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第四章 大型連休は遊園地デートです!?
36話 遊園地にハプニングはつきもの?《side帝》 3
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園内は午後になるとまた人が多くなってきて、二人を尾行していた僕たちも何度か、神城さんを見失っていた。
やっと見つけた時にはもう、神城さんは一人で立っていたのだ。
……おまけに、
「(柊くんと瀬尾くんも、トイレに行ったっきり全然戻ってこないし……!)」
この人の多さだ、多分トレイも混んでいるんだと思う。
このままでは、また神城さんを見失ってしまうし、彼女を一人にしておくのも不安だ。
変な輩が寄り付くかもしれない。
「(仕方がない……。あそこに行くか)」
僕はお土産を売っているショップに入り、ウサギの被り物を買って神城さんのもとへ向かった。
黒羽を探しているのか、あたりをキョロキョロと見渡している神城さん。
そんな神城さんの前を、ベビーカーが横切ろうしていた。
「(危ないっ!)」
「──わっ!?」
なんとかぶつかる寸前で、神城さんの腕を引き、立ち止まらせる。
そのすぐにあとに、目の前をベビーカーが横切った。
びっくりした顔で、後ろをふり返る|神城さん。
僕を見て、はじめは目を見開いていたのに、首を傾げて不思議そうな顔になった。
……多分、僕のウサギの被り物が気になっているんだと思う。
なぜこの被り物なのか言い訳をしたいが、そうはいかない。
「(喋ったら、僕だとバレてしまう……!)」
うだうだと考えていたら、ウサギの被り物の衝撃から立ちなおった神城さんにお礼を言われた。
「あのっ、ありがとうございます!」
喋ることができない僕は、頭を横にふった。
さて、ここからが問題だ。
喋れないうえに、僕だと気づかれたら尾行していることがバレてしまう。
神城さんを見つめながら、どうしたらいいのかを考える。
「(本当に、どうしたらいいのだろうか……)」
「……?」
神城さんが僕を見て、また首を傾げる。
つられて僕も首を傾げてしまった。
「えっと、ウサギさんもお一人ですか?」
「(ウサギさん? ……あぁ、僕のことか)」
首を横にふりかけて、縦にふりなおす。
柊くんたちと来ているが、一人ということにしておいた方がバレないだろう。
……いや、ウサギの被り物をしてこんなにも楽しんでいそうな人が、一人で来るだろうか?
やっぱり、友達と来ていることにしたほうが良かったかもしれない。
首を横に振ろうとした時、神城さんが困ったような顔をして僕を見た。
「私、友達と来ていたんですけど……はぐれちゃって。──よかったら、一緒に探してもらえませんか!?」
「っ!?」
──これは、困ったことになったかもしれない。
やっと見つけた時にはもう、神城さんは一人で立っていたのだ。
……おまけに、
「(柊くんと瀬尾くんも、トイレに行ったっきり全然戻ってこないし……!)」
この人の多さだ、多分トレイも混んでいるんだと思う。
このままでは、また神城さんを見失ってしまうし、彼女を一人にしておくのも不安だ。
変な輩が寄り付くかもしれない。
「(仕方がない……。あそこに行くか)」
僕はお土産を売っているショップに入り、ウサギの被り物を買って神城さんのもとへ向かった。
黒羽を探しているのか、あたりをキョロキョロと見渡している神城さん。
そんな神城さんの前を、ベビーカーが横切ろうしていた。
「(危ないっ!)」
「──わっ!?」
なんとかぶつかる寸前で、神城さんの腕を引き、立ち止まらせる。
そのすぐにあとに、目の前をベビーカーが横切った。
びっくりした顔で、後ろをふり返る|神城さん。
僕を見て、はじめは目を見開いていたのに、首を傾げて不思議そうな顔になった。
……多分、僕のウサギの被り物が気になっているんだと思う。
なぜこの被り物なのか言い訳をしたいが、そうはいかない。
「(喋ったら、僕だとバレてしまう……!)」
うだうだと考えていたら、ウサギの被り物の衝撃から立ちなおった神城さんにお礼を言われた。
「あのっ、ありがとうございます!」
喋ることができない僕は、頭を横にふった。
さて、ここからが問題だ。
喋れないうえに、僕だと気づかれたら尾行していることがバレてしまう。
神城さんを見つめながら、どうしたらいいのかを考える。
「(本当に、どうしたらいいのだろうか……)」
「……?」
神城さんが僕を見て、また首を傾げる。
つられて僕も首を傾げてしまった。
「えっと、ウサギさんもお一人ですか?」
「(ウサギさん? ……あぁ、僕のことか)」
首を横にふりかけて、縦にふりなおす。
柊くんたちと来ているが、一人ということにしておいた方がバレないだろう。
……いや、ウサギの被り物をしてこんなにも楽しんでいそうな人が、一人で来るだろうか?
やっぱり、友達と来ていることにしたほうが良かったかもしれない。
首を横に振ろうとした時、神城さんが困ったような顔をして僕を見た。
「私、友達と来ていたんですけど……はぐれちゃって。──よかったら、一緒に探してもらえませんか!?」
「っ!?」
──これは、困ったことになったかもしれない。
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