スキルイータ

北きつね

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第二十章 攻撃

第二百八話

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「ふぅ」
「お疲れ様です」

 シロがお茶を持ってきてくれた。
 軽く汗の匂いがする事から、戦闘訓練をしていたのだろう。ホームの家に俺が戻ってきたので、戦闘訓練を切り上げたのかも知れない。

「ありがとう。戦闘訓練はいいのか?」
「はい。十分では無いのですが、あまり続けてやるのも良くないと言われまして、今日は終わりにしました」
「そうか」

 お茶を一口飲む。

「うまいな」
「ありがとうございます」

 シロが嬉しそうに横に座ってから、少し距離を離した。

「気にしなくていいぞ?」
「でも、僕・・・」

 そういうシロの身体を抱き寄せた。
 甘酸っぱい汗の匂いが鼻孔をくすぐる。

「カズトさん。ダメです」

 シロを抱きかかえて、膝の上に座らせる。逃げられないようにするためだ。

「カッカズトさん。この格好は・・・少し恥ずかしい・・・です」
「大丈夫だよ。誰も居ないのだからな」

 ホームの家には、俺とシロ以外は許可した場合にしか入られない。
 ダンジョンコアたちも家の前に作った小屋に置いてある。

「それはわかっていますが・・・僕、汗が・・・その・・・」
「そうか、わかった」

 シロを抱きかかえたまま風呂場につれていく。

「風呂に入ればいいのだろう?」
「え?そういう・・・でも、カズトさんと一緒なら・・・。久しぶりなので・・・。入りたいです」

 かわいいな。
 ホームに作った風呂は、自重を遠くに放り投げた状態で作った。

 ホームに最初に取り付けたのは、レベル10プログラムで考えられる機能を付けたトイレだ。
 水洗なのは当たり前として、座って使うタイプにして、お尻を洗う機能も付けた。女性向けの機能も取り付けた。実験と調整はシロに任せたが、なかなか気に入ってくれている。
 眷属には必要ないものだが、俺とシロには必要になってくる。
 ホームの前室のトイレにも同じ物を取り付けた。フラビアとリカルダが同じものが欲しいと、何度も何度も懇願してきて煩かったが許可しない事にした。そのかわり、ルートガーに作成方法を渡して、職人区で同じ物を作る事ができないのかを確認させていると伝えた。
 そのうち売りに出されるかも知れない。

 前世?でもそうだったのだが、エンジニアは男性の方がどうしても多くなってしまって、男性目線でのシステムが多くなってしまう。数少ない女性が、女性目線を入れると”自分が女性の代表”だと勘違いした物を作る傾向にある。一部にはハマるが、全体的に勘違いした物になってしまう事が多い。許可を出す上司が全部悪いのだ。女性はこういう物を好むと勝手に解釈して作るので、押し付けがましい物になってしまう。
 システム系の物で、対象を男性か女性かで絞る事がナンセンスだと思わないのだろうか?

 そんな話は、もう昔の話だ・・・と、思っていたのだが、この世界でも同じ事に遭遇している。
 キッチンを主に使うのが女性なら、女性が使いやすいようにすればいいのに、そうなっていない。それに、前世?よりもこの世界は複雑だ。種族的な特性があり、身長差が激しいのに通り一遍な物しか販売されていない。種族別になっている物もあるが、ほんの一部だ。

 ルートガーに言ってプログラムに関しては、女性のエンジニアを増やすように言っている。
 少なくても、6:4にはなるようにお願いしている。できれば、7:3=女:男になるように調整してもらう事になっている。そこから、新しいスキル道具ができてきたら良いと思っている。

 風呂場ももちろん今までにない機能を付与している。
 ジェットバスはもちろんの事。明かりの点灯/消灯も簡単にできるようにしている。ダンジョン内で作った循環システムも取り入れていて、いつでも温かいお湯が使える状態にしている。
 この風呂は、ホームの俺とシロの家と、眷属達の家にしか付けていない。
 そのために、外部にはもれていない。その他にも、シャワー設備や打たせ湯の機能を付けて、寝湯の様に枕にする部分には冷たい水が流れて、首筋を冷やしつつ肩には温かいお湯がかかるような物まで作った。

 お湯には、実験的に薬草を入れたパターンも作ってある。
 そうそう、寝湯の時の枕は前世?では硬いパイプだったが、俺たちの風呂では、魔物由来の柔らかい素材をパイプにしてつかっているので、頭を置いていても痛くはならない。

 屋上には、露天風呂も作った。
 自分で焼いた大きめの坪にお湯を入れた壺風呂や丸めた石を敷き詰めた中にお湯を張った足裏マッサージができる足湯も用意した。

 そして、できるかわからなかったが、シャイベに知識を渡して作った小魚たち。ドクターフィッシュ(お湯の中でも生きるバージョン)も作った。シロが、気に入って全裸のまま入ろうとしたので肩を掴んで辞めさせた、足や手だけにしておくように伝えた。全身で入る時には、水着を着用するように忠告した。少しだけ考えたあとで、意味が解ったのか、顔を真赤にさせたのは少し可愛かった。
 このドクターフィッシュだけは、シロが口を滑らせてフラビアとリカルダにバレてしまった。二人だけなら問題にはならないだろうとドクターフィッシュをプレゼントした。しかし、持ち帰った物が巡り巡ってカトリナに(フラビア→ギュアン/フリーゼ→ヴィマ/ヴィミ→クリス→ナーシャ→カトリナ)バレて、宿区にある温泉施設にドクターフィッシュの施設をオープンする事になった。
 これに活躍したのが、アズリの魔物ポットだ。ドクターフィッシュが湧き出すポットを水の中に配置した。
 アズリもレベルアップしていて、ポットに時間制限は付けられるようになったようだ。1時間したら消滅する様に設定した事で、魔物であるドクターフィッシュが増えすぎる事態は回避された。

 さて、そんな”自重なにそれ?美味しいもの?”的なホーム内の我が家だが、シロが気に入ってホームから外に出ていかないという問題が出てきた。こたつに入った猫の様になってしまっている。運動というか戦闘訓練は、モンスターをハントする奴で実践訓練をしているので問題は無いのだろう。

 そんなシロとの久しぶりのコミュニケーションだ。
 甘えてくるシロを立たせて、服と下着を全部脱がせる。全裸にした状態で、抱きかかえて浴槽につれていく。

 二人だけが使っている浴槽だが、使っていない時にライに命令されたスライムが掃除をしてくれている。そのまま、お湯の中に二人で入る。

 少し熱いくらいが気持ちいい。
 お互いの身体を洗って、消灯と唱える。

 明かりが消える。ジェットバスを作動させる。ギミックが作動して、ジェットバスの吹出口が湯船に設置される。
 俺とシロ専用の湯船なので、丁度いい場所に設置されるように調整している。

 ジェットバスを動かすと、消灯している時に限って、ジェットバスの吹出口がいろいろな色で光るようにしている。
 作ってみて思ったがやりすぎた・・・とある場所にある浴槽を思い出してしまう。作ってしまったものはしょうがない有効に使う事にしようと思っている。

 幻想的な雰囲気の中に、前世?の記憶が邪魔をする。
 シロはジェットバスがものすごく気に入っている。身体がほぐれると言っている。

 エアタオルの通路を通り抜ける。歩いているだけで身体が乾いているというスグレモノの通路を通って、脱衣所に戻って服を身につける。
 このまま寝る時には下着は付けないが、外に出る時や訪問予定がある時には下着をつけるように言っている。

 今日は、もう出かける予定も無いし、来客の予定もない。
 布団で過ごす事にする。

 寝室には、ディスプレイと思われる装置を付けている。
 今後、モンスターをハントするゲームを作成するために使う事にしている。

 コントローラーっぽい物は作成した。
 そこにスキル操作を付与する事で、遠隔地にある物体を操作する事ができるところまでは確認した。

 今の処はドローンだけど、娯楽に乏しい世界ではこれだけでも十分楽しいのだ。
 カイやウミたち眷属がモンスターをハントするところを、疑似ドローンで見る事ができるようになっている。フィールドを調子に乗って作ってしまったので、戦っている場所を探すのも大変なのだが、それはそれで楽しい。
 時間を停止していない世界では、アズリがポットで湧き出させたモンスター同士の戦いを見る事ができたりするのだ。

 レ○ス・レ○ア連合対テ○ガ・ナル○連合の戦いとかなかなか見応えがあった。
 他にも、ナ○・テ○連合対イビル○ョーとかも見応えがあった。

 要するにテレビの怪獣大戦を見るような楽しさがあるのだ。
 ゴ○ラやモ○ラを作って、東京の街並みを再現したフィールドで戦わせてもいいかも知れない。

 自重を辞めたら、楽しそうな事が沢山できそうだな。

 まずは、横にいつの間にか寝てしまっているシロを嫁さんにする事からだろうな。

---

「マスター!」

 ん?
 あぁモンスターをハントする映像を見ながら寝てしまったようだ。
 俺が寝ていれば、家の中には、クローン達だけは入られるような設定に変更されるようになっている。これをしないと、俺とシロが家から出てこないという事態になりかねないということで、眷属達からの願いを聞き届けるかたちで設定された。

「ん?今日は、チアルか?ペネムではなかったのか?」
「はい。ペネムは、リーリアとステファナの買い物についていきました」
「買い物?」
「はい」
「なにか、買わなければならない物があったのか?そりゃぁ悪い事をしたな」
「いえ、違わないのですが、違います」
「んーん。よくわからないけど、別に困っていなのだろう?」
「それは問題ありません」
「わかった。あぁそれで何かあったのか?」
「いえ、本日のご予定を聞きに来ただけです」
「予定か?シロなにか有ったか?」

 シロが起きているのは気がついている。
 ただ俺に抱きついていたいだけのようだ。

「へ?僕?ううん。予定は無いです。時間があれば、カイ兄さんやウミ姉さんと狩りに出かけようかと思っていただけです」

「俺も用事は、何もなかったと思うぞ」

「わかりました。それでどうされますか?」

「シロは、どこかのフィールドに出るのだろう?俺は、やる事がないから、家でグダグダしているよ」
「それなら、僕も今日はお休みにします」

 そういう事で、今日はホーム内の家で過ごす事になった
 シロが居るので、一緒にドローンもどきの改良を行う事にした。

 俺はコントローラーにもなれているし、ドローンにもなれている。俺は動かせるだけではなく、俺以外でも動かせるようにしたいと思っている。シロが動かしやすい状態に改良していくのが目的なのだ。
 最初は、自分自身で操作させてみるのだが、空を飛ぶという行為がいまいちわからない様子だった。そこで、意識を移したシロのドローンを俺がコントローラーで操作する事にした。
 実際にやってみたら、楽しかったようだ。

 ただ、自分が全裸に近い状態で俺に抱きついているのを客観的に見てすごく恥ずかしかったと言っていた。

 一度飛ぶところを見てしまうと、自分での操作もなんとなくできるようになってくる。
 その後で、コントローラーで操作をする事ができるようになってきた。

 改良も進んでいる。
 視線の固定や飛行状態の安定を俺が行って、シロは操作性のプログラムの修正を行っている。

「これって、偵察に使えるよな?」
「スキル隠密を付与していますし、この大きさですし、空から見られているとは思わないと思います」

 シロが言った大きさは、正直俺としてはまだ大きいと思っているが、これ以上は小さく・・・ん?

「シロ。レベル4縮小は、対象を小さくするよな?」
「そうですが?」
「どこまで小さくなるのか知っているか?」
「いえ、通常は荷物を小さくして、持ち運ぶのにつかいます。大きさは対象によって違うと聞いた事があります。スキルを実際に試してみないサイズはわからないと言われています」
「そうか・・・」

 スキルカードを探してみるが、レベル4縮小のカードは無い。
 シロも持っていないようだ。

 しょうがないので、オリヴィエを呼んで居住区の倉庫に探しに行ってもらった。

「マスター」
「お。早いな」
「はい。アズリが持っていました」
「そうか、悪かったな。アズリにも伝えておいてくれ」
「はい」

 全裸の状態のシロを部屋に残して、家の外に出てスキルカードを受け取る。
 縮小のスキルカードが5枚と、拡大のスキルカードが4枚だ。居住区に行けばまだあると思うという事だったが、必要ならその時にお願いすると伝えてある。

 さて実験してみるか・・・。
 今の大きさが12インチのノートパソコンくらいだから、5インチのスマホくらいになれば嬉しいかな。
 風の影響とか受けそうだから、あまり小さいとダメかな?

 実際にやってみると、米粒くらいまで小さくなった。
 流石にそれだと探すのが大変なので、1cm四方くらいの大きさで飛ばしてみる事にした。

 シロにスキル風でいろいろな角度から風を送ってもらって、風の影響も調べてみた。

 ふぅー満足できる状態になった。
 スキル縮小も全部使ってしまった。調整がなかなか難しいスキルだな。任意の大きさにできるのではなく、込めた魔力でサイズが決まるようだからな。これなら、面倒がらずにプログラム化すればよかった。

「あの・・・」
「ん?なに?」
「カズトさん。このドローンですが?」
「なんだ?」
「いえ、元々は新種の魔物の様に鉱石で人型を作って自由に魔物を狩って楽しむようにするとか・・・カズトさんが、いえ、僕はご一緒できて嬉しいですし、楽しいからいいと思いますが・・・。あの・・・。どうされましたか?」

 しまった・・・。ドローン作成が楽しくて本来の目的を忘れてしまっていた。
 それを、シロに指摘される失態まで・・・。

 うん。
 しょうがない。忘れよう。制御を勉強したと思って、明日から鉱石を使った人型の作成をやってみよう。

 くやしいので、恥ずかしがる全裸のシロをドローンで見て楽しんだ。
 本当に美少女だなと再認識するだけになってしまった。
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