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凍雪国編第1章
第82話 魔力感知の訓練2
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2人は、先ほど歩いていた獣道から外れ、ホレイの背丈よりも大きな岩場がある場所に辿り着く。
「フレイ。この岩の隙間から魔素が噴出しているが……、分かるか?」
ホレイは、縦に大きく裂けている岩の隙間へ手をかざし、フレイに尋ねる。
岩の裂け目は、どこにでもある亀裂で、見た目には何の変化も見られない。
ただし、その裂け目からは、常に目に見えない魔素が風とともに吹き出し続けている。
「なんだか、温かい湯気みたいな感じがするよ」
フレイも、その裂け目に手をかざして答える。
「それが、新鮮な濃い魔素に触れたときの感覚だな」
「ふ~ん……」
フレイは、不思議そうな顔をし、奥深くへ続いている岩の裂け目を覗き込む。
ホレイは、魔素酔いの気配すらないフレイに安心し、フレイのしたいようにさせる。
「どうしてそんな感じがするか、分かるか?」
「ううん」
「魔素が、大地のエネルギーというのは、知っているな?」
「うん。大地のエネルギーって、龍脈のことだよね?」
フレイは、そのことを、今朝ダイザから教えられたばかりだ。
龍脈は、地下を巡る大地のエネルギーの奔流のことで、この島には、龍脈とつながる穴がたくさんある。
フレイの目の前にある岩の裂け目も、龍脈孔の1つである。
「そうだ。龍脈とは、東の大陸で名付けられた呼び方だが、万物を育む力のことだ」
「じゃぁ、この温かい湯気みたいなものが魔素なの?」
「あぁ、そうだ。大地から生み出されたばかりの魔素は、肌にやわらかく温かみがある」
「ふ~ん……」
フレイは、面白そうに岩の裂け目に手をかざし、温かな感触を楽しみ、手を開いたり閉じたりする。
「因みにだが、地熱水は、大地のエネルギーによって、地下水が温められて地上に噴き出したものだ」
「そうなんだ……」
フレイは、両手で魔素の温かみを包み込む。
「魔素もそれと同じだ。もともとは、大地のエネルギーだから、地熱水のように噴出してくるんだ。だから、魔素も温かい感じがすると覚えておけばいい」
「うん。それなら、なんとなく分かるよ」
フレイは、次々に湧き出してくる魔素を集め、丸い塊にしようと奮闘する。
しかし、魔素は温かさだけをフレイの手のひらに残して、すぐに霧散してしまう。
「そうか? 魔素は、地上で漂っているうちに、この温かみが消えてしまう。だから、ここから離れたところでは、まとわり付くような、粘つくような感覚だけになる。これは、地熱水がただの水になるのと同じだな」
「うん」
フレイは、ちっとも集らない魔素集めを断念し、ホレイに向き直って話を聞く。
「フレイは、この感覚を、魔力を集めるときの感覚と区別できるようになればいい。そうすれば、魔素が濃いところでも、離れたところにある魔力の強弱が分かるようになる」
「魔素と魔力は、別ってこと?」
「簡単に言えば、そうだ」
「でも、魔力は魔素から作られるんでしょ?」
「そうだな」
「違いが分からないよ」
フレイは、魔素の噴き出し口に手をかざし、手に込めた魔力と比べる。
「そうか? では、分かりやすく説明するぞ?」
「うん」
「フレイは、魔力も魔素も同じものであると思っているかもしれんが、厳密には違う」
ホレイは、左右の手のひらを見比べているフレイを見て言う。
「うん」
「魔力は、魔素を集約し活性化したものだ。つまり、魔力は、力を発動できる状態にしたものを言うのであって、ただのエネルギーとして漂っている魔素とは区別ができるんだよ」
「その違いが分からない……」
「そうか? では、実際にその違いを見せてやろう」
ホレイは、魔力探知の極意である魔力と魔素の違いを区別する方法をフレイに教える。
「フレイ。この岩の隙間から魔素が噴出しているが……、分かるか?」
ホレイは、縦に大きく裂けている岩の隙間へ手をかざし、フレイに尋ねる。
岩の裂け目は、どこにでもある亀裂で、見た目には何の変化も見られない。
ただし、その裂け目からは、常に目に見えない魔素が風とともに吹き出し続けている。
「なんだか、温かい湯気みたいな感じがするよ」
フレイも、その裂け目に手をかざして答える。
「それが、新鮮な濃い魔素に触れたときの感覚だな」
「ふ~ん……」
フレイは、不思議そうな顔をし、奥深くへ続いている岩の裂け目を覗き込む。
ホレイは、魔素酔いの気配すらないフレイに安心し、フレイのしたいようにさせる。
「どうしてそんな感じがするか、分かるか?」
「ううん」
「魔素が、大地のエネルギーというのは、知っているな?」
「うん。大地のエネルギーって、龍脈のことだよね?」
フレイは、そのことを、今朝ダイザから教えられたばかりだ。
龍脈は、地下を巡る大地のエネルギーの奔流のことで、この島には、龍脈とつながる穴がたくさんある。
フレイの目の前にある岩の裂け目も、龍脈孔の1つである。
「そうだ。龍脈とは、東の大陸で名付けられた呼び方だが、万物を育む力のことだ」
「じゃぁ、この温かい湯気みたいなものが魔素なの?」
「あぁ、そうだ。大地から生み出されたばかりの魔素は、肌にやわらかく温かみがある」
「ふ~ん……」
フレイは、面白そうに岩の裂け目に手をかざし、温かな感触を楽しみ、手を開いたり閉じたりする。
「因みにだが、地熱水は、大地のエネルギーによって、地下水が温められて地上に噴き出したものだ」
「そうなんだ……」
フレイは、両手で魔素の温かみを包み込む。
「魔素もそれと同じだ。もともとは、大地のエネルギーだから、地熱水のように噴出してくるんだ。だから、魔素も温かい感じがすると覚えておけばいい」
「うん。それなら、なんとなく分かるよ」
フレイは、次々に湧き出してくる魔素を集め、丸い塊にしようと奮闘する。
しかし、魔素は温かさだけをフレイの手のひらに残して、すぐに霧散してしまう。
「そうか? 魔素は、地上で漂っているうちに、この温かみが消えてしまう。だから、ここから離れたところでは、まとわり付くような、粘つくような感覚だけになる。これは、地熱水がただの水になるのと同じだな」
「うん」
フレイは、ちっとも集らない魔素集めを断念し、ホレイに向き直って話を聞く。
「フレイは、この感覚を、魔力を集めるときの感覚と区別できるようになればいい。そうすれば、魔素が濃いところでも、離れたところにある魔力の強弱が分かるようになる」
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「でも、魔力は魔素から作られるんでしょ?」
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「うん」
「魔力は、魔素を集約し活性化したものだ。つまり、魔力は、力を発動できる状態にしたものを言うのであって、ただのエネルギーとして漂っている魔素とは区別ができるんだよ」
「その違いが分からない……」
「そうか? では、実際にその違いを見せてやろう」
ホレイは、魔力探知の極意である魔力と魔素の違いを区別する方法をフレイに教える。
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