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第二章 距離が縮まるオリエンテーション!
9話 ご褒美の内容は……?
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お昼ご飯を食べたあと。
登山口前にある、ひらけた所に集められて、校長先生の挨拶がはじまった。
校長先生も、毎年一年生のオリエンテーションに参加しているらしい。
「みなさん、ごきげんよう」
「ご、ごきげんよう?」
戸惑いながらも、校長先生と同じように挨拶を返す。
ごきげんよう、なんて初めて言ったかも。
「ふふ、緊張してる生徒も多いみたいね?」
校長先生は、入学式の時も思ったけどすごく綺麗な女性だ。
今日は私たちと同じような、ジャージに身をつつんでいる。
でもスタイルの良さが、服の上からでもわかった。
本当に……、校長先生って何歳なんだろう?
二十代だって言われても、納得しちゃうかもしれない。
「今回のオリエンテーションでは、『友達と協力する大切さ』を知ることが出来たらと、思っているわ」
協力……、同じ班の中には不仲な二人がいるけど大丈夫かな?
「そして! しおりに書いてあった、『早抜け☆チーム対抗山登り』で一位のチームへの『ごほうび』。気になっている子も居るでしょう?」
一斉にざわざわし始めた様子に、やっぱりみんな気になっていたんだと思った。
「うふふ、なんと……!」
──ゴクリ。
唾を飲みこむ音は、誰のものか。
私のような気もするし、みんなのような気もする。
「秘湯よ!」
「……秘湯?」
頭にハテナを浮かべた数人の生徒が、声をあげる。
「ここの施設の山奥にある、普段はアタシだけが入れる秘湯。でも今回は特別に! 一位になったチーム全員をご招待するわ」
頬に手を当てる校長先生はキラン、と瞳を輝かせた。
「──秘湯に入れば、お肌がツルッツルになるわよ!」
男の子はイマイチな反応だけど、女の子たちは違う。みんなキャッキャっと喜んでいた。
たしかに、お肌がツルツルになるのは、私も興味がわいてきたかも!
でも私よりも、興味津々な人がとなりにいた。
「お肌が……ツルッツル……!?」
ふがー! と鼻息が荒いのは、柚瑠くん。
そういえば柚瑠くん、美容には力を入れてるって言ってたもんね。
秘湯かぁ……。
でも、一位のチーム全員ってことは、私以外に魔央くんたちも入るんだよね?
思わずチラリと魔央くんを見れば、目があった。
魔央くんも秘湯に入るってことは……、
「っ!」
顔が赤くなった私を見て、魔央くんはニヤリと悪い笑みを浮かべた。
「あ。一華いま、やらしいこと考えた?」
「べ、べべ、別にっ!?」
「ふーん?」
は、恥ずかしい!
魔央くんから視線を外すと、校長先生が「あぁ、そうそう」と口を開いた。
「──もちろん温泉は、仕切りによって男女別れているから、安心してちょうだい?」
ですよね!
わかってたのに私、なんで魔央くんと一緒に入ってるのを想像しちゃったんだろう!?
「でもまぁ……」
言葉を区切り、綺麗な笑顔を浮かべた校長先生がこっちを見た。
目があったような気がしたのは、気のせい?
「!」
「何が起こるかわからない。それも青春よねぇ? うふふっ」
きらり、と校長先生の瞳が妖しく光ったように見えた。
◇◇◆◇◇
他の先生から、パンッと音が鳴るスターターピストルを受け取った校長先生。
となりに来た魔央くんは、少し楽しそうな表情を浮かべている。
「いよいよだね、一華」
「うん!」
「イチカたち、ボクのためにも足引っ張らないでよね!」
「私、がんばるね柚瑠くん!」
「カイリも! 聞いてる?」
「……うん」
界李くんは、どこか眠たそうにしていた。
そんな界李くんをジト目で見た後、柚瑠くんはくるっと天内くんの方を向き、天内くんの両肩に手を置いた。
「ミカドもだよ、ボクのために! 頑張って!」
「わかったからっ、揺らさないでくれっ!」
柚瑠くんにすごい勢いで、前後に揺さぶられている天内くん。
それを見て、我慢できないと言わんばかりに魔央くんが笑った。
「黒羽っ、いま笑っただろう!?」
「さぁ?」
「なっ……!?」
「ほら、二人ともっ。もうすぐスタートしちゃうよっ!」
私の一言に、魔央くんたちが校長先生へ視線を向ける。
「では今から、早抜け☆チーム対抗山登り……スタート!」
パンッ、と軽い音が鳴った。
みんなが我先にと、一斉に動き出す。
「行くよイチカっ!」
「わわっ、待って柚瑠くん!」
柚瑠くんに手を取られ、私たちもスタートした。
こうして、オリエンテーション一日目。
早抜け☆チーム対抗山登りがはじまった……のだけど、みんなが怪我なく終われるといいな。
──ってこれ、フラグになってる?
登山口前にある、ひらけた所に集められて、校長先生の挨拶がはじまった。
校長先生も、毎年一年生のオリエンテーションに参加しているらしい。
「みなさん、ごきげんよう」
「ご、ごきげんよう?」
戸惑いながらも、校長先生と同じように挨拶を返す。
ごきげんよう、なんて初めて言ったかも。
「ふふ、緊張してる生徒も多いみたいね?」
校長先生は、入学式の時も思ったけどすごく綺麗な女性だ。
今日は私たちと同じような、ジャージに身をつつんでいる。
でもスタイルの良さが、服の上からでもわかった。
本当に……、校長先生って何歳なんだろう?
二十代だって言われても、納得しちゃうかもしれない。
「今回のオリエンテーションでは、『友達と協力する大切さ』を知ることが出来たらと、思っているわ」
協力……、同じ班の中には不仲な二人がいるけど大丈夫かな?
「そして! しおりに書いてあった、『早抜け☆チーム対抗山登り』で一位のチームへの『ごほうび』。気になっている子も居るでしょう?」
一斉にざわざわし始めた様子に、やっぱりみんな気になっていたんだと思った。
「うふふ、なんと……!」
──ゴクリ。
唾を飲みこむ音は、誰のものか。
私のような気もするし、みんなのような気もする。
「秘湯よ!」
「……秘湯?」
頭にハテナを浮かべた数人の生徒が、声をあげる。
「ここの施設の山奥にある、普段はアタシだけが入れる秘湯。でも今回は特別に! 一位になったチーム全員をご招待するわ」
頬に手を当てる校長先生はキラン、と瞳を輝かせた。
「──秘湯に入れば、お肌がツルッツルになるわよ!」
男の子はイマイチな反応だけど、女の子たちは違う。みんなキャッキャっと喜んでいた。
たしかに、お肌がツルツルになるのは、私も興味がわいてきたかも!
でも私よりも、興味津々な人がとなりにいた。
「お肌が……ツルッツル……!?」
ふがー! と鼻息が荒いのは、柚瑠くん。
そういえば柚瑠くん、美容には力を入れてるって言ってたもんね。
秘湯かぁ……。
でも、一位のチーム全員ってことは、私以外に魔央くんたちも入るんだよね?
思わずチラリと魔央くんを見れば、目があった。
魔央くんも秘湯に入るってことは……、
「っ!」
顔が赤くなった私を見て、魔央くんはニヤリと悪い笑みを浮かべた。
「あ。一華いま、やらしいこと考えた?」
「べ、べべ、別にっ!?」
「ふーん?」
は、恥ずかしい!
魔央くんから視線を外すと、校長先生が「あぁ、そうそう」と口を開いた。
「──もちろん温泉は、仕切りによって男女別れているから、安心してちょうだい?」
ですよね!
わかってたのに私、なんで魔央くんと一緒に入ってるのを想像しちゃったんだろう!?
「でもまぁ……」
言葉を区切り、綺麗な笑顔を浮かべた校長先生がこっちを見た。
目があったような気がしたのは、気のせい?
「!」
「何が起こるかわからない。それも青春よねぇ? うふふっ」
きらり、と校長先生の瞳が妖しく光ったように見えた。
◇◇◆◇◇
他の先生から、パンッと音が鳴るスターターピストルを受け取った校長先生。
となりに来た魔央くんは、少し楽しそうな表情を浮かべている。
「いよいよだね、一華」
「うん!」
「イチカたち、ボクのためにも足引っ張らないでよね!」
「私、がんばるね柚瑠くん!」
「カイリも! 聞いてる?」
「……うん」
界李くんは、どこか眠たそうにしていた。
そんな界李くんをジト目で見た後、柚瑠くんはくるっと天内くんの方を向き、天内くんの両肩に手を置いた。
「ミカドもだよ、ボクのために! 頑張って!」
「わかったからっ、揺らさないでくれっ!」
柚瑠くんにすごい勢いで、前後に揺さぶられている天内くん。
それを見て、我慢できないと言わんばかりに魔央くんが笑った。
「黒羽っ、いま笑っただろう!?」
「さぁ?」
「なっ……!?」
「ほら、二人ともっ。もうすぐスタートしちゃうよっ!」
私の一言に、魔央くんたちが校長先生へ視線を向ける。
「では今から、早抜け☆チーム対抗山登り……スタート!」
パンッ、と軽い音が鳴った。
みんなが我先にと、一斉に動き出す。
「行くよイチカっ!」
「わわっ、待って柚瑠くん!」
柚瑠くんに手を取られ、私たちもスタートした。
こうして、オリエンテーション一日目。
早抜け☆チーム対抗山登りがはじまった……のだけど、みんなが怪我なく終われるといいな。
──ってこれ、フラグになってる?
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