183 / 492
凍雪国編第2章
第70話 初めての魔力感知
しおりを挟む
モールは、フレイが魔力感知の訓練をまだ続けたそうであったので、水球をたくさん空中に漂わせる。
そしてフレイには、水球に魔力を当てて、魔力波長を感じ取るように言い置いて、結界の外へ出る。
「わしは、一足先に休憩するでな。フレイも休みたくなったら、いつでも休んでよいぞ」
「うん、ありがとう。モールさん」
フレイは、手に生み出した魔力塊を薄く引き伸ばしながら、水球へ当てる練習を繰り返している。
秘石の増幅効果のない魔力は、水球を激しく揺さぶるものの破裂させることなく、魔力反射波をフレイへ返している。
「それに飽きたら、足捌きの練習か、秘石の力を使い、魔力の流れをつかむ訓練にうつることじゃな」
「うん」
モールは、そう言って、家の中に入り、部屋の奥へと消えてしまう。
庭に取り残されたフレイは、少し動きながら、魔力を水球へ当て、魔力反射波の感覚を体に覚えこませる。
フレイは、同じ動作を繰り返すうちに、徐々に魔力反射波のぞわりとした感覚に慣れていき、魔力を手のひらに作り出すときにも、似たような感覚が生じていることを意識する。
(この感覚が魔力波長……というか、魔力なんだね……)
フレイは、魔力を手のひらではなく、体全体から周囲に放射することに挑戦し、周りに浮かんでいる複数の水球へ魔力を当てることにも成功する。
(う~ん……。魔力波長がたくさんでも、何となく感じ取ることができているのかな……?)
フレイは、アドバイスを貰おうと縁側を振り返るが、そこにはモールはいない。
(また……。モールさんって、いつでもどこかに行っちゃうよね)
フレイは、庭の中央に胡坐をかいて座り、オセイアの秘石を発動させる。
『magical control』
オセイアの秘石は、淡い光を発して、輝きだす。
(……?)
フレイは、『ジェネレイティングパワー』を唱えて秘石を発動させたときよりも、秘石から感じる温かみがやわらかいことに気がつく。
(もしかして、この秘石……、魔力波長の強さを変える……?)
フレイは、秘石から漂い出る魔力波長を温かみとしてではなく、割とはっきりとした感覚として捉えられていることに少し驚く。
そして、その感覚は、『ジェネレイティングパワー』のときよりも優しくフレイを包み込む感じで、尖った感じがしない。
(ん!)
フレイは、手のひらに魔力塊を生み出し、それを薄く引き伸ばして、頭上に浮かんでいる水球へ当てる。
ぷるるるんっ
水球は、弾けることなく、大きくやわらかく揺れながら、ぶつけられた魔力の力を逃がすように変形する。
(へぇ~)
『ジェネレイティングパワー』では、魔力塊を薄く引き伸ばしても、その威力を減弱できずに水球を破裂させてしまう。
だが、『マジカルコントロール』では、威力を調整して水球へ魔力を当てることができる。
これは、大きな発見である。
フレイは、嬉しくなり、新しい実験を開始する。
まず、秘石の力を試すように、次々と魔力塊を生み出しては引き伸ばし、空中を漂う水球へ当てていく。
水球はいずれも弾けることなく、大きく揺れながら魔力反射波をフレイに返す。
(うん! 『マジカルコントロール』の方が扱いやすいね)
次に、フレイは、魔力をいろいろな形へと変形させて水球へ放ち、そこから返ってくる魔力反射波を受け取る。
槍の形は、小さく鋭い魔力反射波が返ってきて、水球と同じ玉の形は、弾かれたように返ってくる。
それらをしばらく繰り返していると、何となく秘石の魔力波長も感じだし、自分が生み出した魔力波長も似たようなものになっていることを認識する。
(あぁ……。もしかして、これが、モールさんが言いたかったことなのかな?)
フレイの魔力波長は、秘石の魔力波長と干渉して、秘石と同一の魔力波長となっているようである。
そしてフレイには、水球に魔力を当てて、魔力波長を感じ取るように言い置いて、結界の外へ出る。
「わしは、一足先に休憩するでな。フレイも休みたくなったら、いつでも休んでよいぞ」
「うん、ありがとう。モールさん」
フレイは、手に生み出した魔力塊を薄く引き伸ばしながら、水球へ当てる練習を繰り返している。
秘石の増幅効果のない魔力は、水球を激しく揺さぶるものの破裂させることなく、魔力反射波をフレイへ返している。
「それに飽きたら、足捌きの練習か、秘石の力を使い、魔力の流れをつかむ訓練にうつることじゃな」
「うん」
モールは、そう言って、家の中に入り、部屋の奥へと消えてしまう。
庭に取り残されたフレイは、少し動きながら、魔力を水球へ当て、魔力反射波の感覚を体に覚えこませる。
フレイは、同じ動作を繰り返すうちに、徐々に魔力反射波のぞわりとした感覚に慣れていき、魔力を手のひらに作り出すときにも、似たような感覚が生じていることを意識する。
(この感覚が魔力波長……というか、魔力なんだね……)
フレイは、魔力を手のひらではなく、体全体から周囲に放射することに挑戦し、周りに浮かんでいる複数の水球へ魔力を当てることにも成功する。
(う~ん……。魔力波長がたくさんでも、何となく感じ取ることができているのかな……?)
フレイは、アドバイスを貰おうと縁側を振り返るが、そこにはモールはいない。
(また……。モールさんって、いつでもどこかに行っちゃうよね)
フレイは、庭の中央に胡坐をかいて座り、オセイアの秘石を発動させる。
『magical control』
オセイアの秘石は、淡い光を発して、輝きだす。
(……?)
フレイは、『ジェネレイティングパワー』を唱えて秘石を発動させたときよりも、秘石から感じる温かみがやわらかいことに気がつく。
(もしかして、この秘石……、魔力波長の強さを変える……?)
フレイは、秘石から漂い出る魔力波長を温かみとしてではなく、割とはっきりとした感覚として捉えられていることに少し驚く。
そして、その感覚は、『ジェネレイティングパワー』のときよりも優しくフレイを包み込む感じで、尖った感じがしない。
(ん!)
フレイは、手のひらに魔力塊を生み出し、それを薄く引き伸ばして、頭上に浮かんでいる水球へ当てる。
ぷるるるんっ
水球は、弾けることなく、大きくやわらかく揺れながら、ぶつけられた魔力の力を逃がすように変形する。
(へぇ~)
『ジェネレイティングパワー』では、魔力塊を薄く引き伸ばしても、その威力を減弱できずに水球を破裂させてしまう。
だが、『マジカルコントロール』では、威力を調整して水球へ魔力を当てることができる。
これは、大きな発見である。
フレイは、嬉しくなり、新しい実験を開始する。
まず、秘石の力を試すように、次々と魔力塊を生み出しては引き伸ばし、空中を漂う水球へ当てていく。
水球はいずれも弾けることなく、大きく揺れながら魔力反射波をフレイに返す。
(うん! 『マジカルコントロール』の方が扱いやすいね)
次に、フレイは、魔力をいろいろな形へと変形させて水球へ放ち、そこから返ってくる魔力反射波を受け取る。
槍の形は、小さく鋭い魔力反射波が返ってきて、水球と同じ玉の形は、弾かれたように返ってくる。
それらをしばらく繰り返していると、何となく秘石の魔力波長も感じだし、自分が生み出した魔力波長も似たようなものになっていることを認識する。
(あぁ……。もしかして、これが、モールさんが言いたかったことなのかな?)
フレイの魔力波長は、秘石の魔力波長と干渉して、秘石と同一の魔力波長となっているようである。
0
お気に入りに追加
54
あなたにおすすめの小説
〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……
晴れて国外追放にされたので魅了を解除してあげてから出て行きました [完]
ラララキヲ
ファンタジー
卒業式にて婚約者の王子に婚約破棄され義妹を殺そうとしたとして国外追放にされた公爵令嬢のリネットは一人残された国境にて微笑む。
「さようなら、私が産まれた国。
私を自由にしてくれたお礼に『魅了』が今後この国には効かないようにしてあげるね」
リネットが居なくなった国でリネットを追い出した者たちは国王の前に頭を垂れる──
◇婚約破棄の“後”の話です。
◇転生チート。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げてます。
◇人によっては最後「胸糞」らしいです。ごめんね;^^
◇なので感想欄閉じます(笑)
政略結婚で結ばれた夫がメイドばかり優先するので、全部捨てさせてもらいます。
hana
恋愛
政略結婚で結ばれた夫は、いつも私ではなくメイドの彼女を優先する。
明らかに関係を持っているのに「彼女とは何もない」と言い張る夫。
メイドの方は私に「彼と別れて」と言いにくる始末。
もうこんな日々にはうんざりです、全部捨てさせてもらいます。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
私はお母様の奴隷じゃありません。「出てけ」とおっしゃるなら、望み通り出ていきます【完結】
小平ニコ
ファンタジー
主人公レベッカは、幼いころから母親に冷たく当たられ、家庭内の雑務を全て押し付けられてきた。
他の姉妹たちとは明らかに違う、奴隷のような扱いを受けても、いつか母親が自分を愛してくれると信じ、出来得る限りの努力を続けてきたレベッカだったが、16歳の誕生日に突然、公爵の館に奉公に行けと命じられる。
それは『家を出て行け』と言われているのと同じであり、レベッカはショックを受ける。しかし、奉公先の人々は皆優しく、主であるハーヴィン公爵はとても美しい人で、レベッカは彼にとても気に入られる。
友達もでき、忙しいながらも幸せな毎日を送るレベッカ。そんなある日のこと、妹のキャリーがいきなり公爵の館を訪れた。……キャリーは、レベッカに支払われた給料を回収しに来たのだ。
レベッカは、金銭に対する執着などなかったが、あまりにも身勝手で悪辣なキャリーに怒り、彼女を追い返す。それをきっかけに、公爵家の人々も巻き込む形で、レベッカと実家の姉妹たちは争うことになる。
そして、姉妹たちがそれぞれ悪行の報いを受けた後。
レベッカはとうとう、母親と直接対峙するのだった……
伯爵夫人のお気に入り
つくも茄子
ファンタジー
プライド伯爵令嬢、ユースティティアは僅か二歳で大病を患い入院を余儀なくされた。悲しみにくれる伯爵夫人は、遠縁の少女を娘代わりに可愛がっていた。
数年後、全快した娘が屋敷に戻ってきた時。
喜ぶ伯爵夫人。
伯爵夫人を慕う少女。
静観する伯爵。
三者三様の想いが交差する。
歪な家族の形。
「この家族ごっこはいつまで続けるおつもりですか?お父様」
「お人形遊びはいい加減卒業なさってください、お母様」
「家族?いいえ、貴方は他所の子です」
ユースティティアは、そんな家族の形に呆れていた。
「可愛いあの子は、伯爵夫人のお気に入り」から「伯爵夫人のお気に入り」にタイトルを変更します。
放置された公爵令嬢が幸せになるまで
こうじ
ファンタジー
アイネス・カンラダは物心ついた時から家族に放置されていた。両親の顔も知らないし兄や妹がいる事は知っているが顔も話した事もない。ずっと離れで暮らし自分の事は自分でやっている。そんな日々を過ごしていた彼女が幸せになる話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる