97 / 492
凍雪国編第1章
第94話 蒼炎属性2
しおりを挟む
フレイは、手のひらの間に生み出した青い炎をあらためてじっと見る。
「炎属性からさらに派生した属性だ……。話には聞いていたが、生まれて初めて見た……」
火属性の最上級属性である蒼炎は、すべてのものを一瞬で焼き尽くすほどの威力を持つ。
思わず青い炎に手を伸ばしかけたホレイは、圧倒的な熱量を感じて、慌てて手を引っ込める。
「フレイは、熱くないのか?」
「うん、全然。……というか、ほんわかして気持ちいいよ。ほら……」
フレイは、ゆらゆらと立ち昇る青い炎を左手に移し、右手を炎の中に入れる。
「信じられん……」
ホレイは、絶句して、青い炎で遊ぶフレイを見る。
「これって、すごいことなの? ……ホレイさん?」
「……あぁ、すまない。あまりにも驚き過ぎて、言葉が出なかった」
ホレイは、壁際の机に置いてある水差しから、よく冷えたイタヤカエデのお茶をグラスに注ぎ、一息に飲み干す。
その間に、フレイは、ニアやランジェに青い炎を見せて、近づける。
「ニア姉さんとランジェも、熱く感じる?」
「えぇ……。近寄りたくないぐらい熱いわ」
「私も……」
フレイが青い炎を近づけた分だけ、2人は体を遠ざける。
「フレイ、蒼炎を消してくれ。その炎は、危険すぎる」
ホレイは、自分の椅子に座り直して、フレイに頼む。
「うん。ごめんね」
素直に応じたフレイは、左手を握り締めて、青い炎を握り潰す。
「僕、知らなかったよ。この炎が危険だなんて……」
「実践で使ったことはないのか?」
「うん。僕にとっては、気持ちのいい温かさだから、狩りでは通用しないと思ってた。それに、これを人に見せたのも初めてだよ。皆できると思っていたし……」
「フレイは、ものを知らなさ過ぎる……」
ホレイは、深いため息とともに、酷く疲れたようにぼそりと呟く。
「……それ、今朝も言われた……」
フレイは、泣きそうな顔をしてニアを見る。
「フレイ……。少しずつ賢くなっていこうよ。私も一緒に勉強するから……」
「うん。ありがとう、ニア姉さん」
「ニアも、知らなかったのか?」
「はい。普段、フレイが魔法を使うときには、そばにいなかったので……」
「……一度、きちんと調べた方がいいかもな……」
ホレイは、フレイとニアを見比べて、再びぼそりと呟く。
「お父さん。私も、フレイみたいに、すごいことができないかな?」
「分からん。ただ、2人がいろいろとできるように、ランジェも試してみたら、案外とできてしまうのかもしれん。……要は、やり方しだいだろうな」
「僕も、いろいろと考えたんだよ。アロン兄さんやジル兄さんが優秀だからさ……。それに追いつこうと思って……」
フレイは、口を尖らせて、すねた口調でホレイやランジェに向かって言う。
「努力の証だな」
ホレイは、朗らかに笑い、フレイに答える。
それを聞いて、少し嬉しくなったフレイも、にっと笑う。
「僕も、頑張っているよ」
「そうだな。無詠唱には、驚かされたし、蒼炎に至っては想像の範囲外だったからな……」
「炎属性からさらに派生した属性だ……。話には聞いていたが、生まれて初めて見た……」
火属性の最上級属性である蒼炎は、すべてのものを一瞬で焼き尽くすほどの威力を持つ。
思わず青い炎に手を伸ばしかけたホレイは、圧倒的な熱量を感じて、慌てて手を引っ込める。
「フレイは、熱くないのか?」
「うん、全然。……というか、ほんわかして気持ちいいよ。ほら……」
フレイは、ゆらゆらと立ち昇る青い炎を左手に移し、右手を炎の中に入れる。
「信じられん……」
ホレイは、絶句して、青い炎で遊ぶフレイを見る。
「これって、すごいことなの? ……ホレイさん?」
「……あぁ、すまない。あまりにも驚き過ぎて、言葉が出なかった」
ホレイは、壁際の机に置いてある水差しから、よく冷えたイタヤカエデのお茶をグラスに注ぎ、一息に飲み干す。
その間に、フレイは、ニアやランジェに青い炎を見せて、近づける。
「ニア姉さんとランジェも、熱く感じる?」
「えぇ……。近寄りたくないぐらい熱いわ」
「私も……」
フレイが青い炎を近づけた分だけ、2人は体を遠ざける。
「フレイ、蒼炎を消してくれ。その炎は、危険すぎる」
ホレイは、自分の椅子に座り直して、フレイに頼む。
「うん。ごめんね」
素直に応じたフレイは、左手を握り締めて、青い炎を握り潰す。
「僕、知らなかったよ。この炎が危険だなんて……」
「実践で使ったことはないのか?」
「うん。僕にとっては、気持ちのいい温かさだから、狩りでは通用しないと思ってた。それに、これを人に見せたのも初めてだよ。皆できると思っていたし……」
「フレイは、ものを知らなさ過ぎる……」
ホレイは、深いため息とともに、酷く疲れたようにぼそりと呟く。
「……それ、今朝も言われた……」
フレイは、泣きそうな顔をしてニアを見る。
「フレイ……。少しずつ賢くなっていこうよ。私も一緒に勉強するから……」
「うん。ありがとう、ニア姉さん」
「ニアも、知らなかったのか?」
「はい。普段、フレイが魔法を使うときには、そばにいなかったので……」
「……一度、きちんと調べた方がいいかもな……」
ホレイは、フレイとニアを見比べて、再びぼそりと呟く。
「お父さん。私も、フレイみたいに、すごいことができないかな?」
「分からん。ただ、2人がいろいろとできるように、ランジェも試してみたら、案外とできてしまうのかもしれん。……要は、やり方しだいだろうな」
「僕も、いろいろと考えたんだよ。アロン兄さんやジル兄さんが優秀だからさ……。それに追いつこうと思って……」
フレイは、口を尖らせて、すねた口調でホレイやランジェに向かって言う。
「努力の証だな」
ホレイは、朗らかに笑い、フレイに答える。
それを聞いて、少し嬉しくなったフレイも、にっと笑う。
「僕も、頑張っているよ」
「そうだな。無詠唱には、驚かされたし、蒼炎に至っては想像の範囲外だったからな……」
0
お気に入りに追加
54
あなたにおすすめの小説
さようなら、家族の皆さま~不要だと捨てられた妻は、精霊王の愛し子でした~
みなと
ファンタジー
目が覚めた私は、ぼんやりする頭で考えた。
生まれた息子は乳母と義母、父親である夫には懐いている。私のことは、無関心。むしろ馬鹿にする対象でしかない。
夫は、私の実家の資産にしか興味は無い。
なら、私は何に興味を持てばいいのかしら。
きっと、私が生きているのが邪魔な人がいるんでしょうね。
お生憎様、死んでやるつもりなんてないの。
やっと、私は『私』をやり直せる。
死の淵から舞い戻った私は、遅ればせながら『自分』をやり直して楽しく生きていきましょう。
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
【書籍化】家に住み着いている妖精に愚痴ったら、国が滅びました【決定】
猿喰 森繁
ファンタジー
【書籍化決定しました!】
11月中旬刊行予定です。
これも多くの方が、お気に入り登録してくださったおかげです
ありがとうございます。
【あらすじ】
精霊の加護なくして魔法は使えない。
私は、生まれながらにして、加護を受けることが出来なかった。
加護なしは、周りに不幸をもたらすと言われ、家族だけでなく、使用人たちからも虐げられていた。
王子からも婚約を破棄されてしまい、これからどうしたらいいのか、友人の屋敷妖精に愚痴ったら、隣の国に知り合いがいるということで、私は夜逃げをすることにした。
まさか、屋敷妖精の一声で、精霊の信頼がなくなり、国が滅ぶことになるとは、思いもしなかった。
悪意か、善意か、破滅か
野村にれ
恋愛
婚約者が別の令嬢に恋をして、婚約を破棄されたエルム・フォンターナ伯爵令嬢。
婚約者とその想い人が自殺を図ったことで、美談とされて、
悪意に晒されたエルムと、家族も一緒に爵位を返上してアジェル王国を去った。
その後、アジェル王国では、徐々に異変が起こり始める。
もふもふ大好き家族が聖女召喚に巻き込まれる~時空神様からの気まぐれギフト・スキル『ルーム』で家族と愛犬守ります~
鐘ケ江 しのぶ
ファンタジー
第15回ファンタジー大賞、奨励賞頂きました。
投票していただいた皆さん、ありがとうございます。
励みになりましたので、感想欄は受け付けのままにします。基本的には返信しませんので、ご了承ください。
「あんたいいかげんにせんねっ」
異世界にある大国ディレナスの王子が聖女召喚を行った。呼ばれたのは聖女の称号をもつ華憐と、派手な母親と、華憐の弟と妹。テンプレートのように巻き込まれたのは、聖女華憐に散々迷惑をかけられてきた、水澤一家。
ディレナスの大臣の1人が申し訳ないからと、世話をしてくれるが、絶対にあの華憐が何かやらかすに決まっている。一番の被害者である水澤家長女優衣には、新種のスキルが異世界転移特典のようにあった。『ルーム』だ。
一緒に巻き込まれた両親と弟にもそれぞれスキルがあるが、優衣のスキルだけ異質に思えた。だが、当人はこれでどうにかして、家族と溺愛している愛犬花を守れないかと思う。
まずは、聖女となった華憐から逃げることだ。
聖女召喚に巻き込まれた4人家族+愛犬の、のんびりで、もふもふな生活のつもりが……………
ゆるっと設定、方言がちらほら出ますので、読みにくい解釈しにくい箇所があるかと思いますが、ご了承頂けたら幸いです。
テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~
水無月 静琉
ファンタジー
神様のミスによって命を落とし、転生した茅野巧。様々なスキルを授かり異世界に送られると、そこは魔物が蠢く危険な森の中だった。タクミはその森で双子と思しき幼い男女の子供を発見し、アレン、エレナと名づけて保護する。格闘術で魔物を楽々倒す二人に驚きながらも、街に辿り着いたタクミは生計を立てるために冒険者ギルドに登録。アレンとエレナの成長を見守りながらの、のんびり冒険者生活がスタート!
***この度アルファポリス様から書籍化しました! 詳しくは近況ボードにて!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる