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恥あるところに茶柱は立つ
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「さっ、ブランコしてきな」
「うん......!」
僕は少し勘違いをしていた。るなちゃんは人間関係において不器用だから同年代の僕には色々と話してくれる、そう思っていた。......だけどさっきの話を聞いて思った、こういう話は神崎さんの方が上手くるなちゃんにアドバイスできるし、静華さんの方が僕よりもっとるなちゃんを元気付けられる。もしかして......僕だから話してくれた?
「奏汰......は......ブランコ......出来ない......よね」
「えっ!? あぁ、出来ないと思うな」
「骨折......治ったら......一緒にブランコ......しよう......ね」
「うん、いいよ」
「......約束......ね」
こうして新たな約束をし、2人は庭園を後にした。
お互いにちょっとした恥じらいを抱きながら──
「あっ! いたいた奏汰くん! それとるなちゃんも、さっき奏汰くんのお母さんから電話があって今日のお昼に会いに来るって!」
「ほんとに!? 久しぶりだなぁ~」
「いいなぁ......私も......会い......たい......」
「そうだよね、るなちゃんの親御さんは外国だからそう簡単に会えないもんね」
「......神崎さん......うん......まあ......それより......今......は......料理の......練習......」
「やる気満々だね、じゃあ早速調理場に──あっ、静華さんと奏汰くんも一緒に来る?」
そう神崎さんが言った途端、るなちゃんは何かを訴えるように神崎さんの服を引っ張った。そして2人は小声で話し始めた。
「なんで......わざわざ......呼ぶ......の......!? 呼んだら......意味......無い......じゃん......!」
「でもぉ──」
「でも......じゃ......ない......!」
「灰羽さんの好きな味......」
「っ!」
「分かっておいたほうが良くない?」
普段とは一味違うるなちゃんに神崎さんは驚きながらもるなちゃんを説得する。
「......分かった......でも......やめて......私が......あげるの......言うの......」
「うん、もちろん」
2人の話に一段落がつき、様子を伺っていた静華さんが2人に話しかけてきた。
「どうしたの2人とも? るなちゃんはちょっと顔赤いけど......大丈夫?」
「うん......大丈夫......奏汰と......北条さんも......調理場......来る......?」
「どうします?」
そう奏汰が静華さんに問いかけたが、元から決まっていたかのように静華さんは即答した。
「せっかくだから奏汰くんのお母さんが来るまでお邪魔させてもらおっか!」
「はい!」
そう言いながら奏汰は静華さんに向かって頷く。
「それじゃあ調理場へレッツゴー!」
神崎さんは声を出すと共に右腕を高く上げ、調理場へ行くことをここに居る3人に合図すると全員が静まり返った。
「......っん......ふっ......」
「え? どうしたの」
「いや~? 雪希子《ゆきこ》さんもそういうことするんだーと思って」
「静華さんと同じです」
「私ってそんなイメージ?」
不思議そうにしている神崎さんは、少し困惑しながらみんなに問いかけた。
「はい」
「いつもの雪希子さんなら絶対言わなそうな言葉第3位だもん」
「慣れないこと......するから......みんな......困ってた......でも......面白い......ふふっ」
「ちなみに第2位は『きゃー! 可愛いぃぃ!』で第1位は『デート......しよ?』です」
「なんだそれ、絶対言わないじゃん。言わなそうじゃなくて言わないわ」
静華さんが言ったことを神崎さんは強く否定した。そして空気を読んだ奏汰は恐る恐るみんなに声をかけた。
「調理場......行きますか」
「そうね」
「よーし! レッツゴー!」
「......静華さんが言ったら違和感無いんだよな」
「しょうが......ない......と......思う......」
こうして4人は食堂にある調理場へと向かった。
「それじゃあ初めていこっか」
「うん......」
「雪希子《ゆきこ》さんのお料理教室の始まり始まり!」
「日本昔話ですか」
「ナイスツッコミ!」
まず2人は材料を選んでいった、神崎さんが気を利かせて作る料理がバレないよう色んな材料を用意してくれていた。
「これ......何......作るの......? いっぱい......ある......けど......」
「色々作るよ、サプライズなんでしょ?」
「......ありがと」
「いいえー」
神崎さんとるなちゃんは調理台に立ち、奏汰と静華さんはその横から見学という形でハロウィン料理の練習は始まった。
「うん......!」
僕は少し勘違いをしていた。るなちゃんは人間関係において不器用だから同年代の僕には色々と話してくれる、そう思っていた。......だけどさっきの話を聞いて思った、こういう話は神崎さんの方が上手くるなちゃんにアドバイスできるし、静華さんの方が僕よりもっとるなちゃんを元気付けられる。もしかして......僕だから話してくれた?
「奏汰......は......ブランコ......出来ない......よね」
「えっ!? あぁ、出来ないと思うな」
「骨折......治ったら......一緒にブランコ......しよう......ね」
「うん、いいよ」
「......約束......ね」
こうして新たな約束をし、2人は庭園を後にした。
お互いにちょっとした恥じらいを抱きながら──
「あっ! いたいた奏汰くん! それとるなちゃんも、さっき奏汰くんのお母さんから電話があって今日のお昼に会いに来るって!」
「ほんとに!? 久しぶりだなぁ~」
「いいなぁ......私も......会い......たい......」
「そうだよね、るなちゃんの親御さんは外国だからそう簡単に会えないもんね」
「......神崎さん......うん......まあ......それより......今......は......料理の......練習......」
「やる気満々だね、じゃあ早速調理場に──あっ、静華さんと奏汰くんも一緒に来る?」
そう神崎さんが言った途端、るなちゃんは何かを訴えるように神崎さんの服を引っ張った。そして2人は小声で話し始めた。
「なんで......わざわざ......呼ぶ......の......!? 呼んだら......意味......無い......じゃん......!」
「でもぉ──」
「でも......じゃ......ない......!」
「灰羽さんの好きな味......」
「っ!」
「分かっておいたほうが良くない?」
普段とは一味違うるなちゃんに神崎さんは驚きながらもるなちゃんを説得する。
「......分かった......でも......やめて......私が......あげるの......言うの......」
「うん、もちろん」
2人の話に一段落がつき、様子を伺っていた静華さんが2人に話しかけてきた。
「どうしたの2人とも? るなちゃんはちょっと顔赤いけど......大丈夫?」
「うん......大丈夫......奏汰と......北条さんも......調理場......来る......?」
「どうします?」
そう奏汰が静華さんに問いかけたが、元から決まっていたかのように静華さんは即答した。
「せっかくだから奏汰くんのお母さんが来るまでお邪魔させてもらおっか!」
「はい!」
そう言いながら奏汰は静華さんに向かって頷く。
「それじゃあ調理場へレッツゴー!」
神崎さんは声を出すと共に右腕を高く上げ、調理場へ行くことをここに居る3人に合図すると全員が静まり返った。
「......っん......ふっ......」
「え? どうしたの」
「いや~? 雪希子《ゆきこ》さんもそういうことするんだーと思って」
「静華さんと同じです」
「私ってそんなイメージ?」
不思議そうにしている神崎さんは、少し困惑しながらみんなに問いかけた。
「はい」
「いつもの雪希子さんなら絶対言わなそうな言葉第3位だもん」
「慣れないこと......するから......みんな......困ってた......でも......面白い......ふふっ」
「ちなみに第2位は『きゃー! 可愛いぃぃ!』で第1位は『デート......しよ?』です」
「なんだそれ、絶対言わないじゃん。言わなそうじゃなくて言わないわ」
静華さんが言ったことを神崎さんは強く否定した。そして空気を読んだ奏汰は恐る恐るみんなに声をかけた。
「調理場......行きますか」
「そうね」
「よーし! レッツゴー!」
「......静華さんが言ったら違和感無いんだよな」
「しょうが......ない......と......思う......」
こうして4人は食堂にある調理場へと向かった。
「それじゃあ初めていこっか」
「うん......」
「雪希子《ゆきこ》さんのお料理教室の始まり始まり!」
「日本昔話ですか」
「ナイスツッコミ!」
まず2人は材料を選んでいった、神崎さんが気を利かせて作る料理がバレないよう色んな材料を用意してくれていた。
「これ......何......作るの......? いっぱい......ある......けど......」
「色々作るよ、サプライズなんでしょ?」
「......ありがと」
「いいえー」
神崎さんとるなちゃんは調理台に立ち、奏汰と静華さんはその横から見学という形でハロウィン料理の練習は始まった。
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