殿方逢瀬(短編集)

九条 いち

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瀬崎さん~口下手な彼~

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ジーンズの上からは少し大きいかな、ぐらいだったが、それは硬い素材で押し込まれていたせいだと後から気づいた。

「あんま言いたくなかったんやけど、悠衣がそんなに悲しむと思わんかった。すまん。」

「じゃあ、これからどうするつもりだったんですか?」

「今日はこれぐらいにしておいて、ちょっとずつ慣らしていこうと」

全く想像していなかった言葉に涙が引いてしまった。

「じゃあ、瀬崎さん……私のことは」

「好きや」

「はあ――――」

私は深いため息が出て、布団になだれ込んだ。
私の早とちりだった――のか?

「でも、私としたくないですか?って聞いたら無言でしたよね」

「……したいけど悠衣の体を傷つける思たらしとうない」

「それを言ってくれれば……」

布団にうずまる私。恥ずかしい。この上なく恥ずかしい。
もう顔を上げられない。瀬崎さんと目を合わせられない。

「すまん」

うずくまる私を瀬崎さんが後ろから抱きしめる。
背中に彼の着ているカットソーの綿が触れる。
彼の温かさを布越しに感じて安心する。

……瀬崎さんは私を好きで私も瀬崎さんが好き。
飲み仲間になれただけでもすごいのに彼が私を好いてくれるなんて奇跡だ。
ちょっと予定外のことがあったけど、切り替えようとぎゅっと目を閉じて開く。そしてうずくまっていた上体を元気よく上げる。

「どうした」

私が瀬崎さんの方に向くと彼は抱きしめていた腕を離した。
彼の目には私がはっきりと映っていた。

「好きです!!」

私は彼に力いっぱい抱きつく。
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