異種族交流喫茶

ちば防蟲

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夕食と会合①

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日が傾き、山の方が真っ黒になっていった頃、ナナは帰宅した。
「ただいま~」
「おかえり~」
台所の方から姉の声が聞こえ、食欲をそそるいい香りが流れてきた。
「お姉ちゃん!晩御飯何~?」
その香りに引き寄せられ台所に直行する。
「特製シチューよ」
姉は鍋の中をお玉でかき混ぜながら答えた。
美味しそうな匂いが家中に拡散する。
「もうすく、できるからお皿の用意お願いね?」
「分かった!」
ナナは台所横の棚の中から底が深い皿を4枚取り出す。その皿にはある紋章が刻まれている。父は王家?の紋章と話していた。まだ幼いナナにはよく分からない。とりあえず、高い物だ!っていう認識はあった。高価な物の扱い方は耳がタコになるほどに教育されている。
「そ~~っと。そ~~~っと~~」
とりあえず、慎重に運ぶことにした。抜き足差し足である。
「別にそんな、大袈裟にしなくてもいいぞ。昔の話だし、今の俺達には関係ないからな」
と父が居間の方から歩いてきた。右手には魚籠を持っていた。
「ティファ!活きのいいのが取れたぞ。塩焼きにしたら絶対うまい」
ティファニーに魚籠の中を見せる。まるまると太ったメディアが4匹入っていた。確かに塩焼きにしたら美味しそうだ。
【ちなみにメディアというのは、川や海で生息している魚。海から川、川から海と往復している。決まったルート、決まったポイントを通るため、大昔はメディアに手紙を括りつけて伝書鳩ならぬ伝書魚としていた記録が残っている。食用としても売られている。※普通の紙だとダメになるため、魔力を練りこんだ高級魔紙を使用。】
「父さん。七輪出すから外で焼いてきて~」
ティファニーは棚の最下段にしまってある七輪と台所上の塩、ナイフを取り出し父に渡した。ちなみにナイフは刃渡り12cmのペティナイフである。
「分かった。美味しく焼いてくるよ。ナナもいく?」
魚の頭を突っついていたナナに話しかけた。
「うん!行く!!」
ナナは父の腰部分に抱きつき、父はナナの頭を撫でた。
外に出ると、高い木々に止まっているネツトが凝視してくる。
【ネツトとは視力がよく、高いところを好む鳥。いつも下界の動物を見下ろし、嘲笑うようにゲゲゲゲェェェェ!!と叫ぶ。摩訶不思議な鳥。食用には向かない。】こちらを見てすぐに叫ばないのは、この家の家主が恐ろしい輩だと認識しているからだ。
ナナと父は家の裏庭にある掘っ建て小屋の前で、メディアを焼く準備を始めた。
「ねぇねぇ、パパ。そういえば、なんで外で焼くの?
家の中で焼いても変わらないよ?」
ナナは魚籠の中のメディアを横っ腹をつつきながら問いかけた。
「ん?なんかね~家の中が魚臭くなるのが嫌なんだってささ~」
地面に落ちている枝を拾いながら父は答えた。
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