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凍雪国編第1章
第87話 ナミードの書2
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ホレイは、寝室へ行き、本棚から使い古された1冊の分厚い本を手にとって戻ってくる。
すると、居間には、すでに3人が揃って座っていて、真ん中に座っているランジェがホレイを見るなり声をかけてくる。
「お父さん、それは何?」
「これか? これは、ナミードの書だ」
ホレイは、ボロボロに傷んだ表紙をぽんぽんと叩き、机の上に置く。
「何の本?」
「基礎魔法が書かれた本だな」
「ふ~ん……。ずいぶん古そうな本ね」
ランジェは、椅子に座ったホレイからナミードの書を受け取り、ボロボロになった表紙を触りながら言う。
「千年以上前に書かれた本だからな」
「千年?」
ランジェが持っている本を、隣から身を乗り出すようにして見ていたフレイが尋ねる。
「そうだな。その本は、ナミードが帝都で宮廷魔法師をしていたときに記されたものだとされている。大体、今から千年ぐらい前のことだな」
「もしかして、すごく貴重な本なの?」
フレイは、お宝と名のつくものに興味を持ち始める年頃で、目を輝かせながら聞く。
「あぁ。この村の秘宝とも言える代物だ。ただ、その本は、ナミードの書のオリジナルではない。残念ながら、現存する写本のうちの1つだな」
「ふ~ん……」
フレイは、ランジェから本を受け取って、しげしげと眺める。
すると、ランジェの左隣に座っていたニアが、ホレイに尋ねる。
「ホレイさん。オリジナルの書はどこにあるの?」
「分からない。オリジナルの書は、ナミードが帝都に置いてきたとも、逃避行の途中で失われたとも言われている。今となっては、ナミードがその写本をこの村に伝えてくれた事実だけが残っている」
ホレイは、フレイが重そうに持っている本を指し示して言う。
「この本は、オリジナルと変わらないの?」
フレイは、なかのページをパラパラとめくり、難解な文字がたくさん並んでいるのを見て、難しい顔をする。
「ほとんど変わらないな」
「ほとんど?」
「あぁ。この写本には、ナミードがこの村に来てから、いろいろと書き加えた箇所がある。だから、オリジナルよりも分かりやすくなっている」
ホレイは、フレイがちょうど開いたページの隅をとんとんと叩く。
そこには、いくつか走り書きがしてあり、簡単な絵も付け加えられている。
「じゃぁ、この本がオリジナルになるんじゃないの?」
「そうとも言えるが、欠けているページがあるからな……。フレイ、最後のページを開いてみてくれるか?」
「最後のページ?」
「そうだ。裏表紙の前の部分だな」
フレイは、裏表紙を開いて、何も書かれていない紙を何枚かめくる。
「何も書かれていないところが多いよ」
「そうなんだ。最後に書かれているページを開いてくれるか?」
「うん」
フレイは、10枚ほど紙をめくって、ようやく魔方陣が描かれたページを開く。
「そこだな。ちょっと貸してくれ」
ホレイは、フレイから本を受け取り、魔法陣が描かれたページの一番下の行を指し示す。
すると、居間には、すでに3人が揃って座っていて、真ん中に座っているランジェがホレイを見るなり声をかけてくる。
「お父さん、それは何?」
「これか? これは、ナミードの書だ」
ホレイは、ボロボロに傷んだ表紙をぽんぽんと叩き、机の上に置く。
「何の本?」
「基礎魔法が書かれた本だな」
「ふ~ん……。ずいぶん古そうな本ね」
ランジェは、椅子に座ったホレイからナミードの書を受け取り、ボロボロになった表紙を触りながら言う。
「千年以上前に書かれた本だからな」
「千年?」
ランジェが持っている本を、隣から身を乗り出すようにして見ていたフレイが尋ねる。
「そうだな。その本は、ナミードが帝都で宮廷魔法師をしていたときに記されたものだとされている。大体、今から千年ぐらい前のことだな」
「もしかして、すごく貴重な本なの?」
フレイは、お宝と名のつくものに興味を持ち始める年頃で、目を輝かせながら聞く。
「あぁ。この村の秘宝とも言える代物だ。ただ、その本は、ナミードの書のオリジナルではない。残念ながら、現存する写本のうちの1つだな」
「ふ~ん……」
フレイは、ランジェから本を受け取って、しげしげと眺める。
すると、ランジェの左隣に座っていたニアが、ホレイに尋ねる。
「ホレイさん。オリジナルの書はどこにあるの?」
「分からない。オリジナルの書は、ナミードが帝都に置いてきたとも、逃避行の途中で失われたとも言われている。今となっては、ナミードがその写本をこの村に伝えてくれた事実だけが残っている」
ホレイは、フレイが重そうに持っている本を指し示して言う。
「この本は、オリジナルと変わらないの?」
フレイは、なかのページをパラパラとめくり、難解な文字がたくさん並んでいるのを見て、難しい顔をする。
「ほとんど変わらないな」
「ほとんど?」
「あぁ。この写本には、ナミードがこの村に来てから、いろいろと書き加えた箇所がある。だから、オリジナルよりも分かりやすくなっている」
ホレイは、フレイがちょうど開いたページの隅をとんとんと叩く。
そこには、いくつか走り書きがしてあり、簡単な絵も付け加えられている。
「じゃぁ、この本がオリジナルになるんじゃないの?」
「そうとも言えるが、欠けているページがあるからな……。フレイ、最後のページを開いてみてくれるか?」
「最後のページ?」
「そうだ。裏表紙の前の部分だな」
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「何も書かれていないところが多いよ」
「そうなんだ。最後に書かれているページを開いてくれるか?」
「うん」
フレイは、10枚ほど紙をめくって、ようやく魔方陣が描かれたページを開く。
「そこだな。ちょっと貸してくれ」
ホレイは、フレイから本を受け取り、魔法陣が描かれたページの一番下の行を指し示す。
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