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凍雪国編第2章
第14話 モールとの面会2
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「……ホレイさん……」
困ったフレイは、ホレイに助けを求める。
それを見たホレイは、話しかけるなという雰囲気を醸し出しているモールに向かい、フレイのために懇願してみる。
「モールさん。フレイとニアの属性だけでも調べて、何か助言をいただけませんか?」
「ん?」
それを聞いたモールは、少し思案する。
しばらくしたのち、ゆっくりと振り返り、フレイをじっと見つめる。
「ほぅ……、珍しいな」
「分かりますか?」
「少しな……」
「でしたら、助言をいただけますか?」
「そうじゃな……」
モールは、ふむと言って考え込み、フレイの後ろにいるナートたちを見やる。
「そこにいるのは、ニアじゃな」
「えっ! はっ、はい!」
突然呼ばれてびっくりしたニアは、言葉に詰まったあと、返事をする。
隣にいるロナリアは、ニアの背を押し、少し前に出させる。
モールは、フレイにしたのと同じように、ニアをじっと見つめ、何かを考え込む。
「ふむ……」
「どうしました?」
ホレイは、モールの様子を訝しげに思い、思わず声をかける。
「……よかろう」
モールは、むくっと起き上がり、縁側に座りなおして一行を見る。
「ホレイよ。フレイとニアだけを残して、あとは下がってくれ。これが条件だ」
「フレイとニアだけですか?」
「助言が欲しいのであろう?」
モールは、少し機嫌を悪くしそうな雰囲気を纏う。
それを見たホレイは、慌てて頷く。
「えぇ……」
「では、本人だけにする」
「我々がいては、いけませんか?」
「今はな。1月後であれば、何も問題なかろうが……、今は駄目じゃ」
モールは、言葉に少し険しさを含ませて言い放つ。
それを見たホレイやナートたちは、お互いの顔を見て、それぞれの表情からその思いを読み取る。
「分かりました」
ホレイは、少し残念そうに言い、フレイとニアへ持ってきた麻袋を差し出す。
「これを使って、調べてもらいなさい」
「うん」
フレイは、少し緊張して受け取る。
「フレイ。お母さんも知りたいけど、モールさんとの約束は守るから、気にしないで調べてもらいなさい」
「うん、ありがとう」
「モールさん。よろしくお願いしますね」
ロナリアは、モールに頭を下げて、ニアに小さな麻袋を手渡す。
「これも役立ててちょうだい」
ロナリアは、ニアに小さな声で囁く。
「これは、何? お母さん?」
「私が用意したものよ。モールさんに見せれば分かるから……」
ロナリアは、そう言って、リリアを促して、先に帰る。
「私たちも、戻りましょ」
ナートも、ランジェの手を引いて、ロナリアに続く。
「モールさん。それでは、お願いします」
ホレイは、フレイとニアの頭をぽんぽんとして、二人に頭を下げさせる。
「「お願いします」」
二人は、声をはもらせる。
「あぁ。任せておけ」
モールは、そう返事をして、ひらひらとホレイに手を振る。
ホレイは、一礼して去り、ナートやロナリアに追いつき戻っていく。
困ったフレイは、ホレイに助けを求める。
それを見たホレイは、話しかけるなという雰囲気を醸し出しているモールに向かい、フレイのために懇願してみる。
「モールさん。フレイとニアの属性だけでも調べて、何か助言をいただけませんか?」
「ん?」
それを聞いたモールは、少し思案する。
しばらくしたのち、ゆっくりと振り返り、フレイをじっと見つめる。
「ほぅ……、珍しいな」
「分かりますか?」
「少しな……」
「でしたら、助言をいただけますか?」
「そうじゃな……」
モールは、ふむと言って考え込み、フレイの後ろにいるナートたちを見やる。
「そこにいるのは、ニアじゃな」
「えっ! はっ、はい!」
突然呼ばれてびっくりしたニアは、言葉に詰まったあと、返事をする。
隣にいるロナリアは、ニアの背を押し、少し前に出させる。
モールは、フレイにしたのと同じように、ニアをじっと見つめ、何かを考え込む。
「ふむ……」
「どうしました?」
ホレイは、モールの様子を訝しげに思い、思わず声をかける。
「……よかろう」
モールは、むくっと起き上がり、縁側に座りなおして一行を見る。
「ホレイよ。フレイとニアだけを残して、あとは下がってくれ。これが条件だ」
「フレイとニアだけですか?」
「助言が欲しいのであろう?」
モールは、少し機嫌を悪くしそうな雰囲気を纏う。
それを見たホレイは、慌てて頷く。
「えぇ……」
「では、本人だけにする」
「我々がいては、いけませんか?」
「今はな。1月後であれば、何も問題なかろうが……、今は駄目じゃ」
モールは、言葉に少し険しさを含ませて言い放つ。
それを見たホレイやナートたちは、お互いの顔を見て、それぞれの表情からその思いを読み取る。
「分かりました」
ホレイは、少し残念そうに言い、フレイとニアへ持ってきた麻袋を差し出す。
「これを使って、調べてもらいなさい」
「うん」
フレイは、少し緊張して受け取る。
「フレイ。お母さんも知りたいけど、モールさんとの約束は守るから、気にしないで調べてもらいなさい」
「うん、ありがとう」
「モールさん。よろしくお願いしますね」
ロナリアは、モールに頭を下げて、ニアに小さな麻袋を手渡す。
「これも役立ててちょうだい」
ロナリアは、ニアに小さな声で囁く。
「これは、何? お母さん?」
「私が用意したものよ。モールさんに見せれば分かるから……」
ロナリアは、そう言って、リリアを促して、先に帰る。
「私たちも、戻りましょ」
ナートも、ランジェの手を引いて、ロナリアに続く。
「モールさん。それでは、お願いします」
ホレイは、フレイとニアの頭をぽんぽんとして、二人に頭を下げさせる。
「「お願いします」」
二人は、声をはもらせる。
「あぁ。任せておけ」
モールは、そう返事をして、ひらひらとホレイに手を振る。
ホレイは、一礼して去り、ナートやロナリアに追いつき戻っていく。
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