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おまけ3 後半

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 トサッ、と優しく夫婦のベッドの上に寝かされる。ついでにチュッ、チュッ、と顔にキスをされた。ただ触れるだけのそれがもどかしくて椎名の手を引けば、椎名は俺の体を跨いでのしかかってくる。広い背中に腕をまわせば、優しいキスで応えてくれた。そのまま暫く穏やかな睦合いを楽しむ。か、それも長くは続かない。椎名も俺も互いのフェロモンでもう限界なのだ。名残惜しくも椎名は唇を離し、俺に甘く言葉を紡ぐ。
「織部、後ろ向いて」
「ん」
 言われるがまま、素直に仰向けからうつ伏せに態勢を変えた。視界から椎名が消えたのが寂しくて、それを誤魔化す為に目の前の枕を抱える。そんな事情を見透かしたかの様に、椎名が俺の項にキスをした。
「あっ」
 思わず、小さく喘ぐ。それに気を良くしたらしい椎名が、アムアムと項に歯を立てる。それは皮膚を食い破るだけの強さはないが、性感を呼び起こされるには十分の強さで、俺はビクビクと体を震えさせた。
 そうして項を噛まれる性感に耽溺している間に椎名は俺の腹に手を伸ばす。臍の上を少し撫でた後、スルスルと下に撫で下ろしてボンデージに包まれた俺の股間に手を触れた。ボンデージのフロントジッパーに手をかけ、開ける。そして椎名はボンデージの中に手を差し込み、俺のペニスに指を絡ませた。
「あぅ、はぁ」
「織部、凄ぇ。滅茶苦茶硬くなってる。それに、先走りでグチョグチョだ。乳首だけでこんなになっちまうとか、エロい奴」
 「うっさい、バカ。椎名だって、、硬くしてる癖に」
 そう言ってのしかかった椎名の股間に自分の臀を持ち上げ、擦り付ける。身につけた衣服越しでもその硬さはハッキリと分かった。布越しに擦り付けるんじゃなくて、直接中にぶち込んで犯して欲しい。そんな衝動が湧き上がり、俺はカクカクと腰を揺らしながら椎名に懇願する。
「ねっ、椎名。俺、もうお前のが後ろに欲しい。思いっきり奥まで突かれて、揺さぶられたい」
「フフッ、俺のバニーは欲しがりだな」
「知らないの? うさぎは好色なんだよ。ねぇ、椎名。お願い。奥の奥にお前が欲しいよ」
 言いながらペニスに添えられた椎名の手の甲に自分の手を重ねた。椎名の手を使ってオナニーするみたいになる様、手を動かす。前も後ろも椎名を感じれて、もうこれだけで軽く絶頂してしまいそうな程気持ちがいい。
「はっ、う、ん」
「おいおい、今日は織部が俺に奉仕してくれるんだろ? 乱れるお前を見てるのもいいけど、俺にもなんかしてくれないのか?」
 そ、そうだった。いかんいかん。快楽に流されて、本来の目的を忘れるところだった。さりとて既に与えられた快楽で蕩けかけた頭では、マトモな考えなど浮かぶ筈もない。それでもなんとか、椎名を気持ちよくする為に、事前に調べておいたを思い出す。
「し、椎名。一旦上から退いて」
「ん? 分かった」
 背中から椎名の熱が離れていく。熱に浮かされフワフワとする体に鞭打ち、腰を上げてボンデージを中途半端に下ろす。折角椎名の為に準備したのだから、完全に脱ぎ去るのは椎名がそうしようとした時だけにしようと思ったのだ。うわっ、俺のペニス凄ぇことなってる。興奮し過ぎてバッキバキだし、我慢汁ダラダラじゃん。が、今はそれに構っている場合ではない。振り返って胡座をかいてこちらを見守る椎名の前に四つん這いになり、椎名の股間に顔を寄せた。
「お、おい」
 椎名が少し動揺した声を上げたが、構いやしない。臀だけ高く上げたポーズで椎名の股間に顔を埋め、ズボンのジッパーを咥えて下げる。目の前に現れた黒いボクサーには染みができて、上を向いた椎名のペニスの形がクッキリと浮き上がっていた。ゴクリ、と唾を飲み下し、ボクサーのゴムを咥えて邪魔な布をずり下ろす。途端、育ちきった椎名のペニスが飛び出してきて、ペチン、と頬を打たれた。
「はぁ、おっきぃ……。最高」
「おい、織部、まさかお前……うっ!」
 椎名の言葉を最後まで聞かず、パクリとペニスの先端を口に含む。先端をレロレロと舐めながら片手で根元を扱き、残った片手を背中から後ろに伸ばした。腰をくねらせながら、自分のアナルに指を差し込み、グチャグチャ音を立て弄る。
「んっ、織部っ、お前、それは反則、だろ、ぅ」
 結構いい反応。ネットで恋人にやってもらいたいこと一覧の中から見つけた『目の前でオナニー見せつけながら御奉仕フェラ』。椎名俺にフェラされるの好きだし、前に1人ストリップショーした時反応よかったから、こういうのいいかなと軽い気持ちで選んだんだけど、予想以上。ペニスが凄いビクビクしてる。チラッと見上げた顔は衝動をこらえる為か片手で覆われていてよく見えなかったが、耳が真っ赤だ。俺も椎名に奉仕しながら気を紛らわせるくらいには気持ちよくなれて、一石二鳥。ウィンウィンで想像以上にいいぞ、これ。
「う、織部……」
 椎名の指がスリッと俺の項を摩る。それがもっともっとと強請られている様で、フェラする手つきにも熱が入った。椎名と付き合うまでフェラの仕方も知らなかった俺だったが、ここ数年椎名と夫婦生活を営むうちに、随分できることが増えたのだ。バキュームフェラも、ローリングフェラも、ドンと来い!  椎名に奴の好み通りに1から仕込まれたので、椎名を喜ばせるテクを沢山知っている。今日は中でも椎名1番のお気に入り、ペニスを喉で咥え込むあれ、ディープスロートをやってみようと思う。
 椎名のペニスを手で固定し、大きく口を開いてユックリ飲み込む。一気に飲み込まず、最初に口で愛撫してから。息を整えて、喉を傷つけないよう、ジックリ、少しずつ。喉の力を抜き、徐々に喉奥にペニスを迎え入れていく。そして十分呑み込めたところで、喉奥でペニスを締め付けた。
「くぅ、あっ」
 ビクリ、と椎名の腰が震える。フェロモンの香りが濃くなった。鼻に抜ける雄臭い椎名のペニスの香りと相まって、脳みそがドロドロ溶けていく様だ。興奮のままに、自分の胎内を指で掻き回す。でも、今イイトコロを弄ればそれだけでイってしまいそうなので、椎名に奉仕するのが優先なのだから、とそれだけは必死に我慢した。溢れた愛液がツゥーッと足を伝う。ガマン汁が自分のペニスの先端から滴るのを感じた。
「っ、織部」
 切羽詰まった声で名前を呼ばれる。乱れた髪を優しく耳にかけられた。ユックリと上下に抜きあげながらフェラすることで応える。咥えたペニスがまた大きくなった気がした。夢中になって椎名のペニスをしゃぶる。興奮で俺もフェロモンが漏れた。
「はぁ、ぁ、織部、待て、一旦、ストッ、プ、くっ」
 そうして一生懸命しゃぶっていたのに、何故か椎名にヤンワリ手で止められる。無理に続けようとすると、椎名は腰を引こうとまでした。なんで止めるんだよ。椎名も声を我慢できなくなるくらい、感じているじゃないか。俺だって椎名のをしゃぶれて堪らないのに。不満も顕に椎名の顔を見上げる。椎名に手で顔を押しのけられたのに、性懲りもなく舌を伸ばしてペニスの先端を舐めた。
「んっ、バカ。急に舐めるなよ。イくかと思った」
「イっていいのに。なんで躊躇うの」
「なんでって……。分からないのか? 織部のフェラもいいけど、目の前にこんだけがあったら、そっちでイきたいと思うのが男の性じゃねぇ?」
 そう言って椎名は手を伸ばし、俺の手をスルッと撫で上げ、指先を臀に掠めさせる。暗に『早くお前に突っ込んで、中でイきたい』と言われたのだと気が付き、顔に血が昇った。椎名はそれを面白そうに見ている。
「まぁ、分からなくても仕方ねぇよな。織部は初めてのセックスで俺が雌にしちまったから、抱く方の心理も喜びも知らねぇもの」
 椎名の言葉に、また腹の奥が疼く。胎内深くに熱く猛ったペニスを打ち込まれ、イイトコロを突き回され、擦られ、揺さぶられ、息も絶え絶えになったところで熱い飛沫を腹の中に感じる。それ以上の喜びなんて俺は知らないし、知らなくていい。与えられ、注ぎ込まれ、満たされる。それだけで俺は十分だ。俺のバース性が抱かれる為の性、Ωだということを抜きにしても、俺はセックスで椎名に抱かれる以上の何かなんて思い浮かばなかった。
「……そうだよ、椎名。俺はお前だけの雌で、お前だけのΩだ。他でもないお前がそうしたんだ。俺も、お前を後ろで感じたい。俺のαに、何も分からなくなるくらい滅茶苦茶にして欲しいな」
「フッ、今の言葉、後悔するなよ?」
 椎名の手に導かれ、チュポン、とアナルから指を抜かされる。スッと上半身を上げさせられ、そのまま後ろに倒された。仰向けになったところを足からボンデージが引き抜かれる。セックスする時足の間に入り込むのに、邪魔になるからだろう。椎名が膝頭にチュッとキスを落とし、俺の股間に手を伸ばす。グチュリ、と粘っこい音を立てて椎名の指が俺のアナルに潜り込んだ。
「ひぅっ」
「ん、もう愛液でドロドロだな。解れてるし、いつでも突っ込める」
「うっ、あ、ぁ」
「なぁ、織部。今からはもう『俺を気持ちよくすること』じゃなくて『織部が気持ちよくなること』だけを考えな。俺はお前が感じてるところ見たいし、それだけで興奮すんだ。一緒に気持ちよくなろう」
 猥りがましい音を立てながら、椎名が俺の胎内を弄くり回す。中の具合を確かめる為か広げてみたり、浅いイイトコロを指で引っ掻いてみたり、グルリと指を掻き回して刺激を与えてみたり、その度に体が跳ねて喘ぎ声が漏れるのを止められない。モダモダともどかしくシーツの上で溺れる様に手足を動かした。感じ入ったせいでフワフワとフェロモンが溢れ出す。
「フゥ、色っぽいなぁ、織部」
「んくっ、ひいぃっ!」
 中からは人差し指から薬指までの3本で、外からは会陰を親指で、挟み込む様にしてクニクニと刺激される。突き抜ける様な性感に、大きく腰が跳ねた。危うくイきかけたのを、椎名の空いた手がコックリングの様に俺のペニスに絡みついて射精を塞き止める。与えられる激しい性感をどうすることもできず、俺はシーツの上をのたうち回った。
「んぐぅっ、ぁ、ゃっ……!」
「あーあ、目ん玉上向いちゃってんじゃん。可愛いねぇ、ゾクゾクするぜ」
「ひっ、そ、それっ、やっ、うぅ」
「やだって、どこが? こんなにペニスビンビンにして、愛液もダラダラ垂らして、ちっとも嫌がっている風には見えねぇぞ」
 だって、すごく気持ちがいいんだ。もう、椎名に滅茶苦茶にアナルの中を掻き回されてイきたいのに、ペニスの根元を押えた椎名の手がそれを許してくれない。だから行き場のない性感の奔流が全身で暴れ回っている。イきたくてイきたくて前は震えているのに、後ろはキュンキュン埋めてくれるものを求めて疼くのに、椎名は決定的なものを与えてくれない。切なくて堪らなくて、ビクビク体を痙攣させながらすすり泣く。そんな俺の痴態にあてられたのか、椎名のフェロモンの香りが濃くなる。そのせいで体の中で燻る熱が酷くなって、俺は悲鳴の様な嬌声をあげた。
「ひぃ、ぅ、し、いな、も、ぁ、うっ」
「ん、悪い悪い。可愛くて、ちょっと虐め過ぎた」
 熱に浮かされた声で、椎名が特に悪びれた様子もなく言ってのける。名残惜し気に1度大きく指で胎内を掻き回した後、椎名の指がチュプリと引き抜かれた。ペニスからも手を離され、椎名は代わりにベッドサイドテーブルに手を伸ばす。
「あれー? おかしいな。ゴムまだあった筈なんだけど……。クソッ、早くハメたいのに」
「しい、な」
「ああ、もうちょっと待っててな。なんかゴムが見つからなくってさ。直ぐ済ませるから」
「ん、じゃな、くて」
 寝っ転がったまま、足の間に座った椎名を見る。アハッ、なかなかゴムが見つからなくて、凄く焦れた顔してるや。早く俺の中に入りたくて堪らないんだろうなぁ。雄臭い飢えた顔してて、カッコイイ。いまこそ、絶好のタイミングだろう。足をさらに開き、番ってから椎名にとって性的に堪らない香りになったというフェロモンを出す。自分の股座またぐらに手を伸ばし、愛液で濡れそぼったアナルを指でクパァ、と開いた。
「ね、いれていいよ」
「……織部、嬉しいけど、ゴムがないと」
「ごむは、みつからないよ。おれがかくした」
「へ」
 ベッドサイドテーブルの引き出しをガサゴソやっていた椎名の手が止まる。俺知ってるよ。椎名が最近、俺に突っ込む度切なそうに俺の子宮の辺りを眺めてるの。きっと、また俺を孕ましたいんだ。それなら今日はいい機会だと思って、強制的にゴム付けられないようにしちゃった。肝心のゴムが見つからなきゃ、ペニスには付けられないもんね。状況を飲み込んだのか、椎名が驚いた目で俺の目を見た。その目を見つめ返し、俺は蠱惑的に笑ってみせる。
「いったでしょ? だって。なまはめせっくす、していいよ。きっと、きもちい」
「でも……でも……」
「ねぇ、しいな、そろそろ2りめ、ほしいよね? おれも、ほしい。おねがい。おれを、はらませて」
「……」
 椎名の顔から表情がスッと抜け落ち、真顔でベッドサイドテーブルに向けていた態勢を整える。やけにギラつく目で俺を見て、息は荒く、額には青筋が立っていた。チラリと見えた椎名のペニスは、天を向いてもう凶悪な程にバキバキだ。見ているだけで、ズクンッ、と腹の奥が疼く。
「本当に、いいのか?」
「ん、きて」
「……待っては、聞いてやれねぇからな」
 椎名が俺の体を引き寄せ、腰を掴んだ。椎名が自分のペニスを片手で切っ先を俺のアナルに当てる。あまりにも熱く、あまりにも硬い。期待に体が打ち震え、それが終わる間もなく、勢いよく椎名のペニスが俺を貫いた。
「ひああぁぁぁ──っ!」
 全身に力が入り、背中が反る。目の前が白く明滅した。あまりの事にジワリと目に涙が滲む。1度に最奥まで貫かれたのだ。その事実を受け止め終わる前に、椎名が抽挿を開始する。
「あっ、んっ、くっ、ぅ、ぁん」
 開きっぱなしで閉じれない口から揺さぶられて断続的な喘ぎ声と唾液が溢れ出た。もう何度目の交わりかも分からないのに、椎名のペニスは毎度毎度信じられないと思う程大きく太く、俺の胎内を隅々まで犯し、深くまで侵入する。キュウッと締め付ければ、それに応えてビクリと跳ねるし、お返しとばかりに求めるところを突いてくれる動きの、なんと愛しいことか。胎内を出入りする熱のあまりの心地良さに、俺は狂乱状態になってフェロモンを撒き散らした。
「っくぅ、織部、お前、俺を煽る、だけだって、分かって、やってんの? 堪んねぇ香り、させやがって」
 激しい抽挿の合間に椎名が何か言う。だがもう俺の頭は下半身の性感でいっぱいだ。他のことはなんにも頭に入らない。ただひたすらに腰を掴む椎名の手に縋って、打ち付けられる熱と衝撃に身悶える。
「ん、ひぃ、し、な、もっ、と、もっと、ぉ」
「クソッ! グズグズに頭、蕩けさせやがって! 織部っ! これが欲しいんだろ! 奥まで飲み込めや!」
「うあぁぁっ!」
 ゴチュンッ! と一際強く熱が奥に打ち付けらた。熱はいとも容易く最奥の手前にある仮初の壁を突破する。衝撃で体がビクンッと跳ねそうになるのを、腰を抑える手が許してくれない。とんでもない性感に息をするのも辛くて、ヒッヒッと何度も浅い呼吸を繰り返した。全身があまりにも高ぶったせいで、体が小さく痙攣する。
 後から後から溢れてくる性感に、危うく意識がトびかけたが、それを許さないとばかりに椎名がペニスを小刻みに動かす。仮初の壁を大きく張り出したカリで蹂躙され、最奥を何度も何度も突かれた。
「孕め。孕め、孕め! 結腸思いっきり犯、されて、俺の子を、孕め!」
「ああぁぁぁ──っ!」
 今までで1番深く差し込まれ、椎名のペニスが俺の最奥を思いっきり犯す。途端に俺の中で何かが弾けて、ガクガクと手足が踊る様に暴れ回った。体が勝手にキュウゥッ、と中を締め付ける。膨張した椎名のペニスがビクビクッと震え、同時にとんでもない量の熱を俺の腹の中にぶちまけた。俺はそれにすら感じてしまって、またキュウッと中が締まる。それにまた椎名のペニスが反応して、俺の体も感じてしまって、その繰り返しで胎内が吸い付く動きをするのを止められない。その動きに堪えかねたのか、椎名が熱を胎内になすり付ける様にズチュン、ズチュン、ズチュン、と3度、また腰を打ち付けた。
「あっ、んっ、うぁ」
「はぁ、はぁ……。最近忙しくて結構溜まってたから、沢山出したと思うんだけど、織部はまだ足りねぇみたいだな。胎内がうねってとんでもねぇ事になってる。流石、淫乱な俺だけのバニーちゃん」
「ひぅ……ぁ……」
「織部、滅茶苦茶気持ちよさそう。もう意識ねぇのか? でも、安心しな。俺が責任もって、腹が膨れるまで注ぎ込んで、今夜一晩で孕ましてやるよ。次意識取り戻す頃にはもう妊娠済みだ。楽しみにしてろよ」
「ん……あうぅっ!」
 バチュン! と音を立てて、また胎内にペニスが捩じ込まれる。熱くて、硬くて、気持ちいい。それだけで頭がいっぱいだ。大きく揺さぶられ、よがっているうちに、また性感が高まってくる。あんまりにも気持ちよさ過ぎて、性感から溢れた涙がポロリと目から流れた。
「夜は長いぜ、織部? いっぱい気持ちよくなろうな?」
「あっ、はぁ、んんっ!」
 気持ちよすぎて、もう何も分からない。自分の嬌声と淫靡な快感に彩られながら、夜は更けていった。



「成程、俺はうまい具合に使われたわけだ」
 翌日、基を一晩で泊めてくれてありがとう、と基を送ってきてくれた五十嵐を家にあげた時のこと。心底呆れた声と表情で五十嵐はそう言った。ギクリ、と体の動きが止まりそうになるのを気力でなんとか抑える。
「え、なんのこと? 確かに基のお世話を一晩任せたのは認めるけど」
「とぼけんなよ、織部。お前、昨日アイツとここでヤっただろ。少しだけだけどフェロモン残ってる」
 言われてハッと辺りの空気を嗅ぐ。一応五十嵐が来るし、動ける様になってから2人で一生懸命掃除したんだけどな。一晩中フェロモン浴びせあってたから、鼻がバカになってて分かんなくなってたのかもしれない。それでも、βの五十嵐に分かるって相当だぞ。そんな俺を見て、五十嵐はなんだか遠い目をした。
「まあ、夫婦仲がいいのはいいことだ。そう思うことにするよ。基はまだ小さいから分からないと思うけど、念の為もっかい掃除と換気しとけよ」
「……はい。おっしゃる通りにいたします」
「ただいまぁ」
 そこでトイレに行っていた基と、その手伝いに行っていたパパが戻ってくる。ちゃんと1人でトイレできたよ、と五十嵐に自慢する基を微笑ましく見ていたパパが、俺の様子がおかしいのに気が付いた。
「ん、なに? どした?」
「ナンデモナイデス」
「いや、絶対なんかあったろ」
 今ばかりは放っておいてくれ、パパ。ちょっと恥ずかしくて固まってるだけだから。不信そうに俺を見る椎名に、半笑いで返す。
「おい、お前。これは貸しだからな」
「へ? あ、はい」
 何が貸しなのか分かってもいないだろうに、反射で五十嵐に返事をするパパにかける言葉はない。五十嵐が悪い顔をしたのも、見ないふり。いったいなにを要求する気なんだ五十嵐。無邪気に五十嵐にまとわりつく基を切なそうに見つめるパパを俺も切なく見つめた。
「じゃあ、俺はそろそろお暇するよ」
「えーっ! いーしゃんもう帰っちゃうの?」
「コラコラ、モト君。五十嵐さんには昨日一晩お世話になったんだから、これ以上はいけないよ」
「でーもー」
「あ、だったら軽いお礼も兼ねてお夕食食べてかない? 今から買い出し行けば、お夕食に間に合うよ」
 そして夕食食べるついでに美味しすぎて今日のこと忘れてくれ。俺頑張って五十嵐の好物作るから。それか、滅茶苦茶不味くて記憶飛ぶくらいのゲテモノ作るか? それってすっごい恨まれそう。
「あー、迷惑じゃないなら、甘えてもいいか? 1人だとどうしても適当に済ませちまって」
「あ、買い出しは俺に任せてくれよな、ママ。重いものは持っちゃいけないもんな」
 パパは俺の心中も知らずはしゃいでる。ていうか、パパの中ではもう俺のお腹に2人目がいること確定なんだね。確率は高いけど、さすがに気が早すぎない? まあ、確かにあんだけ注ぎ込めばその気になっちゃうのも分かるけど。目の前の和やかな賑わいを見ながら、まだ昨日の情事の余韻が残る自分の腹を摩る。できてるといいな、赤ちゃん。新たな幸せの予感を感じて、口元をほころばせた。
 我が家の家族写真に双子の女の子たちが加わるのは、それから少し、先のこと。
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