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第二章 王都脱出
第二十一話 傲慢なる勇者
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ちょいグロの表現があります。苦手な人はスルーしてください。本編に、少しだけ影響しますが、勇者たちが傲慢になっているだけの説明です。
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剣崎凱斗は、豪華な部屋で、豪華なベッドに腰を落ち着かせて、無駄に豪華な装飾を施したカップで、ぬるいエールを飲んでいる。
カイト・ケンザキは、空になった装飾が過剰に施されたカップを壁際に立つメイドに投げる。
「キャ!」
メイドは飛んできたカップをギリギリで避ける。勇者が力任せに投げたカップなのだ、当たりどころが悪ければ”死”の可能性もある。メイドたちが気を張っているのは、勇者たちの暴力から逃げるためなのだ。
「逃げるな!」
壁に当たって割れたカップが、メイドの首筋に傷をつける。
「お、お許しを」
腰を90度に曲げて、頭を下げるメイドに、カイト・ケンザキは酔った足取りで近づく、そして・・・。
「ケンザキ様!」
扉の外で待機していた兵士が、部屋の中での音を聞きつけて扉を開ける。護衛の兵士は、部屋の様子を見て、”またか”という表情をする。カイト・ケンザキは兵士に背を向けて、ベッドに向かう。
「おい」
「はっ」
カイト・ケンザキが、顕現させた聖剣を兵士に向ける。兵士は、何も言わないで布を取り出して、聖剣に着いた血や肉片を拭き取る。
「よし。始末しておけ」
聖剣が綺麗になったのを確認して、兵士に命令をする。
「かしこまりました」
兵士は、2つに割れて脳髄を撒き散らしながら息絶えているメイドの骸に、持っていた布をかぶせる。1人の兵士は、外に居る護衛たちに指示を出す。手慣れてはダメな作業だが、手慣れている。すぐに、メイドだった物は運び出されて、クリーンのスキルで部屋を綺麗にする。臭いは消えないが、勇者ケンザキは、新しく注がれたエールを受け取る。同時に、最近のお気に入りになっている”フライドポテト”を渡される。
聖剣を返還した勇者ケンザキは、ベッドに座ってつまらなそうな表情で、エールを喉に流し込んだ。片付けをして、一礼する兵士たちに、声をかけずに手で出ていけと合図をしただけだ。
兵士たちは、殺されるリスクを追ってまで、諌める意思はなく我先に部屋から出る。
狩塚悠椰は、今日も王城の訓練場に来ている。
召喚された当初は、聖盾という特殊な装備だったために、訓練をしていた。しかし、近衛や兵士たちには余裕で勝てた。そのために、冒険者たちを呼んで模擬戦を行った。そこで、近衛や兵士たちが、勇者カリツカに忖度して接戦を演じていたことが判明した。辺境伯が嫌がらせで用意した兵士に、完膚無きまでに叩きのめされた。そこで奮起すれば、さすがは勇者と言われたかも知れないが、勇者カリツカは楽な方に逃げた。
「ほ、本当なのか?」
連れてこられた、粗末な服を来た者は、兵士に聞き返している。
「あぁ」
面白く無さそうに、兵士は答える。
今から行われる行為と、その後始末を考えると憂鬱な気分になってしまう。
勇者カリツカは、スキルで呼び出した”聖盾”を構えて、立っている。対峙するのは、奴隷たちだ。犯罪奴隷だけではなく、依頼に失敗した冒険者や、借金奴隷も含まれている。そして、本来ならあってはならないことだが、違法な手段で捕らえられて奴隷にされた者たちも含まれている。
「本当だな!」
一人の奴隷が、兵士になにかを確認している。
「あぁ本当だ。あの勇者の攻撃を交わして、扉に触れて生きていたら、お前たちは奴隷ではなくなる」
何度、同じセリフを言ったのか覚えていない。
そして、奴隷の数だけの死体を処分するのも自分たちの役目だと割り切っている。
これで、勇者カリツカが絶対的な力で、奴隷たちを蹂躙しているのなら、兵士たちも畏怖する可能性がある。
しかし、現実は・・・。
「隊長」
「いうな。どうせ、奴隷だ」
「しかし・・・」
下っ端が、片付けている死体は、後ろから刺されている。それも、致命傷を避けるよう場所を何度も何度も刺されて絶命している。他の死体も似たような傷が多い。勇者カリツカは、武器を持たない奴隷たちとも正面から戦おうとしない。
高笑いをしている勇者カリツカを見ながら兵士たちは鬱積した気持ちを募らせていく・・・。
奴隷を大量に殺している勇者カリツカは、経験値を得てスキルが向上している。血で汚れた向上だが、数字と結果しか見ない上層部は、勇者カリツカの成果を褒め称えた。
勇者ケンザキは、部屋でメイドや従者を殺している。
勇者カリツカは、奴隷との戦闘という建前で、奴隷を殺している。二人の勇者の所業は、上層部に伝えられているが、平民出身のメイドや従者が何人殺されようが、奴隷がどれだけ殺されようが、帝国の上層部は問題だとは考えていない。
スキルの向上ができていることを喜んでいる状態だ。
そして、獣人に対する偏見をしっかりと植え付けることに成功している。
差別意識は、男子よりも女子の方が強かった。
特に、埜尻玲羅は、美人や可愛いメイドや侍女を見つけると、難癖を付けて自分のメイドや侍女にして、さらに難癖を付けて、魔法の的にしていた。顔や肌を軽く炙るだけのスキルや、切り刻むように跡が残るスキルを徹底的に執拗に浴びせかけた。殺してはいない。ただ、泣き叫ぶ姿を見て優越な表情を浮かべているだけだ。そして、それさえも飽きてしまうと、奴隷商を呼びつけて二束三文で売りつけたり、性奴隷にしたり、もともとの素性がいい者は、鉱山に送り出してしまっていた。
そして、獣人の女性たちを大量に用意させて、全裸で戦わせて、戦っている者たちを高みから見ている。嫉妬心から、安全な位置からスキルを発動して攻撃をして苦しんでいる姿を見て喜ぶのだった。
伴田南那と下久来海は、弓と槍使いだ。本来なら、勇者カリツカが盾になり、弓と槍でダメージを与えるのだが、高校時代には、仲間だと思っていた連中も、異世界に来てバラバラになった。
勇者バンダと勇者シモヒサは、お互いのスキルを向上させるために訓練をしていた。
しかし、他の勇者たちと同じで、スキルは向上するが、戦闘は上達しなかった。守られた状態で、弓を使っている。周りをがっちり固めた状態で槍を使っているだけでは、上達はしない。
二人は、汗を極限まで嫌う。王城でも、風呂は1週間に一度程度で、それ以外は濡れた布で身体を拭いたり、スキルで汚れを落としたり、十分に汚れを落とせるのだが、感覚の問題で気持ち悪さが残る状態になる。二人には、耐えられない状況なのだ。
風呂も湯浴み程度で、ボディソープやシャンプーやリンスは存在しない。質の悪い石鹸があるだけだ。髪には、オイルを塗る程度のケアしかない。
勇者バンダと勇者シモヒサは、自分の身を守るために、美麗な男を盾代わりしていた。しかし、その美麗な男が傷つくのを見たくなくて、肉盾として獣人を奴隷にした。勇者は、戦闘技能に優れているわけではない。なので、攻撃のときに、本来なら自分を守るための獣人に後ろから攻撃をしてしまう。二人の勇者は、獣人が傷ついて倒れようとも気にしない。死んでも、すぐに変わりが用意される程度だと考え始めていた。美麗な者たちには自分たちが使っている石鹸を使うように指示している。周りに居るのなら、身綺麗にして臭いにも注意するように伝えている。
まーさんとカリンが、勇者たちが欲しがるだろうと思って作成したレシピは、無事、勇者たちの手元に到着した。
下級貴族が寄親に情報を伝えて、勇者に見せたことがきっかけだ。おっさんと辺境伯が望んだ通りに物事が動き出していた。
5人の勇者は、それぞれの方法で、それぞれの考えで、傲慢になっている。そこに、美味しくなった料理や、石鹸などの毒が注入され、さらに傲慢になっていく。
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剣崎凱斗は、豪華な部屋で、豪華なベッドに腰を落ち着かせて、無駄に豪華な装飾を施したカップで、ぬるいエールを飲んでいる。
カイト・ケンザキは、空になった装飾が過剰に施されたカップを壁際に立つメイドに投げる。
「キャ!」
メイドは飛んできたカップをギリギリで避ける。勇者が力任せに投げたカップなのだ、当たりどころが悪ければ”死”の可能性もある。メイドたちが気を張っているのは、勇者たちの暴力から逃げるためなのだ。
「逃げるな!」
壁に当たって割れたカップが、メイドの首筋に傷をつける。
「お、お許しを」
腰を90度に曲げて、頭を下げるメイドに、カイト・ケンザキは酔った足取りで近づく、そして・・・。
「ケンザキ様!」
扉の外で待機していた兵士が、部屋の中での音を聞きつけて扉を開ける。護衛の兵士は、部屋の様子を見て、”またか”という表情をする。カイト・ケンザキは兵士に背を向けて、ベッドに向かう。
「おい」
「はっ」
カイト・ケンザキが、顕現させた聖剣を兵士に向ける。兵士は、何も言わないで布を取り出して、聖剣に着いた血や肉片を拭き取る。
「よし。始末しておけ」
聖剣が綺麗になったのを確認して、兵士に命令をする。
「かしこまりました」
兵士は、2つに割れて脳髄を撒き散らしながら息絶えているメイドの骸に、持っていた布をかぶせる。1人の兵士は、外に居る護衛たちに指示を出す。手慣れてはダメな作業だが、手慣れている。すぐに、メイドだった物は運び出されて、クリーンのスキルで部屋を綺麗にする。臭いは消えないが、勇者ケンザキは、新しく注がれたエールを受け取る。同時に、最近のお気に入りになっている”フライドポテト”を渡される。
聖剣を返還した勇者ケンザキは、ベッドに座ってつまらなそうな表情で、エールを喉に流し込んだ。片付けをして、一礼する兵士たちに、声をかけずに手で出ていけと合図をしただけだ。
兵士たちは、殺されるリスクを追ってまで、諌める意思はなく我先に部屋から出る。
狩塚悠椰は、今日も王城の訓練場に来ている。
召喚された当初は、聖盾という特殊な装備だったために、訓練をしていた。しかし、近衛や兵士たちには余裕で勝てた。そのために、冒険者たちを呼んで模擬戦を行った。そこで、近衛や兵士たちが、勇者カリツカに忖度して接戦を演じていたことが判明した。辺境伯が嫌がらせで用意した兵士に、完膚無きまでに叩きのめされた。そこで奮起すれば、さすがは勇者と言われたかも知れないが、勇者カリツカは楽な方に逃げた。
「ほ、本当なのか?」
連れてこられた、粗末な服を来た者は、兵士に聞き返している。
「あぁ」
面白く無さそうに、兵士は答える。
今から行われる行為と、その後始末を考えると憂鬱な気分になってしまう。
勇者カリツカは、スキルで呼び出した”聖盾”を構えて、立っている。対峙するのは、奴隷たちだ。犯罪奴隷だけではなく、依頼に失敗した冒険者や、借金奴隷も含まれている。そして、本来ならあってはならないことだが、違法な手段で捕らえられて奴隷にされた者たちも含まれている。
「本当だな!」
一人の奴隷が、兵士になにかを確認している。
「あぁ本当だ。あの勇者の攻撃を交わして、扉に触れて生きていたら、お前たちは奴隷ではなくなる」
何度、同じセリフを言ったのか覚えていない。
そして、奴隷の数だけの死体を処分するのも自分たちの役目だと割り切っている。
これで、勇者カリツカが絶対的な力で、奴隷たちを蹂躙しているのなら、兵士たちも畏怖する可能性がある。
しかし、現実は・・・。
「隊長」
「いうな。どうせ、奴隷だ」
「しかし・・・」
下っ端が、片付けている死体は、後ろから刺されている。それも、致命傷を避けるよう場所を何度も何度も刺されて絶命している。他の死体も似たような傷が多い。勇者カリツカは、武器を持たない奴隷たちとも正面から戦おうとしない。
高笑いをしている勇者カリツカを見ながら兵士たちは鬱積した気持ちを募らせていく・・・。
奴隷を大量に殺している勇者カリツカは、経験値を得てスキルが向上している。血で汚れた向上だが、数字と結果しか見ない上層部は、勇者カリツカの成果を褒め称えた。
勇者ケンザキは、部屋でメイドや従者を殺している。
勇者カリツカは、奴隷との戦闘という建前で、奴隷を殺している。二人の勇者の所業は、上層部に伝えられているが、平民出身のメイドや従者が何人殺されようが、奴隷がどれだけ殺されようが、帝国の上層部は問題だとは考えていない。
スキルの向上ができていることを喜んでいる状態だ。
そして、獣人に対する偏見をしっかりと植え付けることに成功している。
差別意識は、男子よりも女子の方が強かった。
特に、埜尻玲羅は、美人や可愛いメイドや侍女を見つけると、難癖を付けて自分のメイドや侍女にして、さらに難癖を付けて、魔法の的にしていた。顔や肌を軽く炙るだけのスキルや、切り刻むように跡が残るスキルを徹底的に執拗に浴びせかけた。殺してはいない。ただ、泣き叫ぶ姿を見て優越な表情を浮かべているだけだ。そして、それさえも飽きてしまうと、奴隷商を呼びつけて二束三文で売りつけたり、性奴隷にしたり、もともとの素性がいい者は、鉱山に送り出してしまっていた。
そして、獣人の女性たちを大量に用意させて、全裸で戦わせて、戦っている者たちを高みから見ている。嫉妬心から、安全な位置からスキルを発動して攻撃をして苦しんでいる姿を見て喜ぶのだった。
伴田南那と下久来海は、弓と槍使いだ。本来なら、勇者カリツカが盾になり、弓と槍でダメージを与えるのだが、高校時代には、仲間だと思っていた連中も、異世界に来てバラバラになった。
勇者バンダと勇者シモヒサは、お互いのスキルを向上させるために訓練をしていた。
しかし、他の勇者たちと同じで、スキルは向上するが、戦闘は上達しなかった。守られた状態で、弓を使っている。周りをがっちり固めた状態で槍を使っているだけでは、上達はしない。
二人は、汗を極限まで嫌う。王城でも、風呂は1週間に一度程度で、それ以外は濡れた布で身体を拭いたり、スキルで汚れを落としたり、十分に汚れを落とせるのだが、感覚の問題で気持ち悪さが残る状態になる。二人には、耐えられない状況なのだ。
風呂も湯浴み程度で、ボディソープやシャンプーやリンスは存在しない。質の悪い石鹸があるだけだ。髪には、オイルを塗る程度のケアしかない。
勇者バンダと勇者シモヒサは、自分の身を守るために、美麗な男を盾代わりしていた。しかし、その美麗な男が傷つくのを見たくなくて、肉盾として獣人を奴隷にした。勇者は、戦闘技能に優れているわけではない。なので、攻撃のときに、本来なら自分を守るための獣人に後ろから攻撃をしてしまう。二人の勇者は、獣人が傷ついて倒れようとも気にしない。死んでも、すぐに変わりが用意される程度だと考え始めていた。美麗な者たちには自分たちが使っている石鹸を使うように指示している。周りに居るのなら、身綺麗にして臭いにも注意するように伝えている。
まーさんとカリンが、勇者たちが欲しがるだろうと思って作成したレシピは、無事、勇者たちの手元に到着した。
下級貴族が寄親に情報を伝えて、勇者に見せたことがきっかけだ。おっさんと辺境伯が望んだ通りに物事が動き出していた。
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