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言葉の強さ

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「ここで......座っとこ......」
「そうだね、後で静華さんも来るだろうし」

 静華さんがシャンプーなどのトイレタリー用品やタオルなどの衛生用品を元の位置に戻しに行っている間に、奏汰とるなちゃんは先に食堂へ行っていた。2人だから危険──という訳でもなく、るなちゃんが奏汰の車椅子を押したり病院食を取ったり、それを奏汰が受け取ったりと難なくこなしていた。

「奏汰......」
「ん、なに?」

「食べ......終わって......ちょっと......休んだら......庭園......行か......ない?」

 勇気をだして奏汰と目を合わせながら庭園に誘うるなちゃんに奏汰は少し驚いていた。

「えっあっ」
「嫌なら......無理は......しない......で......」

 そう言いながら奏汰から目を逸らした時──

「神崎さん......と......北条......さん......」
「あっほんとだ、もう来てたんですね」

「うん、お話の邪魔しちゃ悪いかな~って」

「それよりるなちゃん、庭園に誘うのは良いけど嫌ならって言っちゃったら優しい奏汰くんは断れないでしょ?」

「たしかに......じゃあ奏汰......それが困ってた理由......?」

 奏汰は何かを隠すように口を開く。

「いやー......」
「......?」

 両者共にそれ以降口を開かず沈黙が続いていた。
 だが少し時間が過ぎた時、神崎さんが何かに気づいたようで......

「るなちゃんるなちゃん」

 そう言いながらるなちゃんの隣に座って口を耳元まで持っていく。

「ん......なに......?」

「多分だけど灰羽さんが戸惑ってたのはね、急にるなちゃんに上目遣いで目を合わせられてドキドキしちゃってたんだよ、だってこんな可愛いんだよ? ドキドキしない方がおかしいよ」

 そう言われた瞬間るなちゃんの耳が真っ赤になった、そしてるなちゃんも小声で神崎さんに言い返す。

「そんなこと......ない......私......可愛く......なんて......ない......よ......」

「じゃあ本人に聞いてみよ」
「えっ待っ──」

「灰羽さん」
「はい、なんですか?」
「るなちゃんって可愛いと思う?」
「急ですね」

「ちなみに私はめっちゃ可愛いと思う」
「はいはーい! 私もるなちゃん可愛いと思う!」

 静華さんも入ってこれで2票、そして灰羽さんは必ず言う!

「僕もるなちゃんは可愛いと思う、こんな可愛い女の子初めて見ました」

 そこまで言うのは予想してなかったなぁ......さてこれを聞いたるなちゃんはというと?

「うん......あり......がと......奏汰も......ありが......と......」

 るなちゃんは少し恥ずかしそうに下を向きお礼を言った。

「はい、るなちゃんは可愛いで確定! さて、朝ご飯食べよ~」

「そうですね」
「うん......それが......いい......」

 こうして4人は朝ご飯を食べ始め、穏やかな新しい朝が始まった。

「奏汰......食べ終わっ......た......?」
「まだ食べ終わってないよ」

「......奏汰......食べ......終わった......?」
「いやまだ......」

「奏汰......もう......食べ終わった......?」
「いやさっき聞かれたばっかだよ......」

 るなちゃんは落ち着きがない様子で奏汰に朝ご飯を食べ終わったかの確認を何度も行っていた。

「まだちょっと待ってようね、庭園に早く2人で行きたいからって急かしたらダメだよ?」

「分かっ......た......待つ......」

 るなちゃんがそう言った時、静華さんがお母さんのような口振で話し始めた。

「ごめんねるなちゃん、奏汰くんは人より食べるの遅いから。でもそれは良い事なの」

「一応同期なんだけどさ......最近静華さんが持っている灰羽さんの情報が看護師以上の物を持っている気がして怖くなってきたわ」

「そんなことないよ~」
「ちょっ......と......言い方......怪し......」

 そして10分後、奏汰はやっと食べ終わり2人は庭園に向かった。そして食堂に残った静華さんと神崎さんは奏汰たちの事を話し始めていた。

「あの2人、どう思う?」
「どうって仲良い友達って感じじゃない?」

「まあそれもあるけどー......ただの友達が朝早くに奏汰くんとご飯食べたいからって直接部屋来る?」

「灰羽さんの部屋行ったの!?」
「うん、ちょうど私が部屋に居ない時に来てたみたい」

 私がるなちゃんの頭洗った後、片付けしに行って帰ってきたら居なかった時に行ってたんだ。トイレでも行ってるのかなって思ってた......まあその後静華さんに呼ばれてるなちゃんと会ったからちょっとおかしいと思ってたんだよね。

「それで、そう言うってことは何かあったの?」
「いやぁ? 特に何もー」
「ニヤニヤしながら言っても説得力ないぞ、何かあったんでしょ」

「それがね──」

 静華さんが話そうとしたその時、病院内でアナウンスが流れる。2人はそれに反応し耳を傾けた。
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