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チートをもらえるけど平安時代に飛ばされるボタン 押す/押さない
15.超再生スキル
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最後に残ったのは大本命の超再生スキルだ。
名前からして傷を再生してくれるスキルだと思うのだが、すでに傷が完全に塞がってしまっている俺の腕を再生してくれるのかが問題だ。
俺のイメージ次第でそれが変わってくれるならいいのだけど。
俺はドキドキしながらオーブを開放した。
2度目ともなればエネルギーの奔流もちょっと強めの足つぼマッサージみたいなものだ。
いてて、と口にしながらも悶えるほどではない。
慣れたのかガバガバになったのか、とんだあばずれになってしまったものだ。
痛みはすぐに治まり、すぐに身体に変化が生じる。
体中の霊力が勝手に右腕に集まっているのだ。
メキメキと骨が再生していくのがわかる。
日頃の行いがよかったからか、どうやら俺の右腕は再生のときを迎えたようだ。
骨、肉、筋、皮と中から順番に再生し、どんどん腕が伸びていく。
痛みはないが少し眩暈がした。
そういえば、この骨や肉の材料はどこから来ているのだろうか。
霊力が肉体に変換されているのか、そうでもなければ……。
「やばい、これ痩せてるわ」
健在な他の手足を見ると少し細くなっているのに気が付いた。
ただでさえそんなに筋肉質ではなかった身体が完全なるヒョロガリになっていた。
どうやら肉体の材料は自分の身体から供給されていたようだ。
右腕1本を再生するために、身体の別の部分から肉や骨を持ってきているのだろう。
そんなことをすれば健康に害が出ることは間違いない。
まずったな、もう少し深く考えてからスキルを取得するべきだった。
とりあえず何か食べて補えないか試してみるか。
欲しいのはとにかくタンパク質だ。
タンパク質を多く含んだ食品というと、肉や魚、卵や牛乳、あとは豆類だろうか。
そういえば大豆が大量に出たときに作った炒り豆があったはずだ。
俺は収納の指輪から炒り豆の入った袋を取り出し、貪り食らった。
たぶん栄養素は足りてないが、眩暈が少し納まった気がした。
食べものが栄養となるまでにはもっと時間がかかるはずだから気のせいかもしれないが、何もしないよりはマシなはずだ。
俺はとにかく調理済みの食べ物を収納の指輪から探して食べまくった。
お腹がはちきれそうになるほど食べた頃、右腕の再生が終わった。
ツルツルピカピカで真っ白な新品の腕だ。
切断したあたりから色が違ってしまっている。
水着の日焼け跡みたいでちょっとエロい。
自分の腕に発情してどうするんだ。
しかし今はそんな気分だった。
失った腕が再生したのだ、人生でこんなにうれしいことは経験したことがない。
多少痩せてしまったことくらいはなんということもなかった。
たくさん肉を食べて早く筋肉をつけよう。
冬が来た。
平安時代は中世の温暖期と呼ばれ、日本列島の気温は現代に匹敵するくらい高かったという研究結果もあるらしいが、当然ながら冬は普通に寒い。
現代のように断熱性の高い家に住んで便利な防寒グッズに囲まれているわけじゃないから余計にだ。
この時代綿花はまだ国内で栽培されておらず、希少で高い。
わりかし裕福な金太郎さんと八重さんの家にも綿入りの着物はない。
それゆえ防寒着は重たい熊の毛皮くらいしかないんだ。
それでもまだ金太郎さんには獣を狩ることのできる力があるから毛皮を纏うことができるけど、普通の農民なんかはその毛皮すらも手に入れることができないんじゃないかな。
夏と変わらない着物で身を寄せ合い、気温が下がらないことを祈るしかない人がどれだけいることか。
そんな装備では凍死者が出るのも仕方がないことだ。
かくいう俺も、現在布団から出ることができずに困っている。
こたつが欲しいとこれほど思ったことはない。
テーブルに布団を被せるだけならガチャから出たアイテムを駆使すれば真似できなくもないのだが、肝心のこたつヒーターが無い。
あっても電気がないから使えないんだけどな。
囲炉裏の上にこたつを被せたような炭火のこたつも昭和の時代にはあったとじいちゃんから聞いたことがあるが、どうやって作ればいいのかわからん。
そもそもそんなことをして火事にならないのだろうか。
怖いからやはり軽はずみには作れない。
寝起きで寒くて仕方ない俺はたまらず竈から火のついた炭をもらい、火鉢に入れた。
火鉢というか、ガチャから出たすり鉢だが。
本来の使い方をしてやれなくて申し訳ない。
すり鉢は4つダブってるんだ。
何をそんなにすり潰せばいいんだよ。
ガチャは最近、SランクやAランクの出が悪くなったような気がする。
超再生のスキルオーブを最後にSランクは出ていないし、Aランクもその次の日に傷薬が出てから出ていない。
そのあたりはちょうど、俺がこの時代に来てから3か月が経過したくらいだ。
もしかしたら初回レアリティブーストの他に、3カ月間のブーストがあったのかもしれない。
レアアイテムゲット確率アップとかな。
となると今後、AランクやSランクのアイテムが出るのは本当に稀なことになってしまうのか。
腕も元通り再生した今、これ以上ファンタジーアイテムは必要ないのだがなんとなく残念な気分だ。
まだ鑑定スキルも出てなかったのにな。
確率が低くなったというだけで、出ないわけではないのだから毎日気合入れて引くか。
俺は今日の分のガチャをタップした。
Sランク
なし
Aランク
なし
Bランク
なし
Cランク
・塩鮭(甘口)×10
・茶葉(緑茶)×10
Dランク
・ティッシュ
・トランプ
・スリッパ
・テニスボール
・ラケット(卓球)
・洗濯ばさみ
・しゃもじ
・ボールペン
今日は鮭の塩焼きだな。
名前からして傷を再生してくれるスキルだと思うのだが、すでに傷が完全に塞がってしまっている俺の腕を再生してくれるのかが問題だ。
俺のイメージ次第でそれが変わってくれるならいいのだけど。
俺はドキドキしながらオーブを開放した。
2度目ともなればエネルギーの奔流もちょっと強めの足つぼマッサージみたいなものだ。
いてて、と口にしながらも悶えるほどではない。
慣れたのかガバガバになったのか、とんだあばずれになってしまったものだ。
痛みはすぐに治まり、すぐに身体に変化が生じる。
体中の霊力が勝手に右腕に集まっているのだ。
メキメキと骨が再生していくのがわかる。
日頃の行いがよかったからか、どうやら俺の右腕は再生のときを迎えたようだ。
骨、肉、筋、皮と中から順番に再生し、どんどん腕が伸びていく。
痛みはないが少し眩暈がした。
そういえば、この骨や肉の材料はどこから来ているのだろうか。
霊力が肉体に変換されているのか、そうでもなければ……。
「やばい、これ痩せてるわ」
健在な他の手足を見ると少し細くなっているのに気が付いた。
ただでさえそんなに筋肉質ではなかった身体が完全なるヒョロガリになっていた。
どうやら肉体の材料は自分の身体から供給されていたようだ。
右腕1本を再生するために、身体の別の部分から肉や骨を持ってきているのだろう。
そんなことをすれば健康に害が出ることは間違いない。
まずったな、もう少し深く考えてからスキルを取得するべきだった。
とりあえず何か食べて補えないか試してみるか。
欲しいのはとにかくタンパク質だ。
タンパク質を多く含んだ食品というと、肉や魚、卵や牛乳、あとは豆類だろうか。
そういえば大豆が大量に出たときに作った炒り豆があったはずだ。
俺は収納の指輪から炒り豆の入った袋を取り出し、貪り食らった。
たぶん栄養素は足りてないが、眩暈が少し納まった気がした。
食べものが栄養となるまでにはもっと時間がかかるはずだから気のせいかもしれないが、何もしないよりはマシなはずだ。
俺はとにかく調理済みの食べ物を収納の指輪から探して食べまくった。
お腹がはちきれそうになるほど食べた頃、右腕の再生が終わった。
ツルツルピカピカで真っ白な新品の腕だ。
切断したあたりから色が違ってしまっている。
水着の日焼け跡みたいでちょっとエロい。
自分の腕に発情してどうするんだ。
しかし今はそんな気分だった。
失った腕が再生したのだ、人生でこんなにうれしいことは経験したことがない。
多少痩せてしまったことくらいはなんということもなかった。
たくさん肉を食べて早く筋肉をつけよう。
冬が来た。
平安時代は中世の温暖期と呼ばれ、日本列島の気温は現代に匹敵するくらい高かったという研究結果もあるらしいが、当然ながら冬は普通に寒い。
現代のように断熱性の高い家に住んで便利な防寒グッズに囲まれているわけじゃないから余計にだ。
この時代綿花はまだ国内で栽培されておらず、希少で高い。
わりかし裕福な金太郎さんと八重さんの家にも綿入りの着物はない。
それゆえ防寒着は重たい熊の毛皮くらいしかないんだ。
それでもまだ金太郎さんには獣を狩ることのできる力があるから毛皮を纏うことができるけど、普通の農民なんかはその毛皮すらも手に入れることができないんじゃないかな。
夏と変わらない着物で身を寄せ合い、気温が下がらないことを祈るしかない人がどれだけいることか。
そんな装備では凍死者が出るのも仕方がないことだ。
かくいう俺も、現在布団から出ることができずに困っている。
こたつが欲しいとこれほど思ったことはない。
テーブルに布団を被せるだけならガチャから出たアイテムを駆使すれば真似できなくもないのだが、肝心のこたつヒーターが無い。
あっても電気がないから使えないんだけどな。
囲炉裏の上にこたつを被せたような炭火のこたつも昭和の時代にはあったとじいちゃんから聞いたことがあるが、どうやって作ればいいのかわからん。
そもそもそんなことをして火事にならないのだろうか。
怖いからやはり軽はずみには作れない。
寝起きで寒くて仕方ない俺はたまらず竈から火のついた炭をもらい、火鉢に入れた。
火鉢というか、ガチャから出たすり鉢だが。
本来の使い方をしてやれなくて申し訳ない。
すり鉢は4つダブってるんだ。
何をそんなにすり潰せばいいんだよ。
ガチャは最近、SランクやAランクの出が悪くなったような気がする。
超再生のスキルオーブを最後にSランクは出ていないし、Aランクもその次の日に傷薬が出てから出ていない。
そのあたりはちょうど、俺がこの時代に来てから3か月が経過したくらいだ。
もしかしたら初回レアリティブーストの他に、3カ月間のブーストがあったのかもしれない。
レアアイテムゲット確率アップとかな。
となると今後、AランクやSランクのアイテムが出るのは本当に稀なことになってしまうのか。
腕も元通り再生した今、これ以上ファンタジーアイテムは必要ないのだがなんとなく残念な気分だ。
まだ鑑定スキルも出てなかったのにな。
確率が低くなったというだけで、出ないわけではないのだから毎日気合入れて引くか。
俺は今日の分のガチャをタップした。
Sランク
なし
Aランク
なし
Bランク
なし
Cランク
・塩鮭(甘口)×10
・茶葉(緑茶)×10
Dランク
・ティッシュ
・トランプ
・スリッパ
・テニスボール
・ラケット(卓球)
・洗濯ばさみ
・しゃもじ
・ボールペン
今日は鮭の塩焼きだな。
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