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序章
第二話
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光が消え、あたりを見回してみると、草原の中に、一人立っていた。
約束通り、人が居ない所で、魔物も弱い所に、転移してくれたと思って良さそうだ。
それよりも、本当に転移したのだな。
それに、若返っている。これじゃ、転移系の定番、地球に戻るはなさそうだな。まぁ一度死んだと思って、こちらの世界を楽しむ事にするか!
まずは、知識の確認をしないとな。
言語は、統一されていないのか・・・・。ん?言語?
まずい、そう言えば、言語の事を聞き忘れていた。簡単な英語はできるけど、英語では通じないだろうし、それ以外では、日本語と、C言語とパスカルと、Javaと、C#と、BASICと、PL/Iと、COBOLと、あと・・・PHPと、Rubyと・・・・錯乱してしまった。Fortran も大丈夫だな。M系のアセンブラも書き出せば思い出すかな?
そういう事ではなく、多分こちらの言語を覚えないとならない。共通言語が有るようだか、それを覚えればいいのだろうけど、共通言語がどれなのかわからない。
言語も問題だけど、拠点作りをしないとならないのだろう。
着るものは最悪このままでいいけど、食事と住居の確保は急務だろう。どこかに、安全な洞窟があればそこを改築していくのだけど、周りにはそんな雰囲気はない。
『あぁぁ客人。聞こえますか?』
頭の中に、スクルド神の声が響く。直接話しかけられているようだ。
「え?あっはい。大丈夫です」
『言葉ですが、客人が今話している言葉が、レビィラン語と言って、共通言語になっています。長さや重さの単位もそのままで大丈夫ですよ』
「あっありがとうございます」
『これは、神託です。長い時間は無理ですので、それでは』
「・・・あっ」
接続が切れた感じがした。
見られているのは間違いないという事だな。別に、露出癖は無いが、気にしてもしょうがないのだろう。忘れる事にしよう。
さて、言葉の問題が解決したが、これからどうしよう。
立ち上がって周りを見回すが、”草原”だけしか無い。マップ機能でもあれば違うのだろうが、最低でも水の確保はしておきたい。
水が流れるような音はしないし、地中深く掘る道具も無い。
・・・・もしかして、詰んだ?
道らしき物も見えないから、近くに町や村はないのだろう。
情報の中に人口や大陸の大きさがあるが、それから考えると、一箇所にまとまっていれば、日本の地方都市位の大きさはあるかもしれないけど、そうでなければ、数千単位の集団が殆どなのだろう。交流も殆ど無いと考えたほうがいいのかもしれないな。
さて、ここで考えていてもしょうがない。
”運を天に任せて”どちらかに進み始めようかな
もらった防具は、いわゆる”皮の鎧”のようで、鑑定しても、皮の鎧と出てくる。街に行ったら買い換えればいい。ライトアーマとは言わないけど、もう少し安心できる物が欲しい。
武器は、ショートソードが二本だ。二刀流なんて器用な真似はできないけど、予備だと思えばいいかな。後、ナイフの様な物もあった。
無限収納とは言わないけど、アイテムボックスの様な物は欲しかったな。
装備も確認したし、異世界探索を始めましょうかね。
/***** ??? Side *****/
男性が二人、ソファーに座って話しをしていた。
一人は、青年だが明らかに動揺している。そんな青年を見て、再度事情を説明した
「それは本当ですか?」
「お前も、儂の跡を継ぐのだ、もう少し落ち着いたらどうだ?」
老年の男性は、座っていた椅子から立ち上がって、青年にソファーに座るように促してから、自分は正面に座った。
「そう言われましても、サイレントヒルに、光の柱が立ち上がったのは間違いない事実です。それを、何もしないとは?もし、以前のように、ドラゴンだったりしたら・・・」
「だから、落ち着けと言っている。そもそも、ドラゴンなら、教会から何か言ってくるだろう?それが無いのだぞ、それに、サイレントヒルまでどのくらいの距離があると思っておる?」
二人は、周辺の状況がわかる、地図を広げながら話をしている。
「しかし・・・」
「わかっておる。しかし、今はまだ時期ではない。まずは、収穫を終わらせてから、周辺の奴らの動向を調べてからでも遅くはないだろう」
「・・・わかりました。それでは、何か動きがあれば知らせるようにいいましょうか?」
老年の男性は、何か考える仕草をして、しばらく黙って、青年を見ている。
「そうだな。お前の下に、速駆のスキルを持つ者がいたな」
「え!あっはい。2名居ます」
「今、そいつらを動かす事はできるか?」
「できますが?」
老年の男性は、その言葉を聞いて”ニヤリ”としてから
「よし。サラトガとアンクラムの連中に、”サイレントヒルに何かが有ったかもしれない”と、知らせてやれ」
「あっはい。指示を出します」
「あぁそのときに、商人を向かわせるのを忘れないようにな」
「・・・かしこまりました。向かわせるのは誰にしましょうか?」
「お前に任せる」
「はい」
老年の男性は、青年に指示をだし、部屋から出ていくように促した。
「あやつも、もう少し考えてくれないとな。何も、我らだけが、危ない橋を渡る必要は無いだろう。誰かが、益を得たのなら、それを奪えばいい。そのための、準備をしておけばいいだけだろう・・・」
/***** カズト・ツクモ Side *****/
とりあえず、小高い丘の頂上を目指すことにした。
高い所から見下ろせば、違った情報が手に入ると思ったからだ。
(・・・何も・・・いや、森か?森があるって事は、水も有るだろうし、何かしらの生態系が形成されているのだろう。動物はいないと言っていたが、それだと、種子を運ぶ方法が無い。何かしらの生き物は存在しているのだろう。全部、スキルでなんとかするとか言われると困ってしまうが、それを調べる為にも、移動したほうがいいだろうな)
覚悟を決めて歩き始めるが、1時間後には、弱音を吐き始めて、2時間後には、座り込んでしまった。
何もしないのも時間がもったいない感じがしたので、スキルの確認や、鑑定を行う事にした。
そのあたりにある草を抜いて、”鑑定”と念じてみた。
// 草
// 食用に適さない
もう少し情報が出ない物かな?
見た目から違う種類の草を”鑑定”してみたが、結果は同じだ。もしかしたら、これは俺の知識と連動しているのではないか?
もらったナイフを”鑑定”してみる
// ナイフ
// 鉄製のナイフ
ついでに、剣も鑑定してみる。
// ショートソード
// 空きスロット:3
ん?スロットってなんだ?
// スロット:スキルが付与できる
これが、スクルドが言っていた、スキルの付与なのだな。
鑑定すれば解る物を、なんで現地の人たちは使わないのだ?
理由がわからない。俺がもらった”鑑定”が違うのかもしれないし、そもそも、鑑定が知識に基づいているのなら、現地の人たちには、スキルスロットという知識が無いのかもしれない。説明するのも難しいだろうし、気が付かないで使っているのかもしれない。
まぁ調べるにも比較対象が居ない事には話が進まない。
まずやってみるしか無いのだろうな
今持っているスキルは、”火種”と”隠蔽”だが、剣につけるのなら、”火種”という事になる。
やり方は、知識としてもらっている。
火種のスキルを、顕現させる。
素材はわからないが、スキル名とレベルが書かれた、カードが顕現する。
剣を持って、スキルカードをゆっくりと剣に差し込むようにする。これで問題ないはずだ。
少し抵抗があったスキルカードが途中まで来ると、”すぅーと”剣に吸い込まれていった。
よし!
鑑定!
// ショートソード
// スキル:火種
// 空きスロット:2
よしできた!
次は、使ってみよう。
剣を構えて、”火種”と詠唱する。
”ぼっ!”
剣先に、炎が灯る。身体の中から何かが抜けていくのが解る。これが魔力なのだろう。剣としては、使いみちが無いが、火を付けるには使えそうだな。魔力の提供を意識して止めてみると、炎が消えた。
再度使ってみよう。
”火種”・・・・え?
先程と同じようになると予測していたが、炎が灯らない。
剣を鑑定してみる
// ショートソード
// 空きスロット:3
・・・・
・・・・
・・・・そうか、スキルは使えばなくなる。剣に吸収させた物でも、使えばなくなるのは、当然の事だ。
これじゃ、スキルを付与した便利な道具ができないわけだ。これなら、自分でスキルを使うのと変わらない。
少し歩いてから、次の休憩の時にでも考えるか!
それから、スクルドから与えられた知識を参照しながら、歩いた。
喉が乾いてきて、疲れもピークに達した時に、目の前に森が広がっているのがわかる距離まで近づく事ができた。
後、10分も歩けば森まで到達できるだろう。
喉も乾いているが、今日はここまでにしよう。風で飛ばれてきたのだろう、木々も有るし、石も見られる。
初っ端からかなりハードモードだな。
ラノベの定番では、この辺りで、盗賊が襲ってきたり、金持ちの馬車が魔物に襲われたり、王族や貴族が襲われたりするのだろうけどな。静寂が広がるだけで、俺以外の生物さえ見当たらない。
確かに喉が乾いているし疲れてもいるが、以前の俺では考えられない位に動いている。若返った影響なのか、それとも、異世界だからなのかはわからない。
周りの木々を集めて・・・。先に、剣に、火種を”固定化”できないか試してみる事にする。
先程と同じ要領で、剣と火種のスキルカードを用意した。
今度は、自分の”固有スキル”を使って、剣にスキルを付与してみる。剣にスキルカードを差し込むのではなく、両手でしっかりと保持して、”固定化スキル”を発動する。発動方法は、詠唱を行うのだが、イメージがしっかりとしていれば、念じるだけでスキルが発動する。
固定化スキルが発動して、火種のスキルカードが消えた。
自分を鑑定してみても、火種が一つ減っている。剣を鑑定してみる。
// ショートソード
// 固有スキル:火種
// 空きスロット:2
今度は、固有スキルとして、火種が付与されている。
試しに、使ってみる。先程と同じように、剣先に炎が灯された。一度、魔力の供給を遮断して、再度使ってみる。
今度は、問題なく複数回使えるようだ。回数制限が有るのかわからないが、これで、しばらくは火種と灯りには困らないだろう。
集めた木々に、剣先を近づけて、火をつけた。
固定化は、間違いなくチート能力なのだろう。
そうだ、隠蔽で隠しておいたほうがいいのだろうか?
その前に、他の”眷属化”や”創造”もヤバそうな匂いがしている。そう言えば、鑑定でしか自分を見ていないけど、”ステータスオープン”だったかな?
お!
名前:カズト・ツクモ
性別:男性
年齢:10
種族:フューム
パーティ:なし
称号:客人
固有スキル:固定化
固有スキル:眷属化
固有スキル:創造
スキル:鑑定
体力:G
魔力:A-
あ・・・だめな項目発見。称号は隠蔽しておいたほうがいいだろう。あと、魔力の”A-”も隠蔽対象だけど、魔力は隠蔽しないほうがいいだろうな。この世界の平均が、C程度だから、体力はかなり低くて、魔力がかなり優秀という事になってくる。そう見えればいいし、”眷属化”は珍しくもないと思いたい。他が、まずいような気がする。それに、魔物を連れて歩いている時に、固有スキルがあると言う方が信頼してもらえるだろう。
隠蔽のスキルカードは、3枚(単位は、枚でいいのか?)
”固定化”と称号の”客人”と”創造”を対象とすればいいようだな。
隠蔽のスキルカードを、顕現させて、スキルを発動させる。まずは、称号の客人を意識する。
スキルが発動したようだ、スキルカードが消えてなくなる。
”ステータス”を確認する。
名前:カズト・ツクモ
性別:男性
年齢:10
種族:フューム
パーティ:なし
称号:---
固有スキル:固定化
固有スキル:眷属化
固有スキル:創造
固有スキル:鑑定
体力:H
魔力:A-
できているようだ。鑑定を行ってみる。
// 名前:九十九万人
// 性別:男性
// 年齢:10
// 種族:フューム
// パーティ:なし
// 称号:(隠蔽)客人
// 固有スキル:固定化(レベル2)
// 固有スキル:眷属化(レベル1)
// 固有スキル:創造(レベル1)
// スキル枠:鑑定
// スキル枠:----
// スキル枠:----
// スキル枠:----
// スキル枠:----
// スキル枠:----
// スキル枠:----
// スキル枠:----
// スキル枠:----
// レベル1:火種(8)
// レベル2:
// レベル3:
// レベル4:隠蔽(2)
// レベル5:
// レベル6:
// レベル7:
// レベル8:
// レベル9:
// レベル10:
// 体力:H
// 魔力:A-
問題ないようだな。固定化と創造も同じように隠蔽した。
そう言えば、スキルカードが通貨になっていると言っていたけど、鑑定がないと表示できないのは不便じゃないのか?
”スキルリスト”
レベル1:火種(8)
レベル2:
レベル3:
レベル4:
レベル5:
レベル6:
レベル7:
レベル8:
レベル9:
レベル10:
お!これで、持っているスキルカードの一覧が見られるのか。
価値に関しては、街に行かないと確認できないだろう。
防具は一応ある。剣も二本ある。チートだと思われる能力もある。ある程度の知識もある。
しかし、空腹を紛らわせるだけの材料も無ければ、喉の渇きを潤す物もない。
未来に、向けてなんとかなるという思いだけが存在している。
考えるのも馬鹿らしくなる状況だが、なんとかなりそうだと思えてしまう。
風で揺らぐ炎を見て、大地に寝っ転がる。天を見上げれば、見たことが無いほどの星々が、俺を見ているようだ。名も知らない星々が、優しく見守ってくれている。
俺は、ゆっくりと目を閉じた。
約束通り、人が居ない所で、魔物も弱い所に、転移してくれたと思って良さそうだ。
それよりも、本当に転移したのだな。
それに、若返っている。これじゃ、転移系の定番、地球に戻るはなさそうだな。まぁ一度死んだと思って、こちらの世界を楽しむ事にするか!
まずは、知識の確認をしないとな。
言語は、統一されていないのか・・・・。ん?言語?
まずい、そう言えば、言語の事を聞き忘れていた。簡単な英語はできるけど、英語では通じないだろうし、それ以外では、日本語と、C言語とパスカルと、Javaと、C#と、BASICと、PL/Iと、COBOLと、あと・・・PHPと、Rubyと・・・・錯乱してしまった。Fortran も大丈夫だな。M系のアセンブラも書き出せば思い出すかな?
そういう事ではなく、多分こちらの言語を覚えないとならない。共通言語が有るようだか、それを覚えればいいのだろうけど、共通言語がどれなのかわからない。
言語も問題だけど、拠点作りをしないとならないのだろう。
着るものは最悪このままでいいけど、食事と住居の確保は急務だろう。どこかに、安全な洞窟があればそこを改築していくのだけど、周りにはそんな雰囲気はない。
『あぁぁ客人。聞こえますか?』
頭の中に、スクルド神の声が響く。直接話しかけられているようだ。
「え?あっはい。大丈夫です」
『言葉ですが、客人が今話している言葉が、レビィラン語と言って、共通言語になっています。長さや重さの単位もそのままで大丈夫ですよ』
「あっありがとうございます」
『これは、神託です。長い時間は無理ですので、それでは』
「・・・あっ」
接続が切れた感じがした。
見られているのは間違いないという事だな。別に、露出癖は無いが、気にしてもしょうがないのだろう。忘れる事にしよう。
さて、言葉の問題が解決したが、これからどうしよう。
立ち上がって周りを見回すが、”草原”だけしか無い。マップ機能でもあれば違うのだろうが、最低でも水の確保はしておきたい。
水が流れるような音はしないし、地中深く掘る道具も無い。
・・・・もしかして、詰んだ?
道らしき物も見えないから、近くに町や村はないのだろう。
情報の中に人口や大陸の大きさがあるが、それから考えると、一箇所にまとまっていれば、日本の地方都市位の大きさはあるかもしれないけど、そうでなければ、数千単位の集団が殆どなのだろう。交流も殆ど無いと考えたほうがいいのかもしれないな。
さて、ここで考えていてもしょうがない。
”運を天に任せて”どちらかに進み始めようかな
もらった防具は、いわゆる”皮の鎧”のようで、鑑定しても、皮の鎧と出てくる。街に行ったら買い換えればいい。ライトアーマとは言わないけど、もう少し安心できる物が欲しい。
武器は、ショートソードが二本だ。二刀流なんて器用な真似はできないけど、予備だと思えばいいかな。後、ナイフの様な物もあった。
無限収納とは言わないけど、アイテムボックスの様な物は欲しかったな。
装備も確認したし、異世界探索を始めましょうかね。
/***** ??? Side *****/
男性が二人、ソファーに座って話しをしていた。
一人は、青年だが明らかに動揺している。そんな青年を見て、再度事情を説明した
「それは本当ですか?」
「お前も、儂の跡を継ぐのだ、もう少し落ち着いたらどうだ?」
老年の男性は、座っていた椅子から立ち上がって、青年にソファーに座るように促してから、自分は正面に座った。
「そう言われましても、サイレントヒルに、光の柱が立ち上がったのは間違いない事実です。それを、何もしないとは?もし、以前のように、ドラゴンだったりしたら・・・」
「だから、落ち着けと言っている。そもそも、ドラゴンなら、教会から何か言ってくるだろう?それが無いのだぞ、それに、サイレントヒルまでどのくらいの距離があると思っておる?」
二人は、周辺の状況がわかる、地図を広げながら話をしている。
「しかし・・・」
「わかっておる。しかし、今はまだ時期ではない。まずは、収穫を終わらせてから、周辺の奴らの動向を調べてからでも遅くはないだろう」
「・・・わかりました。それでは、何か動きがあれば知らせるようにいいましょうか?」
老年の男性は、何か考える仕草をして、しばらく黙って、青年を見ている。
「そうだな。お前の下に、速駆のスキルを持つ者がいたな」
「え!あっはい。2名居ます」
「今、そいつらを動かす事はできるか?」
「できますが?」
老年の男性は、その言葉を聞いて”ニヤリ”としてから
「よし。サラトガとアンクラムの連中に、”サイレントヒルに何かが有ったかもしれない”と、知らせてやれ」
「あっはい。指示を出します」
「あぁそのときに、商人を向かわせるのを忘れないようにな」
「・・・かしこまりました。向かわせるのは誰にしましょうか?」
「お前に任せる」
「はい」
老年の男性は、青年に指示をだし、部屋から出ていくように促した。
「あやつも、もう少し考えてくれないとな。何も、我らだけが、危ない橋を渡る必要は無いだろう。誰かが、益を得たのなら、それを奪えばいい。そのための、準備をしておけばいいだけだろう・・・」
/***** カズト・ツクモ Side *****/
とりあえず、小高い丘の頂上を目指すことにした。
高い所から見下ろせば、違った情報が手に入ると思ったからだ。
(・・・何も・・・いや、森か?森があるって事は、水も有るだろうし、何かしらの生態系が形成されているのだろう。動物はいないと言っていたが、それだと、種子を運ぶ方法が無い。何かしらの生き物は存在しているのだろう。全部、スキルでなんとかするとか言われると困ってしまうが、それを調べる為にも、移動したほうがいいだろうな)
覚悟を決めて歩き始めるが、1時間後には、弱音を吐き始めて、2時間後には、座り込んでしまった。
何もしないのも時間がもったいない感じがしたので、スキルの確認や、鑑定を行う事にした。
そのあたりにある草を抜いて、”鑑定”と念じてみた。
// 草
// 食用に適さない
もう少し情報が出ない物かな?
見た目から違う種類の草を”鑑定”してみたが、結果は同じだ。もしかしたら、これは俺の知識と連動しているのではないか?
もらったナイフを”鑑定”してみる
// ナイフ
// 鉄製のナイフ
ついでに、剣も鑑定してみる。
// ショートソード
// 空きスロット:3
ん?スロットってなんだ?
// スロット:スキルが付与できる
これが、スクルドが言っていた、スキルの付与なのだな。
鑑定すれば解る物を、なんで現地の人たちは使わないのだ?
理由がわからない。俺がもらった”鑑定”が違うのかもしれないし、そもそも、鑑定が知識に基づいているのなら、現地の人たちには、スキルスロットという知識が無いのかもしれない。説明するのも難しいだろうし、気が付かないで使っているのかもしれない。
まぁ調べるにも比較対象が居ない事には話が進まない。
まずやってみるしか無いのだろうな
今持っているスキルは、”火種”と”隠蔽”だが、剣につけるのなら、”火種”という事になる。
やり方は、知識としてもらっている。
火種のスキルを、顕現させる。
素材はわからないが、スキル名とレベルが書かれた、カードが顕現する。
剣を持って、スキルカードをゆっくりと剣に差し込むようにする。これで問題ないはずだ。
少し抵抗があったスキルカードが途中まで来ると、”すぅーと”剣に吸い込まれていった。
よし!
鑑定!
// ショートソード
// スキル:火種
// 空きスロット:2
よしできた!
次は、使ってみよう。
剣を構えて、”火種”と詠唱する。
”ぼっ!”
剣先に、炎が灯る。身体の中から何かが抜けていくのが解る。これが魔力なのだろう。剣としては、使いみちが無いが、火を付けるには使えそうだな。魔力の提供を意識して止めてみると、炎が消えた。
再度使ってみよう。
”火種”・・・・え?
先程と同じようになると予測していたが、炎が灯らない。
剣を鑑定してみる
// ショートソード
// 空きスロット:3
・・・・
・・・・
・・・・そうか、スキルは使えばなくなる。剣に吸収させた物でも、使えばなくなるのは、当然の事だ。
これじゃ、スキルを付与した便利な道具ができないわけだ。これなら、自分でスキルを使うのと変わらない。
少し歩いてから、次の休憩の時にでも考えるか!
それから、スクルドから与えられた知識を参照しながら、歩いた。
喉が乾いてきて、疲れもピークに達した時に、目の前に森が広がっているのがわかる距離まで近づく事ができた。
後、10分も歩けば森まで到達できるだろう。
喉も乾いているが、今日はここまでにしよう。風で飛ばれてきたのだろう、木々も有るし、石も見られる。
初っ端からかなりハードモードだな。
ラノベの定番では、この辺りで、盗賊が襲ってきたり、金持ちの馬車が魔物に襲われたり、王族や貴族が襲われたりするのだろうけどな。静寂が広がるだけで、俺以外の生物さえ見当たらない。
確かに喉が乾いているし疲れてもいるが、以前の俺では考えられない位に動いている。若返った影響なのか、それとも、異世界だからなのかはわからない。
周りの木々を集めて・・・。先に、剣に、火種を”固定化”できないか試してみる事にする。
先程と同じ要領で、剣と火種のスキルカードを用意した。
今度は、自分の”固有スキル”を使って、剣にスキルを付与してみる。剣にスキルカードを差し込むのではなく、両手でしっかりと保持して、”固定化スキル”を発動する。発動方法は、詠唱を行うのだが、イメージがしっかりとしていれば、念じるだけでスキルが発動する。
固定化スキルが発動して、火種のスキルカードが消えた。
自分を鑑定してみても、火種が一つ減っている。剣を鑑定してみる。
// ショートソード
// 固有スキル:火種
// 空きスロット:2
今度は、固有スキルとして、火種が付与されている。
試しに、使ってみる。先程と同じように、剣先に炎が灯された。一度、魔力の供給を遮断して、再度使ってみる。
今度は、問題なく複数回使えるようだ。回数制限が有るのかわからないが、これで、しばらくは火種と灯りには困らないだろう。
集めた木々に、剣先を近づけて、火をつけた。
固定化は、間違いなくチート能力なのだろう。
そうだ、隠蔽で隠しておいたほうがいいのだろうか?
その前に、他の”眷属化”や”創造”もヤバそうな匂いがしている。そう言えば、鑑定でしか自分を見ていないけど、”ステータスオープン”だったかな?
お!
名前:カズト・ツクモ
性別:男性
年齢:10
種族:フューム
パーティ:なし
称号:客人
固有スキル:固定化
固有スキル:眷属化
固有スキル:創造
スキル:鑑定
体力:G
魔力:A-
あ・・・だめな項目発見。称号は隠蔽しておいたほうがいいだろう。あと、魔力の”A-”も隠蔽対象だけど、魔力は隠蔽しないほうがいいだろうな。この世界の平均が、C程度だから、体力はかなり低くて、魔力がかなり優秀という事になってくる。そう見えればいいし、”眷属化”は珍しくもないと思いたい。他が、まずいような気がする。それに、魔物を連れて歩いている時に、固有スキルがあると言う方が信頼してもらえるだろう。
隠蔽のスキルカードは、3枚(単位は、枚でいいのか?)
”固定化”と称号の”客人”と”創造”を対象とすればいいようだな。
隠蔽のスキルカードを、顕現させて、スキルを発動させる。まずは、称号の客人を意識する。
スキルが発動したようだ、スキルカードが消えてなくなる。
”ステータス”を確認する。
名前:カズト・ツクモ
性別:男性
年齢:10
種族:フューム
パーティ:なし
称号:---
固有スキル:固定化
固有スキル:眷属化
固有スキル:創造
固有スキル:鑑定
体力:H
魔力:A-
できているようだ。鑑定を行ってみる。
// 名前:九十九万人
// 性別:男性
// 年齢:10
// 種族:フューム
// パーティ:なし
// 称号:(隠蔽)客人
// 固有スキル:固定化(レベル2)
// 固有スキル:眷属化(レベル1)
// 固有スキル:創造(レベル1)
// スキル枠:鑑定
// スキル枠:----
// スキル枠:----
// スキル枠:----
// スキル枠:----
// スキル枠:----
// スキル枠:----
// スキル枠:----
// スキル枠:----
// レベル1:火種(8)
// レベル2:
// レベル3:
// レベル4:隠蔽(2)
// レベル5:
// レベル6:
// レベル7:
// レベル8:
// レベル9:
// レベル10:
// 体力:H
// 魔力:A-
問題ないようだな。固定化と創造も同じように隠蔽した。
そう言えば、スキルカードが通貨になっていると言っていたけど、鑑定がないと表示できないのは不便じゃないのか?
”スキルリスト”
レベル1:火種(8)
レベル2:
レベル3:
レベル4:
レベル5:
レベル6:
レベル7:
レベル8:
レベル9:
レベル10:
お!これで、持っているスキルカードの一覧が見られるのか。
価値に関しては、街に行かないと確認できないだろう。
防具は一応ある。剣も二本ある。チートだと思われる能力もある。ある程度の知識もある。
しかし、空腹を紛らわせるだけの材料も無ければ、喉の渇きを潤す物もない。
未来に、向けてなんとかなるという思いだけが存在している。
考えるのも馬鹿らしくなる状況だが、なんとかなりそうだと思えてしまう。
風で揺らぐ炎を見て、大地に寝っ転がる。天を見上げれば、見たことが無いほどの星々が、俺を見ているようだ。名も知らない星々が、優しく見守ってくれている。
俺は、ゆっくりと目を閉じた。
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見えるのは俺を取り囲む醜悪な小人三体と、遠くに森の様な木々が見えるだけだ。
「えっと、とりあえずどうにかしないと多分……死んじゃうよね。でも、どうすれば?」
にじり寄ってくる三体の何かを警戒しながら、どうにかこの場を切り抜けたいと考えるが、手元には武器になりそうな物はなく、持っているコンビニの袋の中は発泡酒三本とツナマヨと梅干しのおにぎり、後はポテサラだけだ。
「こりゃ、詰みだな」と思っていると「待てよ、ここが異世界なら……」とある期待が沸き上がる。
「何もしないよりは……」と考え「ステータス!」と呟けば、目の前に半透明のボードが現れ、そこには自分の名前と性別、年齢、HPなどが表記され、最後には『空間魔法Lv1』『次元の隙間からこぼれ落ちた者』と記載されていた。
はぁ?とりあえず寝てていい?
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※第二章は全体的に説明回が多いです。
<<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>
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【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
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