ロシュフォール物語

正輝 知

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凍雪国編第2章

第25話 測定結果4

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「いいよ、モールさん」

「じゃぁ、目隠しをとるぞ」

 闇を払われた虹石は、途端に強烈な光を発し、部屋の中を一瞬にして真っ白な世界へと変える。

「わっ!」

 フレイは、少し隙間を開けていた指をぎゅっと閉じて、完全に目を覆い隠してしまう。

「光の中に、赤い色が見えるか?」

「み、見えない……。もう、無理……」

「仕方がないな」

 モールは、また『darknessダークネス』と唱え、ニアの虹石を再び闇で覆い隠す。

「もう、目を開けてもよいぞ」

 それを聞いたフレイは、恐る恐る手をどけて、まぶた越しでも眩しくないのを確認してから目を徐々に開く。

「ま、眩しかった……」

 フレイは、隣のニアを思わず見るが、ニアは、もう懲りたと見えてぎゅっと両手で目を覆い隠している。

「ニア姉さん……。もう大丈夫だよ」

 フレイは、手で目を覆ったまま固まっているニアに声をかけ、黒ずんだ虹石を眺める。

「すごい光だった……。これって、すごいことだよね?」

「そうじゃ。ニアも、大魔法師に匹敵するぐらいの魔力の質がある。じゃが、魔力量は、まだ・・微々たるもんじゃな」

「えっ!」

 ニアは、手を目から離して、モールの言葉に驚く。

「ん? どうした?」

「今……、まだって……」

「あぁ、そうじゃよ。魔力量は、成長とともに増減する。じゃから、今はまだ少なくても、鍛えることで増やすことができるんじゃ」

 モールは、事も無げに言ってのけ、思わずこぼれ落ちた嬉し涙を拭うニアを気遣う。

「良かった……」

「じゃから、さっきから心配いらんというておるじゃろ? これから、増やしていけばええ」

「ニア姉さん、良かったね」

「ん……」

 ニアは、はにかみながらフレイに頷く。

「じゃぁさ、僕は、鍛えなくてもいいってこと?」

「まぁ……、今のままでもええと言うんなら、鍛えんでも問題はないの」

 モールは、規格外なフレイを見て言う。

「ふ~ん……」

「しかし、偉大な魔法師になりたいのなら、もっと上を目指すべきじゃな」

 それを聞いてフレイは、目を輝かせて、モールに聞く。

「僕、なれる?」

「あぁ、なれるじゃろう。少なくとも、魔力量については、すでにわしを超えておる」

「そうなの?」

「わしは、紫じゃったからな」

 モールは、ふむと1つ頷くと、「どれ……」と言って立ち上がり、奥の部屋に向かう。

「また何も言わずに……。ニア姉さん、モールさんは何しに行ったんだろ?」

 フレイは、隣のニアと顔を見合わせる。

「何かを取りに行ったんじゃないかしら?」

 ニアは、突然行動するモールに慣れ始めてきており、さほど驚く様子もなく、落ち着いて答える。
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