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第四話 詐欺メール

第五話 報告

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「ユウキ!ユウキ!」
「んーなに?あと五分」
「いいから起きろ。それと服どうした?」

 ユウキは、自分の部屋に戻らないで、リビングで寝ていたようだ。
 制服は、部屋で脱いで、シャワーを浴びて、着替えて、夕ご飯を食べたところまでは、一緒に居たので解っている。

 下着姿ではないが、制服のシャツの下に来ているキャミソールだけの姿だ。下も履いていないようだ。ユウキに買った、毛布を使っているが、昨日履いていたズボンは横に脱ぎ捨ててある。

「服?あぁ暑いから脱いだ」
「暑きゃぁエアコン入れろよ」
「うーん。次からそうするよ」
「朝ごはん作るから、顔洗ってこいよ。寝癖もすごいぞ」
「わかった。朝ごはんは何?」
「ホットドックとジュースだ」

 ガバっと、起き上がった。

「うん!起きた!」

 そのときに、インターホンが鳴った。

「悪い。ユウキ。出てくれ」
「わかった」

 近所の人なら、ユウキがここに居ても不思議に思わないだろうし、知らない人なら、そのまま帰ってもらえばいい。

「タクミ。先輩だよ」
「え?約束していないよな?」
「うん。どうする?」
「帰ってもらえ!」
「わかった!”タクミが帰らせろと言っている”と、言っておく」
「まて、ユウキ!」

 失敗した。
 いや、失敗ではない。失敗ではないが、正しくも無い。もう一度、インターホンが鳴った。

「タクミ。先輩が、送るから入れろと言っているよ」
「わかった。わかった。ユウキ頼む」
「了解!」

 毛布を丸めて、ソファーに投げ捨てた場所は、ユウキの寝床になっている場所だ。シャツや寝間着のズボンやスパッツが投げ捨てられている。もしかしたら、ブラもあるかも知れない。キャミソールだけの姿で、ユウキが先輩を迎い入れて、そのまま部屋に戻って着替えてくるようだ。

 ”勝手知ったる他人の家”なのか、先輩たちも何も言わないでリビングに入ってくる。定位置になっている場所に腰を下ろす。

「キミ。僕たちは、朝は食べてきたら大丈夫だよ。何か、飲み物を貰えると嬉しい」
「わかりました。フルーツジュースでいいですよね?」
「あぁ」

 ユウキが選んだ缶詰は昨日の段階で、シロップと分けて、凍らせてある。
 自家製のシロップと凍らせた果物をミキサーに入れて、ジュースにしていく。梓先輩には、少し甘さを強めいにした物を渡して、美優先輩には、甘さ控えめだけどヨーグルトを入れた物を作って渡す。

「キミ。これは?」
「え?梓さんは、結構甘党ですよね。それで、美優さんは、甘さ控えめで乳製品が好きみたいですから、ヨーグルトを入れたものですよ。ユウキの朝ごはん作るので、話は後でいいですか?」

 お互いのジュースを一口づつ飲んで、なにか言いたさそうにしていたがスルーさせてもらう。

「あっ先輩。改めて、おはようございます。タクミ。お腹へった!」
「焼けているやつから食べろよ」
「うん!あぁぁ僕にもジュース!」
「作ってあるから安心しろ」

 ユウキ用にはスムージ風にした物を渡す。甘さは控えめだけど、果物を層にしてある。

「ありがとう。お水は?」
「有るだろう?」
「え?あっうん」

 オフクロの言いつけで、朝起きてから朝ごはんの前に、コップ一杯の常温の水を飲むことになっている。それは、森下家でも同じだ。

「ふぅ・・・梓」「なんだい。美優。きっと、僕と同じ意見なのだろうけど、それは後で答え合わせをしよう」
「わかった。タクミくん。ユウキ。エリとマリの件ありがとう。親御さんから昨日の夜にお礼の電話が入った」
「そうですか」
「それで、費用が発生したのなら、支払うと言っているけどどうする?」
「そうですね。梓先輩への”貸し”にするか、1,000万円のどちらかでお願いします」
「わかった。キミへの”借り”にしておく」
「ありがとうございます」
「それで、僕たちも、キミの報告書を読んだけど、あんな事が可能なのか?」
「そうですね。可能ですよ。それも、そんなに難しくないですよ」
「そうなのか・・・美優」「そうね」

 なんだか、二人で納得している様子だ。
 ユウキは、我関せずに、2本目のホットドックにかぶりついている。

 口元にケチャップが付いている。寝癖も治っていない。本当に手がかかる。

「タクミ。ジュースのおかわり有る?」
「別の物なら有るぞ」
「頂戴」

 冷蔵庫から、今度はみかんのシロップを凍らせた物とみかんと牛乳とヨーグルトで作った物を渡す。これが意外と美味しい。パイナップルは、牛乳とヨーグルトは入れないで、水で作るのが丁度いい。モモは、ヨーグルトだけが美味しい。

「何がいい?」
「みかん!」
「先輩たちは、どうします?お茶もありますよ?」
「私はお茶をもらうわ。梓は?」「僕にもお茶をくれ」
「温かいのと冷たいのがありますが?」
「冷たいので」「冷たい方がいいな。なんか、今日は暑い」

 ユウキに新しいジュースを入れて、先輩たちには、水出しした緑茶を渡す。氷は、お茶を凍らせた物だ。溶けても、薄まらない。

 3本目のホットドックを半分くらいまで食べたユウキが
「タクミ。飽きた。上げる。他になにか無い?」

 半分残ったホットドックを、俺の口に入れてくる。
 他・・かぁ、ハンバーグのパテがまだ有ったけど、焼くには時間がない。スモークチキンを電子レンジで温めて、ベーコンを炙っておく、そこに、市販のケチャップとウスターソースを混ぜた簡易的なソースをつける。簡単に焼いた玉子を付けて、サンドイッチ風にして渡す。残った具材は、俺が食べればいい。

 朝ご飯が終わって、ユウキの隣に座る。着替えてくると行ったが、下に制服のスカートを履いただけのようだ。

「それで先輩。朝からのご訪問は、先程の件だけですか?」
「それも有ったのだが・・・すっかり毒気を抜かれてしまったよ」
「どうしました?」
「いや、いい。正直に頼む事にするよ。タクミくん。ユウキ。旅行の時に、一日だけ僕たちに時間をもらえないか?」
「え?構いませんよ?どこの、誰に会って、何を話せばいいのですか?資料は作った方がいいですか?」
「なっ・・・美優。僕は、なにか間違えたかい?」
「いいえ」
「ふぅわかった。会って欲しいのは、僕たちの父親だ。できれば、タクミの父親である、篠崎氏とユウキの両親にも同席して欲しいのだが、時間的に難しいだろう?」
「そうですね先の事なので、わかりませんが、両親たちは難しいと思います」
「そうか」「ねぇ梓。未来先生は?」

「未来さんなら、今からお願いすれば、大丈夫だと思いますよ。正式な依頼なら、梓さんか、美優さんが依頼したほうがすんなり行くと思いますよ」
「そうだな」「梓。私から、頼んでみるよ」

 これで、なんとなく見えてきた。
 オヤジは、技術的な保証を得るために、桜さんは、何からの事件になっている可能性が有るために、美和さんは、弁護士として守秘義務を守らせるため。こんな所だろうか?技術的な事なら、違う技術屋に問い合わせればいい。桜さんの代わりは難しいだろうけど、先輩たちの実家の力なら可能だろう。春日家に頼ってもいいだろう。美和さんは、こちらの守秘義務のためだろうから、未来さんで代わりができると思っているのだろう。
 そこまで厳重にしなければならない事・・・

「情報流出ですか?内部的な犯行なのか、外部からの犯行なのかも、解っていないのですね?」
「え?」「なんで?」

「詳細は、車の中で聞きますよ。走る車は、密室と同じですからね。ユウキ。いつまでも食べてないで、着替えてこいよ。その格好じゃ学校に行けないぞ」
「ねぇユウキ。僕のブラ知らない?」
「どれだよ。昨日のなら、そこで脱いだのだろう?」
「え?あぁありがとう。部屋になかったから探していた。着替えてくるね」

 ユウキが、脱ぎ捨ててあったブラを取って部屋に戻る。

「それじゃ俺も着替えてきますよ。さすがに、エプロンのままじゃ行けないですからね」

 エプロンを外して、椅子にかける。ユウキの食器を流しに持っていく、毛布と、ゆうきのズボンも部屋に上がるついでに持っていく事にする。
 なにか、先輩たちが微妙な顔をしていたが、気にしてもしょうがないだろう。

 俺が着替えて部屋から出ると、部屋の前でユウキが待っていた。
 二人で、リビングに降りると、先輩たちはすでに出られる状態になっていた。コップも軽く洗って、流しに置いておいてくれている。

「あっタクミ。布団、ありがとう」
「あぁいい加減、ソファーで寝るのやめろよ」
「だって、(ゲーム)やった後だと眠くなるよ」
「だからって、そのまま寝なくていいだろう?部屋にベッドと、ユウキが欲しがった布団と専用の枕も買っただろう?」
「うん。でも、そのまま寝るのが気持ちいいよ」
「あっそう言えば、(菓子から)出たゴミはどうした?」
「ん?容器と一緒に捨てたよ」
「そうか、悪いな」
「いいよ。いつもの所でいいよね?」
「あぁ」

 先輩の車はいつものように、駐車場に止められていた。
 乗り込んで、学校まで送ってもらった。さっきの話の詳細な事は聞けなかった。未来さんの許可をもらってからにすると言っていた。

 今晩の予定を聞いたら、大丈夫だと言っていたので、予定通り、双子に起こった事の説明をする事になった。
 カレーが無駄にならなくてよかった。先輩たちにも、夕ご飯用にカレーを作っているので、食べていってくださいとお願いしておいた。

 いつもと同じ場所でおろしてもらって、校舎に向った。

--- とある車の中の会話 始まり
「梓」
「なんだい。僕の美優」
「もう。それは解っている。タクミくんとユウキ」
「確実だろうね。リビングでだよ」
「そうね。会話からそう思ったけど・・・ソファーにユウキのブラやシャツやズボンが脱いであったからな」
「えぇそうね。タクミくんも、それが解っているみたいだったからね」

「それに、今日も二人揃って降りてきた。ユウキは、ブラしてシャツ着て上着を着るだけだろう?」
「そうね。タクミくんの着替えでも手伝っていたのかな?」
「そういう雰囲気もあるな。それよりもだ。どうして、僕と美優の好みの味が、カレはわかるのだ?」

「私もびっくりしたわ。もう少し甘さを控えてくれたら、私が好みの味だった。梓の物に関しては、パーフェクトだったでしょ?」
「あぁ飲んでみてびっくりした、それに・・・何年も連れ添った夫婦のようだったぞ」
「そうね。自然体過ぎて考えなかったけど、高校生のカップルなのだよね」

 こうして、タクミとユウキは、先輩たちに盛大に勘違いされていく。
 勘違いでない所もあるが、もっと簡単に言えば、”こうだろう”や”これならいい”という考えに当てはめているだけなのだ、これが誤解である事は、後日わかるのだが、それは別の話として・・・。
--- とある車の中の会話 終わり

 放課後になって、生徒総会の部屋に移動して、端末を開くと、先輩から連絡が入っていた。
 迎えに来てくれる時間の確認だ。もし、早く着いたら、電子科の先生の所に言っていると書かれていた。

 ”ユウキの準備ができたら、むかいます”と、返事を返しておく。

 双子に持たせた、資料に、APK の分析結果を融合させておく。
 オヤジには、問題ないと返事をもらったので、大きな間違いは無いのだろう。

 資料は、今日の夜に先輩たちに渡せばいいだろう。

「タクミ!おまたせ!」

 部屋に入ってきたユウキは、部活が終わったままの様だ。シャワーだけは浴びてきたのだろう、髪の毛が濡れている。俺が持たせたシャンプーの匂いもしているから間違いないだろう。手には、制服とシャツを持っている。スカートもだ

「ユウキ。また、ジャージだけか?」
「うん。だって、この後、車でしょ、その後、カレーだからね。汗かくよ?」
「そうだけど、髪の毛くらい乾かせよ」
「大丈夫だよ。それよりも、早くカレー食べよう」
「いきなりすっ飛ばすなよ」

 ユウキが他にも課題の荷物があったので、俺がユウキの制服を預かる事になる。
 駐車場に先輩がもう着いているだろうから、そこで待ち合わせをする事になった。生徒総会の部屋を閉めて、鍵を教諭にあずけて、電子科の教諭が居る職員室に向かう。先輩たちの話も終わっているようで、すぐに移動を開始する。

「キミ。少し気になるのだが?」
「え?なんでしょうか?」
「キミが持っているのは?」
「あぁユウキの制服ですよ。あいつ、ジャージで帰るようですからね」
「なっ」「は?キミたちはいつもこんな感じなのか?」
「失礼ですよ。俺がバイクで着ているときには、ライダースーツに着替えさせるから、持ちますが、それ意外は、いくらユウキでもジャージで帰ったりしませんよ」
「いや・・・まぁいい。そのユウキは?」
「あぁ課題があるらしくて、取りに行ってから、車の所で待ち合わせしていますよ?」

「(ねぇ梓)」「(なんだい?)」
「(あれって、キャミよね?)」「(あぁ今朝、ユウキが着ていた奴だな)」
「(それに、あれって)」「(タイツだな)」
「(そうよね。さすがに、ブラやショーツはないわよね?)」「(いや、あの袋の中はわからないぞ)」
「(え?そう・・・確かに・・・)」

「なぁキミ。その袋は?」
「ユウキの着替えとタオル入れですよ。汗だくのまま帰るのが嫌だって言っていますからね。俺の後ろに乗る時に、わざわざ着替えなくていいって言っているのですけどね」

「(ほらな、美優)」
「(そうね)」

 先輩たちがなにか話しているが、多分今朝の事がなにか動いたのだろう。そのうち聞かせてくれるだろう。
 車の所で、ユウキが待っていた。

「こんにちは!タクミ。ありがとう!」

 ユウキを乗せて、俺の家に向った。

「いいよ。それよりも、髪の毛しっかり拭いておけよ」

 着替え入れの中から、タオルを取り出して、ユウキの頭にかぶせる。

「いいよ。大丈夫だよ」
「せっかく、着替えたのに、髪の毛濡れていたら、風邪引くだろう。あぁユウキなら大丈夫か?」
「酷い。ね。美優さん。梓さん。タクミ。酷いですよね」
「あっあぁ」「そうね」
「わかった。わかった」
「うん。それなら、今日、お風呂お湯ためてね」
「はい。はい。わかった。わかった」

 車の中で、そんなやり取りをしていると、軽快に走った梓先輩の車は、迷うことなく、家に着いて、当然の様に駐車場に車を入れた。
 オヤジもオフクロも帰ってきていない。ユウキの家も同じ様だ。

 道路を挟んだ、正面にあった”オンボロ”の平屋が、この前解体されていた。駐車場にでもなるのかと思ったら、地鎮祭が行われて、工事が始まった。マンションなのか、一軒家なのかわからないが、大きめの地下室を作るようだ。オヤジと話しているときに、地下室がある2階建ての家とかいいだろうなと話したのを思い出してしまう。
 鍵を開けて、認証を通して中に入る。
 先輩たちは、そのままリビングで待っていてもらう。俺は、ユウキの荷物を持って、ユウキの部屋に向かう。ユウキは、一旦自分の家に戻って、勉強のために必要な物を取ってから、戻ってくる事にしたようだ。課題に関しては、先輩たちが居るので、頼るつもりなのだろう。

 さて、最終的なカレーの仕上げを行う。
 時間的には、10分くらいだか、ご飯も炊きあがっている。ユウキが食べるだろうと思って、プレーンナンだけではなく、ガーリックナンも用意している。辛めになるので、ラッシーも用意した。味は、イチゴとマスカットとプレーンだ。あと、タンドリーチキンも仕込んでおいたので、満足してくれるだろう。

「そう言えば、先輩方は、なにかダメな食べ物ありますか?」
「大丈夫よ」「うん。大丈夫」

「シーフードと、チキンと、ビーフと、野菜では、どれがいいですか?」
「チキンとビーフ!」

 ユウキがリビングに入ってきて、叫んだ
「ユウキ。お前用に、野菜たっぷりカレーにするぞ。荷物は大丈夫だったのか?」
「えぇぇぇお肉だけでいいよ」
「はい。はい。それで?」
「うん。大丈夫。あっタクミ。あとで、洗濯物出しておいてね。お風呂のときに、洗っておくよ」
「あぁわかった。あっユウキの着替え袋、(ユウキの)部屋に置いてきちゃった」
「大丈夫。お風呂のときに持っていくよ」

「よし!できた!」

 4種類のカレーを作って、それぞれ小さい器に入れていく、ユウキのチキンとビーフは、倍の量で、シーフードと野菜はなし。俺が、シーフードと野菜が食べたいので、交換した形になる。

 ナンは、卓上プレートで焼き始める。篠崎家伝来(オヤジ謹製)咖喱パーティーだ。
 ユウキは、ジャージ姿のまま汗を流しながら食べている。辛いのが苦手な癖に、カレーが好きなんだよな。

 先輩たちも、ラッシーで辛さを調和しながら食べてくれているので、大丈夫なのだろう。ユウキは、熱くなってきたのだろう、ジャージを”無い”胸元まで開けている。
「先輩。タクミ。ごめんなさい。ちょっと着替えてくる」
「あぁ」

 ユウキが着替えに出ていった
「それで、双子の件ですが」
「キミは・・・まぁいいよ。それで?」
「報告書にはやんわりと書いていたのですが、双子は、被害者で有りながら、加害者になってしまっています」
「そうか・・・それで?」
「俺からは、何もいいません。ただ、今後同じ事が起こらないようにしたほうがいいでしょうね」
「どうしたらいいと思う?」
「そうですね。元生徒会長と元副会長にお聞きしますが、この手の問題が多発した場合、学校が取る簡単な方法はなんですか?」
「そうだな・・・・スマホ禁止だな」
「えぇそうです。俺から言わせたら、愚劣で最低な対処ですが、学校での問題はなくなります」
「そうだな。でもできないだろうな。特に、工業高校なら」
「えぇそうです。でも、今の学校の授業や教育のやり方では、1,000年授業をしても、セキュリティ意識を持った一般人なんて生まれません」
「辛辣だな。でも、そうだな」
「俺は、オヤジや桜さんのような、”ダメな大人”が近くに居たので、ある程度の知識があります」
「”ダメな大人”って・・・キミのお父さんもユウキのご両親も立派な人だろう?」
「そうですね。仕事という面ではそう思いますが、家庭や親としては、本人たちも”ダメ”な事は認めていますし、”大人”としてもダメな面が多数ある事も認めていますよ。オヤジは、究極の趣味人ですし、桜さんは・・・簡単に言えば、悦楽主義者ですからね」
「え?」「は?」
「まぁオヤジたちの事はおいておきます。報告書を読んでもらえればわかる通り、相手詐欺集団の手口は巧妙です」

「そうだな。最初のメールの内容を無視できなかったら、どんどん罠にハマっていくのだろう」
「そうですね」

「ただいま。タクミ。シャツ借りたよ!」
「あぁ」
「丁度いいのがなかったから、昨日着ていたやつにした」

 薄手のパーカーだ。裾が長くて、風呂上がりに着るのに丁度いい。よく、ユウキも着ている。同じ物を、ユウキ様にも買ってあるが、どこに有るのか見つからなかったのだろう。どうせブラも外して来たのだろう、スッキリした表情をしている。両家の中で、以前はオフクロだけが注意していたが、最近では何も言わなくなっている。さすがに、ショーツが見える時には、見えないようにしなさいとは言っているので、それだけは守っているようだ。

 パーティーが再開された。
 話しは有耶無耶になってしまったが、先輩からは、旅行のときに詳しく聞かせてくれと言われた。

 今日は、俺が作ったカレーを楽しみたいと、嬉しいことを言ってくれた。

 作った物全部食べ終えて、デザートとチャイまで楽しんでから、先輩たちは帰っていった
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