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複雑な思い

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今回も二話更新です。

*****

 あれから、空いている時間にはマリアベル様とお茶会をするようになった。変わらず予定は詰まっているから、週に一度くらいの頻度ではあるけれども。

 今日も、短い休み時間を利用してお話しをしていた。マリアベル様はこの国の貴族なだけあって、貴族同士のの人間関係にも詳しい。

 まだ貴族との繋がりが薄い私にとって、このお茶会は情報を得ることができる貴重な機会でもあった。

 目の前でカップを傾けたマリアベル様が、そういえば、と口にした。

「マリアベル様、どうなさったのですか?」
「皇女殿下はお茶会を開かれないのですか? 他の側室候補の皆様もきっと不安だと思うのです。仲良くなるきっかけになるかもしれません」

 今の生活に手一杯で忘れかけていたが、この後宮の女主人は私だ。そういった場を設けるのも仕事の一部かもしれない。側室方が平和に過ごせるように気を配らなくてはならない。
 
 側室、という言葉を聞くと、どうしても落ち込んでしまう。

 フィンリーは皇帝になるのだ。子どもをたくさん残すのは義務だ。私だって皇后になるのだから、割り切らなければ。

 側室を迎えなければならないのなら、せめてフィンリーの口から説明を聞きたかった。結局私はフィンリーに弱いから、彼に頼まれたらうなずいてしまう。

 でも、フィンリーは忙しいんだから仕方がない。ワガママを言うなんてみっともないことはできない。私にできることを全力でやれば、フィンリーも安心できるだろう。

「……そうですわね。フィンリーの即位式が終わったら検討してみますわ」
「皇女殿下主催のお茶会だなんて、楽しみですわ」

 混じり気のない笑顔を向けてくれるマリアベル様に罪悪感を覚えた。マリアベル様のことはお友達だと思っているけれど、それでも側室としては認めたくないと思ってしまうから。

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