エマ・ケリーの手紙

山桜桃梅子

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可愛い従姉妹のソフィアへ。



秋は食欲が増すと言うわよね。
けれど今の私の身体に、季節は関係無いみたいなの。
どれだけ豪華で素敵な食事を目の前にしても、ちっとも食欲が湧かないわ。

別に何処が痛むわけではないの。
ただ食事が喉を通らなくて、気持ちが沈みやすいの。私としては環境が変わったせいなのかもと。
でも一度、お医者様に診て貰った方がいいと彼が口煩く騒ぐから、明日か明後日にでも来ていただいて診て貰うことにするわ。
まったく笑っちゃうでしょう?


さて、お返事ありがとう。
貴方は元気そうで何よりだわ。
そうね、ソフィアも女性同士の関係には気をつけた方がいいわね。
時には異性よりも複雑で気を遣わなければならないもの。
お茶会も舞踏会も、社交場すべての催しは大抵男性が絡むと、どちらの意味でも盛り上がってしまうものよ。


そうそう、それからはもちろん今までとは比べ物にならないくらいに、満ち足りる日々を過ごしていたのだけれど……。
幼い頃の記憶を違えていたようだわ。
少し衝突をしながらも、共に笑いながら成長してきたと思っていた幼馴染が、まさかこれほどまでだとは。
大魔王のような人間が二人も揃えば、囁かな日常なんてものは、すぐに破壊の一途を辿るのよ。

私もあれには頭を抱えたわ……。

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