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4.ふたりの過去がつながるとき
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その日の帰り、家が反対方向のすずちゃんと校門で別れて歩いていると、降矢くんがこちらに向かってくるのが見えた。水泳部の黒いジャージを着ている。
ランニングかな。
でも、ほかの水泳部員は見あたらなかった。
「今、帰り?」
降矢くんが立ち止まって尋ねてきた。
まさか普通に声をかけられるとは思っていなくて、思わず周囲を見まわした。
「あんたに聞いてんだけど」
「あっ、ごめん。うん、帰るとこ。降矢くんは取材終わったの?」
「今日のところは。残りは明日」
「大変だね」
「別に。それより津久井のことなんだけど」
またその話か。この人はどこまでナギのことが好きなんだろう。気持ちはわかるけど、ちょっと執着しすぎ。
「ナギが水泳部を逃げ出しでもした?」
ため息まじりに言ってみる。
「いや、そうじゃない」
「なら、なに?」
「その調子で頼むよ」
その調子って……。毎回思うんだけど、その上から目線はなんなのだろう。けなされているわけじゃないのに気分が悪い。
「はいはい。ナギに会うなっていうことでしょう。わかってるよ。でも言っとくけど、降矢くんに言われたからそうしてるわけじゃないから。これはナギの意志だよ」
ナギから連絡はない。もともと連絡はわたしからするほうが圧倒的に多かった。
だから、わたしから連絡をしない限り、ナギとの接点は簡単にゼロになる。
でもナギはきっとそれで平気なんだと思う。どうにも切ない。このまま、なんのつながりもないままナギと終わってしまうのかなと考え、胸が締めつけられた。
「降矢くんが思ってるよりも、ナギはちゃんと先のことを考えてるよ」
「あんた、思ったよりまともなことを言うんだな」
「わたしだってナギを応援してるんだよ。世界の舞台に立ってほしいって……心から……願ってる……」
さすがに照れくさくて、最後のほうはごにょごにょと声が小さくなっていく。
でも降矢くんに言っても、どうせ信じてもらえないんだろうな。怖い顔で睨まれるだけのような気がする。
そう思いながら降矢くんを見上げる。けれど彼は、意外にも面食らったような顔をしていた。
そんなに変なこと言ったかな。急に黙らないでほしいんだけど。
この間《ま》がなんとも気まずい。なにか話さなきゃと考えるけれど、なにも思いつかない。
そのうちに埃っぽい風が吹き上がる。それが目に染みて、瞬きを繰りかえしていたら、地面を踏みしめる音が聞こえた。
「津久井のやつさ──」
降矢くんが静かに話し始める。いつもの刺々しさはなく、角が取れてやわらかくなった印象だった。でも次の言葉によって、再び緊張が走った。
「マジでやばいんだよ」
わたしは息を呑み、「なにが?」と尋ねた。
「あいつの泳ぎを久しぶりに見て思ったんだけど、このままだと県大会にも進めないかもしれない」
「嘘……」
「なんつーか、凡人に成り下がったっていうか。綺麗な泳ぎなんだけど、あれじゃ勝てねえよ。今のあいつは勝負の世界にいない。あれは自己満足の泳ぎだ」
「そんな……。ナギは定期的にジムで泳いでいたんだよ。そんなに調子が悪いようには見えなかった。タイムだって深刻になるほど悪くなかったもん」
「なんでそんなことまで知ってんだよ?」
「そのジムは親戚が経営しているところなの。お姉ちゃんがそこでバイトしてる。それで、お姉ちゃんがきっと大丈夫だって。筋力も衰えていないから練習を積んで、練習試合や大会に出て慣らしていけば可能性はあるだろうって」
唐突にお姉ちゃんの話をしてしまったけれど、降矢くんは逆に興味深げに聞いてきた。
「姉ちゃんって水泳に詳しいのか?」
「うん、元水泳部だから」
「そっか」
「もしかして、わたしは間違っていたの?」
「急になんだよ?」
「水泳部に戻る時期はナギのペースに合わせて、ナギのベストだと思うタイミングまで待とうと思っていたの。それが一番いい方法だって信じてたのに」
答えがわからない。見守ることも大事だと信じて疑わなかった。ナギは傷ついていたから、せめてその傷が癒えるまでと思っていた。
「ねえ、違うの?」
身を乗り出すようにして尋ねると、降矢くんは無言のまま困ったように眉間に皺を寄せた。
それでも「教えてよ」と食い下がる。いつも「あんた」とわたしのことを呼び、決して名前を呼んでくれないほど降矢くんはわたしを毛嫌いしているのに、わたしが今一番頼りにしているのはこの人だ。
「そんな目で見んなよ。あんたはあんたなりに津久井を見守っていたのはわかったから」
「でもわたしはただ黙って見ているだけだった。水泳部に戻れって、ちゃんと説得すべきだったんだよ。わたしが悪いんだよ」
「いや、あんたのせいじゃないよ」
「でも、降矢くんだってそう言ってた」
「それはそうなんだけど、あれはそういう意味じゃなくてだな……」
わたしが詰め寄ったせいか、降矢くんは少し引き気味になる。
「でもまあ、俺も言いすぎたよ。そもそも勝負の世界から戦線離脱したのは津久井自身なんだよな。そのことをわかっていたのに、あんたにきつい言い方をして悪かった」
「ちょっと……。急にしおらしくならないでよ」
「いや、ちゃんと伝えるべきだった。俺が言いたかったのは、あんたが津久井のそばにいると、津久井はあんたの中に逃げ場所を作っちまうってことなんだよ」
「逃げ場所?」
思わぬ言葉にきょとんとなる。
「良くも悪くも、あんたは普通だからな。一緒にいて楽なんだろう。たしかにあんたは、津久井の嫌がるようなことをしないからな」
「それがナギに近寄るなって言った理由?」
「少なくとも今の津久井に必要なのは、癒やしじゃない。闘いに勝つ力を身につけるための環境だよ。いい指導者のもとで、思う存分練習させてやりたいんだ」
わたしを否定する言い方だけど、言っていることは理解できる。
わたしは甘やかしていただけだった。味方でいることに勤しむだけで、結局なんの力にもなっていなかった。
わたしはいったい、なんのためにナギのそばにいたんだろう。
愕然としているわたしを、降矢くんが少し気の毒そうに見ていた。
目の奥が痛い。わたしの中で、ナギと過ごしてきた時間が破片となって崩れ落ちていくのが目に浮かんだ。
「泣くな、ばか……」
涙に濡れたわたしの頬に、降矢くんの指先が触れた。それも唐突に。すると、なにかを確かめるようにゆっくりとなぞっていき、そして小さくため息をついた。
目と目が合う。油断すると、そのまっすぐな瞳に負けそうになる。
降矢くんは目を逸らすことをせず、切なげな顔になった。その瞬間、耐えられなくなって、わたしのほうから視線をはずしてしまった。
「俺、誤解してたみたいだな」
目を閉じた瞬間、そんな言葉が落ちてきた。
触れている指先が熱い。こぼれる涙を丁寧に何度もぬぐってくれた。
どうしてやさしくしてくれるのだろう。わたしにはそんな資格なんてないのに。
でも頼ってしまいそうになる。こういうのに慣れていない分、目を開けてしまったらその胸にすがってしまいそうで、心ごと閉ざそうと努力した。
じゃないと、この涙は止まってくれそうにない。
そのときだった──。
「こんなところでなにしてんだよ?」
かなりイラついた声に振りかえる。その迫力に縮こまりながら見上げると、ジャージの袖をまくり、息を乱したナギが降矢くんを敵意ある目で見つめていた。
ランニングかな。
でも、ほかの水泳部員は見あたらなかった。
「今、帰り?」
降矢くんが立ち止まって尋ねてきた。
まさか普通に声をかけられるとは思っていなくて、思わず周囲を見まわした。
「あんたに聞いてんだけど」
「あっ、ごめん。うん、帰るとこ。降矢くんは取材終わったの?」
「今日のところは。残りは明日」
「大変だね」
「別に。それより津久井のことなんだけど」
またその話か。この人はどこまでナギのことが好きなんだろう。気持ちはわかるけど、ちょっと執着しすぎ。
「ナギが水泳部を逃げ出しでもした?」
ため息まじりに言ってみる。
「いや、そうじゃない」
「なら、なに?」
「その調子で頼むよ」
その調子って……。毎回思うんだけど、その上から目線はなんなのだろう。けなされているわけじゃないのに気分が悪い。
「はいはい。ナギに会うなっていうことでしょう。わかってるよ。でも言っとくけど、降矢くんに言われたからそうしてるわけじゃないから。これはナギの意志だよ」
ナギから連絡はない。もともと連絡はわたしからするほうが圧倒的に多かった。
だから、わたしから連絡をしない限り、ナギとの接点は簡単にゼロになる。
でもナギはきっとそれで平気なんだと思う。どうにも切ない。このまま、なんのつながりもないままナギと終わってしまうのかなと考え、胸が締めつけられた。
「降矢くんが思ってるよりも、ナギはちゃんと先のことを考えてるよ」
「あんた、思ったよりまともなことを言うんだな」
「わたしだってナギを応援してるんだよ。世界の舞台に立ってほしいって……心から……願ってる……」
さすがに照れくさくて、最後のほうはごにょごにょと声が小さくなっていく。
でも降矢くんに言っても、どうせ信じてもらえないんだろうな。怖い顔で睨まれるだけのような気がする。
そう思いながら降矢くんを見上げる。けれど彼は、意外にも面食らったような顔をしていた。
そんなに変なこと言ったかな。急に黙らないでほしいんだけど。
この間《ま》がなんとも気まずい。なにか話さなきゃと考えるけれど、なにも思いつかない。
そのうちに埃っぽい風が吹き上がる。それが目に染みて、瞬きを繰りかえしていたら、地面を踏みしめる音が聞こえた。
「津久井のやつさ──」
降矢くんが静かに話し始める。いつもの刺々しさはなく、角が取れてやわらかくなった印象だった。でも次の言葉によって、再び緊張が走った。
「マジでやばいんだよ」
わたしは息を呑み、「なにが?」と尋ねた。
「あいつの泳ぎを久しぶりに見て思ったんだけど、このままだと県大会にも進めないかもしれない」
「嘘……」
「なんつーか、凡人に成り下がったっていうか。綺麗な泳ぎなんだけど、あれじゃ勝てねえよ。今のあいつは勝負の世界にいない。あれは自己満足の泳ぎだ」
「そんな……。ナギは定期的にジムで泳いでいたんだよ。そんなに調子が悪いようには見えなかった。タイムだって深刻になるほど悪くなかったもん」
「なんでそんなことまで知ってんだよ?」
「そのジムは親戚が経営しているところなの。お姉ちゃんがそこでバイトしてる。それで、お姉ちゃんがきっと大丈夫だって。筋力も衰えていないから練習を積んで、練習試合や大会に出て慣らしていけば可能性はあるだろうって」
唐突にお姉ちゃんの話をしてしまったけれど、降矢くんは逆に興味深げに聞いてきた。
「姉ちゃんって水泳に詳しいのか?」
「うん、元水泳部だから」
「そっか」
「もしかして、わたしは間違っていたの?」
「急になんだよ?」
「水泳部に戻る時期はナギのペースに合わせて、ナギのベストだと思うタイミングまで待とうと思っていたの。それが一番いい方法だって信じてたのに」
答えがわからない。見守ることも大事だと信じて疑わなかった。ナギは傷ついていたから、せめてその傷が癒えるまでと思っていた。
「ねえ、違うの?」
身を乗り出すようにして尋ねると、降矢くんは無言のまま困ったように眉間に皺を寄せた。
それでも「教えてよ」と食い下がる。いつも「あんた」とわたしのことを呼び、決して名前を呼んでくれないほど降矢くんはわたしを毛嫌いしているのに、わたしが今一番頼りにしているのはこの人だ。
「そんな目で見んなよ。あんたはあんたなりに津久井を見守っていたのはわかったから」
「でもわたしはただ黙って見ているだけだった。水泳部に戻れって、ちゃんと説得すべきだったんだよ。わたしが悪いんだよ」
「いや、あんたのせいじゃないよ」
「でも、降矢くんだってそう言ってた」
「それはそうなんだけど、あれはそういう意味じゃなくてだな……」
わたしが詰め寄ったせいか、降矢くんは少し引き気味になる。
「でもまあ、俺も言いすぎたよ。そもそも勝負の世界から戦線離脱したのは津久井自身なんだよな。そのことをわかっていたのに、あんたにきつい言い方をして悪かった」
「ちょっと……。急にしおらしくならないでよ」
「いや、ちゃんと伝えるべきだった。俺が言いたかったのは、あんたが津久井のそばにいると、津久井はあんたの中に逃げ場所を作っちまうってことなんだよ」
「逃げ場所?」
思わぬ言葉にきょとんとなる。
「良くも悪くも、あんたは普通だからな。一緒にいて楽なんだろう。たしかにあんたは、津久井の嫌がるようなことをしないからな」
「それがナギに近寄るなって言った理由?」
「少なくとも今の津久井に必要なのは、癒やしじゃない。闘いに勝つ力を身につけるための環境だよ。いい指導者のもとで、思う存分練習させてやりたいんだ」
わたしを否定する言い方だけど、言っていることは理解できる。
わたしは甘やかしていただけだった。味方でいることに勤しむだけで、結局なんの力にもなっていなかった。
わたしはいったい、なんのためにナギのそばにいたんだろう。
愕然としているわたしを、降矢くんが少し気の毒そうに見ていた。
目の奥が痛い。わたしの中で、ナギと過ごしてきた時間が破片となって崩れ落ちていくのが目に浮かんだ。
「泣くな、ばか……」
涙に濡れたわたしの頬に、降矢くんの指先が触れた。それも唐突に。すると、なにかを確かめるようにゆっくりとなぞっていき、そして小さくため息をついた。
目と目が合う。油断すると、そのまっすぐな瞳に負けそうになる。
降矢くんは目を逸らすことをせず、切なげな顔になった。その瞬間、耐えられなくなって、わたしのほうから視線をはずしてしまった。
「俺、誤解してたみたいだな」
目を閉じた瞬間、そんな言葉が落ちてきた。
触れている指先が熱い。こぼれる涙を丁寧に何度もぬぐってくれた。
どうしてやさしくしてくれるのだろう。わたしにはそんな資格なんてないのに。
でも頼ってしまいそうになる。こういうのに慣れていない分、目を開けてしまったらその胸にすがってしまいそうで、心ごと閉ざそうと努力した。
じゃないと、この涙は止まってくれそうにない。
そのときだった──。
「こんなところでなにしてんだよ?」
かなりイラついた声に振りかえる。その迫力に縮こまりながら見上げると、ジャージの袖をまくり、息を乱したナギが降矢くんを敵意ある目で見つめていた。
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