗々と語り始める。
ロリなのに何故かエロい。
まるで急に過去を語りだす場末のスナックのママのようだ。
「あたしはある日冒険者と喧嘩して店をめちゃくちゃにしてその修繕費で借金奴隷になった。奴隷商との間に結ばれた契約内容は、なんでもあり。つまり戦闘でも家事でも夜の相手でも、望まれればなんでもするということ。ただし条件があったの。それはあたしよりも強いこと」
姉さんの過去はなかなか苛烈だ。
18歳以下の僕と会長(たぶん)には少し刺激が強い内容も含まれている。
「自分より力の強い男に屈服させられて処女を無理矢理奪われるのがあたしの昔からの夢だったの……」
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