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凍雪国編第2章
第82話 未明の急襲3
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フレイは、不覚を取った飛竜の前足を掻い潜り、懐に飛び込み、蒼炎を纏わせた渾身の右拳を腹に叩き込む。
ギャギャッギャァァァッ
飛竜の胴体に大きな穴が開き、そこから血や内臓が吹き出てくる。
「わっ!」
フレイは、血肉を避けようと、慌てて飛び退き、魔法を唱える。
『blaze』
ゴバァァァ……ン
蒼炎属性の豪炎が爆発音とともに巻き起こり、フレイの目の前にいた飛竜を一瞬で消し去る。
しかし、その奥にあった収穫小屋も、蒼炎魔法の被害に遭い、あっという間に消し炭になってしまう。
『ブレイズ』は、モールからこっそり教えてもらった蒼炎魔法で、フレイは今初めて唱えた。
「熱っ!」
フレイの後ろにいたランジェやニアが、その圧倒的な熱量に顔を背け、急いでボーの陰に隠れる。
『water barrier』
ロナリアは、ボーを中心に水魔法の防御壁を作り、フレイの魔法から皆を守る。
「ご、ごめん……」
「気を逸らさないで!」
謝るフレイにロナリアは、空を見上げて注意喚起する。
『fear flame』
いつの間にか、距離を詰めていたエテンが、爆炎魔法を唱え、激しい炎の雨を降らせる。
『freeze arrow diffusion』
ロナリアは、敵の魔法に対抗するため、氷の矢を広範囲に打ち出し、被害を最小限に止めようとする。
しかし、ドルマの防御魔法とロナリアの氷魔法を突破した炎は、広場のあちこちに降り注ぐ。
モールは、地上に降りてきた10匹の飛竜のうち、最後まで暴れていた飛竜を屠り終え、防御魔法を展開し続けているドルマの側に行く。
「まだ、隠れている者がいる」
ドルマは、モールからの忠告を受け、皆に注意喚起を促す。
「皆の者! 周囲の警戒を怠るな!」
ドルマは、ロナリアやナートに、飛竜に襲われて傷つき倒れている者への治療を指示する。
「キャアッ!」
突然、広場の一角から悲鳴が上がる。
フレイは、急いで後ろを振り返る。
背が高く、黒ずくめの衣装に身を固めたセルノが、ナートを打ち倒し、ランジェの右腕を掴んでいる。
「ランジェ!」
ドルマも、それに気がつき、とっさにセルノに杖を向け、光刃魔法を唱える。
『flash blade』
ドルマの持つ杖に埋め込まれた宝珠が一瞬で光り、閃光の刃がセルノを襲う。
『dark shield』
バシュシュッ
セルノの左手から生まれた闇の盾が光の刃を弾き返す。
ザクッ
鈍く切り裂く音がして、ランジェを掴んでいたセルノの右腕から血潮が迸る。
「くっ!」
セルノは、すぐさま反対の手でランジェを掴み直し、大きく跳び退きながら、己の右腕を切り裂いた主を見る。
「お母さん!」
ランジェは、跳び起きざまに剣を振るったナートに手を伸ばし、叫ぶ。
「娘を返しなさい!」
ナートは、頭からの出血をものともせず、一気に距離を詰め、左手でランジェを抱え込んだセルノの首を狙い、剣を一閃させる。
ナートの剣は、すんでところで空を切る。
ギィィィン
だが、ナートの上空で剣撃の音が響き渡る。
上空にいるエテンが、ナートを狙って槍を投げ落とし、その槍をモールが空中で弾き飛ばしたのである。
セルノは、その隙を逃さず、さらに距離を取り、魔法を唱える。
『dark mist』
セルノの周囲に黒い霧が生まれ、セルノとランジェの姿を覆い隠す。
「ナート! 追え!」
離れたところに着地したモールが、指示を出す。
「もちろん!」
ナートは、黒い霧に臆することなく、剣を突き立てながら突っ込み、セルノとランジェのあとを追う。
「僕も!」
それを見たフレイは、駆け出そうとする。
「待て! フレイ!」
ボーは、フレイに体当たりをして突き飛ばす。
『flare javelin』
上空からエテンの声がして、幾つもの炎の槍がフレイの間近に降ってくる。
『ice rubble』
モールは、氷の中級魔法を唱え、左手から氷の礫を次々と打ち出し、落下してくる炎の槍を対消滅させる。
「フレイ! 冷静になれ!」
ボーは、フレイの背中を押さえつけ叫ぶ。
「僕も戦う!」
フレイは、もがいてボーの下から抜け出し、叫び返す。
フレイの目は、怒りで血走り、冷静さを欠いている。
「皆を守ることが先だ!」
ボーは、炎に焼かれ怪我をしている者や、飛竜に傷つけられ呻き声を発している者を見渡して叫ぶ。
それを見てフレイは、悔しそうに唇を噛み締め、涙目になって、きっと空を見上げて睨む。
「じゃぁ、上にいるのをやる!」
ギャギャッギャァァァッ
飛竜の胴体に大きな穴が開き、そこから血や内臓が吹き出てくる。
「わっ!」
フレイは、血肉を避けようと、慌てて飛び退き、魔法を唱える。
『blaze』
ゴバァァァ……ン
蒼炎属性の豪炎が爆発音とともに巻き起こり、フレイの目の前にいた飛竜を一瞬で消し去る。
しかし、その奥にあった収穫小屋も、蒼炎魔法の被害に遭い、あっという間に消し炭になってしまう。
『ブレイズ』は、モールからこっそり教えてもらった蒼炎魔法で、フレイは今初めて唱えた。
「熱っ!」
フレイの後ろにいたランジェやニアが、その圧倒的な熱量に顔を背け、急いでボーの陰に隠れる。
『water barrier』
ロナリアは、ボーを中心に水魔法の防御壁を作り、フレイの魔法から皆を守る。
「ご、ごめん……」
「気を逸らさないで!」
謝るフレイにロナリアは、空を見上げて注意喚起する。
『fear flame』
いつの間にか、距離を詰めていたエテンが、爆炎魔法を唱え、激しい炎の雨を降らせる。
『freeze arrow diffusion』
ロナリアは、敵の魔法に対抗するため、氷の矢を広範囲に打ち出し、被害を最小限に止めようとする。
しかし、ドルマの防御魔法とロナリアの氷魔法を突破した炎は、広場のあちこちに降り注ぐ。
モールは、地上に降りてきた10匹の飛竜のうち、最後まで暴れていた飛竜を屠り終え、防御魔法を展開し続けているドルマの側に行く。
「まだ、隠れている者がいる」
ドルマは、モールからの忠告を受け、皆に注意喚起を促す。
「皆の者! 周囲の警戒を怠るな!」
ドルマは、ロナリアやナートに、飛竜に襲われて傷つき倒れている者への治療を指示する。
「キャアッ!」
突然、広場の一角から悲鳴が上がる。
フレイは、急いで後ろを振り返る。
背が高く、黒ずくめの衣装に身を固めたセルノが、ナートを打ち倒し、ランジェの右腕を掴んでいる。
「ランジェ!」
ドルマも、それに気がつき、とっさにセルノに杖を向け、光刃魔法を唱える。
『flash blade』
ドルマの持つ杖に埋め込まれた宝珠が一瞬で光り、閃光の刃がセルノを襲う。
『dark shield』
バシュシュッ
セルノの左手から生まれた闇の盾が光の刃を弾き返す。
ザクッ
鈍く切り裂く音がして、ランジェを掴んでいたセルノの右腕から血潮が迸る。
「くっ!」
セルノは、すぐさま反対の手でランジェを掴み直し、大きく跳び退きながら、己の右腕を切り裂いた主を見る。
「お母さん!」
ランジェは、跳び起きざまに剣を振るったナートに手を伸ばし、叫ぶ。
「娘を返しなさい!」
ナートは、頭からの出血をものともせず、一気に距離を詰め、左手でランジェを抱え込んだセルノの首を狙い、剣を一閃させる。
ナートの剣は、すんでところで空を切る。
ギィィィン
だが、ナートの上空で剣撃の音が響き渡る。
上空にいるエテンが、ナートを狙って槍を投げ落とし、その槍をモールが空中で弾き飛ばしたのである。
セルノは、その隙を逃さず、さらに距離を取り、魔法を唱える。
『dark mist』
セルノの周囲に黒い霧が生まれ、セルノとランジェの姿を覆い隠す。
「ナート! 追え!」
離れたところに着地したモールが、指示を出す。
「もちろん!」
ナートは、黒い霧に臆することなく、剣を突き立てながら突っ込み、セルノとランジェのあとを追う。
「僕も!」
それを見たフレイは、駆け出そうとする。
「待て! フレイ!」
ボーは、フレイに体当たりをして突き飛ばす。
『flare javelin』
上空からエテンの声がして、幾つもの炎の槍がフレイの間近に降ってくる。
『ice rubble』
モールは、氷の中級魔法を唱え、左手から氷の礫を次々と打ち出し、落下してくる炎の槍を対消滅させる。
「フレイ! 冷静になれ!」
ボーは、フレイの背中を押さえつけ叫ぶ。
「僕も戦う!」
フレイは、もがいてボーの下から抜け出し、叫び返す。
フレイの目は、怒りで血走り、冷静さを欠いている。
「皆を守ることが先だ!」
ボーは、炎に焼かれ怪我をしている者や、飛竜に傷つけられ呻き声を発している者を見渡して叫ぶ。
それを見てフレイは、悔しそうに唇を噛み締め、涙目になって、きっと空を見上げて睨む。
「じゃぁ、上にいるのをやる!」
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