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凍雪国編第1章
第73話 身分証となる鑑札
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ジョティルは、腰に巻きつけた麻袋から、鉄色の四角い金属片を1枚取り出して、バージの手のひらの上に載せる。
「これが、身分証だ」
バージは、ジョティルから受け取った金属片をアロンたちに見せて言う。
―――――――――――――――
【国民証】
名前:ジョティル・エンゼイ
出身地:ディスガルド国フィーカンド
性別:男
瞳:淡黄碧
髪:灰白銀
認定者:ディスガルド国国主
登録番号:0086926
―――――――――――――――
「この身分証というのは、個人を特定する鑑札だ。この村に住む俺たちには必要のないものだが、大勢の人間が暮らす都市では、都市に住む人間であることを証明する必要があるんだ」
「どうしてですか?」
アロンは、不思議そうな顔をして質問する。
「そうじゃないと、元からいる住人か、余所から来て住み着いた人間かが分からなくなるからな。また、盗人が入り込んできても分からなくなってしまう」
「そうなんですね」
「あぁ。都市には、いろいろな人間がいるから、問題を避けるために、国が身分証を発行して、身元を保証しているんだ」
「因みに、私の身分証は、エンゼイ族が持つ国民証の鑑札です。ですので、都市に住んでいる市民が持つ市民証とは違うものになります。また、私は、この身分証のほかにも、国の役人を示す鑑札も持っています」
そう言って、ジョティルは、麻袋から薄い黄色をした同じ大きさの金属片を取り出す。
―――――――――――――――
【役人証】
名前:ジョティル・エンゼイ
出身地:ディスガルド国フィーカンド
性別:男
瞳:淡黄碧
髪:灰白銀
所属国:ディスガルド国
役職:巡察官(北部方面)
任命者:ディスガルド国国主
発行番号:003723
―――――――――――――――
「これは、巡察官の鑑札で、身分証と区別できるように、少し色が異なっています。また、鑑札は、このほかにもいくつか種類があり、行商や冒険で国家間を行き来するものには、それぞれ行商証、ギルド証が与えられます」
「ギルド?」
それまで静かに聞いていたジルが、思わず疑問を口にする。
「えぇ、そうですよ。ジルさん。ギルドというのは、冒険者が登録する冒険者団体のことです。このギルドは、特定の国家に所属せず、国家間にまたがって運営されている組織のことです」
ジルは、途端に目を輝かせ、興味津々な様子で聞き入る。
「ギルドは、国や市民からの依頼を受けて、冒険者を募ります。そして、冒険者は、それぞれの依頼をこなすことで、報酬を受け取れる仕組みになっています。もちろん、冒険者の熟練度によって受けられる依頼は異なり、難易度が高い依頼ほど報酬も高額になっていきます」
ジョティルは、冒険者ギルドでは簡単な試験をクリアした者だけが登録することができ、最初は皆、☆が1つの見習い冒険者からスタートすることを説明する。
また、冒険者のランクを示す☆は、どのギルドに所属していても大陸の統一基準で審査され、全部で☆1~☆7まであり、☆7は伝説級と謳われるほどの強者しかなれないことを教える。
これまでに☆7に到達した者は、わずか22人であり、現在生存が確認されている人数では10人に満たない。
それらを聞いたアロンとジルが、お互いの目を見合わせ、思わず笑みをこぼす。
「おっと、お前たちは冒険者にはならんぞ。今回は、任務で行くんだからな」
バージは、すかさず2人をたしなめる。
「でも、バージさん。もう少し詳しく知りたい」
ジルが、バージに懇願する。
「まぁ、それは構わんが、教練師の任務の方が報酬は上だぞ」
「えぇ、そうですね。アロンさんたちは、冒険者に興味がおありのようですが、冒険者は報酬が保証されていません。そして、将来の保証もなく、とても不安定な職業です。それに、依頼内容にもよりますが、難易度の高いものでは命を落とすものが続出しています」
ジョティルが、表情にやや厳しさを加えて説明する。
「これが、身分証だ」
バージは、ジョティルから受け取った金属片をアロンたちに見せて言う。
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【国民証】
名前:ジョティル・エンゼイ
出身地:ディスガルド国フィーカンド
性別:男
瞳:淡黄碧
髪:灰白銀
認定者:ディスガルド国国主
登録番号:0086926
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「この身分証というのは、個人を特定する鑑札だ。この村に住む俺たちには必要のないものだが、大勢の人間が暮らす都市では、都市に住む人間であることを証明する必要があるんだ」
「どうしてですか?」
アロンは、不思議そうな顔をして質問する。
「そうじゃないと、元からいる住人か、余所から来て住み着いた人間かが分からなくなるからな。また、盗人が入り込んできても分からなくなってしまう」
「そうなんですね」
「あぁ。都市には、いろいろな人間がいるから、問題を避けるために、国が身分証を発行して、身元を保証しているんだ」
「因みに、私の身分証は、エンゼイ族が持つ国民証の鑑札です。ですので、都市に住んでいる市民が持つ市民証とは違うものになります。また、私は、この身分証のほかにも、国の役人を示す鑑札も持っています」
そう言って、ジョティルは、麻袋から薄い黄色をした同じ大きさの金属片を取り出す。
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【役人証】
名前:ジョティル・エンゼイ
出身地:ディスガルド国フィーカンド
性別:男
瞳:淡黄碧
髪:灰白銀
所属国:ディスガルド国
役職:巡察官(北部方面)
任命者:ディスガルド国国主
発行番号:003723
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「これは、巡察官の鑑札で、身分証と区別できるように、少し色が異なっています。また、鑑札は、このほかにもいくつか種類があり、行商や冒険で国家間を行き来するものには、それぞれ行商証、ギルド証が与えられます」
「ギルド?」
それまで静かに聞いていたジルが、思わず疑問を口にする。
「えぇ、そうですよ。ジルさん。ギルドというのは、冒険者が登録する冒険者団体のことです。このギルドは、特定の国家に所属せず、国家間にまたがって運営されている組織のことです」
ジルは、途端に目を輝かせ、興味津々な様子で聞き入る。
「ギルドは、国や市民からの依頼を受けて、冒険者を募ります。そして、冒険者は、それぞれの依頼をこなすことで、報酬を受け取れる仕組みになっています。もちろん、冒険者の熟練度によって受けられる依頼は異なり、難易度が高い依頼ほど報酬も高額になっていきます」
ジョティルは、冒険者ギルドでは簡単な試験をクリアした者だけが登録することができ、最初は皆、☆が1つの見習い冒険者からスタートすることを説明する。
また、冒険者のランクを示す☆は、どのギルドに所属していても大陸の統一基準で審査され、全部で☆1~☆7まであり、☆7は伝説級と謳われるほどの強者しかなれないことを教える。
これまでに☆7に到達した者は、わずか22人であり、現在生存が確認されている人数では10人に満たない。
それらを聞いたアロンとジルが、お互いの目を見合わせ、思わず笑みをこぼす。
「おっと、お前たちは冒険者にはならんぞ。今回は、任務で行くんだからな」
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「でも、バージさん。もう少し詳しく知りたい」
ジルが、バージに懇願する。
「まぁ、それは構わんが、教練師の任務の方が報酬は上だぞ」
「えぇ、そうですね。アロンさんたちは、冒険者に興味がおありのようですが、冒険者は報酬が保証されていません。そして、将来の保証もなく、とても不安定な職業です。それに、依頼内容にもよりますが、難易度の高いものでは命を落とすものが続出しています」
ジョティルが、表情にやや厳しさを加えて説明する。
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