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お隣さん

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「おはようございまーす」
「起きてくださーい!」
「おう、おはよう」

「朝ごはん作ってありますので早く来てくださいね」

朝ご飯作ってくれてんのか。
それに久々に妹に起こされてる様な感覚。
この感覚、懐かしい。

「それはありがたき小さな幸せ」

「そんなん言ってないで、早く食べないとお仕事に間に合いませんよ」

「そうじゃん!」

そうだった。今日から仕事再開だわ。
引越ししてから一日も経ってないのに。

「あの上司意味分からんだろ」

つい、朝ご飯を食べながら呟いてしまう。

うっ!
!?!?!?!!!!!
なんだこれは?!

例えるなら、水ですよって出された飲み物を飲んだら本当は日本酒だった!
みたいな?

紫郎は机にぐったりしながら小眞恥に言う。
「小眞恥、お前」
「なんですか?」
「これ、自分で食べたか?」
「いえ食べてませんけど。どうかしたんですか?」

「──食べてみろ」
「分かりました......」

「うわ。これは......!」
小眞恥は水を手に取り一気に飲み込む。

「言葉も出ないぐらい不味いだろ」

ぷはっ。はぁ。

「反論のしようがありませんね」
「だろ」

「それにしてもおかしいな」
「見た目は普通なのに、なんでこんな不味いんだ?」

「ですよねー。普通に作っただけなのに」

「まあそんなことはいいんですよ!!」

子眞恥は椅子から勢いよく立ち上がって言った。

「お仕事っ!遅れますよ!」
「やっばっ!」

紫郎も勢いよく立ち上がり、仕事用バックを持って、家の鍵を手に取って、コートを慌てて着。

「行ってきます!」
「はい!行ってらっしゃい!」

「あー!紫郎さーん!スマホーー!」

慌ててスマホを持ち玄関から出ると、
そこには......
紫郎さんがお姉さんに問い詰められている様子だった。

「紫郎さん。何してるんですか?」
「いや、えっと......俺にも分からない....」

「だから!昨日隣の部屋に不審者がいると聞いて、仕事に行く前にここで待ってたんです!」

「それであなたが出てきたから不審者じゃないかって......」
「昨日......」

(セクハラ!痴漢!不審者ー!)

「「「・・・」」」

「って!原因お前じゃないか!!」

「てへっ☆」

「てへっ☆じゃねぇよ!」

「それよりこれ!どうぞ!」
「あっ...ありがとう」

「もう行かないと多分間に合いませんよ!!」

「そこのお姉さんも!」

お姉さんはそう言われ、腕時計を見る。

「ほんと!やばいよ!」

あわあわしてる。可愛い。

「とりあえず後で事情は聞きに行きますよ!」

「分かりました!」

「はい!早くエレベーター乗る!」
そう言われると二人はエレベーターに乗り込む。

「二人とも行ってらっしゃい!」
「「行ってきます!!」」

──────エレベーター内

「あなた、名前はなんて言うんです?」
「優檜紫郎です」

「いい名前ね♪」
「ありがとうございます//」

「照れないでいいのよ、本心だから」

「そっ...それよりあなたの名前は?」

「浅姫咲雪です」

「分かりました。浅姫さん」

「咲雪でいいよ♪」
「はい!咲雪さん」

「これからもよろしくね、紫郎さん♪」

エレベーターの扉が開くと咲雪さんは
そう言いながらは走って行ってしまった。

おっとりしてるのか、忙しないのか
分からない人だな。

ん?......これからもよろしく、とは?

あぁ~。
お隣同士、よろしくねってことね。

そう走りながら考えていると
空から少しの雪が降ってきていた。
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