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第0話「プロローグ」
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ディオン・エルザードはルーネイス王国の近衛騎士である。
騎士なんていうと格好よく聞こえるが、実際はお城の警備隊長のようなものである。
しかし、そんなことは知らない人の方が多く、実際に給金も良く、近衛騎士とは周囲のイメージ通りエリートの部類に入る。
さらに、ディオン・エルザードはルーネイス王国の子爵である。つまり貴族である。
貴族でありエリート職に就いているディオンだが、だからと言ってこの状況はおかしいと思っていた。
「エルザード卿。このとおりだ」
ディオンの戸惑いをよそに、齢六十を超える老人がおよそ半世紀近くも歳の離れた青年に自分の頭を下げていた。
「もうそなたに頼るしかない」
言葉を繋げるように続けて齢七十の老人が体を震わせながら頭を下げた。
「王国繁栄のために貴殿の力が必要なのだ」
最後には年齢の割に年老いて見える白髪交じりの男の言葉。彼に至っては頭を下げるのを通り過ぎて土下座をしていた。
「か、顔を上げてください。公爵様」
ディオンは戸惑いながらも告げた。その言葉は誰か一人にではなく三人全員に向けたものだ。
ディオンの目の前で頭を下げる三人はルーネイス王国で三人しかいない公爵の爵位を持つ大貴族の当主である。
そんな三人がディオンに頭を下げる理由はたった一つ。
「「「どうか。女王陛下にご結婚するよう説得してくれ」」」
何を言われるかはわかりきっていたが、改めてこう言われたことでディオンは頭が痛くなるのを感じるのだった。
騎士なんていうと格好よく聞こえるが、実際はお城の警備隊長のようなものである。
しかし、そんなことは知らない人の方が多く、実際に給金も良く、近衛騎士とは周囲のイメージ通りエリートの部類に入る。
さらに、ディオン・エルザードはルーネイス王国の子爵である。つまり貴族である。
貴族でありエリート職に就いているディオンだが、だからと言ってこの状況はおかしいと思っていた。
「エルザード卿。このとおりだ」
ディオンの戸惑いをよそに、齢六十を超える老人がおよそ半世紀近くも歳の離れた青年に自分の頭を下げていた。
「もうそなたに頼るしかない」
言葉を繋げるように続けて齢七十の老人が体を震わせながら頭を下げた。
「王国繁栄のために貴殿の力が必要なのだ」
最後には年齢の割に年老いて見える白髪交じりの男の言葉。彼に至っては頭を下げるのを通り過ぎて土下座をしていた。
「か、顔を上げてください。公爵様」
ディオンは戸惑いながらも告げた。その言葉は誰か一人にではなく三人全員に向けたものだ。
ディオンの目の前で頭を下げる三人はルーネイス王国で三人しかいない公爵の爵位を持つ大貴族の当主である。
そんな三人がディオンに頭を下げる理由はたった一つ。
「「「どうか。女王陛下にご結婚するよう説得してくれ」」」
何を言われるかはわかりきっていたが、改めてこう言われたことでディオンは頭が痛くなるのを感じるのだった。
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