ロシュフォール物語

正輝 知

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凍雪国編第2章

第30話 フレイとニアの弟子入り2

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 フレイは、ホレイに聞いた三宝滅の話を思い出しながら、モールへ質問する。

「モールさんは、ホレイさんには三宝滅を教えなかったの?」

「ホレイにか? もちろん、教えてやったぞ。じゃが、あやつは、剣よりも魔法を好んだ。今では、わしよりも魔法のことをよく知っておるし、魔法陣魔法にかけては大陸でも随一じゃろうのぅ」

 ホレイは、三宝滅の剣術よりも魔法陣魔法を極めることを選んだ。
 モールは、机の上に転がっている魔調石や虹石を眺め見て、ホレイの腕前を褒め、ホレイの選択が間違っていないことを二人に話す。

「ふ~ん。ホレイさんも、すごい人なんだね」

「まぁの。誰しも、自分が向いておる道を突き進めば、その道で一番になれる。フレイも、好きなことを基本から打ち込めば、誰にも負けない強さを身につけられる」

「うん」

 フレイは、明るく返事をして、基礎鍛錬の重要さを理解する。

「あの……」

 そんなフレイを横目に見て、ニアは、控えめに声を上げる。

「ん? なんじゃ?」

 モールは、それまで静かに話を聞いていたニアに向き直る。

「私は、どうすれば、魔力量を増やすことができますか?」

「おぉ……、すまんすまん。まだ、説明しとらんかったな」

 モールは、フレイとのやり取りに集中してしまい、ニアに訓練法を話し忘れていたことに気がつく。

「魔力量はな、毎日魔力を限界まで消費することで増やすことができる」

「そうなんですか?」

「うむ、そうじゃ。簡単に言うとな、魔力も、体力みたいなもんじゃ。じゃから、寝れば回復する」

「はい」

「また、魔力を限界まで消費すると、筋肉と同じように、魔臓で超回復ちょうかいふくという現象が起きる。これは、体に昨日よりもより強くなろうとする働きが加わるからじゃ」

 モールは、体が強さを蓄えていく秘訣を弟子になったばかりのフレイとニアに教える。

「へぇ~」

 フレイは、目を輝かせながら聞き入り、ニアも、期待を込めた眼差しでモールを見続ける。

「結果として、魔力を大幅に増やそうする力が強まり、魔力量が増えていくことになるんじゃよ」

 モールは、二人の反応に、師匠のやりがいを感じて、にやりと笑う。

「じゃから、ニアは、寝る前に魔力を限界まで消費し続けるんじゃ。最初は、辛いじゃろうが、1年、2年と続けていくうちに、徐々に魔力量が増えてくる」

「年単位なんですね……」

 ニアは、先ほどの辛さが毎日続くのかと思い、少しげんなりとする。

「そりゃ、そうじゃろう。魔力は、筋力とは違い、そうそう大きく変動することはない。じゃから、気の遠くなる話ではあるが、根気と継続がものを言う世界じゃな」

「頑張ってみます……」

 ニアは、少し自信をなくしかけて、小さな声で答える。
 それを見たモールは、再びにかっと笑い、話を続ける。

「ただし、練魔石れんませきを用いれば、もう少し効率的に魔力量を増やすことができる」

「練魔石……ですか?」

 ニアは、聞きなれない言葉を耳にして、顔に疑問符を浮かべる。

「ニアは、聞いたことがないようじゃな。フレイは、どうじゃ?」

「僕もないよ」

「そうか……」

 モールは、少し考えて、「そういえば……」と呟き、紫色の虹石が入った小箱を持って立ち上がり、奥の部屋に行く。
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