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凍雪国編第3章
第50話 火焔菜の魅力2
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テムは、獣装兵の思いを考慮して、考えを巡らす。
(バージがリターナへ話した内容は、おおよその想像がつく。おそらく、バージは、俺が新しい作物を探しているとか、珍しい植物に目がないとか、その辺りのことを教えたのだろう)
テムは、実際に大陸へ渡る前に、そのようなことをバージたちへ話している。
テムは、沈黙を守っているダイザをちらりと見て思う。
(これは……、ダイザには気の毒なことを強いてしまうな)
テムも、ダイザがルイビスを苦手としていることを知っている。
だから、テムとしては、トセンへは行かず、ここで獣装兵たちと別れるつもりであった。
それが、バージの入れ知恵のお陰で、トセンへ赴くことになりそうである。
(まぁ……。ルイビス殿との交誼は、深める必要がある。また、この辺りで情報交換を行っておくことも大切だがな)
テムは、バージの入れ知恵を責めるつもりはない。
しかし、ダイザへは、謝っておく必要性を感じる。
自らが、新たな根菜を諦めることは至極簡単なことだが、キントが獣装兵を傷つけたことに対する謝罪や、宴を開いてもらったことへの礼はしなくてはならない。
そうなると、当然、クウザミ族の長であるルイビスとの面会が必要になってくる。
「すまんな……。俺の我がままで、大陸へ渡ることになってしまった。また、トセンへも向かうことになりそうだ」
「私は、気にしていませんよ」
ダイザは、特に意に介することなく、さらりと答え、テムへ微笑む。
「そうは言うがな……。俺の気持ちも受け取ってくれ」
「すでに、受け取っています」
ダイザは、自分の胸をぽんぽんと叩き、優しく笑う。
それを聞いたテムは、にやりと笑い返し、テムらしい気遣いをみせる。
「向こうでは、俺がルイビス殿の相手をする。ダイザは、聞き役に徹していればいい」
「それは、助かります。ルイビス殿の熱い視線をかわせますからね」
「はははっ。そうだろうな。もちろん、バージも一役買えよ。お前のせいでもあるんだからな?」
テムは、他人事のように聞いているバージへ釘をさす。
「分かっていますって……。ダイザが話しやすいリターナと会話していれば良いように、俺も協力しますよ」
バージは、愉快そうに笑い、最後のひと掬いを口の中に放り込む。
(俺は、ルイビス殿が苦手ではないからな。お安い御用だ)
バージは、楽しげに含み笑いをもらし、なかなかに美味であったリゾットを少し惜しむ。
「代わりが欲しいな。ちょっと行って、貰ってくるかな?」
「俺の分も頼む。ダイザも、食べるだろ?」
「はい」
ダイザは、テムの誘いに頷き、バージへ己の器を差し出す。
「鍋ごと頂いてくる。アロンたちも食べたいだろ?」
バージは、美味そうに匙を口に運んでいるアロンたちに声をかける。
アロンやジルは、うんうんと大きく頷き、キントとジョティルも、控え目に頷いている。
「じゃぁ、ちょっと行ってくる。テムさんとキントは、その間に用を済ませたらいい」
バージは、テムとキントが宴前からクイに謝りたくて、それとなく機会を窺っているのに気がついている。
「そうだな……。今なら、ほかの兵も気にしないだろう」
テムは、キントの肩を叩いて腰を上げ、キントとともに仲間内でわいわいと騒いでいる獣装兵たちのもとへと向かう。
バージも、その後についていき、リターナへお代わりを所望するつもりである。
テムたちが去った後、ダイザは小さなため息をつき、宗主としての振る舞いを続けなければならにことに、少し気疲れを覚える。
(宗主としての務めが大切なのは理解しているが、肩が凝る役割だな……)
(バージがリターナへ話した内容は、おおよその想像がつく。おそらく、バージは、俺が新しい作物を探しているとか、珍しい植物に目がないとか、その辺りのことを教えたのだろう)
テムは、実際に大陸へ渡る前に、そのようなことをバージたちへ話している。
テムは、沈黙を守っているダイザをちらりと見て思う。
(これは……、ダイザには気の毒なことを強いてしまうな)
テムも、ダイザがルイビスを苦手としていることを知っている。
だから、テムとしては、トセンへは行かず、ここで獣装兵たちと別れるつもりであった。
それが、バージの入れ知恵のお陰で、トセンへ赴くことになりそうである。
(まぁ……。ルイビス殿との交誼は、深める必要がある。また、この辺りで情報交換を行っておくことも大切だがな)
テムは、バージの入れ知恵を責めるつもりはない。
しかし、ダイザへは、謝っておく必要性を感じる。
自らが、新たな根菜を諦めることは至極簡単なことだが、キントが獣装兵を傷つけたことに対する謝罪や、宴を開いてもらったことへの礼はしなくてはならない。
そうなると、当然、クウザミ族の長であるルイビスとの面会が必要になってくる。
「すまんな……。俺の我がままで、大陸へ渡ることになってしまった。また、トセンへも向かうことになりそうだ」
「私は、気にしていませんよ」
ダイザは、特に意に介することなく、さらりと答え、テムへ微笑む。
「そうは言うがな……。俺の気持ちも受け取ってくれ」
「すでに、受け取っています」
ダイザは、自分の胸をぽんぽんと叩き、優しく笑う。
それを聞いたテムは、にやりと笑い返し、テムらしい気遣いをみせる。
「向こうでは、俺がルイビス殿の相手をする。ダイザは、聞き役に徹していればいい」
「それは、助かります。ルイビス殿の熱い視線をかわせますからね」
「はははっ。そうだろうな。もちろん、バージも一役買えよ。お前のせいでもあるんだからな?」
テムは、他人事のように聞いているバージへ釘をさす。
「分かっていますって……。ダイザが話しやすいリターナと会話していれば良いように、俺も協力しますよ」
バージは、愉快そうに笑い、最後のひと掬いを口の中に放り込む。
(俺は、ルイビス殿が苦手ではないからな。お安い御用だ)
バージは、楽しげに含み笑いをもらし、なかなかに美味であったリゾットを少し惜しむ。
「代わりが欲しいな。ちょっと行って、貰ってくるかな?」
「俺の分も頼む。ダイザも、食べるだろ?」
「はい」
ダイザは、テムの誘いに頷き、バージへ己の器を差し出す。
「鍋ごと頂いてくる。アロンたちも食べたいだろ?」
バージは、美味そうに匙を口に運んでいるアロンたちに声をかける。
アロンやジルは、うんうんと大きく頷き、キントとジョティルも、控え目に頷いている。
「じゃぁ、ちょっと行ってくる。テムさんとキントは、その間に用を済ませたらいい」
バージは、テムとキントが宴前からクイに謝りたくて、それとなく機会を窺っているのに気がついている。
「そうだな……。今なら、ほかの兵も気にしないだろう」
テムは、キントの肩を叩いて腰を上げ、キントとともに仲間内でわいわいと騒いでいる獣装兵たちのもとへと向かう。
バージも、その後についていき、リターナへお代わりを所望するつもりである。
テムたちが去った後、ダイザは小さなため息をつき、宗主としての振る舞いを続けなければならにことに、少し気疲れを覚える。
(宗主としての務めが大切なのは理解しているが、肩が凝る役割だな……)
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