3 / 5
夕食と会合①
しおりを挟む
日が傾き、山の方が真っ黒になっていった頃、ナナは帰宅した。
「ただいま~」
「おかえり~」
台所の方から姉の声が聞こえ、食欲をそそるいい香りが流れてきた。
「お姉ちゃん!晩御飯何~?」
その香りに引き寄せられ台所に直行する。
「特製シチューよ」
姉は鍋の中をお玉でかき混ぜながら答えた。
美味しそうな匂いが家中に拡散する。
「もうすく、できるからお皿の用意お願いね?」
「分かった!」
ナナは台所横の棚の中から底が深い皿を4枚取り出す。その皿にはある紋章が刻まれている。父は王家?の紋章と話していた。まだ幼いナナにはよく分からない。とりあえず、高い物だ!っていう認識はあった。高価な物の扱い方は耳がタコになるほどに教育されている。
「そ~~っと。そ~~~っと~~」
とりあえず、慎重に運ぶことにした。抜き足差し足である。
「別にそんな、大袈裟にしなくてもいいぞ。昔の話だし、今の俺達には関係ないからな」
と父が居間の方から歩いてきた。右手には魚籠を持っていた。
「ティファ!活きのいいのが取れたぞ。塩焼きにしたら絶対うまい」
ティファニーに魚籠の中を見せる。まるまると太ったメディアが4匹入っていた。確かに塩焼きにしたら美味しそうだ。
【ちなみにメディアというのは、川や海で生息している魚。海から川、川から海と往復している。決まったルート、決まったポイントを通るため、大昔はメディアに手紙を括りつけて伝書鳩ならぬ伝書魚としていた記録が残っている。食用としても売られている。※普通の紙だとダメになるため、魔力を練りこんだ高級魔紙を使用。】
「父さん。七輪出すから外で焼いてきて~」
ティファニーは棚の最下段にしまってある七輪と台所上の塩、ナイフを取り出し父に渡した。ちなみにナイフは刃渡り12cmのペティナイフである。
「分かった。美味しく焼いてくるよ。ナナもいく?」
魚の頭を突っついていたナナに話しかけた。
「うん!行く!!」
ナナは父の腰部分に抱きつき、父はナナの頭を撫でた。
外に出ると、高い木々に止まっているネツトが凝視してくる。
【ネツトとは視力がよく、高いところを好む鳥。いつも下界の動物を見下ろし、嘲笑うようにゲゲゲゲェェェェ!!と叫ぶ。摩訶不思議な鳥。食用には向かない。】こちらを見てすぐに叫ばないのは、この家の家主が恐ろしい輩だと認識しているからだ。
ナナと父は家の裏庭にある掘っ建て小屋の前で、メディアを焼く準備を始めた。
「ねぇねぇ、パパ。そういえば、なんで外で焼くの?
家の中で焼いても変わらないよ?」
ナナは魚籠の中のメディアを横っ腹をつつきながら問いかけた。
「ん?なんかね~家の中が魚臭くなるのが嫌なんだってささ~」
地面に落ちている枝を拾いながら父は答えた。
「ただいま~」
「おかえり~」
台所の方から姉の声が聞こえ、食欲をそそるいい香りが流れてきた。
「お姉ちゃん!晩御飯何~?」
その香りに引き寄せられ台所に直行する。
「特製シチューよ」
姉は鍋の中をお玉でかき混ぜながら答えた。
美味しそうな匂いが家中に拡散する。
「もうすく、できるからお皿の用意お願いね?」
「分かった!」
ナナは台所横の棚の中から底が深い皿を4枚取り出す。その皿にはある紋章が刻まれている。父は王家?の紋章と話していた。まだ幼いナナにはよく分からない。とりあえず、高い物だ!っていう認識はあった。高価な物の扱い方は耳がタコになるほどに教育されている。
「そ~~っと。そ~~~っと~~」
とりあえず、慎重に運ぶことにした。抜き足差し足である。
「別にそんな、大袈裟にしなくてもいいぞ。昔の話だし、今の俺達には関係ないからな」
と父が居間の方から歩いてきた。右手には魚籠を持っていた。
「ティファ!活きのいいのが取れたぞ。塩焼きにしたら絶対うまい」
ティファニーに魚籠の中を見せる。まるまると太ったメディアが4匹入っていた。確かに塩焼きにしたら美味しそうだ。
【ちなみにメディアというのは、川や海で生息している魚。海から川、川から海と往復している。決まったルート、決まったポイントを通るため、大昔はメディアに手紙を括りつけて伝書鳩ならぬ伝書魚としていた記録が残っている。食用としても売られている。※普通の紙だとダメになるため、魔力を練りこんだ高級魔紙を使用。】
「父さん。七輪出すから外で焼いてきて~」
ティファニーは棚の最下段にしまってある七輪と台所上の塩、ナイフを取り出し父に渡した。ちなみにナイフは刃渡り12cmのペティナイフである。
「分かった。美味しく焼いてくるよ。ナナもいく?」
魚の頭を突っついていたナナに話しかけた。
「うん!行く!!」
ナナは父の腰部分に抱きつき、父はナナの頭を撫でた。
外に出ると、高い木々に止まっているネツトが凝視してくる。
【ネツトとは視力がよく、高いところを好む鳥。いつも下界の動物を見下ろし、嘲笑うようにゲゲゲゲェェェェ!!と叫ぶ。摩訶不思議な鳥。食用には向かない。】こちらを見てすぐに叫ばないのは、この家の家主が恐ろしい輩だと認識しているからだ。
ナナと父は家の裏庭にある掘っ建て小屋の前で、メディアを焼く準備を始めた。
「ねぇねぇ、パパ。そういえば、なんで外で焼くの?
家の中で焼いても変わらないよ?」
ナナは魚籠の中のメディアを横っ腹をつつきながら問いかけた。
「ん?なんかね~家の中が魚臭くなるのが嫌なんだってささ~」
地面に落ちている枝を拾いながら父は答えた。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
キャンピングカーで往く異世界徒然紀行
タジリユウ
ファンタジー
《第4回次世代ファンタジーカップ 面白スキル賞》
【書籍化!】
コツコツとお金を貯めて念願のキャンピングカーを手に入れた主人公。
早速キャンピングカーで初めてのキャンプをしたのだが、次の日目が覚めるとそこは異世界であった。
そしていつの間にかキャンピングカーにはナビゲーション機能、自動修復機能、燃料補給機能など様々な機能を拡張できるようになっていた。
道中で出会ったもふもふの魔物やちょっと残念なエルフを仲間に加えて、キャンピングカーで異世界をのんびりと旅したいのだが…
※旧題)チートなキャンピングカーで旅する異世界徒然紀行〜もふもふと愉快な仲間を添えて〜
※カクヨム様でも投稿をしております
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
政略結婚の約束すら守ってもらえませんでした。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
「すまない、やっぱり君の事は抱けない」初夜のベットの中で、恋焦がれた初恋の人にそう言われてしまいました。私の心は砕け散ってしまいました。初恋の人が妹を愛していると知った時、妹が死んでしまって、政略結婚でいいから結婚して欲しいと言われた時、そして今。三度もの痛手に私の心は耐えられませんでした。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる