エマ・ケリーの手紙

山桜桃梅子

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エキゾチックな飲み物

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(なんだ狙いはアランで、その婚約者の私を値踏みしようと連れてこさせただけなのね……)

エマがこれまで生きてきた中で、確かに面白くないことはたくさんあった。

両親の言う「淑やかに慎ましく」との台詞には飽き飽きとしていたし、兄や姉と顔を合わせれば、世間はそれほど甘くないだとか。
家庭教師の授業は思想から覆しまるで洗脳してくるようで。
また友人たちと少し意見が食い違った時。

その中でもアランは嫌味ったらしく変な冗談や何かあればすぐに突っかかってくる。
特に「可愛げがない」と言われることが一番に鬱陶しい。

しかしその比ではない。
これほどまでに面白くない気持ちをエマは久しく感じたことがなかった。

だからと、先ほどのようにあからさまな意味合いの言葉を選んでも、それでは傍から見れば被害者振った女の言うただの性悪である。

エマは一つ息を零した。

(私、随分と周りに恵まれていたみたい)

その瞬間。何故そこまで淑やかに慎ましくいなければならないのかを理解した。

それは、理不尽な悪意から自分を守るためだ。


「あら悲しいわ……確かに私の言葉はきつかったわね。でも誤解しないで頂戴、決して責めていたわけではないの」

「エマ、様……?」


エマも立ち上がり、リリィの側まで優雅に歩み寄ると、指先を両手で包みエスコートするように座らせた。
そしてあやす様な声音で、悲しみを含んだ表情で。


「でもね……やっぱり私、リリィ様にはその、あのようなことを改めて欲しいのよ」

「え……」

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