上 下
6 / 10

お似合いの二人

しおりを挟む
──────────都内ビル
「お疲れ様でしたー」
「お先失礼します!」

「おう!おつかれー」
「あっ紫郎ー!後ちょっとで俺も終わるから飲みに行こうぜ」

「いやっ、今日はやめとくわー」
「なんだよー。女か?女だろ」
「部分的にそうだよ」

「なんだその、某有名なアプリのランプの魔人の選択肢に出てくる返答は」

「いつもキレッキレのツッコミをありがとう」

「また誘ってくれ。じゃあな」
「おう」

「──紫郎にもやっと春が来たか」
↑彼女持ちである

「聞こえてんぞ」

「スイマセーン」

紫郎はエレベーターの中へと入っていく

※※※

「ただいまー」
靴が二足ある──ということは。
「おかえり紫郎さん!」
「おかえりなさい。お邪魔してま~す♪」

やっぱりか。

「今朝の件は本当にすみませんでした」
「話は小眞恥ちゃんに聞きました」

「私の勝手な勘違いです....すいません」
咲雪さんは深々と頭を下げた。

「頭を上げてください!」
「元々は小眞恥が悪いんですから」

「何か私に出来ることがあったらなんでも言ってください!」

「じゃあ......小眞恥の面倒見てもらってもいいですか?」

「俺、朝から夜まで仕事だから。こいつ学校、行ってないんで昼間の間だけでもお願いしてもいいですか?」

「えっ、学校行ってないんですか?」

「突然こいつは俺の家に押しかけてきて
一緒に住もうって行ってきたんですよ」

「それから警察とかも考えたんですけど色々あって、養子として俺の家に来てるんで学校は行けてないんですよ」

「なるほどです。了解しました!」
「じゃあ私と一緒に保育園行きますか?」
「「保育園??」」

「私、保育士なんですよ」

「だから紫郎さんがいない時は私に任せてください!」

「えっでも大丈夫なんですか?」

「園長先生に連絡しとけば大丈夫よ!」

「ありがとうございます!!」

「じゃあこれからは紫郎さんがいない時は私を頼ってね!小眞恥ちゃん♪」

「はい!お願いします!」

これで小眞恥は安全だし俺も仕事に集中出来るな。

「それはそうと夜ご飯どうする?」
「咲雪さんも食べてないなら一緒に食べませんか?」

「食べま~す!」

「じゃあなんか軽く作れて美味しいものを」
そう言いながらキッチンへ向かう。

「私も手伝います!」
「小眞恥はダメだ」

「なんでー!」

「今朝のこと忘れてないか?」

「そうだった...見た目はいいのに何故か不味くなるんですよねー」

「じゃあ私が手伝います!」

「ありがとうございます!」

「まず、何を作るんですか?」
「うーん。オムライス..かな」

「オムライス!良いですね♪」

「でも俺作ったことないんだよな」
「そうなんですか~」
「じゃあ私が教えてあげますね♪」

「料理できるんですね」
「そりゃあもう立派な大人ですから!」

「それじゃあよろしくお願いします!」
「はい!お願いされました♪」

紫郎さんと咲雪さん。
一瞬で仲良くなってる......相性抜群!

小眞恥悪いことを考えていた。

「お二人さん!お似合いですね♪」

小眞恥がそう言った瞬間、二人は食材を切っていたらしく、次の食材を取ろうとした時、手と手が触れて見つめあってしまっていた。

やばい、胸がドキドキする。

どうしてこんなに鼓動が早くなってるんだろう。

もうイチャイチャしてるじゃん!

「二人ともお似合いすぎ!こんな子供の前でもイチャイチャするなんて///」

「「はっ!!」」

二人ともササッと手を離して食材を取り、
切ろうとしたその時...

あまりにも動揺していたのか指を少し切ってしまって、血が出てきた。

「っっ!!痛った!」

紫郎はすぐ包丁を離して、水で洗い流し
救急箱の中から絆創膏を取って、貼ろうと
するが片手では上手く貼れない。

「私が貼りましょうか?」
「あっ、お願いします」

「はいっこれで大丈夫!」

「ありがとうございます」

「それにしても、絆創膏を貼るまでの手順完璧です!」

「きっと、危機管理能力が元々高い方なんですね!」

「そうかもしれないな」

確かに咲雪さんに言われるまで気づかなかったな。色々思い当たる節あるし...

「よし!じゃあ気を取り直して続きを...」

「紫郎さんは休んでてください」

えっ?

「私が作ります!」

「いやっ、でもそんなの申し訳ないです」

「指、切ったので退場です」

「傷のこと心配してくれてるのは嬉しいですけど、全然大丈夫ですよ?」

退場......?

「ここで腕を見せることによって、
小眞恥ちゃんの料理を教えてあげれる事を証明するっていうのでどうですか?」

「どうしても手伝わせてくれないじゃないですか......」

「──もうそれで大丈夫ですよ」

「やったー!じゃあ見ててくださいね!」

「分かりましたよ」

※※※

「はい!出来ました~」
そう言いながらテーブルの上に、
出来上がったオムライスを置いてくれる。

「おおー!凄いな」
めちゃくちゃ綺麗なオムライスだ。
卵がぐちゃっとしてることもなく、綺麗なオムライス。

「調味料はお好みでどうぞ~」

「ありがとうございます!」
「いえいえ~♪」


「それじゃあ食べよっか」

「うん!」

「「いただきます!!」」

「どうぞ召し上がれ~」

はむっ、うん!うん!
「どうですか?」

「美味しいよ!咲雪さん!」
「美味しい!」

「良かった~♪」
「紫郎さんも小眞恥ちゃんも美味しいって言ってくれて♪」

「じゃあ私も!」
「いただきます!」

「うーん、美味しいですね!」

「でもぉー、こうすればもっと良かったみたいなとこが、自分の料理だといっぱい出てくるんですよね~」

「なんというか、素直に褒めれない感じ?」

「自分に厳しいですね」

「そうしないと、ずっとダラけてしまいそうで......。──でも!二人が美味しいって言ってくれて少しは自分を褒めてもいいかなって思ってます!」

咲雪さんはニコッと笑った。
まだ自分の料理に不満を抱いてそうだが、
それはもう!周りの皆を一瞬で笑顔に出来そうなぐらい可愛すぎる笑顔。

オムライスは一瞬で無くなった、優檜紫郎の口の中に。

※※※

「おーい、小眞恥ー。起きろー」
「咲雪さん帰っちゃうぞー!」

「んっ!はい!どこ?」

「玄関だ。明日お世話になるんだから、よろしく伝えてこい」

「分かったー!」

「咲雪さん!」
「はい!なんでしょう?」

「明日、よろしくお願いします!」
「俺からも、お願いします」

「こちらこそよろしくお願いします♪」

「じゃあまた明日!」
「二人ともおやすみなさい♪」

「よし!じゃあお風呂入って寝るか!」
「うん!歯磨きも忘れずにね!」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

壁の薄いアパートで、隣の部屋から喘ぎ声がする

サドラ
恋愛
最近付き合い始めた彼女とアパートにいる主人公。しかし、隣の部屋からの喘ぎ声が壁が薄いせいで聞こえてくる。そのせいで欲情が刺激された両者はー

美少女幼馴染が火照って喘いでいる

サドラ
恋愛
高校生の主人公。ある日、風でも引いてそうな幼馴染の姿を見るがその後、彼女の家から変な喘ぎ声が聞こえてくるー

車の中で会社の後輩を喘がせている

ヘロディア
恋愛
会社の後輩と”そういう”関係にある主人公。 彼らはどこでも交わっていく…

彼氏の前でどんどんスカートがめくれていく

ヘロディア
恋愛
初めて彼氏をデートに誘った主人公。衣装もバッチリ、メイクもバッチリとしたところだったが、彼女を屈辱的な出来事が襲うー

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

【完結】一夜の関係を結んだ相手の正体はスパダリヤクザでした~甘い執着で離してくれません!~

中山紡希
恋愛
ある出来事をキッカケに出会った容姿端麗な男の魅力に抗えず、一夜の関係を結んだ萌音。 翌朝目を覚ますと「俺の嫁になれ」と言い寄られる。 けれど、その上半身には昨晩は気付かなかった刺青が彫られていて……。 「久我組の若頭だ」 一夜の関係を結んだ相手は……ヤクザでした。 ※R18 ※性的描写ありますのでご注意ください

処理中です...