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7.ボスキャラだと思ったら雑魚だった
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くそっ、俺はもう少し様子見をしていたいのに、メイドがグイグイ押してきやがる。
もう、だめだって、もうちょっと、様子見、したいのに、あっ、だめぇぇぇ!!
バタンという音を立てて、ドアが全開になる。
あたりに漂う気まずい空気。
「よ、よう。元気?」
俺はバカか。
なんちゅう入り方してんだ。
「なんだてめぇは!!」
「なんだもなにもここの住人だよ!お前らの方が俺の部屋の前で騒いでるんだろ!!」
しまった、つい突っ込んでしまった。
こいつが残る御三家のうちのどっちかだったら最悪だな。
確か残りの御三家主要ポストの子供は、男女で一人ずつだったはずだ。
真四角銀行頭取の娘と、真四角電機社長の息子だったかな。
こいつは真四角電機社長の息子なのかな?
確かに顔は四角いが。
「そうか悪かったな。だがあんたも言ってやってくれよ、ここは分不相応な貧乏人が来る場所じゃないってな。その女は俺のメイドにしてやるからさっさと荷物まとめて出て行け」
おいおいマジかよ、こんなこと言えるの絶対に真四角電機社長の息子ぐらいだろ。
だって普通のやつならこんなクズな発言できるわけないもの。
確実にずっと自分がオンリーワンでナンバーワンな人生送ってきてないとあんなイカれた発言は出てこないだろ。
間違いない、あいつが真四角電機社長の息子、篠原雅也だ。
あいつに逆らうのはまずい。
さすがに俺でもどんな目に合わされるかわかったものじゃない。
すまん中村、強く生きてくれ。
メイドが俺の尻をしきりに撫でて何かを主張してくる。
無理だって、あんな金も権力も持ったモンスターに俺程度の人間では太刀打ちできないって。
俺の尻を触るメイドさんの手がいっそう激しくなる。
恐ろしく速いフェザータッチ、俺じゃなきゃ見逃しちゃうね。
と、遊んでいる場合じゃない。
かくなるうえは、隣の部屋のドアノッカーを叩いて雪村に助けを求めるしかない。
「くっ、いくら彩叶学園とはいえ、こんなことがまかり通るわけがない!あんたのことは教師に相談させてもらうぞ!!あんたの名前と部屋番号は?いまはぐらかしても、いずれ分かるんだからな」
後ろで中村が最後の足掻きとばかりに頑張っている。
たしかに中村の行動は普通の学校だったら正しいだろう。
だが、この学園では入学した時点で明確な格差が存在する。
強いものには逆らえない。
教師ですらも逆らえない生徒というのが存在する。
それが雪村であり、目の前の篠原雅也でもある。
「おまえごときの意見が教師に聞き入れてもらえるわけないだろ。だがやってみるだけやってみるといい。俺は部屋番号302の三村俊平だ」
はい?
三村?
篠原雅也じゃなく?
三村俊平?
「ボソッ)坊ちゃま、テリー珈琲の社長子息です」
テリー珈琲。
確かに飲食業界ではそれなりに知られた名前だが…。
うちと比べたら雑魚じゃねえか!!
よくその程度であんなでかい顔できたね。
忙しい教師はお前程度の意見も聞き入れてくれんわ!!
「おい、このバカボンボン野朗が!!そいつは俺の友達なんだよ!手ぇ出したら日本に住めなくしてやるぞ!!」
「さすが坊ちゃま、相手が格下と分かったら見事な手のひら返しです」
「な、なんだとてめぇ!そういうてめぇはどこのどいつだよ!!」
「俺は四宮だ。四宮要、お前とはお友達になりたくないから覚えなくてもいい」
「し、四宮…。まさか四宮ホールディングスの。今年入学するとは聞いていたが…」
「親の威光を振りかざしてドヤ顔とは…さすが坊ちゃまです。その圧倒的な小物感に痺れます」
うるさいな、使えるものはなんでも使うんだよ。
そうでなくてはこの弱肉強食の学園で生きていけない。
もしかしてこの三村とかいう勘違い野朗の感覚がこの学園での普通だったりしたら、親の威光抜きにした俺なんてあっというまに食い殺されてしまうからな。
「あ、あんたの知り合いに手を出すつもりはなかったんだ。本当だ、知らなかったんだ。もう俺はこいつらに関わらない。だから許してくれ」
よし、この勘違い野朗も一応弱肉強食の掟には従っているらしい。
「よし、いいだろう。今後こいつらへのちょっかいをかけなければ大事にするつもりはない」
「わかった」
そう言って三村は逃げるように去っていった。
意外とあいつはいい経営者になるかもな。
自分を曲げて長いものに巻かれることができるものは、いざという時生き残れる。
経営のバランス感覚が身に付けば、きっとテリー珈琲を潰すことはないだろう。
テリー珈琲、買いだな。
いや、それも財務諸表を見てからだな。
父親が経営者として優れているとは限らないし。
企業として伸びしろを残していない可能性もある。
今がピークで後はゆっくり下っていくだけとかね。
それならそれで空売りするからいいんだけど。
俺がテリー珈琲について考察していると、中村とその幼馴染メイドが所在なさげにこちらを見ている。
「災難だったな」
俺はそれだけ言ってさっさと部屋に引き上げた。
こういう時なんて言っていいのかな。
俺とメイドが部屋に引っ込む背中に、2人の感謝の言葉がかけられた。
俺はなんと返していいのか分からずにそのまま部屋に引っ込んでしまった。
来週の土日に絶対ドアを防音のものに交換してやる。
もう、だめだって、もうちょっと、様子見、したいのに、あっ、だめぇぇぇ!!
バタンという音を立てて、ドアが全開になる。
あたりに漂う気まずい空気。
「よ、よう。元気?」
俺はバカか。
なんちゅう入り方してんだ。
「なんだてめぇは!!」
「なんだもなにもここの住人だよ!お前らの方が俺の部屋の前で騒いでるんだろ!!」
しまった、つい突っ込んでしまった。
こいつが残る御三家のうちのどっちかだったら最悪だな。
確か残りの御三家主要ポストの子供は、男女で一人ずつだったはずだ。
真四角銀行頭取の娘と、真四角電機社長の息子だったかな。
こいつは真四角電機社長の息子なのかな?
確かに顔は四角いが。
「そうか悪かったな。だがあんたも言ってやってくれよ、ここは分不相応な貧乏人が来る場所じゃないってな。その女は俺のメイドにしてやるからさっさと荷物まとめて出て行け」
おいおいマジかよ、こんなこと言えるの絶対に真四角電機社長の息子ぐらいだろ。
だって普通のやつならこんなクズな発言できるわけないもの。
確実にずっと自分がオンリーワンでナンバーワンな人生送ってきてないとあんなイカれた発言は出てこないだろ。
間違いない、あいつが真四角電機社長の息子、篠原雅也だ。
あいつに逆らうのはまずい。
さすがに俺でもどんな目に合わされるかわかったものじゃない。
すまん中村、強く生きてくれ。
メイドが俺の尻をしきりに撫でて何かを主張してくる。
無理だって、あんな金も権力も持ったモンスターに俺程度の人間では太刀打ちできないって。
俺の尻を触るメイドさんの手がいっそう激しくなる。
恐ろしく速いフェザータッチ、俺じゃなきゃ見逃しちゃうね。
と、遊んでいる場合じゃない。
かくなるうえは、隣の部屋のドアノッカーを叩いて雪村に助けを求めるしかない。
「くっ、いくら彩叶学園とはいえ、こんなことがまかり通るわけがない!あんたのことは教師に相談させてもらうぞ!!あんたの名前と部屋番号は?いまはぐらかしても、いずれ分かるんだからな」
後ろで中村が最後の足掻きとばかりに頑張っている。
たしかに中村の行動は普通の学校だったら正しいだろう。
だが、この学園では入学した時点で明確な格差が存在する。
強いものには逆らえない。
教師ですらも逆らえない生徒というのが存在する。
それが雪村であり、目の前の篠原雅也でもある。
「おまえごときの意見が教師に聞き入れてもらえるわけないだろ。だがやってみるだけやってみるといい。俺は部屋番号302の三村俊平だ」
はい?
三村?
篠原雅也じゃなく?
三村俊平?
「ボソッ)坊ちゃま、テリー珈琲の社長子息です」
テリー珈琲。
確かに飲食業界ではそれなりに知られた名前だが…。
うちと比べたら雑魚じゃねえか!!
よくその程度であんなでかい顔できたね。
忙しい教師はお前程度の意見も聞き入れてくれんわ!!
「おい、このバカボンボン野朗が!!そいつは俺の友達なんだよ!手ぇ出したら日本に住めなくしてやるぞ!!」
「さすが坊ちゃま、相手が格下と分かったら見事な手のひら返しです」
「な、なんだとてめぇ!そういうてめぇはどこのどいつだよ!!」
「俺は四宮だ。四宮要、お前とはお友達になりたくないから覚えなくてもいい」
「し、四宮…。まさか四宮ホールディングスの。今年入学するとは聞いていたが…」
「親の威光を振りかざしてドヤ顔とは…さすが坊ちゃまです。その圧倒的な小物感に痺れます」
うるさいな、使えるものはなんでも使うんだよ。
そうでなくてはこの弱肉強食の学園で生きていけない。
もしかしてこの三村とかいう勘違い野朗の感覚がこの学園での普通だったりしたら、親の威光抜きにした俺なんてあっというまに食い殺されてしまうからな。
「あ、あんたの知り合いに手を出すつもりはなかったんだ。本当だ、知らなかったんだ。もう俺はこいつらに関わらない。だから許してくれ」
よし、この勘違い野朗も一応弱肉強食の掟には従っているらしい。
「よし、いいだろう。今後こいつらへのちょっかいをかけなければ大事にするつもりはない」
「わかった」
そう言って三村は逃げるように去っていった。
意外とあいつはいい経営者になるかもな。
自分を曲げて長いものに巻かれることができるものは、いざという時生き残れる。
経営のバランス感覚が身に付けば、きっとテリー珈琲を潰すことはないだろう。
テリー珈琲、買いだな。
いや、それも財務諸表を見てからだな。
父親が経営者として優れているとは限らないし。
企業として伸びしろを残していない可能性もある。
今がピークで後はゆっくり下っていくだけとかね。
それならそれで空売りするからいいんだけど。
俺がテリー珈琲について考察していると、中村とその幼馴染メイドが所在なさげにこちらを見ている。
「災難だったな」
俺はそれだけ言ってさっさと部屋に引き上げた。
こういう時なんて言っていいのかな。
俺とメイドが部屋に引っ込む背中に、2人の感謝の言葉がかけられた。
俺はなんと返していいのか分からずにそのまま部屋に引っ込んでしまった。
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