スキルイータ

北きつね

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第六章 開発

第六十五話

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/*** クリスティーネ=アラリコ・ミュルダ・マッテオ Side ***/

 話には聞いていた。リーリアお姉ちゃんからも、カイ兄やウミ姉は別格だと・・・。

 サラトガのダンジョンに入ったのは、2時間くらい前だと思う。
 既に、5階層まで降りてきている。その間、僕がやった事は、魔眼を使って、魔力の流れを読んだ事だけだ。それも、カズトさんから言われてやってみたら見えただけだ。

 イサークさんやナーシャお姉ちゃんから、5階層には、フロアボスが居る部屋があって、その部屋の前には、セーフエリアがあるという事だ。そこまで、一気に向かう事になった。カイ兄も、ウミ姉も、カズトさんも、問題なくダンジョンを駆け抜けていく。

 僕は、勘違いしていたかも知れない。
 レベル7回復という貴重なスキルを身に宿した事で、なんでもできるようになったと思ってしまっていた。思い上がっていたのだろう。カイ兄やウミ姉のスキルと見ると、確かに即死スキルや詠唱破棄の強力なスキルを持っている。
 でも、使っているのは、レベル3やレベル4の物を組み合わせて使っているだけだ。それでも、前を塞いでいる魔物たちが、あっという間に倒されていく。確かに、まだ低階層だから、苦労する事は無いだろうとは思っていたけど、ライ兄も、カズトさんも、攻撃に参加さえしていない。僕も、カズトさんの横に居るだけだ。

 5階層の、セーフエリアに到着した。

「クリス。大丈夫か?」

 カズトさんが声をかけてくれる。すごく嬉しい。

「うん。僕、何もしていないから、平気です」

 少し、卑屈になっている。
 カズトさんの役に立ちたいと思いながら、足手まといどころか・・・お荷物になってしまっている。

「魔眼を連続で使っていたけど、大丈夫か?」

 使っているけど、疲れていない。カズトさんに言われたのは、ダンジョンは魔力で動いているのなら、”魔力の流れがあるはずだ”それを、魔眼で見られないかという事だった。魔眼を発動すると、魔力の流れが見えるのは間違いない。
 ダンジョンで魔力が湧き出している方向があるという話をしたら、そっちが下に向かう場所だろうという事で、向かったら、階段が有った。5階層まで、僕が示した方向に進んだら、階段が存在していた。カズトさんが言った通りに、ダンジョンには魔力の流れが有るのだろう。僕は、それを見ただけなので、疲れては居ない。

「うん。大丈夫。疲れていないよ」
「そうか、少し休憩したら、クリスのスキルの調整をするか」
「え?僕?」
「今のままだと辛いだろう?スキルの練習にもならないからな」
「あ・・・でも、僕、魔核の吸収がうまくできないから・・・」
「あぁ大丈夫だ。その問題は、今後考えよう。まずは、空いているスロットと、武器に付与しよう」
「え?スロット?」
「あぁ説明は難しいな・・・クリスには、あと6個のスキルが付けられる事が、俺には解るって事で、今は満足しておいてくれ」
「え?あっうん。それで武器にも?」
「あぁリーリアが選んだのだろう?」
「うん。居住区の武器庫に言って、何個か武器と防具を出してくれて、僕が使いやすい物を選んだ」

 僕が選んだのは、短槍だ。剣は、うまく使える自身がなかった。実際に、持って振ってみても、リーリアお姉ちゃんの様にはできなかった。長槍も有ったが、短槍のほうが持った時にしっくりと来た。
 防具は、それほど種類がなかった。でも、リーリアお姉ちゃんから、最初だけだと思うと言われた。カズトさんに、正直に言えば防具は考えてくれるからと言われている。そのために、魔物の皮で作られた装備を身に着けている。

「防具は?」
「魔物の装備だけど、いいのが無かった・・・です」
「あぁそうか、居住区の倉庫だったよな?」
「うん」
「そうか、クリス。下着は、いつもの奴を持ってきているのか?」

 いきなり下着の話?
 子供下着だけど、カズトさんから貰ったものだよ。誰にも渡したり、捨てたりしないよ!

「・・・うん」
「あぁごめん。ごめん。あの下着を身に付けているのなら、装備も合わせたほうがいいよな。ライ。有るか?」
『うん。前に、あるじが着ていた物でいい?』
「そうだな。出して貰えるか?クリスにサイズが合えばいいけどな」

 え?カズトさんが前に使っていた物?
 ライ兄が、上着とシャツとジャケットと、ズボンを出してくれた。

 受け取って、思わず匂いを嗅いでしまった。カズトさんの匂いがすると思ったけど・・・ダメだった。

「クリス。これを着てもらえるか?」

 よく見ると、本当に一式有るようだ。
 靴まである。下着以外全部揃っている。それも、今、カズトさんが着ている物と同じデザインで、色も同じだ。リーリアお姉ちゃんが言っていたのはこれだったのだ!後は、僕が着られれば、これを僕の装備にする事ができる!

 もどかしい。皮装備を外して、下着姿になって、カズトさんが着ていた、装備を身につける。

「クリス!」

 カズトさんがなにか言いたさそうにしているが気にしていられない。
 シャツを着て、ジャケットを羽織る形でいいのかな?ズボンは、そのまま履けばいいのかな?中になにか履いたほうがいいのかな?でも、何も無いから、下着の上からズボンを履いて、紐で縛る。少し大きいが、このくらいなら大丈夫。ジャケットも袖が少しだけ長いが、折れば大丈夫!

「あぁもう!クリス」

/*** カズト・ツクモ Side ***/

 クリスに、俺が身に付けていたプロテクターとシャツやら一式を渡す事にした。
 確かに、居住区の倉庫に有った物だと、リーリアが満足できるものは無いだろう。俺も、間違いなく満足できない。

 ライが、上下とジャケットとプロテクターを出した。クリスが受け取って、何を思ったのか、下着姿になって着替え始める。
 違うと言おうと思った時には遅かった。

 ヌラたちの糸で作られた下着は確かに着心地もいいのだが、染めるのが面倒で、糸の色そのままで布にしてしまっている。染めればよかったと思わないことも無いが、身内だけにしか出していないので・・・いいわけだな。クリスが今身に付けている物は、そのヌラの糸の色のままだ。
 蜘蛛の糸だから、半透明になってしまっている。全部では無いが見えてしまっている。子供の身体に欲情する性癖はないので、大丈夫だが、目のやり場に困ってしまうのもたしかだ。

 それに、プロテクターを付けないで、ジャケットやズボンを身に付けてしまっている。
 それでは防具の役目にならない。

「あぁもう!クリス」
「え?」

「いいから、こっちに来い着せてやる」
「え!僕、間違っていた?」
「あぁ下着の上からズボンやシャツを着てどうする?お前が着ていた、インナーの上から、プロテクターを付けて、その上から、シャツを身に着けろ、ジャケットもだ。ズボンは、プロテクターを付けてから履け!いいから、一度脱げ!俺は後ろ向いているから、自分が着ていたインナーを着たら教えろよ」
「うん!いいよ。カズトさんなら全部見ていいよ。それよりも、着替えさせて!」

 あぁもう面倒だ!
 ジャケットを脱がして、シャツを脱がして、インナーを着せる。肩から肘までのプロテクターを付けて、紐で軽く締める。
「痛くないか?」
「うん。大丈夫!これなら、自分でできそう!」
「そうだな。反対側は自分でやってみるか?」
「うん!カズトさん。見ていて!」

 少し戸惑いながらも、肩から肘にかけてのプロテクターを装着した。胸と背中を守る物を着せる。これも、脇の部分で紐で調整できる。

「・・・カズトさん」
「なんだ?」
「僕、おっぱい大きくなるかな」
「なるんじゃないか?よくわからん」
「えぇぇ・・・カズトさんは、おっぱい、大きいのが好きなの?」
「どうでもいい質問だな。苦しくないか?」
「・・・うん。苦しくない。カズトさんが着けていた物が、僕にピッタリって少しだけ、女として残念」
「まだこれからだろう?」
「そうなの?」
「あぁそうだと思うぞ。どうでもいいから、手甲を付けるぞ。手首を少し締める感じになるから、着けてから動かしてみろよ」
「ぶぅ・・・あっうん。わかった」

「これを、腰の部分に巻きつけて、膝の上で固定するからな。自分でやるよな?」
「カズトさん。やって!」
「クリス。自分でやるよな?」
「最初だけ付けて下さい。次から自分でやります」

「解った。解った」

 腰の部分をガードするプロテクターを固定して、そのまま腿を覆うようにする。内側で紐で固定する。最後は、膝の少し上で固定する。

「クリス。動けるか?」

 少し、腰を動かしてみてみるが大丈夫なようだな

「うん。大丈夫」

 顔を真赤にさせている。やっと意味がわかったのだろう。

「膝のプロテクターと、スネと、足甲を付けてから、ズボンを履けば終わりだ」
「うん。カズトさん。ここまで見られたのなら、全部お願いします」
「はい。はい。大丈夫。見ていないからな。それに、クリスは、まだまだ子供だな」
「え?あっうっ・・・カズトさんのイジワル」

 手早く、プロテクターを付けた。
 実際、俺もダンジョンに入る時にしか使っていなかったけど、それほど傷んでないようで良かった。

「クリス。ズボンはどうする?少し裾が長いし、ウエスト部分が太かっただろう?」
「うん。でも、ズボンを履きたい」
「そうだな。スキルも付いているし、シャツとジャケットもそのまま着るか?」
「うん」
「少し、不格好だけど、調整は、リーリアができるから、後でしてもらえよ」
「わかった!スキルが付いているの?」
「あぁ今から説明する」

 各部のプロテクターには、レベル6物理攻撃半減を付与してある。あと、全部ではないが、レベル6状態異常半減と、レベル3体力強化/レベル3攻撃力向上/レベル3速度向上/レベル4体調管理を付与してある。

「え?」
「あと、ジャケットには、レベル5収納とレベル5結界を付与してある。シャツには、レベル4清潔が付与してある。ズボンにも、レベル4清潔とレベル5結界を付与してある」
「え?なに?すごい」
「でも、ジャケットの収納は、ポケットに入る程度の大きさだからな。魔核を入れたりするくらいしか役立たないぞ?」
「え?無制限?」
「あぁそうだよ。全部無制限で、常に発動しているけど、クリスの魔力なら十分運用できると思うぞ?辛かったら言えよ。スキルを外すからな」
「え?うん。わかった」
「あぁぁそうそう、材質は、クリスが大好きで毎日身に付けている下着と同じだから安心していいぞ」
「え?うそ。だってこれ・・」
「そうだな。ジャケットやシャツやプロテクターやズボンは、着色しているから、透けることは無いぞ?」
「えぇぇぇやっぱり・・・下着透けていたのぉぉぉ?カズトさん。見たの?」
「いいや。見えていないよ」
「・・・もう・・・僕・・・でも、いいや。カズトさんなら!そうだ!カズトさん。僕のスキル調整してくれるのですよね?」

 そうだな。武器・・・短槍にもスキルを付けないとな。
 短槍には、2つのスキルが付与できるから、それを考慮すればいいよな。

「あぁクリスは、戦うのなら、どうしたい?」
「僕・・・わからないです」
「そうだよな。ダンジョンに来るのも、戦うのも初めてなのだろうからな」
「うん」

 クリスがうつむいてしまう。

『カズ兄。クリスだけどね。僕と同じでいいと思う』
『ん?スキルを使って攻撃するって事か?』
『うん。魔眼があるから、魔力の流れを読める。物理攻撃より、スキル攻撃向き。カズ兄の昔の装備を着けるのなら、防御系も少なくていい。何ならスロットが3つある腕輪があったはず。あれに結界と障壁と防壁をつければいい』
『ライ。腕輪持っている?』
『あるよ!』

「クリス。聞こえていただろう?ウミの提案だけどどうする?」
「ウミ姉ありがとう。僕、スキルで攻撃する。後、後、カズトさん。わがまま言うけどいい?」
「ん?何?」
「僕も、収納スキルが欲しい。自分の荷物は持っていたい(あと・・・下着に色・・・)」
「ん?収納を付けると、5つか・・・なんとかなるか・・・やって見ないとわからないな」

 5つか・・・

 スキルを融合してみたら、同系列のスキルがうまい具合にまとまった。

 スキル炎系(スキル炎/スキル炎弾/スキル爆炎)
 スキル水・氷系(スキル水/スキル水弾/スキル爆水/スキル氷/スキル氷弾)
 スキル岩系(スキル岩/スキル岩弾/スキル爆岩)
 スキル風・雷系(スキル風/スキル雷/スキル雷弾)

 樹木との相性を考えると、スキル水・氷系とスキル岩系だな。クリスの短槍に、スキル炎系とスキル風・雷系をつければ、雷槍とか、炎槍とかできそうだな。

 状態異常で、そこまで組み込めるか・・・毒/麻痺/睡眠/拘束/停止/石化 までは融合できた。即死だけはダメだった。
 これであと2つ

 詠唱破棄は付けておいたほうがいいだろう。
 あと1つ

// 名前:クリスティーネ=アラリコ・ミュルダ・マッテオ
// 種族:人族
// 固有スキル:魔眼
// 固有スキル:樹木
// 固有スキル:獣化
// 固有スキル:念話
// スキル枠:回復
// スキル枠:水・氷系
// スキル枠:岩系
// スキル枠:状態異常系
// スキル枠:詠唱破棄
// スキル枠:収納
// スキル枠:---
// 体力:G
// 魔力:D

 短槍にもスキルを付与した。

 スキル枠を1つ空けておく事にした。即死スキルまでは必要ないだろうけど、これから戦う時に、速度重視で行くか、移動時の速度を上げるのかはわからないからな。

「クリス。確認してみてくれ!」
「うん!カズトさんありがとう!!!これで、僕も立派な化物の仲間入りができた!カズトさんと一緒に戦える!」
「クリスは、化物じゃないよ。はじめから、クリスはクリスだろう?それでいいと思うぞ?」
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