153 / 178
第五章 共和国
第五十二話 要塞化
しおりを挟む俺は、カルラとアルバンをアルトワ・ダンジョンの拠点に残して、最下層に移動した。エイダと二人で駆け抜けた。
『マスター』
「ウーレンフートから、ラックを持ってきてくれ」
『了』
エイダに指示を出す。ラックサーバで、アルトワ・ダンジョンと周辺を構築する。
城塞を作るには、組み込んでいるサーバーではパワーが足りない。アルトワ・ダンジョンは、共和国内のダンジョンを管理する必要もある。モニターを行うだけでも、十分なパワーがないと重要な情報を見逃すことがある。
各ダンジョンには、最低限の施設だけを残すようにして、アルトワに向かっている最中に構築したスキルを連動させる。アルトワ・ダンジョン以外のダンジョンは自爆するようにした。コアは、アルトワ・ダンジョンに避難が終わっている。
現在は、遠隔でダンジョンの管理ができるのか確認をしている。
『マスター。フルスペックですか?』
「そんなに珠があるのか?」
『2Uが混ざりますが、ハーフラックが埋まります』
「そこまでは・・・。そうだな。フルスペックで頼む」
『了』
ヒューマノイドタイプが、ラックを持ってきて設置する。
サーバの組み込みは終わっていない。一度、配線を綺麗にやって見せてから、ヒューマノイドタイプたちも練習をしたようだ。今では、十分に綺麗な配線が出来ている。
ネットワークもしっかりと接続された。
”火”が入ると、ファンが回りだす。サーバーの機能を順次移動させていく、まずはアルトワ・ダンジョンだ。
『移行が完了しました』
「解った。旧システムの”火”を落して、ウーレンフートに持っていってくれ、ログは解析に回す」
『了』
ログを吸い上げた媒体をヒューマノイドに渡す。
サーバの”火”が落ちたのを確認して、サーバを移動させる。
モニターは、このまま使う。
6面用のモニターアームがあったので、サイズを揃えたモニターを取り付けている。
「他のダンジョンは、仮想環境で構築」
『了』
「コアに制御を任せないで運営ができるのか確認」
『了』
「移行に問題は?」
『ありません』
「よし、移行を実施。各ダンジョンには制御を残さないように!」
『了。移行完了までの予想時間は、7時間37分』
「終了後、コアの確認と、運用テストを実施。任せて大丈夫か?」
『是』
ダンジョンの移行は、エイダに任せられる。
終了後のテストは、ヒューマノイドたちに任せて問題があればエイダが対応を行う。
ウーレンフートでも実行は出来たが、サブルームの意味もあるので、アルトワ・ダンジョンで構築を行った。
これで、ウーレンフートのダンジョンが誰かに強襲されたとしても、アルトワ・ダンジョンに逃げられる。ウーレンフートのログやシステムは、バックアップを自動的に作成している。アルトワ・ダンジョンから、ウーレンフートのバックアップを取得して保存する。プッシュも考えたが、プル方式での運用にした。
アルトワ・ダンジョンのサーバーを強化した。共和国で攻略したダンジョンを監視する体制が整った。
さて、アルトワ・ダンジョン村を、要塞化しよう。
カルラとアルバンに、連絡を入れる。
ダンジョンの支配領域から出なければ、連絡ができる。
まずは、外壁の拡張だ。
現状でも、今の規模なら大丈夫だ。
攻め込まれた時を考えると、不安な部分が多い。
まずは、スキルへの対応が出来ていない。趣味に走らせてもらう。
五稜郭を真似しよう。今の拠点を守っている壁と堀を囲むように五稜郭の堀を作る。水は、前と同じでいいだろう。ダンジョンを使って循環させる。
城壁は、5メートルクラスでいいだろう。ヒューマノイドを配置したい。ヒューマノイドを外に出すのには抵抗が強い。クォートやシャープくらいまで作り込めばいいのだろうけど、あまり俺が立ち寄らない場所に配置するのは好ましくない。
上に戻って、状況を確認してから、続きは遠隔で調整だな。
「エイダ。遠隔での調整は可能か?」
『是』
エイダも残りは、遠隔で大丈夫なようだ。
他にも調整が必要だとは思うが、ヒューマノイドに指示をだす事ができる。
「そうだ。エイダ。リスプの成長は?」
『制御を、ウーレンフートで負担しています。リソースを成長に割り振られます』
「そうか、他のダンジョン・コアの支配ができるか?」
『是』
「共和国のダンジョン・コアは、リスプの配下にして、成長を優先させてくれ」
『了』
リスプを成長させるだけのリソースを用意しなければならない。
成長が早ければ、支配が進む。支配が進めば、”黒い石”の浸食を把握できる可能性が出て来る。
”黒い石”は存在してはダメな物だと思える。
ウィルスだと仮定して対策を作ってみたが、まだ狙いが解らない。魔物への浸食だけが目的なのか?ダンジョンへの浸食が目的だとしたら?
ダンジョンを支配する意味は大きい。
俺が得ているメリットを考えれば・・・。
俺とは違う方法で支配を試みている者たちが居るのだとしたら、俺の敵だ。ルールを曲げるような攻略を容認することはできない。それは、暗殺で父を母を妹を大切な従者を乳母を失った俺には解る。決められたルール上なら何をやってもいいとは思うが、ルールから逸脱する行為は、ルールを作る側になって初めて成立する事だ。自分たちが、ルールを作っている側だと勘違いをしている連中が使っている”黒い石”は、ダンジョンのルールから外れている。
俺が全面的に正しいとは思わない。
しかし、俺が”気分が悪い”と判断しているから、対処を行う。
「”黒い石”を発見したら、追跡を行うように指示してくれ、リソースを喰らっても構わない。素性が知りたい」
『了』
「リスプにも、パターン学習を頼む。特に、浸食に関しては、確実に覚えさせてくれ、対処はヒューマノイドに覚えさせて、リスプには、アラーム機能と追跡機能の強化だ。十分な成長が行われた時の為に、準備を頼む」
『了』
エイダと話をしながら、城壁に向かった。
城壁と新しく支配領域に設定した場所を見回していると、門から出てきた者が俺を呼んだ。
「大将!」
いい加減に呼び名を変えて欲しいが、前回の話し合いで無理だと悟った。
俺が受け入れればいいだけなのだ。
それに、砦を守っている者たちの責任者なら、”ボス”か”大将”が正しいようにも思えてきた。
「どうした?」
「どうした?急に壁が出来て、どうせ大将の仕業だろうと、皆には説明しておいた」
「説明?」
「ウーレンフートからの行商が来ている」
「物資の搬送か?」
「依頼していた物が揃ったから、アルトワ・ダンジョンの環境が揃う」
「そうか、食料はダンジョンがあるから大丈夫だと思ったのだが?」
「大将。本当に・・・。いや、辞めておこう。食料や水は確保出来ているが、生活をするのに他にも必要な物があるだろう?」
「ん?」
「最初の頃は我慢もできる。安定してくると、食器や家具が必要になる。他にも、武器のメンテナンスも必要だ」
「あぁ・・・。すまん。忘れていた」
「いいさ。もともと、運び込む予定だったからな。次は、職人を連れてきてもらう予定だ」
「そうだな」
「それで・・・。大将?」
「なんだ?」
「この場所は、結局どうする?ウーレンフートの飛び地のように感じているけど、占拠している状況だよな?」
「それは大丈夫だ。共和国の法で、未開発地に村を作ったのなら、占有できる権利が貰える。まぁ税金を払う必要があるけどな・・・」
「どこかに、属するのか?」
「文句を言われたら考えればいい。今の戦力なら、攻め込まれても撃退ができるだろう?」
「撃退していいのか?」
「攻められれば撃退するのは当然だろう?」
「ははは。確かに!」
ベルメルトに要塞化した。アルトワ・ダンジョン村の防御施設を説明した。ベルメルトが心配していたのは、共和国に攻められることも心配していたが、それ以上にダンジョンの氾濫が発生しないかだが、伝えてはいないが、氾濫は制御できているので大丈夫だ。怖いのは、”黒い石”関連だけだ。
0
お気に入りに追加
306
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
拝啓、お父様お母様 勇者パーティをクビになりました。
ちくわ feat. 亜鳳
ファンタジー
弱い、使えないと勇者パーティをクビになった
16歳の少年【カン】
しかし彼は転生者であり、勇者パーティに配属される前は【無冠の帝王】とまで謳われた最強の武・剣道者だ
これで魔導まで極めているのだが
王国より勇者の尊厳とレベルが上がるまではその実力を隠せと言われ
渋々それに付き合っていた…
だが、勘違いした勇者にパーティを追い出されてしまう
この物語はそんな最強の少年【カン】が「もう知るか!王命何かくそ食らえ!!」と実力解放して好き勝手に過ごすだけのストーリーである
※タイトルは思い付かなかったので適当です
※5話【ギルド長との対談】を持って前書きを廃止致しました
以降はあとがきに変更になります
※現在執筆に集中させて頂くべく
必要最低限の感想しか返信できません、ご理解のほどよろしくお願いいたします
※現在書き溜め中、もうしばらくお待ちください
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる