上 下
8 / 68

休憩室

しおりを挟む
「あっ...そうだ」
「どうしたんですか?」

「まだお昼まで時間あるし、前軽くしか紹介出来なかったから、今から休憩室まで行って、本とかテレビとか見る?」

「ちょっと行ってみたいかもです」

「じゃあ行こっか!」
「はい!」

──とは言って、来たはいいものの......僕の隣でずっとニコニコしながら、僕の顔を見てくるこの看護師さんは誰だ??


5分前、休憩室

「静華さーん!」
「はーい!」

「着いてそうそう悪いんだけど、ちょっと呼ばれちゃったから行ってくるね!5分くらいで戻ってくるからー!」

「分かりました。本でも読んどきますね」
「ごめんねー!すぐ戻ってくるからー」

そう言って看護師さんの集まりの中に入っていった。

多分さっきのアレルギーの子の話かな?
おっ...この本面白そう。読んでみるか。

そんな事を思っていたら、本を開くと同時に、看護師さんから声をかけられた。

「ねえ」
「......あっ...はい......なんですか?」
「君、灰羽奏汰くんよね?」
「はい...そうです......」
「・・・」

......え、会話終了?名前聞いただけ?
まっ...まあ気にせず、静華さんが戻ってくるまで大人しく本を読んでおこう。


で、今に至る。

ほんとにずっと見てくるんだけど、なんで?
早く静華さん戻って来ないかな?

......あっ!戻ってきた!

「お待たせー!奏汰くん......って神崎さん?」

「あっ...北条さん!」

「ありがとうございます!見ててくれて」
「いえいえ!お気になさらず」

「あれ?神崎さんが担当の子は...?」

そういえば話しかけて来た時からいないな。
...あと、神崎って名前なんだ。

「あそこですよ」

神崎さんはそう言うと、窓際の席を見た。

「あの子だよ。窓際の席で本読んでる子」

僕も窓際の席を見たが、ここからじゃよく見えなかった。

「あー!るなちゃんね」
「るなちゃん?」

「そっか、奏汰くんはまだ来たばっかりだから知らないよね。
名前は宮咲るな。極度の人見知りで、でも頑張り屋さんだから無理に頑張っちゃって、結果、精神病。で、入院してる子。結構看護師の中では有名よ」

「へぇーそうなんですね」

「朝言ったアレルギーの子があの子。奏汰くんと朝ご飯が入れ替わっちゃった子よ」

「あー!そうだったんですね」

「ちょっと話に行ってみる?」
「いや......大丈夫ですかね?」

「私がいれば多少は喋れるはずだから大丈夫よ」

「大丈夫...ですかね」
「とりあえず行ってみよー!」
「...分かりました」

僕が車椅子を動かそうとした時、静華さんが後ろに来た。

「私が動かしてあげるから手ー離してー!
......あっ!ダジャレじゃないよ?」

「ダジャレじゃないのは分かってますよ。
それに大丈夫ですよ、すぐそこですし」

「はい!じゃあまず1回目ね~」

「......... あっ!忘れてた!」

「じゃあるなちゃんとこ行こうねー!」

くっそ、完全に油断してた。ゲームには気をつけないと。


まずは神崎さん?だったっけ。...まあ、担当看護師さんが宮咲さんに話しかけにいった。

「るなちゃん、今何読んでるの?」
「.........ミシェルシリーズ......魔導書庫...」

「そのミシェルシリーズって言うのは面白い?ずっと読んでるけど?」

「面白い......好き......」

「ところでちょっといいかな?」

「...ん......なに?」

「話したいって子がいるんだけど......大丈夫かな?」

「......キリ良いとこ...まで......よ...みたい」

「分かった。じゃあ待ってるね!」
「うん......」


「じゃあちょっと待ってようか」
「はい」
「いくらでも待つよ!話してみたいからね」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

年増公爵令嬢は、皇太子に早く婚約破棄されたい

富士とまと
恋愛
公爵令嬢15歳。皇太子10歳。 どう考えても、釣り合いが取れません。ダンスを踊っても、姉と弟にしか見えない。皇太子が成人するころには、私はとっくに適齢期を過ぎたただの年増になってます。そんなころに婚約破棄されるくらいなら、今すぐに婚約破棄してっ! *短篇10本ノック3本目です*

2回目チート人生、まじですか

ゆめ
ファンタジー
☆☆☆☆☆ ある普通の田舎に住んでいる一之瀬 蒼涼はある日異世界に勇者として召喚された!!!しかもクラスで! わっは!!!テンプレ!!!! じゃない!!!!なんで〝また!?〟 実は蒼涼は前世にも1回勇者として全く同じ世界へと召喚されていたのだ。 その時はしっかり魔王退治? しましたよ!! でもね 辛かった!!チートあったけどいろんな意味で辛かった!大変だったんだぞ!! ということで2回目のチート人生。 勇者じゃなく自由に生きます?

私はあなたの母ではありませんよ

れもんぴーる
恋愛
クラリスの夫アルマンには結婚する前からの愛人がいた。アルマンは、その愛人は恩人の娘であり切り捨てることはできないが、今後は決して関係を持つことなく支援のみすると約束した。クラリスに娘が生まれて幸せに暮らしていたが、アルマンには約束を違えたどころか隠し子がいた。おまけに娘のユマまでが愛人に懐いていることが判明し絶望する。そんなある日、クラリスは殺される。 クラリスがいなくなった屋敷には愛人と隠し子がやってくる。母を失い悲しみに打ちのめされていたユマは、使用人たちの冷ややかな視線に気づきもせず父の愛人をお母さまと縋り、アルマンは子供を任せられると愛人を屋敷に滞在させた。 アルマンと愛人はクラリス殺しを疑われ、人がどんどん離れて行っていた。そんな時、クラリスそっくりの夫人が社交界に現れた。 ユマもアルマンもクラリスの両親も彼女にクラリスを重ねるが、彼女は辺境の地にある次期ルロワ侯爵夫人オフェリーであった。アルマンやクラリスの両親は他人だとあきらめたがユマはあきらめがつかず、オフェリーに執着し続ける。 クラリスの関係者はこの先どのような未来を歩むのか。 *恋愛ジャンルですが親子関係もキーワード……というかそちらの要素が強いかも。 *めずらしく全編通してシリアスです。 *今後ほかのサイトにも投稿する予定です。

料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します

黒木 楓
恋愛
 隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。  どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。  巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。  転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。  そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。

ツギハギだらけの翼~中学受験という名の戦いに自分の全てか掛けている。ふざけていない、常に本気だ~

黒夜須(くろやす)
BL
のりちゃん、のりちゃんのために頑張ったのになんでそんな顔をするんの? 俺が最難関中学と言われるところに全部受かれば、のりちゃんの親はのりちゃんが俺に家にいる事を納得するんだよね。 だから、勉強しなくちゃいけないんだ。 え?  手から血? あぁこれは、夜になると眠くなるんだよ。だから、しつけてやったんだ。この身体は甘えすぎなんだよ。寝ている時間なんてないのが分かっていない。 ご飯? さっきゼリーを食べたよ。 なんで、泣くの? やめないよ。 今、やめたらのりちゃんはまたあの家に戻らなくちゃいけないだよ。そして、その腕の傷よりももっとひどいことされるよ。 のりちゃんは悪くなよ。悪いのはのりちゃんを傷つける大人だよ。 そんな顔しないで、俺に任せて。 大丈夫だよ。 江本貴也は男子校御三家に合格するためすべての時間を勉強にそそいでいた。そのため塾校舎内トップあり周囲からは“天才”と言われたが、自分がなんの努力もしていないと言われているようでその言葉は嫌いだった。そんな時、天王寺憲貞と会う。彼は私立小学校に通う経済的に裕福な家庭であった。親が御三家中学に入れようと塾に入れてたが、勉強ができず中学にいっても追いつけないと言われ、家庭教師をつけ塾に通っていたが塾のクラスは下位。ある日、貴也は憲貞の手に傷があるのを見つける。 叶和也は貴也と同じ公立小学校に通う。親に言われ中学受験をするため意欲は低く塾でのクラスは一番下。彼も貴也と一緒に憲貞の傷を見つける。 さまざななプレッシャーをかけられるが3人は必死に大人の期待に応えようと頑張った。彼らがも求めているのは親に褒められ、認められることだった。 2月彼ら、様々の思い持ちそれぞれ合格を手にする。 「桜華学園~悪役令嬢に転生した俺はヒロインに盗聴、盗撮、ストーキングされる~」に出てくる生徒会長の江本貴也と桜花会会長の天王寺憲貞のなれそめの話です。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/916924299/438529968 最後に彼らの桜花学園卒業の話を書いてます。そこに和也もできます。 ※中学受験は高校や大学受験とは異なり親の影響が大きいです。そして、周りが受験しないという環境。小学生には厳しいものです。 平日4時間以上、休日10時間以上の勉強は普通です。 塾費用もかなりかかり年間100万以上です。それを小学4年生から始めます。

移転した俺は欲しい物が思えば手に入る能力でスローライフするという計画を立てる

みなと劉
ファンタジー
「世界広しといえども転移そうそう池にポチャンと落ちるのは俺くらいなもんよ!」 濡れた身体を池から出してこれからどうしようと思い 「あー、薪があればな」 と思ったら 薪が出てきた。 「はい?……火があればな」 薪に火がついた。 「うわ!?」 どういうことだ? どうやら俺の能力は欲しいと思った事や願ったことが叶う能力の様だった。 これはいいと思い俺はこの能力を使ってスローライフを送る計画を立てるのであった。

桜色の約束

Nami📖🐬
青春
春、中学校の入学式。 桜が舞い散る中、咲良はふと視線を上げた。 視線の先には、桜の木の下に立つ少年がいた。 ある日、咲良は少年の抱えている過去を知る。 そして、咲良自身も大きな不安を抱えていて……

握力が8キロになった話

倉木元貴
エッセイ・ノンフィクション
 これは私自身の実体験をもとに書いたものです。初めは手の痺れから始まり、徐々に物が持てなくなり、握力が低下の一途を辿っていた時のお話です。  主に「手根管症候群」について書いたお話です。医者の話や私自身で調べると、男性より女性に多いらしいです。私がなったような、慢性的な症状より、急性的になる女性が多いと言っていました。その原因は、子育てを始めたばかりの母親は3キロ以上ある子供もずっと抱っこしていることが多く、手を酷使するからだそうです。実体験をもとに対処法なども書いてあります。是非参考にしてください。

処理中です...