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56.ダンジョン新階層
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戦国のロミオとジュリエット、奇妙丸君と松姫様を幸せな結末に導いてあげようと決意した俺だったが、武田の現状はそれほど逼迫してはいない。
奇妙丸君が思っているよりも武田はしぶとい。
武田信玄は来年あたり死ぬだろうけど、武田家が滅ぶのはまだまだ結構先のことだったはずだ。
武田信玄が死んだ後武田勝頼が武田家を継ぐと松姫は元奇妙丸君の婚約者だったからといって、少し疎まれる。
武田本家にはいられなくなるが、まだ同母兄である仁科盛信さんという保護してくれる存在がいる。
俺はお母さんが違う兄弟がいたことが無いからわからないけど、やっぱり異母兄と同母兄というのは微妙に関係が違うみたいだね。
仁科盛信さんが保護してくれているうちはそれほど心配はいらないだろう。
注意しなければいけないのは武田勝頼の死後だな。
確か武田勝頼が亡くなるのは10年くらい先の話じゃなかったかな。
松姫の様子はたまに見に行くが、積極的に介入するのはまだ早いだろう。
まだ歴史的ミラクルが起きて奇妙丸君が独力で松姫との幸せを勝ち取るという可能性もあるのだ。
今は様子見に留めておこう。
「大将、こりゃすげえ。冬なのに本当に米ができてる」
「ダンジョンの中の気候は外とは違うからね」
「その男女んってやつがいったいなんなのか知らねえが、とにかくすげえってことはわかるぜ」
奇妙丸君の頼みというのももちろん大事だが、島のほうも今が大事なときだ。
100ヘクタールの草原フィールドに作った田畑がようやく実り始めたのだ。
当初はすべて畑にして芋でも植えようと思っていたのだが、島民たちは田んぼを作りたがった。
島民たちの自主性を尊重している俺は、フィールドの半分を田んぼにすることに決めた。
ちなみに種籾はガチャから出てくるお米の玄米を使った。
籾殻の付いていない玄米は本来そのまま植えても菌類にやられてしまって簡単に腐ってしまうのだが、うまく腐らないように育苗することで種籾として使うことができる。
ゴッドガチャから出てくるお米は、品種改良された未来のお米に味が近い。
どうせならおいしいお米を育てていきたいからね。
頑張って菌類に気をつけ、陶器の器でお米を育てた。
多くの米を腐らせてしまったけれど、なんとか田んぼの面積に対して十分な苗を用意することができた。
この時代は田植えといえば種籾を直播きだったようで、俺のやり方は島民たちに少し奇異に思われてしまった。
しかし奇異に思われるのは今に始まったことではない。
みんなで楽しく田植えをしたよ。
田植えも大変だったけどね、みんなバラバラに植えるから。
ちゃんと一定距離ごとに植えないとダメなんだよ。
なんでダメなのかは説明できないけど。
そんなこんなで楽しい田植えをしたのが10月。
今は12月だ。
こんな不条理なことができてしまうのがダンジョンなんだよな。
この島は熱帯地域だから、外でもできなくはないかもしれないけれど天候によっては壊滅してしまうこともありえるだろう。
しかしダンジョンにはそれが無い。
草原フィールド内の天候は完全にコントロールされており、晴れも雨も気温さえもすべて自由に設定することができるのだ。
まさしく農業のためにあるようなダンジョンの機能だ。
もう田畑と呼ぶよりも食料プラントと呼んだほうがいいのではないだろうか。
モンスターにでも農作業をさせて、人間の手が完全にかからなくなれば本当にそうなってしまいそうだ。
さすがに島の人間にモンスターを見せるのは刺激が強すぎるかもしれないが、岐阜から大量のダンジョンポイントが毎日供給されていることだしもう1部屋草原フィールドを作るのもいいかもしれない。
そちらは島民たちには内緒にして、モンスターに農作業をさせよう。
それならほぼ無限に食料を生産することができる。
島民をどんどん増やしていくことができるかもしれない。
「よし、やるよ平蔵さん」
「なにをです?」
「内緒」
「内緒なら最初から口に出さねえでくださいよ……」
岐阜から供給される豊富なダンジョンポイントを使って俺は、ダンジョンに新たな階層を作ることにした。
島民たちが自由に出入りすることのできる第1階層とは違って、俺以外誰も入ることのできない秘密階層にするつもりだ。
入口は第1階層の草原フィールド隅に設置された玉座塔のてっぺん。
そこには今までダンジョンコアの埋め込まれた玉座があったのだが、それを第2階層に移動して転移罠を設置した。
転移罠は踏むとどこか違う場所に自動的に転移されてしまうという罠で、エレベーターみたいで便利だからそれを第2階層の入り口にすることにした。
ダンジョンは一応侵入者を誘い込まなければいけないので第2階層に鍵をかけて入れないようにするといったことはできない。
入口をなるべくわかりにくい場所に設置するには、こういった仕掛けが必要になってくるのだ。
第2階層は2部屋に分かれている。
両方とも草原フィールドだが、気候が異なる。
片方は穀物や野菜などを作るための四季フィールド。
もう片方は南国の植物を育てることができる常夏フィールドとなっている。
肥料のことや連作障害のことなどまだまだ試してみないと分からないことはあるが、ダンジョンポイントがたくさん手に入るようになったおかげで色々と始まったという感じがする。
椅子ひとつで始まったダンジョンが、1年半程度でよくここまで来られたものだ。
「さて、あとは農耕人員か……」
この広大なフィールドを耕すのは、モンスターだ。
しかし畑を耕すために食料を消費する生物タイプのモンスターを生み出してしまったら本末転倒。
生み出すモンスターは食料を食べなくても生きていける奴にしなくてはならない。
岐阜城のサブコアの守りについているナイトメアゴーストのような実体のないタイプでは鍬を握ることができないから、実体があって食べ物を食べない奴が好ましい。
「となると今のダンジョンポイントで生み出せるのは、ゴーレムかスケルトンか……」
ゴーレムにはランクがあり、一番最底辺の奴は1体生み出すのに30ポイント。
スケルトンも色々上位種がいたりするが、ノーマルのスケルトンは1体10ポイント。
どちらにしようか悩むな。
別に戦って欲しいわけじゃないからな。
力はゴーレムのほうが強いけれどスケルトンのほうが命令に対して応用がききそうだ。
ゴーレムはロボットみたいなものだから、最底辺の奴ではたぶん命令されたことを実行するしかできないと思うんだ。
となると、労働人員としてはスケルトンかな。
安いからたくさん生み出せるし。
ゴーレムは力仕事が必要なときだけ働く重機のような扱いでいいかな。
「よし、じゃあスケルトンをとりあえず100体。ゴーレムは30体でいいか」
スマホをタップすると、草原フィールドに骸骨と石人形の大群が現れる。
めっちゃ怖い。
そうだよね、よく考えたらスケルトンって骸骨だよね。
そしてゴーレム、でかい。
「よ、よろしく」
『『『…………………………』』』
ナイトメアゴーストよりも思考能力は低いようで、彼らからはそれほど意思が伝わってこなかった。
だが、一応俺の言う通りには動いてくれるようだ。
畑、耕してくれるかな?
『『『……………………』』』
いいとも、とは言ってくれないよね。
奇妙丸君が思っているよりも武田はしぶとい。
武田信玄は来年あたり死ぬだろうけど、武田家が滅ぶのはまだまだ結構先のことだったはずだ。
武田信玄が死んだ後武田勝頼が武田家を継ぐと松姫は元奇妙丸君の婚約者だったからといって、少し疎まれる。
武田本家にはいられなくなるが、まだ同母兄である仁科盛信さんという保護してくれる存在がいる。
俺はお母さんが違う兄弟がいたことが無いからわからないけど、やっぱり異母兄と同母兄というのは微妙に関係が違うみたいだね。
仁科盛信さんが保護してくれているうちはそれほど心配はいらないだろう。
注意しなければいけないのは武田勝頼の死後だな。
確か武田勝頼が亡くなるのは10年くらい先の話じゃなかったかな。
松姫の様子はたまに見に行くが、積極的に介入するのはまだ早いだろう。
まだ歴史的ミラクルが起きて奇妙丸君が独力で松姫との幸せを勝ち取るという可能性もあるのだ。
今は様子見に留めておこう。
「大将、こりゃすげえ。冬なのに本当に米ができてる」
「ダンジョンの中の気候は外とは違うからね」
「その男女んってやつがいったいなんなのか知らねえが、とにかくすげえってことはわかるぜ」
奇妙丸君の頼みというのももちろん大事だが、島のほうも今が大事なときだ。
100ヘクタールの草原フィールドに作った田畑がようやく実り始めたのだ。
当初はすべて畑にして芋でも植えようと思っていたのだが、島民たちは田んぼを作りたがった。
島民たちの自主性を尊重している俺は、フィールドの半分を田んぼにすることに決めた。
ちなみに種籾はガチャから出てくるお米の玄米を使った。
籾殻の付いていない玄米は本来そのまま植えても菌類にやられてしまって簡単に腐ってしまうのだが、うまく腐らないように育苗することで種籾として使うことができる。
ゴッドガチャから出てくるお米は、品種改良された未来のお米に味が近い。
どうせならおいしいお米を育てていきたいからね。
頑張って菌類に気をつけ、陶器の器でお米を育てた。
多くの米を腐らせてしまったけれど、なんとか田んぼの面積に対して十分な苗を用意することができた。
この時代は田植えといえば種籾を直播きだったようで、俺のやり方は島民たちに少し奇異に思われてしまった。
しかし奇異に思われるのは今に始まったことではない。
みんなで楽しく田植えをしたよ。
田植えも大変だったけどね、みんなバラバラに植えるから。
ちゃんと一定距離ごとに植えないとダメなんだよ。
なんでダメなのかは説明できないけど。
そんなこんなで楽しい田植えをしたのが10月。
今は12月だ。
こんな不条理なことができてしまうのがダンジョンなんだよな。
この島は熱帯地域だから、外でもできなくはないかもしれないけれど天候によっては壊滅してしまうこともありえるだろう。
しかしダンジョンにはそれが無い。
草原フィールド内の天候は完全にコントロールされており、晴れも雨も気温さえもすべて自由に設定することができるのだ。
まさしく農業のためにあるようなダンジョンの機能だ。
もう田畑と呼ぶよりも食料プラントと呼んだほうがいいのではないだろうか。
モンスターにでも農作業をさせて、人間の手が完全にかからなくなれば本当にそうなってしまいそうだ。
さすがに島の人間にモンスターを見せるのは刺激が強すぎるかもしれないが、岐阜から大量のダンジョンポイントが毎日供給されていることだしもう1部屋草原フィールドを作るのもいいかもしれない。
そちらは島民たちには内緒にして、モンスターに農作業をさせよう。
それならほぼ無限に食料を生産することができる。
島民をどんどん増やしていくことができるかもしれない。
「よし、やるよ平蔵さん」
「なにをです?」
「内緒」
「内緒なら最初から口に出さねえでくださいよ……」
岐阜から供給される豊富なダンジョンポイントを使って俺は、ダンジョンに新たな階層を作ることにした。
島民たちが自由に出入りすることのできる第1階層とは違って、俺以外誰も入ることのできない秘密階層にするつもりだ。
入口は第1階層の草原フィールド隅に設置された玉座塔のてっぺん。
そこには今までダンジョンコアの埋め込まれた玉座があったのだが、それを第2階層に移動して転移罠を設置した。
転移罠は踏むとどこか違う場所に自動的に転移されてしまうという罠で、エレベーターみたいで便利だからそれを第2階層の入り口にすることにした。
ダンジョンは一応侵入者を誘い込まなければいけないので第2階層に鍵をかけて入れないようにするといったことはできない。
入口をなるべくわかりにくい場所に設置するには、こういった仕掛けが必要になってくるのだ。
第2階層は2部屋に分かれている。
両方とも草原フィールドだが、気候が異なる。
片方は穀物や野菜などを作るための四季フィールド。
もう片方は南国の植物を育てることができる常夏フィールドとなっている。
肥料のことや連作障害のことなどまだまだ試してみないと分からないことはあるが、ダンジョンポイントがたくさん手に入るようになったおかげで色々と始まったという感じがする。
椅子ひとつで始まったダンジョンが、1年半程度でよくここまで来られたものだ。
「さて、あとは農耕人員か……」
この広大なフィールドを耕すのは、モンスターだ。
しかし畑を耕すために食料を消費する生物タイプのモンスターを生み出してしまったら本末転倒。
生み出すモンスターは食料を食べなくても生きていける奴にしなくてはならない。
岐阜城のサブコアの守りについているナイトメアゴーストのような実体のないタイプでは鍬を握ることができないから、実体があって食べ物を食べない奴が好ましい。
「となると今のダンジョンポイントで生み出せるのは、ゴーレムかスケルトンか……」
ゴーレムにはランクがあり、一番最底辺の奴は1体生み出すのに30ポイント。
スケルトンも色々上位種がいたりするが、ノーマルのスケルトンは1体10ポイント。
どちらにしようか悩むな。
別に戦って欲しいわけじゃないからな。
力はゴーレムのほうが強いけれどスケルトンのほうが命令に対して応用がききそうだ。
ゴーレムはロボットみたいなものだから、最底辺の奴ではたぶん命令されたことを実行するしかできないと思うんだ。
となると、労働人員としてはスケルトンかな。
安いからたくさん生み出せるし。
ゴーレムは力仕事が必要なときだけ働く重機のような扱いでいいかな。
「よし、じゃあスケルトンをとりあえず100体。ゴーレムは30体でいいか」
スマホをタップすると、草原フィールドに骸骨と石人形の大群が現れる。
めっちゃ怖い。
そうだよね、よく考えたらスケルトンって骸骨だよね。
そしてゴーレム、でかい。
「よ、よろしく」
『『『…………………………』』』
ナイトメアゴーストよりも思考能力は低いようで、彼らからはそれほど意思が伝わってこなかった。
だが、一応俺の言う通りには動いてくれるようだ。
畑、耕してくれるかな?
『『『……………………』』』
いいとも、とは言ってくれないよね。
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