ロシュフォール物語

ロシュフォール物語の豆知識

ロシュフォール物語に出てくる植物（順不同）

【紅玉こうぎょく】
現世界：りんごの品種。
作中：ミセル山脈の高地で生産される名産品。ミショウ村では、テムが交易で苗木を手に入れ、それを移植し、挿し木で繁殖させていった。

【黄桃おうとう】
現世界：黄色い桃。
作中：ミショウ村では、テムが紅玉と掛け合わせ、食べられる甘さにまで品種改良した果実。紅玉の交易の際に、おまけとして貰った苗木。

【姫タケノコ】
現世界：チシマザサのタケノコ。長野では根曲がり竹、新潟では姫竹の別名で呼ばれる細長いタケノコ。日本海側～千島、樺太の寒い地方で生育する竹。山地に群生し、１．５～３mほどの高さになる。灰汁あくが少なく美味。
作中：ディスガルドでは、凍土林の一部で成育し、春の旬野菜として重宝されている。

【コシアブラの新芽】
現世界：コシアブラは北海道～九州に分布し、冷温帯林に生育する落葉高木。陽当たりの良い斜面に生え、独特の香りがあり、強い苦味がある。その新芽は食用となる。
作中：エンゼイ族のフィーカンドでは、油で素揚げしたものが春の珍味として食される。ミショウ村でも、吸い物や煮物にして食卓に上る。

【ジャゴケ】
現世界：松茸の香りのする苔。日本全土のほか、亜高山帯でも生える苔。苔には、毒性を持つものが発見されておらず、貴重な栄養源。ジャゴケは、少し苦味があるので、酢の物や天ぷらがお勧め。
作中：ダイザ家の好物。苦味は春の味として、好まれている。ボーは、この苦味が苦手。

【キダチヒラゴケ】
現世界：準絶滅危惧種に指定される希少種の苔。美味。
作中：高級食材の１つ。国都など、都会の料理店で出され、辛く炒められたものは、酒の肴になる。

【イタヤカエデ】
現世界：樹液は甘く、デンプン質を多く含む。樹液を煮詰めると糖液ができ、寒冷地の砂糖の代替品となる。疲労回復効果もある。イタヤカエデのお茶は、「甘茶あまちゃ」とも呼ばれ、嗜好品の少ない地方で珍重されている品の１つ。
作中：イタヤカエデの花蜜はなみつは高級品の１つで、とても甘味が強い。

【針樹杉しんじゅすぎ】
現世界：針葉樹の杉のこと。寒冷地に生育する杉。「針樹杉」という呼び方は、作中でのオリジナル名。
作中：温暖な気候のみならず、凍土林でも生育する生命力に優れた巨木種の杉。森の奥地には、樹齢千年を超える杉が存在している。巨木の樹洞うろには、小動物が棲すみ処かとして利用している。

【スプルース】
現世界：北米に広く分布するマツ科の針葉樹。日本名は、米唐檜ベイトウヒといい、明るい色合いと美しい木肌が魅力。やわらかい材質で加工がしやすい反面、曲がりにくい特徴がある。樹皮を剝ぐと滑らかな光沢がある仕上がりとなる。ログハウスの木材。心材と辺材とも白色。
作中：家屋の建材として登場。凍土林に生育。

【ウェスタン・レッドシーダー】
現世界：雨に強く、耐久力のある木材。美しい色合いで、ログハウスの最高級材として有名。軽量でやわらかく、加工がしやすい。心材は赤色、辺材は白色。
作中：家屋の建材として登場。凍土林に生育。

【アスタルテ】
現世界：ジャガイモの品種の１つ。「astarte」と表記し、芋が小さく、収穫が遅い品種。
作中：物語では高級食材。アスタルテを蒸かし、バターを塗ったじゃがバタは、ボーたちの大好物。

【スノークラウン】
現世界：大玉のカリフラワー。耐病性が強く、収穫期が広い。栽培適応性も広く、適期では定植後７０日で収穫できる。花蕾からいは純白の大玉で、肉厚、緻密。直径約１６cm、重さ８５０g。
作中：ミショウ村で栽培される品種の１つ。サラダにして食される。

【ハイツ】
現世界：中早生ブロッコリー。耐暑、耐寒性に優れ、強勢で栽培が容易。癖のない食味はどの料理にも適する。定植後６５日で収穫。また、収穫後も側枝から花蕾が採れる多収種。
作中：ミショウ村で栽培される品種の１つ。サラダにして食される。

【紅法師べにほうし】
現世界：赤紫色の水菜。アントシアニンを多く含み、サラダ、漬物、おひたしに最適。シャキシャキとした食感で、湯通し程度なら色抜けも少ない。
作中：葉物野菜として、多くの料理に使用される。

【パーマグリーン】
現世界：辛味高菜。三池高菜とチリメンカラシ菜の特性を活かした新タイプの葉物野菜。ほんのりとした辛味が美味。短時間、熱湯を掛けるだけの調理が可能で、食味の良さが失われることなく独特の珍味料理になる。
作中：葉物野菜として、多くの料理に使用される。

【火焔菜かえんさい】
現世界：ビートやビーツとも呼ばれる赤紫のアカザ科の野菜。テーブルビートの根は、カブに似ている形をしており、栄養素が豊富。赤紫の色素ベータシアニンを分解できない人は、尿が赤やピンク色になる。ロシアでは、ボルシチの材料となり、ロシア語でスビョークラという名前で呼ばれる。
作中：大陸西部の温暖地域で栽培されていたビートを品種改良し、赤紫色の火焔菜にして国都で流通するようになった葉物野菜。糖菓子のような甘味のある野菜。火焔菜のリゾットは、黒大豆を砂糖で煮詰めた甘露煮のような甘味があり、根菜特有の深いコクがある。

【黒大豆こくだいず】
現世界：大豆の一種で、色が黒い。単に、黒豆とも言う。丹波の黒豆が有名。
作中：高級食材。豆料理に使用される。

【ジャイアントケルプ】
現世界：オオウキモという昆布の仲間。長大な藻場では、海中から林立したジャイアントケルプが側柱と天蓋を形成して、大伽藍カテドラルを作り出すこともある。カニなどの甲殻類、ウニやヒトデなどの棘皮動物、魚類、アザラシやラッコなどの海獣類のコロニーとなっている。ケルプの森とも呼ばれる。旨味をとる出汁としては、昆布に負けるが、粘り気のアルギン酸が豊富にあり、食物繊維も豊富。コレステロールの排出を促す。
作中：大陸中の沿岸海底に生育し、海中林を形成。市場に安価で出回る食材。乾燥粉末にして、鍋料理の出汁として使用。便通改善や毒性吸収の抑制を目的に使用することもある。

【唐黍とうきび】
現世界：トウモロコシのこと。
作中：唐黍の名前で登場。大陸の南国で採れる作物だが、クウザミ族は、寒冷地でも育つ品種に改良した。クウザミ族は、唐黍を主食にしており、唐黍の粉を練って蒸し上げた白餅しろもちは、唐黍餅とうきびもちとも言い、ほのかな甘味と軟らかな食感が楽しめる一品である。

【ホワイトオニオン】
現世界：白味の強い玉ねぎ。
作中：煮込み料理によく使われる食材で、寒冷地でも栽培することが可能。クウザミ族では、煮汁は、肉や野菜の旨味を引き出すために、魚醤と塩のみのシンプルな味付けが好まれる。

【魚醤ぎょしょう】
現世界：魚類を塩に漬け込んで発酵させた調味液。魚の旨味を凝縮させた液体。魚醤油うおしょうゆとも塩魚汁しょっつるとも呼ばれる。
作中：クウザミ族のトセンで醸造している調味料。原料は、小魚のイワシ。イワシは、ヤシ、ヒラゴ、オラシャ、コバとも呼ばれる。クウザミ族は、オラシャと呼んでいる。

【シマツナソ】
現世界：シマツナソは、一年生草本で、その若葉はモロヘイヤとして食用される。モロヘイヤは、野菜の王様と呼ばれるほどに栄養価が高く、葉には粘り気成分であるムチンが多い。シマツナソは、エジプトなどの北アフリカ原産。水はけのよい土地を好む。種子には、強心作用のあるストロファンチジンというステロイド類の強心配糖体があり、種子を食べた牛や豚が死亡している。ただ、この成分は、収穫期の葉や茎、根には含まれない。茎は繊維原料として利用できる。布になるときは、ジュートと呼ばれる。
作中：自然界で採取できる葉物野菜として登場。陽当たりがよく、水はけの良い場所に群生する。包丁で切り刻んで粘り気を出し、魚醤を掛けて食す。おひたしとして人気。


【三つ葉アケビ】
現世界：寒い地方の里山や高山に自生する三つの葉が特徴のアケビ。一般的なアケビは温暖な地域で生息し、５つ葉。
作中：凍土林で生育する。旅行中の栄養源として重宝する果物。

【三階草サンカイグサ】
現世界：シソ科のホトケノザの別名。田んぼやあぜ道に咲き、ピンクの花の根元には甘い花蜜がある。ただし、シソ科のホトケノザは葉や茎が硬く食用とはならない。春の七草のホトケノザは、コオニタビラコというキク科植物。コオニタビラコは、花が咲く前のやわらかい全草を食べるが、その花は黄色く、花蜜は甘くない。
作中：葉物野菜。葉や茎は硬いが、煮込んで軟らかくして食べる。サンカイグサの花蜜は、甘味料としても使用。

【雪中花せっちゅうかの根】
現世界：雪中花は、水仙スイセンの別名。その根には、リコリン、タゼチンなどのアルカロイド成分を含み、摂取後３０分以内に悪心、嘔吐、下痢、流涎、発汗、頭痛、昏睡、低体温などの中毒症が出る。
作中：昏睡薬の成分として使用。バチアの秘薬の主原料。

【カラバル豆】
現世界：フィゾスチグミンというアルカロイド成分を含み、瞳孔縮小、眼圧降下、鎮痙などの作用を示す猛毒。少量ならば、薬として活用できる。古来から「裁きの豆」と呼ばれ、神明裁判の試罪法で使用されていた。カラバル豆は、無罪のものが一気に飲み下すと胃が刺激されて豆を吐き出すが、心やましいものが恐る恐る少量ずつ飲むと、毒成分が徐々に吸収されて死に至る。
作中：エルフ族信仰のヤヌキの杜に住む部族が、神明裁判でカラバル豆を溶かした神明水を用いた。その後、霊山を崇めるバチアの民がカラバル豆の毒性を悪用し、異教徒の洗脳に使用するために、雪中花を混ぜてバチアの秘薬を開発した。ゼノス教は、これに魔晶石、サンカイグサの花蜜を加えて、ミショウ村の襲撃で使用した。解毒には、ハシリドコロの根茎が必要で、吐瀉薬を飲ませ続けるしかない。

【ハシリドコロの根茎】
現世界：カラバル豆の中和成分を含む。抗コリン成分で副交換神経遮断薬。
作中：カラバル豆の中和剤として使用。吐瀉薬に混ぜ、救命する。

【雪中花の中和剤】
現世界：特になし。嘔吐、吸着、下剤による対症療法しかない。繊維石膏や大黄を飲ませ、吐き出させ、排出させる。下剤による脱水に注意。
作中：物語でも、中和剤は存在しない。

【繊維石膏】
現世界：自然鉱物の石膏。色が白く清らかで、繊維状に結晶がみられる水晶のようなものが良い。砕けやすいものが良品。多量服用で、胃腸症状（胃もたれ、吐き気、胃痛、下痢など）を催す。
作中：吐瀉薬の配合成分。下痢を人為的に引き起こさせ、中毒成分の体外排出を試みる。

【大黄】
現世界：タデ科のダイオウの根茎。瀉下作用がある。多量で胃腸症状（胃もたれ、吐き気、胃痛、下痢など）を催す。
作中：吐瀉薬の配合成分。下痢を人為的に引き起こさせ、中毒成分の体外排出を試みる。

【茴香ウイキョウ】
現世界： セリ科ウイキョウの果実を乾燥したもの。停滞しているものを動かし、発散させる作用。健胃整腸、鎮痛、去痰きょたん、駆風くふうなどに効果。海外では食後のガム代わり。漢方では、平、辛に分類。
作中：薬師が使う生薬成分。

【延胡索エンゴサク】
現世界：ケマンソウ科エンゴサクの塊茎かいけいの外皮を除き、湯通しして乾燥したもの。血の巡りを良くして、気分を爽快にする作用。鎮痛、鎮痙ちんけい、理血りけつなどに効果。春に生まれ、春のうちに消える……儚はかない短命植物。漢方では、温、苦、辛に分類。
作中：薬師が使う生薬成分。

【紫根シコン】
現世界：多年草ムラサキの根。解熱、解毒、麻疹の予防、黄疸、腫瘍、血尿、活性薬や麻疹の予防。紫根の含有される漢方処方としては紫根牡蛎湯しこんぼれいとう、紫草快斑湯しそうかいはんとう、紫草消毒飲しそうしょうどくいん、紫雲膏しうんこう。漢方では、寒、甘、鹹に分類。
作中：外傷治療薬である金瘡軟膏の主原料。ミショウ村の薬師であるメラニアが調剤した。

【人参（朝鮮人参）】
現世界：滋養強壮作用。
作中：薬師が使う生薬成分。

【午黄ゴオウ】
現世界：牛の結石。強壮作用。動物性生薬。漢方では、涼、苦に分類。
作中：薬師が使う生薬成分。

【鹿茸ロクジョウ】
現世界：雄鹿の幼角（袋角）。強壮作用。シカ科の満州アカジカまたは満州ジカの雄の幼角を乾燥したもの。強壮や強精作用や鎮痛作用。強壮、強精、鎮痛などに効果。動物性生薬。漢方では、温、甘に分類。
作中：薬師が使う生薬成分。

【蛤蚧ゴウカイ】
現世界：内臓を取り除いたオオヤモリの干物。強壮作用。動物性生薬。
作中：薬師が使う生薬成分。

【海狗腎カイクジン】
現世界：オットセイの陰茎と睾丸（生殖器）。精力剤。動物性生薬。
作中：薬師が使う生薬成分。

【莪蒁ガジュツ】
現世界：ショウガ科ガジュツの根茎を乾燥したもの。新陳代謝を促す作用。漢方では、温、辛、苦に分類。
作中：薬師が使う生薬成分。

【桂皮ケイヒ】
現世界：クスノキ科トンキンニッケイやその他同属植物の樹皮を乾燥したもの。芳香性があり、健胃、発汗、解熱、鎮痛、整腸、駆風くふう、収斂しゅうれんなどの作用がある。漢方では、熱、辛に分類。
作中：薬師が使う生薬成分。

【厚朴コウボク】
現世界：モクレン科カラホオノキや凹葉ホオノキ、ホオノキの樹皮や根皮を乾燥したもの。体を温め、緊張や痛みを緩和させる作用。漢方では、温、苦に分類。
作中：薬師が使う生薬成分。

【山茱萸サンシュユ】
現世界：ミズキ科サンシュユの種子を除いた果実を乾燥したもの。強壮及び滋養作用、補血作用。漢方では、温、辛、酸に分類。
作中：薬師が使う生薬成分。

【縮砂シュクシャ】
現世界：ショウガ科シュクシャの成熟果実の果皮を除き、種子を乾燥したもの。体を温めて、胃腸を調える作用。漢方では、温、辛に分類。
作中：薬師が使う生薬成分。

【生姜ショウキョウ】【乾姜カンキョウ】
現世界： ショウガ科ショウガの根茎。生のショウガを「生姜」、蒸して乾燥したものを「乾姜」という。また、そのまま乾燥したものを「乾生姜カンショウキョウ」という。体を温め、新陳代謝機能を高める作用。腰痛、坐骨神経痛にも効く。漢方では、温、辛に分類。
作中：薬師が使う生薬成分。

【川芎センキュウ】
現世界：セリ科センキュウのひげ根を除いた根茎を、湯通しした後乾燥したもの。血行を促して、血液を活気付ける作用。漢方では、温、辛に分類。
作中：薬師が使う生薬成分。