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凍雪国編第1章
第56話 バルトの盟約4
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ホレイは、バルト国での生活を語る。
バルト国は、長らく鎖国をしてきたことにより、文明の発展から取り残されてきた面がある一方、独自の文化を育んでもいる。
ホレイが起居した集落では、自然と共存する生活様式に、ところどころで骨董的価値のある魔導具が大切に使われ続けていた。
「私は、持っていった透輝石を加工して、魔法具をいくつか置いてきた。マウテンは確か……、首長に頼まれて、バルト民に稽古をつけていたな。私たちは、一月ほど滞在してから帰ってきたわけだが、帰りがけに首長から伝言を頼まれた」
「どんな?」
ホレイの言葉に興味を抱いたトイが聞く。
「そうだな……。では、正確を期すために、首長の言葉を復唱するぞ。首長の言葉はこうだった……。『我らは、幾百の年月が過ぎようとも、縁に導かれし運命の糸を信じ続ける。我らは、力なき種族であるがゆえに、騒乱とは関わり無く静かに暮らしていく。だが、もし我らに存亡の危機が訪れるならば、そのときはユザク様の契りにおすがりしたい』……と述べられた」
「む~、分かりにくい」
コウザは、頭を抱えてうつむく。
「はははっ……。首長の言葉遣いは、やや古めかしいからな。まぁ、分かりやすく言えば、いつまでもヤグラムとの出会いを大切にし、彼らは彼らなりに真っ直ぐに生きていくということだ。しかし、滅亡の危機に瀕したときには、ヤグラムの娘ユザクが交わした約束を信じ、助けを待っているということだな」
「うん。それなら、なんとなく理解できる」
コウザは、嬉しげに答える。
「そうか。まぁ、これがバルトの盟約にまつわる話で、私たちがこうして生きながらえているのも、彼らの助けがあったからこそだ。そして、彼らは、今も古式ゆかしく暮らし、古き誓いを守り続けている」
ホレイは、昔語りを話し終え、ドルマの方を見る。
それまで、静かに聞いていたドルマは、「ありがとう、ホレイ」と労い、ひとつ頷く。
「さて、子どもたちよ……。わしらは、バルトの民が危機に直面したときには、総力を上げて守り抜く。それは、バルトの民がわしらの先祖の危機を救ってくれたからであり、今も、わしらの親族であるからじゃ」
すると、テムが、手を上げて質問する。
「しかし、村長。昼間にも言ったが、俺たちの中にも、戦いに向いていない人間がいる。そんなものにまで、戦いを強いるというのは酷というものだ」
「テムよ。お主の言いたいことは分かる。じゃから、わしも、そのようなものにまで、戦いを求めてはおらん。しかし、戦えるものは、バルトの盟約を守るために、戦場に立って欲しいのじゃ」
それを聞いていた、コウザとブエンが、途端におびえだす。
「村長~。僕、怖い」
「僕も~」
バルト国は、長らく鎖国をしてきたことにより、文明の発展から取り残されてきた面がある一方、独自の文化を育んでもいる。
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「む~、分かりにくい」
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「はははっ……。首長の言葉遣いは、やや古めかしいからな。まぁ、分かりやすく言えば、いつまでもヤグラムとの出会いを大切にし、彼らは彼らなりに真っ直ぐに生きていくということだ。しかし、滅亡の危機に瀕したときには、ヤグラムの娘ユザクが交わした約束を信じ、助けを待っているということだな」
「うん。それなら、なんとなく理解できる」
コウザは、嬉しげに答える。
「そうか。まぁ、これがバルトの盟約にまつわる話で、私たちがこうして生きながらえているのも、彼らの助けがあったからこそだ。そして、彼らは、今も古式ゆかしく暮らし、古き誓いを守り続けている」
ホレイは、昔語りを話し終え、ドルマの方を見る。
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それを聞いていた、コウザとブエンが、途端におびえだす。
「村長~。僕、怖い」
「僕も~」
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