殿方逢瀬(短編集)

九条 いち

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瀬崎さん~口下手な彼~

12※

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瀬崎さんは鎖骨から耳元へ唇を移動する。

「ベッド、使ってもええか?」

「……はい」

突然私の視界が上に移動し、天井でいっぱいになる。
急いで辺りを見ると彼が靴を脱ぎ、私を軽々と持ち上げて部屋の奥のベッドに連れていっていた。

「瀬崎さんっ! お姫様抱っこしなくても!」

「なんや、腰抜けとったやろ」

言われて私の腰に回された瀬崎さんの腕に支えられていたいつの間にか支えられていたんだと気づく。
腕が全くぶれなかったので体重をかけていたことにすら気づかなかった。

彼はゆっくりと私をベッドの上に下ろす。
丁寧に下ろされた体はいつものマットレスとは違い、雲の上に乗ったように柔らかく感じた。

瀬崎さんはベッドに腰掛ける。
私は起き上がり、横座りになって彼の方に近づく。
彼は私の着ていたニットと中に着ていたキャミソールを一気に脱がす。
黒色のレースのブラジャーにお腹辺りに上がってきていたタイトスカート。
足には薄く肌色が見える黒のタイツを纏っていた。

「綺麗や」

それだけ言うと私に噛みつくようにキスをし、私たちの体はゆっくりとベッドに沈む。
彼の唇が私の首元に寄りる。彼からのキスと吐息が私を甘く蕩けさせる。

「……んっ……あん……」

彼の手が私の乳房に触れる。
ブラジャー越しにゆっくりと揉みしだかれる。
瀬崎さんの見た目からは想像できないような優しい、ソフトな愛撫に身を委ねる。
柔らかく訪れる快感に、眠る前のような――幸せな感覚に陥る。

腰の方に彼の手が行くのがわかって
いつの間にかつぶっていた目を開けると、彼が私のタイツに手をかけていた。
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