43 / 57
キミから届いたメール
しおりを挟む今年で、10年が経った。
いつまでも引きずっていてはダメだと周りからは言われる。俺も、それは解っている。今年で、26だ。結婚した友達も出始めている。
俺は、まだキミを探してしまっている。
10年前。俺とキミは、約束した。幼い感情からだったかも知れない。でも、キミも喜んでくれた。バイトして貯めた指輪も受け取ってくれた。
二人で過ごした夜。そして、朝になり、キミは家に帰る途中で、俺の手が届かない場所に旅立った。
キミと過ごした最後の日が、俺の誕生日になるとは思っていなかった。
俺は、眠るように横になっているキミを10年前に見ている。火葬されるキミを見送った。お義父さんとお義母さんに混じって、最後にキミを持ったのも俺だ。
しかし、俺は、この10年。キミを忘れられない。
お義父さんとお義母さんからは、キミを忘れても恨まないと、三回忌が終わってから言われた。
涙を流しながら、俺に謝ってきた。
七回忌では、お義父さんに怒られた。
”娘に依存するな”
俺は、キミに依存しているのか?
キミが居ない現状が10年経っても、夢なのだと思えてしまう。
キミが起きない10年間で、俺は3649回も起き上がっている。起きて、キミが居ない現実を知って絶望する。キミがお腹が空かないのに、俺は空いてしまう。キミのしたかった仕事を俺はしている。
このまま寝て、朝に起きなくて、迎えに来てくれていると嬉しい。
俺は、10年間の思い出を10年かけてキミに語るよ。キミの見ていた10年を教えてよ。
”おやすみ”
そうか、明日は俺の誕生日か・・・。キミに祝ってもらった10年前に戻りたいよ。
---
”ぴっぴぴっぴっぴぴっぴっぴぴ”
え?メール?なんで?
キミからのメール?ほら、やっぱり、キミが居なくなったのが夢だった。これが現実だ。俺を起こすためのメールだろう?唯一変えなかったキミの連絡先だけが登録されている携帯電話。電池も使えなくなり、常に充電状態でなければ駄目だ。
俺は、キミからのメールを確認する。
---
私の愛する人へ
10年経ったね。貴方の隣に私は居ますか?
私は、10年後も貴方を愛します。愛しています。
10年後の私は、貴方が好きだと言った私ですか?文句はないですか?
私が、隣に居たら、このメールを見せてください。きっと恥ずかしがるでしょう。
子供は居ますか?27歳の私は、しっかり仕事をしていますか?
貴方との約束を守っていますか?
守れていなかったら、ゴメンなさい。10年前の私が代わりに謝ります。
私が貴方の隣に居なかったら、私を忘れてください。でも、私が貴方の隣に居たら抱きしめてください。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
奴隷市場
北きつね
ライト文芸
国が少子高齢化対策の目玉として打ち出した政策が奴隷制度の導入だ。
狂った制度である事は間違いないのだが、高齢者が自分を介護させる為に、奴隷を購入する。奴隷も、介護が終われば開放される事になる。そして、住む場所やうまくすれば財産も手に入る。
男は、奴隷市場で1人の少女と出会った。
家族を無くし、親戚からは疎まれて、学校ではいじめに有っていた少女。
男は、少女に惹かれる。入札するなと言われていた、少女に男は入札した。
徐々に明らかになっていく、二人の因果。そして、その先に待ち受けていた事とは・・・。
二人が得た物は、そして失った物は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる