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凍雪国編第2章
第49話 秘石の特性2
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ロナリアは、フレイが普段から詠唱破棄をして、魔法名だけを唱え、魔法を発動させていることを知っている。
今回も、指輪の効力を発動させるために、意味の分からぬ魔法名だけを唱え、結果として、魔法の暴発を招いたと正しく推測している。
「フレイは、指輪を発動させたまま魔法を放ったのでしょ?」
「うん、そうだよ。でも、どうして分かったの?」
「私も最初に同じことをしたからよ」
「お母さんも?」
「えぇ、そうよ。私もモールさんから、『ジェネレイティングパワー』としか教わらなかったから、最初に魔法を唱えたときには辺りを水浸しにしたわ」
ロナリアは、若かりし頃の失敗談を思い出し、ふふふっと笑う。
「僕も、さっきそうなったよ。泥だらけになったことには、気がつかなかったけど……」
「そのことは、もういいわ。それよりも、怪我はなかった?」
「うん、それは大丈夫。火事も起こしてないよ」
「良かった」
ロナリアは、フレイの前にしゃがみこみ、フレイの右手に嵌められた指輪を触る。
「今度から、この指輪を使うときには、『マジカルコントロール』と唱えなさい。そうすれば、魔法制御が楽になり、魔法を暴発させることもなくなるわ」
「『マジ……カルコン……トロール』だね」
フレイは、魔法名を何度も口ずさみながら覚えようとする。
「ちょっと区切るところが違うけど……、まぁ、いいわ。その魔法を唱えれば、指輪は、魔法をコントロールする手助けをしてくれるから、フレイは、狙いをつけるだけで良くなるわよ」
「本当?」
「えぇ。この指輪には、オセイアの意志が宿っているからね。」
「そうなの?」
「これは、あくまでも噂だけどね」
ロナリアは、片目をつむり、フレイに微笑みかける。
そして、オセイアの秘石には、さまざまな謂れがあることや、もともとは大きな石の塊であり、これはその欠片であると言われていること、オセイアの秘石を発動させると指輪が力を添えてくれているような感覚があることなどを、フレイに話す。
「フレイも、この指輪を使っていれば、不思議な感覚がするはずよ」
「ふ~ん……」
フレイは、水魔法を暴発させてロナリアに怒られたことで、今は指輪に対してあまりいい印象を抱いてはいない。
「あと、この指輪には、オセイアの魔力波長と同じ独特な魔力波長があるのよ。でも、フレイにはまだ分からないわね?」
「うん……」
フレイの今日の訓練は、魔力波長を感じる練習だったのに、魔法を暴発させただけに終わってしまった。
「そんな顔をしないのよ。この指輪を大切にしていれば、そのうち力を貸してくれるわよ」
ロナリアは、下を向き、すっかりしょげてしまったフレイを気遣い、優しい声を出して励ます。
「さぁ……。気持ちを切り替えて、朝ご飯にしましょ。フレイは、その料理を持っていってね」
ロナリアは、器に料理を盛り付け、それらを食卓へ運ぶように、フレイにお願いする。
「うん。また、練習してみる」
「そうよ。何度でも挑戦して、魔法を上達させなさい。ただし、火魔法には注意してね」
「うん。次からは、水魔法で練習するつもり。あと、水浸しになってもいいように、畑の端っこで練習するよ。そうすれば、水遣りもしなくてよくなるから……」
「そうね。あとは、汚れてもいい服で練習してね」
「うん」
フレイは、にこやかに笑って顔を上げ、料理を運ぶ手伝いを開始する。
今回も、指輪の効力を発動させるために、意味の分からぬ魔法名だけを唱え、結果として、魔法の暴発を招いたと正しく推測している。
「フレイは、指輪を発動させたまま魔法を放ったのでしょ?」
「うん、そうだよ。でも、どうして分かったの?」
「私も最初に同じことをしたからよ」
「お母さんも?」
「えぇ、そうよ。私もモールさんから、『ジェネレイティングパワー』としか教わらなかったから、最初に魔法を唱えたときには辺りを水浸しにしたわ」
ロナリアは、若かりし頃の失敗談を思い出し、ふふふっと笑う。
「僕も、さっきそうなったよ。泥だらけになったことには、気がつかなかったけど……」
「そのことは、もういいわ。それよりも、怪我はなかった?」
「うん、それは大丈夫。火事も起こしてないよ」
「良かった」
ロナリアは、フレイの前にしゃがみこみ、フレイの右手に嵌められた指輪を触る。
「今度から、この指輪を使うときには、『マジカルコントロール』と唱えなさい。そうすれば、魔法制御が楽になり、魔法を暴発させることもなくなるわ」
「『マジ……カルコン……トロール』だね」
フレイは、魔法名を何度も口ずさみながら覚えようとする。
「ちょっと区切るところが違うけど……、まぁ、いいわ。その魔法を唱えれば、指輪は、魔法をコントロールする手助けをしてくれるから、フレイは、狙いをつけるだけで良くなるわよ」
「本当?」
「えぇ。この指輪には、オセイアの意志が宿っているからね。」
「そうなの?」
「これは、あくまでも噂だけどね」
ロナリアは、片目をつむり、フレイに微笑みかける。
そして、オセイアの秘石には、さまざまな謂れがあることや、もともとは大きな石の塊であり、これはその欠片であると言われていること、オセイアの秘石を発動させると指輪が力を添えてくれているような感覚があることなどを、フレイに話す。
「フレイも、この指輪を使っていれば、不思議な感覚がするはずよ」
「ふ~ん……」
フレイは、水魔法を暴発させてロナリアに怒られたことで、今は指輪に対してあまりいい印象を抱いてはいない。
「あと、この指輪には、オセイアの魔力波長と同じ独特な魔力波長があるのよ。でも、フレイにはまだ分からないわね?」
「うん……」
フレイの今日の訓練は、魔力波長を感じる練習だったのに、魔法を暴発させただけに終わってしまった。
「そんな顔をしないのよ。この指輪を大切にしていれば、そのうち力を貸してくれるわよ」
ロナリアは、下を向き、すっかりしょげてしまったフレイを気遣い、優しい声を出して励ます。
「さぁ……。気持ちを切り替えて、朝ご飯にしましょ。フレイは、その料理を持っていってね」
ロナリアは、器に料理を盛り付け、それらを食卓へ運ぶように、フレイにお願いする。
「うん。また、練習してみる」
「そうよ。何度でも挑戦して、魔法を上達させなさい。ただし、火魔法には注意してね」
「うん。次からは、水魔法で練習するつもり。あと、水浸しになってもいいように、畑の端っこで練習するよ。そうすれば、水遣りもしなくてよくなるから……」
「そうね。あとは、汚れてもいい服で練習してね」
「うん」
フレイは、にこやかに笑って顔を上げ、料理を運ぶ手伝いを開始する。
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