197 / 492
凍雪国編第2章
第84話 ホレイの奮闘1
しおりを挟む
中央広場で戦闘が始まっても、ホレイとゲナンは、一歩も動けずにいた。
村の結界を破壊し、村の入り口で仁王立ちしたベドが、無言で殺気を放ち続けていたためである。
「敵は、私たちの足止めが目的のようだ」
ホレイは、ベドから目を逸らさず、隣に立つゲナンへ囁く。
「こちらから、動きますか?」
「今は、無理だ。あの鎧武者は、相当な手練れだろう。……残念だか、私やお主よりも強い」
「しかし、このまま睨み合っていても、仕方がありません」
「それは、分かっている。広場へ救援に行きたいが、敵がそれをさせてくれない」
少しでも緊張の糸を解けば、ホレイとゲナンは、斬って捨てられる。
それほどの威圧をベドは、放ち続けている。
二人の背後にある広場からは、幾度も魔法による衝撃音が響いてくる。
ドォォォォォ……ン
ゴォォ……バキバキッ
バァァァ……ン
ズドォォォォォォォン
ホレイは、全身から吹き出る汗を無視し、ベドから視線を外さず、いつでも動ける体勢を維持する。
ゲナンも、すでに魔力を練り上げ終えており、魔法を即座に放つことができる。
(何を……待っている?)
ホレイは、ベドを睨み付け、その意図を読み取ろうと試みる。
だが、ベドは、不敵な笑みを浮かべたままで、動く気配を一切見せない。
こうした睨み合いは、すでに5分以上も続いており、広場での喚声が大きくなるに従って、ゲナンは次第にしびれを切らし始める。
(誘ってみるか?)
ホレイは、ゲナンの気配を読み、ゲナンが長くは持たないことを察知し、わざとベドから視線を外す。
ダンッ
ベドは、一足跳びでお互いの距離を大きく縮め、両刃の大剣を腰だめに構えたまま、ホレイとゲナンへ接近する。
そして、ホレイの間合いに入る寸前、大剣を横凪ぎにし、剣風を纏わせた衝撃波を放つ。
「!」
ホレイとゲナンは、素早く左右に跳び退き、ベドを挟撃するため、間合いを一気に詰める。
『ice dagger』
ゲナンは、右手に氷の短剣を生み出し、ベドに向かい、勢いよく投擲する。
ベドは、氷剣を避けるそぶりも見せず、懐に突っ込んできたホレイを大剣で迎え撃ち、腕力に任せ、ホレイをゲナンの氷剣へ向けて弾き飛ばす。
『air protection』
ホレイは、防魔風を纏い、ゲナンの魔法を弾き返し、軽やかに着地する。
(力業過ぎる……)
ホレイは、心の中で悪態をつき、追撃の斬撃を繰り出してくるベドに応戦する。
ゲナンは、ホレイと敵が一騎討ちに入ったのを見計らい、敵の背後へと回り、魔法を撃ち込む。
『frozen whip』
ゲナンの手から氷の鞭がしなり、ベドの鎧に巻きつき、敵を捕縛する。
パキィィィン
乾いた音が鳴り響き、氷の鞭が粉々に砕け、ベドは何事もなかったかのように、大剣を振り続ける。
「魔防具だ!」
ホレイは、ベドが纏っている鎧の特性に気がつき、それをゲナンに教える。
魔防具の鎧は、魔法を防ぐ効果があり、魔法に対して即時効果を発動する。
村の結界を破壊し、村の入り口で仁王立ちしたベドが、無言で殺気を放ち続けていたためである。
「敵は、私たちの足止めが目的のようだ」
ホレイは、ベドから目を逸らさず、隣に立つゲナンへ囁く。
「こちらから、動きますか?」
「今は、無理だ。あの鎧武者は、相当な手練れだろう。……残念だか、私やお主よりも強い」
「しかし、このまま睨み合っていても、仕方がありません」
「それは、分かっている。広場へ救援に行きたいが、敵がそれをさせてくれない」
少しでも緊張の糸を解けば、ホレイとゲナンは、斬って捨てられる。
それほどの威圧をベドは、放ち続けている。
二人の背後にある広場からは、幾度も魔法による衝撃音が響いてくる。
ドォォォォォ……ン
ゴォォ……バキバキッ
バァァァ……ン
ズドォォォォォォォン
ホレイは、全身から吹き出る汗を無視し、ベドから視線を外さず、いつでも動ける体勢を維持する。
ゲナンも、すでに魔力を練り上げ終えており、魔法を即座に放つことができる。
(何を……待っている?)
ホレイは、ベドを睨み付け、その意図を読み取ろうと試みる。
だが、ベドは、不敵な笑みを浮かべたままで、動く気配を一切見せない。
こうした睨み合いは、すでに5分以上も続いており、広場での喚声が大きくなるに従って、ゲナンは次第にしびれを切らし始める。
(誘ってみるか?)
ホレイは、ゲナンの気配を読み、ゲナンが長くは持たないことを察知し、わざとベドから視線を外す。
ダンッ
ベドは、一足跳びでお互いの距離を大きく縮め、両刃の大剣を腰だめに構えたまま、ホレイとゲナンへ接近する。
そして、ホレイの間合いに入る寸前、大剣を横凪ぎにし、剣風を纏わせた衝撃波を放つ。
「!」
ホレイとゲナンは、素早く左右に跳び退き、ベドを挟撃するため、間合いを一気に詰める。
『ice dagger』
ゲナンは、右手に氷の短剣を生み出し、ベドに向かい、勢いよく投擲する。
ベドは、氷剣を避けるそぶりも見せず、懐に突っ込んできたホレイを大剣で迎え撃ち、腕力に任せ、ホレイをゲナンの氷剣へ向けて弾き飛ばす。
『air protection』
ホレイは、防魔風を纏い、ゲナンの魔法を弾き返し、軽やかに着地する。
(力業過ぎる……)
ホレイは、心の中で悪態をつき、追撃の斬撃を繰り出してくるベドに応戦する。
ゲナンは、ホレイと敵が一騎討ちに入ったのを見計らい、敵の背後へと回り、魔法を撃ち込む。
『frozen whip』
ゲナンの手から氷の鞭がしなり、ベドの鎧に巻きつき、敵を捕縛する。
パキィィィン
乾いた音が鳴り響き、氷の鞭が粉々に砕け、ベドは何事もなかったかのように、大剣を振り続ける。
「魔防具だ!」
ホレイは、ベドが纏っている鎧の特性に気がつき、それをゲナンに教える。
魔防具の鎧は、魔法を防ぐ効果があり、魔法に対して即時効果を発動する。
0
お気に入りに追加
54
あなたにおすすめの小説
晴れて国外追放にされたので魅了を解除してあげてから出て行きました [完]
ラララキヲ
ファンタジー
卒業式にて婚約者の王子に婚約破棄され義妹を殺そうとしたとして国外追放にされた公爵令嬢のリネットは一人残された国境にて微笑む。
「さようなら、私が産まれた国。
私を自由にしてくれたお礼に『魅了』が今後この国には効かないようにしてあげるね」
リネットが居なくなった国でリネットを追い出した者たちは国王の前に頭を垂れる──
◇婚約破棄の“後”の話です。
◇転生チート。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げてます。
◇人によっては最後「胸糞」らしいです。ごめんね;^^
◇なので感想欄閉じます(笑)
政略結婚で結ばれた夫がメイドばかり優先するので、全部捨てさせてもらいます。
hana
恋愛
政略結婚で結ばれた夫は、いつも私ではなくメイドの彼女を優先する。
明らかに関係を持っているのに「彼女とは何もない」と言い張る夫。
メイドの方は私に「彼と別れて」と言いにくる始末。
もうこんな日々にはうんざりです、全部捨てさせてもらいます。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
私はお母様の奴隷じゃありません。「出てけ」とおっしゃるなら、望み通り出ていきます【完結】
小平ニコ
ファンタジー
主人公レベッカは、幼いころから母親に冷たく当たられ、家庭内の雑務を全て押し付けられてきた。
他の姉妹たちとは明らかに違う、奴隷のような扱いを受けても、いつか母親が自分を愛してくれると信じ、出来得る限りの努力を続けてきたレベッカだったが、16歳の誕生日に突然、公爵の館に奉公に行けと命じられる。
それは『家を出て行け』と言われているのと同じであり、レベッカはショックを受ける。しかし、奉公先の人々は皆優しく、主であるハーヴィン公爵はとても美しい人で、レベッカは彼にとても気に入られる。
友達もでき、忙しいながらも幸せな毎日を送るレベッカ。そんなある日のこと、妹のキャリーがいきなり公爵の館を訪れた。……キャリーは、レベッカに支払われた給料を回収しに来たのだ。
レベッカは、金銭に対する執着などなかったが、あまりにも身勝手で悪辣なキャリーに怒り、彼女を追い返す。それをきっかけに、公爵家の人々も巻き込む形で、レベッカと実家の姉妹たちは争うことになる。
そして、姉妹たちがそれぞれ悪行の報いを受けた後。
レベッカはとうとう、母親と直接対峙するのだった……
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
伯爵夫人のお気に入り
つくも茄子
ファンタジー
プライド伯爵令嬢、ユースティティアは僅か二歳で大病を患い入院を余儀なくされた。悲しみにくれる伯爵夫人は、遠縁の少女を娘代わりに可愛がっていた。
数年後、全快した娘が屋敷に戻ってきた時。
喜ぶ伯爵夫人。
伯爵夫人を慕う少女。
静観する伯爵。
三者三様の想いが交差する。
歪な家族の形。
「この家族ごっこはいつまで続けるおつもりですか?お父様」
「お人形遊びはいい加減卒業なさってください、お母様」
「家族?いいえ、貴方は他所の子です」
ユースティティアは、そんな家族の形に呆れていた。
「可愛いあの子は、伯爵夫人のお気に入り」から「伯爵夫人のお気に入り」にタイトルを変更します。
放置された公爵令嬢が幸せになるまで
こうじ
ファンタジー
アイネス・カンラダは物心ついた時から家族に放置されていた。両親の顔も知らないし兄や妹がいる事は知っているが顔も話した事もない。ずっと離れで暮らし自分の事は自分でやっている。そんな日々を過ごしていた彼女が幸せになる話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる