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凍雪国編第1章
第17話 父ダイザの登場
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フレイは、涙を堪えるドルマの様子を見て、思わず言葉を漏らす。
「知らなかった……」
「フレイは、まだ子どもじゃからな。これから、いろいろと学んでいけばいい」
ドルマは、優しくフレイの背中をなでる。
「そうして、それでも、外の世界へ行きたいと思うのなら、覚悟を決めて行くことじゃ。フレイの行動1つで、わしらの命運も変わってくるでの」
「うん……。僕ね……、外の世界に憧れているんだ。だから、いつかは行ってみたいし、いろいろな人とおしゃべりをしてみたい。そして、これまでに知らなかったものをたくさん見て触れて、いろんなことを経験してみたい」
フレイは、希望を宿した目をして、ドルマを見つめる。
「お主は、ダイザの子じゃな。ダイザも若かりし頃は、同じような目をして、同じようなことを言っておったわ」
「お父さんも?」
「あぁ。ダイザは、剣の腕も、魔法の扱いも優れておった。じゃから、自分の力を試してみたかったんじゃよ」
ドルマは、ダイザの幼き日々を思い出し、その息子であるフレイに語る。
「じゃが、ダイザは、お前の母のことが気になっておっての。ロナリアを置いては旅立てんかったんじゃ」
「お母さんと結婚していたから?」
「いや、その当時は、まだ付き合ってもおらんかったな。2人とも恥かしがり屋でな。お互いに引かれ合っておっても、口に出せずじまいじゃったな」
ドルマは、ダイザの過去をフレイに語っているうちに、入り口付近に気配が現れたことに気がつく。
「んんっ!」
家の中に入ってきたダイザは、咳払いをして、ドルマをとがめる。
「村長。何を話しておいでですかな?」
「お父さん!」
フレイは、父の登場に嬉しそうな顔をする。
「いや、恋に奥手だったお主らの話じゃよ」
ドルマは、はははっ……と笑い、ダイザをからかうような目で見る。
それを見たダイザは、些か憤慨して、ドルマを少し睨む。
「そのような話を、フレイには聞かせないでいただきたい」
「はははっ。すまんかったの。話の流れで、つい……な」
ドルマは、悪びれずにダイザへ答える。
「まったく……」
ダイザは、軽くため息を吐き出したあと、気を取り直して表情を引き締め、本来の用件を切り出す。
「それで、村長。外から人間が来ているとのことですが……。もう来ているのですか?」
「いや。まだじゃ。お主の息子フレイが知らせてくれたんじゃが、近くにおるそうじゃ」
「そうですか……。フレイ、ボーが監視しているのか?」
ダイザは、大人しくやり取りを聞いていたフレイに向き直って聞く。
「うん。ボーが調べてくるって」
「そうか……」
そう言ってダイザは、思案に浸る。
「ダイザよ。何か、心当たりでもあるのか?」
「いや、ありません。ただ、国都で異変が生じたとき、知人に知らせてくれるように言い残しておいたことがあります」
「それは、聞いておる。エンゼイ族の人間じゃったな。確か、先々代の村長の娘御が嫁した家系のものだったとか」
「えぇ、そうです。その名をジョティルと言いますが、物腰が柔らかく、大陸の人間とは思えないほど義理堅い人間です」
ダイザは、国都で友人となったジョティルについて語る。
「知らなかった……」
「フレイは、まだ子どもじゃからな。これから、いろいろと学んでいけばいい」
ドルマは、優しくフレイの背中をなでる。
「そうして、それでも、外の世界へ行きたいと思うのなら、覚悟を決めて行くことじゃ。フレイの行動1つで、わしらの命運も変わってくるでの」
「うん……。僕ね……、外の世界に憧れているんだ。だから、いつかは行ってみたいし、いろいろな人とおしゃべりをしてみたい。そして、これまでに知らなかったものをたくさん見て触れて、いろんなことを経験してみたい」
フレイは、希望を宿した目をして、ドルマを見つめる。
「お主は、ダイザの子じゃな。ダイザも若かりし頃は、同じような目をして、同じようなことを言っておったわ」
「お父さんも?」
「あぁ。ダイザは、剣の腕も、魔法の扱いも優れておった。じゃから、自分の力を試してみたかったんじゃよ」
ドルマは、ダイザの幼き日々を思い出し、その息子であるフレイに語る。
「じゃが、ダイザは、お前の母のことが気になっておっての。ロナリアを置いては旅立てんかったんじゃ」
「お母さんと結婚していたから?」
「いや、その当時は、まだ付き合ってもおらんかったな。2人とも恥かしがり屋でな。お互いに引かれ合っておっても、口に出せずじまいじゃったな」
ドルマは、ダイザの過去をフレイに語っているうちに、入り口付近に気配が現れたことに気がつく。
「んんっ!」
家の中に入ってきたダイザは、咳払いをして、ドルマをとがめる。
「村長。何を話しておいでですかな?」
「お父さん!」
フレイは、父の登場に嬉しそうな顔をする。
「いや、恋に奥手だったお主らの話じゃよ」
ドルマは、はははっ……と笑い、ダイザをからかうような目で見る。
それを見たダイザは、些か憤慨して、ドルマを少し睨む。
「そのような話を、フレイには聞かせないでいただきたい」
「はははっ。すまんかったの。話の流れで、つい……な」
ドルマは、悪びれずにダイザへ答える。
「まったく……」
ダイザは、軽くため息を吐き出したあと、気を取り直して表情を引き締め、本来の用件を切り出す。
「それで、村長。外から人間が来ているとのことですが……。もう来ているのですか?」
「いや。まだじゃ。お主の息子フレイが知らせてくれたんじゃが、近くにおるそうじゃ」
「そうですか……。フレイ、ボーが監視しているのか?」
ダイザは、大人しくやり取りを聞いていたフレイに向き直って聞く。
「うん。ボーが調べてくるって」
「そうか……」
そう言ってダイザは、思案に浸る。
「ダイザよ。何か、心当たりでもあるのか?」
「いや、ありません。ただ、国都で異変が生じたとき、知人に知らせてくれるように言い残しておいたことがあります」
「それは、聞いておる。エンゼイ族の人間じゃったな。確か、先々代の村長の娘御が嫁した家系のものだったとか」
「えぇ、そうです。その名をジョティルと言いますが、物腰が柔らかく、大陸の人間とは思えないほど義理堅い人間です」
ダイザは、国都で友人となったジョティルについて語る。
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