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凍雪国編第2章
第31話 魔力増強の訓練法1
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「練魔石っていうのを取りに行ったのかな?」
フレイは、また奥の部屋に入っていったモールを目で追いかけて、隣のニアに聞く。
「そうじゃないかしら……」
ニアは、フレイの言葉に軽く頷き、敷物の上に置いておいた小さな麻袋を見る。
「フレイ……。この袋は、お母さんと別れるときに貰った袋なんだけど……」
「これ?」
フレイは、ニアの足元から麻袋を持ち上げて、中身を机の上に置く。
「ずいぶん大きい透輝石だね。この前、僕が採ってきたものよりも大きいよ」
「そうね……」
ニアは、そう言って、フレイが取り出した透輝石を持ち上げて、刻まれている魔法陣を眺める。
「それ、何の石?」
フレイは、好奇心を刺激されて、ニアに尋ねる。
「さぁ……? 私に聞かれても分からないわ。お母さんは、モールさんに見せれば分かるって言っていたけど……」
「ふ~ん……。何に使うんだろうね?」
フレイは、ニアから透輝石を受け取って、同じように刻まれている魔法陣を見る。
「魔法陣の意味が分かればいいのにね」
「そうね。早く、ホレイさんに教えてもらって、魔法陣を使いこなせるようになりたいわ」
ニアは、少しでも強くなるために、魔法陣の知識を吸収したいと願う。
奥の部屋では、箱をガタゴトと持ち上げたり、ずらしたりして、モールが大きな音を立てている。
そうして、しばらくフレイとニアが雑談していると、モールが、先ほど持ってきた虹石の箱よりも、一回り小さな箱を持って戻ってくる。
「今は、この石しか残っていなかったわい……ん?」
モールは、机の上に置いてある大きな石を見て、目を丸くする。
「なんじゃ? お主たち、練魔石を持っておったのか?」
モールは、席に着くなり、大きな透輝石に刻まれた魔法陣を確認する。
「やはり、練魔石じゃの」
うむうむと、1人で納得したモールは、自分が持ってきた小箱を脇へ置いて話し出す。
「これは、練魔石と言ってな。魔法の練習相手になる透輝石じゃ」
「そうなの?」
フレイは、興味をそそられて、身を乗り出して尋ねる。
「うむ。しかし……、これほどの大きさのものを一体どうしたのじゃ?」
「お母さんが、ここで別れる際に渡してくれたんです」
ニアが、モールにその経緯を簡単に説明する。
「そうか……。ロナリアがのぅ……」
(もしかしたら、ロナリアは、ニアに魔力が少ないことを知っておったのかもしれんの……)
モールは、ロナリアのニアへの配慮と期待を、大きすぎる練魔石から推測する。
「ねぇねぇ……。これって、どうやって使うの?」
フレイが無邪気に尋ねる。
「うん? これか?」
「うん」
「これは、魔法をぶつけて吸収させたり、逆に吸収させた魔法を自由に発動させたりして、魔法を操る訓練に使う石じゃ」
「へぇ~」
「まぁ、口で説明するよりも、やって見せたほうが早いじゃろうな」
そう言ってモールは、『absorb』と唱えて、練魔石を発動させる。
フレイは、また奥の部屋に入っていったモールを目で追いかけて、隣のニアに聞く。
「そうじゃないかしら……」
ニアは、フレイの言葉に軽く頷き、敷物の上に置いておいた小さな麻袋を見る。
「フレイ……。この袋は、お母さんと別れるときに貰った袋なんだけど……」
「これ?」
フレイは、ニアの足元から麻袋を持ち上げて、中身を机の上に置く。
「ずいぶん大きい透輝石だね。この前、僕が採ってきたものよりも大きいよ」
「そうね……」
ニアは、そう言って、フレイが取り出した透輝石を持ち上げて、刻まれている魔法陣を眺める。
「それ、何の石?」
フレイは、好奇心を刺激されて、ニアに尋ねる。
「さぁ……? 私に聞かれても分からないわ。お母さんは、モールさんに見せれば分かるって言っていたけど……」
「ふ~ん……。何に使うんだろうね?」
フレイは、ニアから透輝石を受け取って、同じように刻まれている魔法陣を見る。
「魔法陣の意味が分かればいいのにね」
「そうね。早く、ホレイさんに教えてもらって、魔法陣を使いこなせるようになりたいわ」
ニアは、少しでも強くなるために、魔法陣の知識を吸収したいと願う。
奥の部屋では、箱をガタゴトと持ち上げたり、ずらしたりして、モールが大きな音を立てている。
そうして、しばらくフレイとニアが雑談していると、モールが、先ほど持ってきた虹石の箱よりも、一回り小さな箱を持って戻ってくる。
「今は、この石しか残っていなかったわい……ん?」
モールは、机の上に置いてある大きな石を見て、目を丸くする。
「なんじゃ? お主たち、練魔石を持っておったのか?」
モールは、席に着くなり、大きな透輝石に刻まれた魔法陣を確認する。
「やはり、練魔石じゃの」
うむうむと、1人で納得したモールは、自分が持ってきた小箱を脇へ置いて話し出す。
「これは、練魔石と言ってな。魔法の練習相手になる透輝石じゃ」
「そうなの?」
フレイは、興味をそそられて、身を乗り出して尋ねる。
「うむ。しかし……、これほどの大きさのものを一体どうしたのじゃ?」
「お母さんが、ここで別れる際に渡してくれたんです」
ニアが、モールにその経緯を簡単に説明する。
「そうか……。ロナリアがのぅ……」
(もしかしたら、ロナリアは、ニアに魔力が少ないことを知っておったのかもしれんの……)
モールは、ロナリアのニアへの配慮と期待を、大きすぎる練魔石から推測する。
「ねぇねぇ……。これって、どうやって使うの?」
フレイが無邪気に尋ねる。
「うん? これか?」
「うん」
「これは、魔法をぶつけて吸収させたり、逆に吸収させた魔法を自由に発動させたりして、魔法を操る訓練に使う石じゃ」
「へぇ~」
「まぁ、口で説明するよりも、やって見せたほうが早いじゃろうな」
そう言ってモールは、『absorb』と唱えて、練魔石を発動させる。
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