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凍雪国編第1章
第59話 ヤグラムの逃避行2
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ヤグラムは、生涯で二男二女をもうけている。
そのうち、長男は、短命族の襲撃にあって命を落とし、長女のユザクは、バルトへ降嫁している。
ダイザは、ヤグラムの死後、残された次男次女についての行動を説明する。
「ヤグラムを失ったあと、2人の子どもたちはより安全な場所を求めて、辺境の地を歩き回った。そして、絶海の孤島ともいうべきこの島を発見して、探索に乗り出した」
「それで、どうなったの?」
クスリナが、早く先を知りたそうにして、ダイザに聞く。
「まぁ、待ってくれ。その話の前に、この島のことを説明させてくれ」
ダイザは、クスリナのはやる気持ちを落ち着かせるために、深呼吸をして一拍おく。
「皆は意識したことはないかもしれないが、この島の魔素は非常に濃密だ。だから、この島に上陸できるのは、魔力量の多いものたちに限られる。残された子どもたちや支族も例外ではなかった」
「そうなの?」
「あぁ。実際、支族のほとんどはこの島に近づくことすらできなかった。結果的に、ヤグラムの血を引く子どもたちと、魔力量に優れた一部の者たちだけが、この島に上陸できたんだ」
「じゃぁ、僕たちの先祖は、ヤグラムの子どもたちなんだね」
デュークが、ダイザに問う。
「厳密に言うと、少し違う。ヤグラムの子どもたちと、随行していた魔法師や魔力に優れたものたちだな」
そこまで説明をし終えたダイザは、ドルマを見て聞く。
「村長。この村ができたいきさつについて、もう少し詳しく話をしても宜しいですか?」
「うむ。そのまま続けてくれ。ただ、ボーにも、関係してくるであろう」
ドルマは、そう言って、竈近くに寝そべるボーに向かって手招きをする。
「ボー、こっちへ来てくれぬか?」
ボーは、のそりと頭を上げてドルマを見たあと、立ち上がる。
「お前たち、フレイのもとで大人しくしていろよ」
ボーは、子どもたちへ声をかける。
そして、ドルマのところまでゆっくりと歩いて行く。
「聖脈の話か?」
ボーは、厳かにドルマに問う。
「そうじゃ。その話をするときには、ボーにもそばにいてもらいたいからのぅ」
「よかろう」
ボーは、そう答えて、ダイザのそばへ座り、ダイザが話し出すのを待つ。
ダイザは、ボーをちらりと見て、皆に向かって話し出す。
「さて、皆にこの村の秘密を話す前に、先ほど、この島には魔素が充満していると言ったが、それに気がついているものがいれば、手を上げてくれ」
そう言って、ダイザは、皆を見渡し、大人の幾人かが手を挙げたものの、アロンやジル、キントを含め、子どもたちの誰も手を上げていないことを確認する。
「やはりな。この島で生まれ育ったものは、この異常な環境に慣れ親しんでしまって、感覚が麻痺を起こしてしまっている。その証拠に、もし、短命族の人間が、この地に足を踏み入れたのなら、彼らは短時間のうちに魔素酔いを起こして、魔臓を傷つけられるか、運が悪いと命を落としてしまう」
魔素酔いは、己に宿る魔力量よりも強い魔素に触れることで引き起こされる。
魔素酔いを発症すると、体内で荒れ狂う魔力が、魔力の貯蔵庫である魔臓を傷つける。
「私は、何も感じないわ」
「僕も……」
仲の良いクスリナとデュークが、声を上げ、ダイザの言葉を聞いたほかの子どもたちも、不思議そうに自分の体や周囲の様子を伺う。
そのうち、長男は、短命族の襲撃にあって命を落とし、長女のユザクは、バルトへ降嫁している。
ダイザは、ヤグラムの死後、残された次男次女についての行動を説明する。
「ヤグラムを失ったあと、2人の子どもたちはより安全な場所を求めて、辺境の地を歩き回った。そして、絶海の孤島ともいうべきこの島を発見して、探索に乗り出した」
「それで、どうなったの?」
クスリナが、早く先を知りたそうにして、ダイザに聞く。
「まぁ、待ってくれ。その話の前に、この島のことを説明させてくれ」
ダイザは、クスリナのはやる気持ちを落ち着かせるために、深呼吸をして一拍おく。
「皆は意識したことはないかもしれないが、この島の魔素は非常に濃密だ。だから、この島に上陸できるのは、魔力量の多いものたちに限られる。残された子どもたちや支族も例外ではなかった」
「そうなの?」
「あぁ。実際、支族のほとんどはこの島に近づくことすらできなかった。結果的に、ヤグラムの血を引く子どもたちと、魔力量に優れた一部の者たちだけが、この島に上陸できたんだ」
「じゃぁ、僕たちの先祖は、ヤグラムの子どもたちなんだね」
デュークが、ダイザに問う。
「厳密に言うと、少し違う。ヤグラムの子どもたちと、随行していた魔法師や魔力に優れたものたちだな」
そこまで説明をし終えたダイザは、ドルマを見て聞く。
「村長。この村ができたいきさつについて、もう少し詳しく話をしても宜しいですか?」
「うむ。そのまま続けてくれ。ただ、ボーにも、関係してくるであろう」
ドルマは、そう言って、竈近くに寝そべるボーに向かって手招きをする。
「ボー、こっちへ来てくれぬか?」
ボーは、のそりと頭を上げてドルマを見たあと、立ち上がる。
「お前たち、フレイのもとで大人しくしていろよ」
ボーは、子どもたちへ声をかける。
そして、ドルマのところまでゆっくりと歩いて行く。
「聖脈の話か?」
ボーは、厳かにドルマに問う。
「そうじゃ。その話をするときには、ボーにもそばにいてもらいたいからのぅ」
「よかろう」
ボーは、そう答えて、ダイザのそばへ座り、ダイザが話し出すのを待つ。
ダイザは、ボーをちらりと見て、皆に向かって話し出す。
「さて、皆にこの村の秘密を話す前に、先ほど、この島には魔素が充満していると言ったが、それに気がついているものがいれば、手を上げてくれ」
そう言って、ダイザは、皆を見渡し、大人の幾人かが手を挙げたものの、アロンやジル、キントを含め、子どもたちの誰も手を上げていないことを確認する。
「やはりな。この島で生まれ育ったものは、この異常な環境に慣れ親しんでしまって、感覚が麻痺を起こしてしまっている。その証拠に、もし、短命族の人間が、この地に足を踏み入れたのなら、彼らは短時間のうちに魔素酔いを起こして、魔臓を傷つけられるか、運が悪いと命を落としてしまう」
魔素酔いは、己に宿る魔力量よりも強い魔素に触れることで引き起こされる。
魔素酔いを発症すると、体内で荒れ狂う魔力が、魔力の貯蔵庫である魔臓を傷つける。
「私は、何も感じないわ」
「僕も……」
仲の良いクスリナとデュークが、声を上げ、ダイザの言葉を聞いたほかの子どもたちも、不思議そうに自分の体や周囲の様子を伺う。
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