エマ・ケリーの手紙

山桜桃梅子

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エキゾチックな飲み物

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アランにエスコートされながら客間女中の後をついて行くと、この日はガーデンパーティの様式を模しているようで。
丸テーブルには四脚の椅子。エマは招待客が自分たちしか居ないことを今知った。

(良かった、本当にカジュアルなのね)

真っ白なクロスが風にふんわり揺れ、そこに軽食やちょっとした焼き菓子が並び、甘いデザインのティーセット、小ぶりな薔薇が飾られている。
何となく天真爛漫で可愛らしい方が茶会主なのだろうと見当がつく。


「安心した顔をしているな」

「そういう貴方は楽しそうな顔をしているわね」

「ああ、俺を頼りにするしかない様は悪くなかった」

「アランに意地悪されたとアメリアに泣きつくことにするわ」


ふん、と顔を背けると、急に焦り出して自分の方を向いてくれと、エマの名前を何度も呼んだ。


「エマ、エマ……俺が彼女を苦手なこと知っているだろう?」

「まあ、苦手だなんて。私たち三人は古くからの友人、幼なじみでしょう。そんなことを彼女が聞いたら悲しむわ」


ちなみにアメリアとは、二人の幼なじみだが貴族令嬢ではなく大商人の娘、つまりは資産家令嬢である。

昔からエマにちょっかいを出すアランを見ては、「エマに甘えているだけの卑怯者が偉そうに格好つけないでよね。くだらない見栄はお金にもならないわ!  ああ、それが貴族の男というものだったかしら」などとパワフルな武闘派少女。

そんな彼女に散々コテンパンにされてきたため、アランは思い出すだけで背筋が凍ってしまうのだ。


「頼むよ」

「さあ。私の気が変わることを祈ってなさいな」


立場がすぐに逆転したことに気分良くしていると、


「まあっ!  初めまして、お越しいただき感謝申し上げます。私が本日の茶会主を務めるリリィです。どうかお好きにお呼び下さいね」


アランの友人の妹であるリリィが、張り切った笑顔で挨拶をするのでこちらもと挨拶を返すと、


「アラン様のような素敵な方が婚約者だなんて。本当に羨ましいですわ」


どうにもエマは喉に刺さった小骨のように心に引っかかった。
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