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#1 1話「え?勇者を何とかしろって?嫌です」Part1
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「頼む!勇者達を何とかしてくれ!!」
「え?お断りします」
元上司である小太りの男が頼み込み、若い男が断る。
ここは、喫茶店「モナ・リザ」1号店2Fの一室。
普段から、店のオーナーが事務所として使用している。壁は白地、床はダークブラウン色に加工し、室内には事務机が一つ、ローテーブルを挟んでソファーが二つ、観葉植物が一つ置かれている簡素な内装。
そんな空間には男が三人、女が一人。喫茶店のオーナーである若い男の向かい側に小太りの男が座り
頭を下げている構図。その男の左隣に軍服を着た巨漢が座っており、巨漢の左手後ろには、同じ軍服を着ている若い女が直立している。巨漢と女の肩には階級章があり、上官と部下の関係だと理解できる。
「そう言わずにさ、助けてくれよ」
「いやいや、無理なものは無理です」
この商談?いや、国からの依頼?に関する話はあれこれ1時間経つ。最初は強気だった元上司は徐々に弱弱しい口調になり、元部下に頭を下げる始末。横の巨漢は置物じゃないか?というほど、微動だにしない。
軍服女は少し動揺しているようだ。それはそうだ。軍のお偉いさんが一民間人に対して、頭を下げているのだから、仕方ない。
だが、そのような動揺した仕草は軍人であれば、隠す必要があるだろう。戦場の状況によっては隠密作戦も実施するトライヤングル・ビー ≪三角形の蜂≫ の所属として見れば、お粗末だなぁ~と思う。
ま、ほんの少しの仕草だけどね。瞳孔の開き具合とか表情筋の動き、呼吸による胸の浮き沈み等々・・・・。挙げればきりがないが、まだ、少尉だし。最近、配置された新人かもしれないし。気にしないようにしよう。
「そこを何とか!!もう、サイト君にしか頼れないんだよ!」
「そこを何とか!!じゃないですよ。こういう事案に対応出来る部署があるでしょ?
しかも、ギルさん。貴方の管轄でしたよね?」
軍服女に一瞬、意識がいったところを元上司であるギルさんとの会話に戻した。頭を下げて情に訴えかけてくるギルに対して、冷静に問いただす。
「そ、それは………だね。色々と事情が・・・・・・」
やはり答えづらいのだろう。ギルは口をもごもごとし、それまでの勢いが死んでいる。サイト自身も
意地悪をしている意識がある為、答えを聞く前に、手のひらをギルに向けて会話を再開した。
「すみません。意地悪しました。事情は大体、予想がつきます。俺に話が来るのも、時間の
問題だなぁ~って、思ってはいました」
意地悪して申し訳ないと謝罪した瞬間、ギルは顔を上げこちらを真っすぐに睨みつける。
・・・・いや、ごめんって。
その後の「時間の問題だなぁ~」のくだりで、顔に笑みが・・・。〈やっと、折れてくれたか〉とか内心で思っているのだろうな。
こんだけ、こじれている話がうまくいくなんて、そんな甘い世界ではないと分かっているくせに。
「じゃ!引け受けてくれ・・・・・」
「でも、この条件じゃ!引き受けられないですよ」
笑顔を浮かべたギルの表情筋が固まる。笑顔のまま、表情が動かない。目だけが疑問形を浮かべている。
サイトは机に置かれた書類を右手で持ち上げ、左手で叩く。なんですか?これという具合に。
その書類は、国からの業務委託契約書である。報酬や禁止事項等々が記載してあり、これにサインをしてしまうと、法律的に仕事を引き受けた証明となる。
条件内容 ・・勇者一人の追放もしくは討伐に付き金貨200枚を支給。
・・経費の50%を国家が負担。
・・本作戦実行時の死傷については特別手当を支給する。
・・本作戦は国家が認知するものではない。
等々。
「え?お断りします」
元上司である小太りの男が頼み込み、若い男が断る。
ここは、喫茶店「モナ・リザ」1号店2Fの一室。
普段から、店のオーナーが事務所として使用している。壁は白地、床はダークブラウン色に加工し、室内には事務机が一つ、ローテーブルを挟んでソファーが二つ、観葉植物が一つ置かれている簡素な内装。
そんな空間には男が三人、女が一人。喫茶店のオーナーである若い男の向かい側に小太りの男が座り
頭を下げている構図。その男の左隣に軍服を着た巨漢が座っており、巨漢の左手後ろには、同じ軍服を着ている若い女が直立している。巨漢と女の肩には階級章があり、上官と部下の関係だと理解できる。
「そう言わずにさ、助けてくれよ」
「いやいや、無理なものは無理です」
この商談?いや、国からの依頼?に関する話はあれこれ1時間経つ。最初は強気だった元上司は徐々に弱弱しい口調になり、元部下に頭を下げる始末。横の巨漢は置物じゃないか?というほど、微動だにしない。
軍服女は少し動揺しているようだ。それはそうだ。軍のお偉いさんが一民間人に対して、頭を下げているのだから、仕方ない。
だが、そのような動揺した仕草は軍人であれば、隠す必要があるだろう。戦場の状況によっては隠密作戦も実施するトライヤングル・ビー ≪三角形の蜂≫ の所属として見れば、お粗末だなぁ~と思う。
ま、ほんの少しの仕草だけどね。瞳孔の開き具合とか表情筋の動き、呼吸による胸の浮き沈み等々・・・・。挙げればきりがないが、まだ、少尉だし。最近、配置された新人かもしれないし。気にしないようにしよう。
「そこを何とか!!もう、サイト君にしか頼れないんだよ!」
「そこを何とか!!じゃないですよ。こういう事案に対応出来る部署があるでしょ?
しかも、ギルさん。貴方の管轄でしたよね?」
軍服女に一瞬、意識がいったところを元上司であるギルさんとの会話に戻した。頭を下げて情に訴えかけてくるギルに対して、冷静に問いただす。
「そ、それは………だね。色々と事情が・・・・・・」
やはり答えづらいのだろう。ギルは口をもごもごとし、それまでの勢いが死んでいる。サイト自身も
意地悪をしている意識がある為、答えを聞く前に、手のひらをギルに向けて会話を再開した。
「すみません。意地悪しました。事情は大体、予想がつきます。俺に話が来るのも、時間の
問題だなぁ~って、思ってはいました」
意地悪して申し訳ないと謝罪した瞬間、ギルは顔を上げこちらを真っすぐに睨みつける。
・・・・いや、ごめんって。
その後の「時間の問題だなぁ~」のくだりで、顔に笑みが・・・。〈やっと、折れてくれたか〉とか内心で思っているのだろうな。
こんだけ、こじれている話がうまくいくなんて、そんな甘い世界ではないと分かっているくせに。
「じゃ!引け受けてくれ・・・・・」
「でも、この条件じゃ!引き受けられないですよ」
笑顔を浮かべたギルの表情筋が固まる。笑顔のまま、表情が動かない。目だけが疑問形を浮かべている。
サイトは机に置かれた書類を右手で持ち上げ、左手で叩く。なんですか?これという具合に。
その書類は、国からの業務委託契約書である。報酬や禁止事項等々が記載してあり、これにサインをしてしまうと、法律的に仕事を引き受けた証明となる。
条件内容 ・・勇者一人の追放もしくは討伐に付き金貨200枚を支給。
・・経費の50%を国家が負担。
・・本作戦実行時の死傷については特別手当を支給する。
・・本作戦は国家が認知するものではない。
等々。
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