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凍雪国編第1章
第92話 フレイの無詠唱魔法2
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ホレイは、フレイの手に集まる魔力を確かに感じ取る。
「それで、どうして、手に魔力を集めたんだ?」
「う~ん……。上手く言葉にできないけど、手をぎゅっと握り締めると、手にドクドクと脈打つ感じがしたの。こうやって……」
フレイは、右手に拳を作り上げ、ぎゅうぅぅ……と硬く握り込む。
「すると、この感じが、胸の辺りで魔力を練り上げるときの感覚と似ていたから……。あぁ……、これも魔力なんだなと思って、火属性を乗せてみたの。そしたら、上手く火を出すことができたんだよ」
へへへっと、フレイは得意げに笑って、握り締めた拳を開いて、炎を生み出す。
「……」
ホレイは、フレイの手のひらから立ち昇る炎を再びじっと見つめる。
「これって、すごいことなんだね」
フレイは、にんまりと笑って、ニアを見る。
「……みたいね」
ニアは、フレイが嬉しそうにしているのを見て、微笑ましくなって笑う。
「フレイ……」
しばらく沈黙していたホレイが口を開く。
「なぁに?」
「それは、無詠唱だ……」
ホレイは、眉間に手を当てて、難しい顔を作りながら答える。
「無詠唱?」
「そうだ。フレイは、その炎を出すときに、魔法名を唱えなかったな?」
ホレイは、『ファイヤー』や『フレア』の魔法名の詠唱がなかったことを指摘する。
無詠唱は、魔法名を唱えずに魔法を発動させる高等技術で、魔法を極めた者だけが使いこなせる技術である。
なお、未熟な者や魔力量の少ないものは、魔法名だけでは魔法を発動させることができない。
そのため、大陸のほとんどの魔法師は、術式詠唱という発動技術に頼る必要があり、魔法名を唱える前に魔力波長を整える術式詠唱を行う。
「あれ? そういえばそうかも……」
「無詠唱は、高度な魔法技術で、たいへん難しい技術だ」
「そうなの?」
「あぁ……。現に、私は、魔法名を唱えずに、炎を生み出すことができない」
ホレイは、以前に何度も無詠唱に挑戦してみたが、これまで一度も発動させることができなかった。
「ホレイさんが? ニア姉さんは、できるよ?」
「はい。それは、私もできます」
ニアは、胸の前で両手を組み合わせて魔力を練り上げたあと、右の手のひらを前に差し出し、フレイとは違う赤みがかった火を生み出す。
それを見たホレイは、目を大きく見開き、驚愕の顔つきをする。
「……どうなっているんだ?」
そして、ランジェを見て、「お前もできるのか?」と問う。
「私は、できないよ」
ランジェは、無理無理と手を横に振って、ホレイに答える。
「そうか……」
ホレイは、少し残念そうな顔をして、2人の手のひらを調べる。
「特に、変わったところはないな……」
ホレイは、フレイとニアの手のひらや甲を触って、何も異常がないことを確認する。
「フレイとニア。すまんが、もう一度、火を出してもらえるか?」
「うん、いいよ」
「はい」
フレイとニアは、それぞれ別の動作をしてから、手のひらを前に突き出して、炎と火を生み出す。
「フレイのは炎で、ニアは火か……」
ホレイは、2つの火を見比べて、感想を述べる。
「炎?」
フレイは、自分の手のひらから立ち昇る火を見て、首をかしげる。
「そうだ。フレイの火は、火柱が複数集まり、勢いが強く青味を帯びている。これは、高出力で高温な炎である証拠だ。一方、ニアのは、火柱が1つで、赤色の火が穏やかに燃えている」
フレイとニアは、お互いに顔を見合わせて、「そういえばちょっと感じが違うね」と小声で話し合う。
「一般に、フレイのような勢いのある強い火を、魔法では炎属性に分類し、火属性の上級属性として区別する」
ホレイは、驚きすぎて、もはや淡々と事実だけを述べる。
「それで、どうして、手に魔力を集めたんだ?」
「う~ん……。上手く言葉にできないけど、手をぎゅっと握り締めると、手にドクドクと脈打つ感じがしたの。こうやって……」
フレイは、右手に拳を作り上げ、ぎゅうぅぅ……と硬く握り込む。
「すると、この感じが、胸の辺りで魔力を練り上げるときの感覚と似ていたから……。あぁ……、これも魔力なんだなと思って、火属性を乗せてみたの。そしたら、上手く火を出すことができたんだよ」
へへへっと、フレイは得意げに笑って、握り締めた拳を開いて、炎を生み出す。
「……」
ホレイは、フレイの手のひらから立ち昇る炎を再びじっと見つめる。
「これって、すごいことなんだね」
フレイは、にんまりと笑って、ニアを見る。
「……みたいね」
ニアは、フレイが嬉しそうにしているのを見て、微笑ましくなって笑う。
「フレイ……」
しばらく沈黙していたホレイが口を開く。
「なぁに?」
「それは、無詠唱だ……」
ホレイは、眉間に手を当てて、難しい顔を作りながら答える。
「無詠唱?」
「そうだ。フレイは、その炎を出すときに、魔法名を唱えなかったな?」
ホレイは、『ファイヤー』や『フレア』の魔法名の詠唱がなかったことを指摘する。
無詠唱は、魔法名を唱えずに魔法を発動させる高等技術で、魔法を極めた者だけが使いこなせる技術である。
なお、未熟な者や魔力量の少ないものは、魔法名だけでは魔法を発動させることができない。
そのため、大陸のほとんどの魔法師は、術式詠唱という発動技術に頼る必要があり、魔法名を唱える前に魔力波長を整える術式詠唱を行う。
「あれ? そういえばそうかも……」
「無詠唱は、高度な魔法技術で、たいへん難しい技術だ」
「そうなの?」
「あぁ……。現に、私は、魔法名を唱えずに、炎を生み出すことができない」
ホレイは、以前に何度も無詠唱に挑戦してみたが、これまで一度も発動させることができなかった。
「ホレイさんが? ニア姉さんは、できるよ?」
「はい。それは、私もできます」
ニアは、胸の前で両手を組み合わせて魔力を練り上げたあと、右の手のひらを前に差し出し、フレイとは違う赤みがかった火を生み出す。
それを見たホレイは、目を大きく見開き、驚愕の顔つきをする。
「……どうなっているんだ?」
そして、ランジェを見て、「お前もできるのか?」と問う。
「私は、できないよ」
ランジェは、無理無理と手を横に振って、ホレイに答える。
「そうか……」
ホレイは、少し残念そうな顔をして、2人の手のひらを調べる。
「特に、変わったところはないな……」
ホレイは、フレイとニアの手のひらや甲を触って、何も異常がないことを確認する。
「フレイとニア。すまんが、もう一度、火を出してもらえるか?」
「うん、いいよ」
「はい」
フレイとニアは、それぞれ別の動作をしてから、手のひらを前に突き出して、炎と火を生み出す。
「フレイのは炎で、ニアは火か……」
ホレイは、2つの火を見比べて、感想を述べる。
「炎?」
フレイは、自分の手のひらから立ち昇る火を見て、首をかしげる。
「そうだ。フレイの火は、火柱が複数集まり、勢いが強く青味を帯びている。これは、高出力で高温な炎である証拠だ。一方、ニアのは、火柱が1つで、赤色の火が穏やかに燃えている」
フレイとニアは、お互いに顔を見合わせて、「そういえばちょっと感じが違うね」と小声で話し合う。
「一般に、フレイのような勢いのある強い火を、魔法では炎属性に分類し、火属性の上級属性として区別する」
ホレイは、驚きすぎて、もはや淡々と事実だけを述べる。
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