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一歩、また一歩進むごとに俺の恨みの念は増すばかりで、気づくと城に着いていた。
しかし城門を通ろうとした俺は何故か兵士に呼び止められた。

「おいそこの者!」
「なんだ?」
「それ以上進むことは許さんぞ」
「何を言っている?俺はフランク王子だぞ?」
「おまえがフランク王子だと?」
「そうだ」
「…大丈夫か?頭でも打ったのか?」
「西の魔女の仮面によって顔を変えられたんだ!!」
嘘のような本当の話を信じてもらうために俺は両手の拳を握って体全体で訴えた。
「おー。そうかそうか」
兵士は後ろを振り向くと大きな声で言った。
「おーい!応援を頼む!」
俺は両脇を抱えられて城の敷地から追い出された。



「くそっ…。城門の兵士全員…あとでクビにしてやる!!」
城を追い出された俺は仕方なく近くの街へ下りた。
まずいぞ。この顔面のままでは城にも帰れない。
しかしまずはこの空腹を満たさねば俺のやる気パワーは出てこない。
空腹を満たすには金が必要だ。だがあの魔女に手持ちの金をすべて渡してしまった俺にはもはや何もない。

しばらく歩いてると通りで正座をしてお辞儀を繰り返している男がいた。
「どうかお恵みください…どうか…」
通りがかりの人はときたま足を止めて金を恵んでいる。
「なんだ、やつのように正座していれば金がもらえるのか。楽な商売だな。どれ、俺もやってやろう」
俺はやつの隣に座り、同じようにお恵みとやらを待った。
しかしおかしい。これだけ人が通るのに、何故か隣のやつの方にばかり人が”お恵み”をしている。
ふとやつの顔をよく見るとなかなかのイケメンだった。なるほど、そういうことか。どうりで女ばかりが寄付してるわけだ。
くそ、俺の本来の顔さえ戻ればやつなんて足元にも及ばないのに…現実はなんて残酷なのだ。

そんな憔悴しきった俺のもとへ、なにやら体格の良い中年の男が近づいてきた。
「あんた、金が欲しいのかい?」
「ああ、そうだ。文句あるか?」
「それならいい話があるぜ。来な」
俺はなんの疑いもなくその男に付いて行った。
ほどなくして俺は牢に入れられた。
「今回も馬鹿が引っかかったぜ。へへ」
俺とその他大勢の馬鹿は手足を縛られた状態のまま馬車に放り込まれた。
「奴隷商売はこれだからやめられねえぜ。今日も一儲けできそうだ」


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