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2 閉ざされた私たちと違和感
封鎖
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門の前に来てみると、たしかに門は閉じられていた。ちょうど今の時期は裏門が工事中となっているため、この正門からしか出入りはできないため、この門から出られないということは自分たちが閉じ込められている証明となる。外山の言っていることは正しく、冗談じゃないと知った飯村は少しだけ焦りを見せた。
飯村は成績優秀な生徒で、生徒会にも所属している。背は小さいが、バスケ部に所属しており、運動神経も抜群である。茶色がかった髪色で、右の頬にホクロがある。
「まって、これ普通にまずいよね・・・・・・」
飯村はその場に立っていられなかったのか、足踏みをした。そんな飯村があせっている姿を見るのはなかなか珍しい。飯村がまるで自分たちに助けを求めたいといったそんな感じの目をしてこちらを見る。
「とりあえず落ち着こうよ。いったん教室に戻って考えたほうが早くね」
外山がそう言った。確かに今は落ち着くのが最優先事項だ。そして、なるべく大人数でいたほうがいい。外山の提案に完全にのる形となり、自分と外山と飯村は教室に戻ることとなった。外山がやけに落ち着いているという点は少しだけおかしいと感じたが、気にするほどでもなかった。
教室へと戻る最中、自分は小沼さんのことが頭から離れなかった。今となって、「守ってくれる」というのがこの閉じ込められたという事実に対してだとすれば説明は確かにつく。だがしかし、なぜ「守ってくれる」などという言葉を自分に対してぶつけたのだろうか。しかも泣きながら。閉じ込められたという事実よりも、そちらのほうが気がかりだった。
教室へ戻ると、さらにパニックが加速していた。突如、スマホが使い物にならなくなったのである。湖さんが持っているスマホが突然圏外になった。彼女のスマホだけではなく、ほかの人のスマホも全く同じだった。自分はスマホを持ってきていないため確認のしようがないのだが、この流れは確実に悪いほうへと向かっている。
閉じ込め、圏外。このことを踏まえると、何者かが自分たちを閉じ込めた。そういって間違いないだろう。
「とりあえず落ち着け」
外山が黒板の前に立って、まるで担任かのごとく教室の前に立ち、堂々と言い放った。
「閉じ込められてスマホも使えない。これは、もしかしたらだれかの仕業かもしれない。ただ、必ずどこかに脱出できるすべはあるはず。散り散りになってパニックになるよりも、とりあえずみんなで固まっておいたほうが得策だ」
いつも頼りない外山が今日はえらく頼もしかった。やはり、人間の真価というものは緊急時にこそ現れるものなのだろう。そういう意味では、外山に対する尊敬の念が芽生えた。
ほかのクラスメイトのみんなも、何も言わずにただ外山の言うことに従って教室に留まった。
飯村は成績優秀な生徒で、生徒会にも所属している。背は小さいが、バスケ部に所属しており、運動神経も抜群である。茶色がかった髪色で、右の頬にホクロがある。
「まって、これ普通にまずいよね・・・・・・」
飯村はその場に立っていられなかったのか、足踏みをした。そんな飯村があせっている姿を見るのはなかなか珍しい。飯村がまるで自分たちに助けを求めたいといったそんな感じの目をしてこちらを見る。
「とりあえず落ち着こうよ。いったん教室に戻って考えたほうが早くね」
外山がそう言った。確かに今は落ち着くのが最優先事項だ。そして、なるべく大人数でいたほうがいい。外山の提案に完全にのる形となり、自分と外山と飯村は教室に戻ることとなった。外山がやけに落ち着いているという点は少しだけおかしいと感じたが、気にするほどでもなかった。
教室へと戻る最中、自分は小沼さんのことが頭から離れなかった。今となって、「守ってくれる」というのがこの閉じ込められたという事実に対してだとすれば説明は確かにつく。だがしかし、なぜ「守ってくれる」などという言葉を自分に対してぶつけたのだろうか。しかも泣きながら。閉じ込められたという事実よりも、そちらのほうが気がかりだった。
教室へ戻ると、さらにパニックが加速していた。突如、スマホが使い物にならなくなったのである。湖さんが持っているスマホが突然圏外になった。彼女のスマホだけではなく、ほかの人のスマホも全く同じだった。自分はスマホを持ってきていないため確認のしようがないのだが、この流れは確実に悪いほうへと向かっている。
閉じ込め、圏外。このことを踏まえると、何者かが自分たちを閉じ込めた。そういって間違いないだろう。
「とりあえず落ち着け」
外山が黒板の前に立って、まるで担任かのごとく教室の前に立ち、堂々と言い放った。
「閉じ込められてスマホも使えない。これは、もしかしたらだれかの仕業かもしれない。ただ、必ずどこかに脱出できるすべはあるはず。散り散りになってパニックになるよりも、とりあえずみんなで固まっておいたほうが得策だ」
いつも頼りない外山が今日はえらく頼もしかった。やはり、人間の真価というものは緊急時にこそ現れるものなのだろう。そういう意味では、外山に対する尊敬の念が芽生えた。
ほかのクラスメイトのみんなも、何も言わずにただ外山の言うことに従って教室に留まった。
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